侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】

のびすけ。

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第一章 覚醒編

訓練試合と、初めてのスキル進化

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「よし、今日はちょっとだけ本気でいくよ!」



朝から気合い充分。中庭に立つ僕の手には、練習用の木剣。

対するのは、剣術教師・セリナ先生。今日は“試合形式”での訓練だ。



「イッセイ。遠慮はいらない。来い」



「それ、めちゃくちゃ強キャラの言い方ですね」



「言っておくが、私は容赦しないぞ。こっちは本気だ」



「ひえっ。でも、やります!」



(こっちも少しずつ手応えが出てきてる。やるしかない!)



  * * *



「はっ!」



「っ、いい踏み込み……!」



まずは一撃目。体重を乗せての斬撃――受けられたけど、先生の目がわずかに見開かれた。



(悪くない、ちゃんと反応できた……!)



「次はどう来る?」



「こうですっ!」



左足を軸に回転、低い姿勢からの払い。

すかさず前に出て、フェイントを入れて――



「っ!」



先生が一歩退いた! これまでで初めて!



「……ふふ。動きに“迷い”がなくなってきたな」



「やった……進歩、してる!」



「だが、ここからだぞ!」



セリナ先生のカウンター、鋭い!



「っとと――」



ギリギリで避けて間合いを取り直す。汗がにじむけど、楽しい。



(本気の相手にここまでやれるって、すごくない?)



  * * *



「……ふぅっ、引き分け、ということでいいかな?」



「今回はな。次は倒す」



「え、次こそ負けるフラグじゃないですかそれ」



「口は達者になってきたな」



試合が終わった後、僕はぜーはー言いながらも、手応えに満ちていた。



「よし、次は魔法だー!」



「イッセイ君、テンション高い~! でもその意気やよし!」



メルティ先生が笑顔で迎えてくれる。今日は初級攻撃魔法フレイムの実戦形式。



「魔晶石の的を燃やしてみよっか! 照準、しっかりね~」



「了解! ……《フレイム》!」



手を伸ばし、詠唱とイメージを重ねる。

小さな火球が発生し――



「ていっ!」



ドン!

魔晶石の的が見事に燃え上がった。



「うわーっ! 命中命中! やったね~!」



「やった……! 一撃で!」



そのとき、頭の中にまた表示が浮かぶ。



スキル《フレイム》の習熟度が一定に達しました

→《フレイム》が《フレイムショット》に進化しました!

「……おぉっ!? 進化した!?」



「えっ、スキル進化!? はや~っ!?」



「自分でもビックリしてるよ!」



まさか、ここまで早く実感できるとは思わなかった。

力を少しずつ積み重ねていった結果が、ちゃんと“成長”という形で返ってくる。



「剣も魔法も、少しずつだけど……僕、強くなってるんだな……!」



「うんうんっ、その調子だよ~!」



「次は先生たち、抜かされるかもしれんな」



「それはまだ早いです!」



「否定が早い!」



三人で笑い合いながら、夕焼け空を見上げた。



(この世界で、生きる。戦える。誰かを守れるくらいに――なってみせる)



その決意は、今日の訓練でほんの少し、現実味を帯びてきた。
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