侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】

のびすけ。

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第三章 武闘会編

熱戦、そして忍び寄る影

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準決勝のカードが発表され、会場の熱気はさらに高まっていた。



「第一試合――イッセイ・アークフェルド対リンファ・シュエン!」

「第二試合――グレン・エストラッド対ノワール・オルタンシア!」



舞台裏。イッセイは控え席で深呼吸を繰り返す。

ふいにクラリスとルーナが駆け寄ってきた。



「……イッセイくん、ここまで来たの、本当にすごいですわ」

クラリスは心配そうにイッセイの手を握る。

「決勝、絶対に勝ち取って! でも無理はしないでほしい……」

ルーナも不安と期待が入り混じった瞳で見つめる。



「ありがとう、二人とも。僕、絶対にみんなの応援に応えるよ」



そっと二人の手を握り返す。

クラリスは頬を染め、ルーナは少しだけイタズラっぽく微笑んだ。



「じゃあ、ご褒美期待してるから♪」

「わ、わたくしも……優勝したら、一緒に出かけてくれませんか?」



イッセイは困ったように微笑みながらも、ふたりの期待にしっかり頷いた。







【準決勝第一試合:イッセイ vs リンファ】



リンファは東方流の体術と素早い魔法を組み合わせ、序盤から一気に攻め込んでくる。

華麗な動きと鮮やかな魔力操作――観客席から感嘆の声が上がる。



「まだまだ――ここからです!」



イッセイも全神経を集中し、リンファの動きに食らいつく。

フェイントを交えた斬撃、間合いを詰めるステップ。

リンファは冷静にかわしながらも、確実に体力を消耗していく。



「あなた、本当に強くなったわね……」



「リンファさんこそ!」



終盤、リンファが大技の詠唱を始めた瞬間――

イッセイはすかさず間合いを詰め、相手の腕を優しく制しながら剣先を胸元にピタリと当てる。



「勝負あり!」



拍手と歓声がどっと沸き起こる。

リンファはしばらく俯いていたが、やがて笑顔を見せた。



「負けちゃった……でも、こんなに楽しい試合は初めてだった。ありがとう」



イッセイは感謝を込めて手を差し出す。

「こちらこそ、ありがとう。リンファさんの全力に、僕も全力で応えられた気がする」



二人は固い握手を交わし、観客席からは温かい拍手が止まなかった。







【準決勝第二試合:グレン vs ノワール】



グレンとノワールの試合が始まる。

グレンは堂々とした剣士の構え、ノワールは無表情で静かに剣を抜く。



激しい攻防の末、グレンが剣でノワールを押し返す場面もあったが――

ノワールはどこか危うげな魔力を解放し始める。



「……っ! 何だ、この気配は……」



突如、観客席の一角で煙が上がり、どよめきが広がる。

闇ギルドのフード姿の男たちが、不正な魔道具を起動させて混乱を起こし始めたのだ。



グレンとノワールの戦いが一瞬止まり、会場が騒然となる。

だがノワールは何かに憑かれたように再びグレンへ猛然と攻撃を仕掛け、

グレンはかろうじて剣で防御しながらも、一瞬の隙を突かれて倒れてしまう。



「勝者、ノワール・オルタンシア!」



だが、勝利の宣言にも誰も拍手しなかった。

会場の雰囲気は冷たく重く、観客たちも不安げにざわついている。







イッセイは急いで騒動の現場へ向かう。

クラリスとルーナも駆け寄ってきた。



「イッセイくん、お願い……みんなを助けて」

「わたくしも戦います。イッセイくんと一緒なら、何があっても大丈夫ですわ!」



「ありがとう。絶対に守る。――みんなも僕も、最後まで絶対に負けない!」



イッセイの目に迷いはなかった。

その背中を、ヒロインたちは力強く見守っていた。







物語はいよいよ決勝戦、そして事件の核心へ――。
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