侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】

のびすけ。

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第二章 学園編

剣と魔法と、きらめく予感

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「はーい、そこっ! 剣の角度が甘い! 背筋を伸ばして、気迫で押し込む!」



セリナ・バレンティアの叱咤が、剣術訓練場に響き渡る。



「ふふっ……やっぱり、こういうの、燃えるわね……!」



セリアが満面の笑みで剣を振るい、フィーナとミュリルはそれぞれ体術と回避訓練に汗を流している。

イッセイもまた、汗を拭いつつ木剣を持ち直し、次の指導に備えていた。



そんな中、隣の魔法訓練場からメルティ・クラウゼルの魔法指導の声が聞こえてくる。

クラリスとルーナは魔法組として参加し、仲良く詠唱練習をしていた……その時だった。



「へぇ……なるほどな。これが“侯爵家の三男様”と、その“取り巻きの可愛いお嬢さん方”か」



訓練場の柵にもたれかかりながら、いやらしい笑みを浮かべた男が現れる。



「ヴィンセント・ベルトレイ侯爵家の次男よ……」と、クラリスが小声でつぶやく。

学内では有名な問題児。家柄と容姿に胡坐をかいた、性格最悪の貴族だった。



「クラリス様、今日の装いもお美しい……ルーナ嬢もまた、艶やかですな」



視線は明らかに、いやらしく体を上下に這っていた。



「その目、やめてもらえるかしら? 不愉快よ」



ルーナがピシャリと返すと、ヴィンセントはわざとらしく笑い、突然ルーナの腕に手を伸ばした。



「そんな冷たい口調は似合わないよ? ほら、もう少し距離を縮めても――」



「やめてもらえますか」



――その瞬間、イッセイがヴィンセントの手を指先で軽く払いのけた。



「僕の大切な仲間に、無礼な真似は感心しませんよ。……名門の御子息なら、尚更ね」



ヴィンセントの顔が、みるみる紅潮する。



「……てめぇ、俺を誰だと思ってる! やれ!」



取り巻きの生徒たちが、三人一気にイッセイへと掴みかかってくる。

だが――



「ふっ」



イッセイは一歩も動かず、木剣を横に払うだけで、全員のバランスを崩し、見事に地面へ転がした。



「……無駄な動きと、悪意ある動作は、すぐ崩れるんですよ。ちゃんと学ばないと」



ヴィンセントは悔しげに舌打ちしながら、捨て台詞を吐いた。



「このままで済むと思うなよ……“平民くずれ”が!」



そして、足音荒く立ち去っていく。



「ふぅ……面倒な人だったね」



イッセイが笑ってルーナの方を向くと、彼女は珍しく真面目な顔で、じっと見上げていた。



「……助けてくれて、ありがとう。イッセイくん」



「当然さ。僕にとって、大切な人たちだからね」



ルーナは耳まで真っ赤に染め、そっとイッセイの袖をつまんだ。



「……イッセイくんって、ほんと、罪な男だよね。もう、放してあげないかも♡」



クラリスも少しだけ頬を染め、咳払いしながら言う。



「……さすがですわ。わたくしの目に狂いはありませんの。イッセイ、今日のあなた、十点満点ですわ」



「……あ、ありがとう……?」



訓練の時間はまだ続いていたが、二人の少女の心は、すでに別の熱で高鳴っていた。



剣と魔法の修行、芽生える恋心、迫る武闘会――

学園生活は、ますますにぎやかになっていくのだった。
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