侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】

のびすけ。

文字の大きさ
3 / 214
第一章 覚醒編

家庭教師は美少女剣士と魔法使い!?

しおりを挟む
「イッセイ様、ご準備は?」



「うん、今日は初めての剣と魔法の授業だね。少し緊張してるけど、楽しみでもあるよ」



晴れた朝。僕は屋敷の中庭で深呼吸をひとつ。

今日から、冒険者ギルドから派遣された家庭教師が来てくれることになっていた。



(前世ではプログラマーだったけど、こっちでは剣も魔法もゼロから。しっかり学ばないと)



扉がノックされ、エリナが恭しく開く。



「ご紹介いたします。剣術担当のセリナ様と、魔法担当のメルティ様です」



「よろしくお願いします。剣術をお教えする、セリナ・バレンティアです」



「魔法担当のメルティ・クラウゼルです♪ 一緒にがんばりましょうね、イッセイ君っ」



現れたのは、二人の若く美しい女性。

クール系の剣士と、ほんわかした魔法使い。……完全に漫画で見たような組み合わせだ。



「お二人とも、よろしくお願いします。僕、全力で学びますので」



  * * *



まずは、剣術の基礎。



「では、構えからいきましょう。イッセイ様は剣を握るのも初めてですよね?」



「はい。見よう見まねでも動いてみたことはあるけど……体で覚えたことは、まだないです」



「ならば、ゆっくりやっていきましょう。大事なのは姿勢とバランスです」



構え方、足の位置、重心移動――

セリナ先生は驚くほど丁寧で、わかりやすかった。



「……ふむ。初めてにしては飲み込みが早いですね。体の使い方に“無駄”が少ない」



「そう言ってもらえると、ちょっとだけ自信が出ます」



もちろん、“剣聖”スキルがほんのり補正をかけてくれてるのもあるだろう。

でも、あくまで助け程度だ。動きが洗練されていくのは、反復して、考えて、意識しての結果だ。



「じゃあ次は……ゆっくり素振りを百回。フォームを崩さないようにね」



「百回、ですね……了解。やります!」



(いきなりSランク! みたいな展開は正直リアルじゃないしね。しっかり積み重ねて強くなろう)



  * * *



午後は、魔法の授業。



「まずは《マナ感知》からですね~。

自分の中にある“力”を意識して、静かに感じてみてください」



「……なるほど、魔力っていうのは……“熱”に近い感覚なんですね」



「おお、すごいすごい! 初日で感知できる人、珍しいですよ~!」



「本当ですか? でも、うまく扱える気はまだしません」



「それで十分です♪ 最初は感じるだけでも一苦労なんですから」



イッセイの魔力は多い方らしいが、だからといって魔法がポンポン撃てるわけではない。

詠唱、制御、イメージ、それらを正確に積み上げて、ようやく魔法になる。



「今日は基礎の《灯火ライト》を目指しましょう。小さな魔法だけど、大切な一歩です」



「はい。よろしくお願いします、先生」



  * * *



その日の授業が終わる頃には、全身汗だくになっていた。

木剣を振り、詠唱を重ね、足も手もパンパンだ。



でも――



「……楽しかったな」



「お疲れさまでした、イッセイ様。今日はぐっすり眠れそうですね」



「うん。剣を振るのも、魔法を使うのも、すごく新鮮だった。

前世にはなかったものばかりで、どんどん世界が広がっていく気がするよ」



「明日は、実践練習を予定しております」とセリナ先生。



「魔法は《フレイム》に挑戦しますよ~♪」とメルティ先生。



「おお……これは筋肉痛が続きそうだね」



思わず苦笑いしながら、僕は夕焼けの空を見上げる。

体は重い。けど、心は軽かった。



(一歩ずつでいい。ゆっくりでも、確実に強くなる。

この世界で、生きていくために――)
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」 病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?! 女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。 そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!? そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?! しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。 異世界転生の王道を行く最強無双劇!!! ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!! 小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。 何も成し遂げることなく35年…… ついに前世の年齢を超えた。 ※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました

東束末木
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞、いただきました!! スティールスキル。 皆さん、どんなイメージを持ってますか? 使うのが敵であっても主人公であっても、あまりいい印象は持たれない……そんなスキル。 でもこの物語のスティールスキルはちょっと違います。 スティールスキルが一人の少年の人生を救い、やがて世界を変えてゆく。 楽しくも心温まるそんなスティールの物語をお楽しみください。 それでは「スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました」、開幕です。 2025/12/7 一話あたりの文字数が多くなってしまったため、第31話から1回2~3千文字となるよう分割掲載となっています。

インターネットで異世界無双!?

kryuaga
ファンタジー
世界アムパトリに転生した青年、南宮虹夜(ミナミヤコウヤ)は女神様にいくつものチート能力を授かった。  その中で彼の目を一番引いたのは〈電脳網接続〉というギフトだ。これを駆使し彼は、ネット通販で日本の製品を仕入れそれを売って大儲けしたり、日本の企業に建物の設計依頼を出して異世界で技術無双をしたりと、やりたい放題の異世界ライフを送るのだった。  これは剣と魔法の異世界アムパトリが、コウヤがもたらした日本文化によって徐々に浸食を受けていく変革の物語です。

独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活

髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。 しかし神は彼を見捨てていなかった。 そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。 これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。

処理中です...