侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】

のびすけ。

文字の大きさ
6 / 214
第一章 覚醒編

護衛任務と、運命の三人

しおりを挟む
「今日の空、いい感じじゃない? “冒険日和”ってやつだね!」



旅路の途中、青く広がる空を見上げて僕はつぶやいた。



街から東の交易村へ向かう護衛任務。

荷馬車4台に商人と護衛5名、そして僕。

師匠のセリナとメルティも同行してくれているという、安心感MAXの初陣だった。



「気を抜くな。初任務は“慣れた道こそ危険”ってよく言うだろう」



セリナは相変わらずストイックだ。



「でも、イッセイ君の顔が前より頼もしくなってるよね~♪」



メルティのひらひらローブが風に揺れる。



「前より、ですか?」



「うん。“守りたい”って顔してる。前は“覚えなきゃ”って顔だったからね」



「……そう見えてたんだ。たぶん、その通りかも」



(剣も魔法も、“誰かのために振るう”ために身につけた。だったら、いまがその時だ)



  * * *



午後になり、森の中の小道に差しかかったとき。



「前方から――悲鳴!? 子供の声だ!」



商人の一人が叫ぶ。



「全員停止! 戦闘準備!」



セリナがすぐさま指示を飛ばし、護衛たちが展開。



茂みの奥、明らかに魔物の唸り声が聞こえる。

僕は即座に走り出していた。



「イッセイ、単独行動は――!」



「行ってきます! 必ず戻るから!」



剣を抜きながら、声を張った。



  * * *



見つけたのは、開けた草地。



そこには、三人の少女がいた。

服はぼろぼろ、肌は傷だらけ。

銀髪の猫耳、青髪のウサ耳、そして黒髪の褐色肌――ダークエルフ。



彼女たちを囲むように、狼型の魔物――ブラッドハウルが5体。



(まずい……このままじゃ……!)



「――離れろ!!」



僕の声に反応し、魔物たちがこちらを睨む。

剣を構え、一気に距離を詰める。



「《フレイムショット》!」



先制魔法で一体の動きを止め、すぐさま斬りかかる!



「はっ!」



ザンッ!



炎の煙を抜けて、魔物の喉元を断つ。



「2体目――!」



「っ……主さま……?」



少女たちの声が聞こえた気がする。

でも、集中は切らさない。



「《風刃》!」



残りの魔物を距離から削り、動きが鈍った瞬間に、駆け込んで一閃!



――全滅。



静寂が戻った森で、僕は荒い息を吐いた。



「……ふぅ、間に合った、かな」



  * * *



三人の少女は、まだ恐怖に震えていた。

でも、僕が手を差し出すと――ウサ耳の子が、そっと指先で触れてきた。



「もう大丈夫。僕は君たちを助けに来た」



「……本当に、助けに……?」



「うん。誰かに命令されたわけじゃない。僕が、君たちを“守りたくて”来たんだ」



猫耳の子が涙を流した。

ダークエルフの少女は、歯を噛みしめながら言った。



「……信じないぞ、そんなこと……」



「信じてもらえるように、これから行動で示すよ」



  * * *



その夜、焚き火の前でセリナが言った。



「見事だったな。あの戦い方と判断力、君はもう一人前だよ」



「でも、一番大きいのは……あの子たちに出会えたことだと思うんです」



「そうね。運命ってやつかな」



「うん……でもその運命を選んだのは、イッセイ君だよ」



メルティが微笑む。



焚き火の影で、三人の少女たちは寄り添って眠っていた。

その小さな背中が、僕の胸の奥をじんわりと温める。



(この世界で、生きる理由がまた一つ、増えた気がする)
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」 病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?! 女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。 そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!? そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?! しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。 異世界転生の王道を行く最強無双劇!!! ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!! 小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。 何も成し遂げることなく35年…… ついに前世の年齢を超えた。 ※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました

東束末木
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞、いただきました!! スティールスキル。 皆さん、どんなイメージを持ってますか? 使うのが敵であっても主人公であっても、あまりいい印象は持たれない……そんなスキル。 でもこの物語のスティールスキルはちょっと違います。 スティールスキルが一人の少年の人生を救い、やがて世界を変えてゆく。 楽しくも心温まるそんなスティールの物語をお楽しみください。 それでは「スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました」、開幕です。 2025/12/7 一話あたりの文字数が多くなってしまったため、第31話から1回2~3千文字となるよう分割掲載となっています。

インターネットで異世界無双!?

kryuaga
ファンタジー
世界アムパトリに転生した青年、南宮虹夜(ミナミヤコウヤ)は女神様にいくつものチート能力を授かった。  その中で彼の目を一番引いたのは〈電脳網接続〉というギフトだ。これを駆使し彼は、ネット通販で日本の製品を仕入れそれを売って大儲けしたり、日本の企業に建物の設計依頼を出して異世界で技術無双をしたりと、やりたい放題の異世界ライフを送るのだった。  これは剣と魔法の異世界アムパトリが、コウヤがもたらした日本文化によって徐々に浸食を受けていく変革の物語です。

独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活

髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。 しかし神は彼を見捨てていなかった。 そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。 これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。

処理中です...