侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】

のびすけ。

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第二章 学園編

幕間:王女と小悪魔、学園日和。

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「ねぇイッセイ、今日も一緒にランチ、いいですわよね?」



クラリスが背後から優雅に微笑みかけてきた瞬間、教室内の空気がほんのりピリついた。蒼眼に強い意志を湛えたその瞳は、誰よりも堂々とイッセイの横に立つ資格を誇示している。



「ええ、もちろん。僕でよければ――」



「うふふ、わたくしのために用意してくださってたんですのね? さすがですわっ♪」



「……え? いや、まだ何も言ってな――」



「ほら、席はこっちですわよ? さ、さ、さあ!」



王族特有の強引さで、イッセイはクラリスに手を引かれ、昼休みのベンチ席に連行されていった。



そこへ、くすくすと笑いながら現れたのが、もう一人の問題児――ルーナだった。



「おやおや~、クラリス様がまた暴走なさってるわねぇ。かわいい~♪」



「うるさいですわ、ルーナ。これは正当な特権ですのよ。彼が助けてくれた恩人というのは、貴女も忘れては――」



「知ってる知ってる。でもね、クラリス様?」



ルーナはひょいとイッセイの隣に腰を下ろし、すっと指を伸ばして、彼の頬に軽く触れた。



「今は私の番よ。……ね、イッセイくん?」



「えっ……あの、どっちも近いです……」



「ふふっ、そう言って照れるところがまた、かわいいのよねぇ」



クラリスがぷいっと顔を背けた。「……下品ですわ。わたくしは、もっと気高く愛を育みたいのですの」



「へぇ~? じゃあ、さっきの強引な手つなぎは“気高い愛”なんだぁ~?」



「ルーナっ!」



イッセイは苦笑しながら、二人の間にそっと紅茶を差し出した。



「まあまあ、二人とも。せっかくの昼休みだし、少し落ち着いてお茶でもどう?」



「……イッセイくん、優しい。好き」



「わ、わたくしも、好意を……いえ、敬意をもっていますわ!」



和やかな空気の中、三人は静かに紅茶を啜る――はずだったが。



「……あら? このお茶、イッセイくんが淹れたの? すごく美味しい」



「ほんとですわ……芳醇な香りと繊細な渋みが……!」



「よかった。ちょっとした工夫で美味しくなるんだ。蒸らし時間と茶葉の量を調整して――」



「ふふっ、今の話、メモしておこうかしら。“イッセイくんにとって美味しいって言われるのが一番うれしい”って♡」



「……そ、それは、照れるな」



「イッセイ……今日のあなた、少しだけ、かっこいいですわね……!」



午後の授業が始まる鐘が鳴るまで、三人の穏やかなランチタイムは続いた。



次第に深まっていく絆と、密やかに燃え上がる想い。



やがて始まる武闘会の戦火の中で、それぞれの想いは――さらに鮮やかに交差していく。
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