侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】

のびすけ。

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第四章 伝統祭編

絆と決意のステージ

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祭り三日目、学園中央講堂の前には、開演前から長蛇の列ができていた。

演劇部による伝統劇――『星の乙女と銀の騎士』。

主役の星の乙女を務めるのは、クラリス・レインズ・フェルデン第三王女。



幕が上がると、彼女はその気品と演技力、そして秘めた想いを堂々と舞台で放った。





「星の乙女よ、どうか世界に光を――」



クラリスの声は澄んでいて、観客の心を惹きつける。

舞台裏から観ていたイッセイも思わず見惚れていた。



(……あんなに真剣なクラリス、初めて見るかもしれない)



最後の場面。

銀の騎士役の生徒が剣を掲げ、クラリスに手を差し伸べる。

その瞬間――



「イッセイくん、代役お願い!」

舞台袖で急きょ倒れた銀の騎士役の代わりに、イッセイが呼ばれる。



「え、今から!? 衣装も――」



「もう着せてますっ!」

ルーナがにやりと笑い、魔法で一瞬にして着せ替える。





こうして舞台のクライマックス。

クラリスの手を取り、イッセイは剣を掲げる。



「たとえ世界が闇に染まろうとも、僕は君の光となる!」



観客からは拍手喝采。

クラリスはイッセイの目を見つめて、小さく微笑んだ。



「……あなたに、救われましたわ」



イッセイも優しく答える。



「僕も、君がいてくれるから進めるんだ」



そのやり取りはまるで、本物の恋人たちのようだった。





演劇後、舞台裏でクラリスは照れくさそうに言った。



「イッセイくん、本当に……素敵でしたわ」

「急だったけど、君が主役だったよ」



「ふふっ……ずっと前から、主役になってほしいと思ってましたの」





午後は校庭での名物企画――「騎士競技大会」。

体術・魔法・馬術を組み合わせたチーム対抗の騎士競技。

イッセイはリリィ、ルーナとチームを組んで出場。



「いざ、商会の名に懸けて!」

「ふふっ、イッセイくんの隣は、やっぱり私が似合うでしょ?」



槍での模擬戦、協力魔法競技、そして最終障害物レース。

イッセイが最後のジャンプでリリィとルーナを片腕ずつ抱えてゴールに飛び込んだ時、会場からは大歓声が湧いた。



「わ、わたくしも出たかったですわ……!」

クラリスがやきもち混じりに拗ねる姿も、可愛らしくて微笑ましい。





その夜、屋上で三人のヒロインが語らう。



「イッセイくん、本当にカッコよかったなぁ」

「……今夜は夢に出てきそうですわ」

「私は現実で攻めるから、覚悟しておいてね?」



夜空の下、火照った頬と甘いため息が交錯する。

イッセイをめぐる想いが、静かに――しかし確かに、重なっていった。





そして、伝統祭も残すところあと二日。



次なる舞台は――

夜の祭典と卒業選抜発表。

そして、それぞれの“未来”へと向かう運命の分岐が、そっと近づいていた。
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