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第四章 伝統祭編
夜祭と進路の分かれ道
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三日目の夜。
学園の中庭には、色とりどりのランタンが浮かび、灯りは星空と共鳴するようにまたたいていた。
「ふふっ、こういうのって……なんか、夢みたいだよね」
ルーナはイッセイの袖をそっと引いて、満開の夜桜(魔力で咲かせた)を見上げる。
「昔ね、こういう夜に一緒に歩ける人がいたらいいなって、ずっと思ってたの」
彼女はそう言って笑うが、どこか寂しげだ。
「これからも、一緒に歩いてくれる……?」
イッセイが頷くと、ルーナは思わず胸に飛び込んできた。
「うわ、ちょっ……!」
「言ったな? 今の言葉、ぜーったいに取り消させないからね!」
•
「イッセイくん、こっちですわ」
今度はクラリスが、屋台通りの裏道にイッセイを連れ出す。
そこには人の少ない静かな水辺が広がっていた。
「卒業したら、わたくしは王城に戻ります。でも……もしあなたが望むなら」
彼女は照れながらも真剣に続ける。
「わたくしの未来を、あなたと一緒に歩んでも構いませんの」
イッセイが口を開きかけたその時、クラリスがそっと人差し指で唇を制した。
「……今は言葉はいりません。答えは、時間がくれるでしょうから」
•
そして、リリィのブースに顔を出すと、もう店じまいをしていた。
「えへへ、来てくれた。……ほんとは待ってた」
リリィは、カップ二つ分の魔法ホットドリンクを手にイッセイの隣に腰かける。
「ねえ、イッセイ。私、商会をもっと大きくしたい。世界中の人とつながれるように。
……だけど、それが叶うのは、あんたがいてくれるって信じられるからだよ」
「だからさ。あんたも、私の夢に付き合ってよ。――一緒に、見ようよ、未来」
イッセイはカップを合わせるようにして、静かに頷いた。
•
夜も更けていく頃、学園中央に設置された大広場のステージにて、
伝統祭の最終告知と、卒業選抜の上位候補が発表される。
その中には、
「特別進級者:イッセイ・アークフェルド」の名もあった。
•
騒がしい祝福と驚きの声。
だがイッセイの目には、ヒロインたちの表情がまっすぐに映っていた。
(卒業……進路……それぞれが、別の道を歩むかもしれない)
でも今だけは。
この一瞬だけは、ただ、そばにいたい――そう願っていた。
•
次回――
伝統祭最終章。
卒業選抜の試練と、三人の想いがついに交差する運命の夜へ。
学園の中庭には、色とりどりのランタンが浮かび、灯りは星空と共鳴するようにまたたいていた。
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「これからも、一緒に歩いてくれる……?」
イッセイが頷くと、ルーナは思わず胸に飛び込んできた。
「うわ、ちょっ……!」
「言ったな? 今の言葉、ぜーったいに取り消させないからね!」
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「イッセイくん、こっちですわ」
今度はクラリスが、屋台通りの裏道にイッセイを連れ出す。
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イッセイが口を開きかけたその時、クラリスがそっと人差し指で唇を制した。
「……今は言葉はいりません。答えは、時間がくれるでしょうから」
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そして、リリィのブースに顔を出すと、もう店じまいをしていた。
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リリィは、カップ二つ分の魔法ホットドリンクを手にイッセイの隣に腰かける。
「ねえ、イッセイ。私、商会をもっと大きくしたい。世界中の人とつながれるように。
……だけど、それが叶うのは、あんたがいてくれるって信じられるからだよ」
「だからさ。あんたも、私の夢に付き合ってよ。――一緒に、見ようよ、未来」
イッセイはカップを合わせるようにして、静かに頷いた。
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夜も更けていく頃、学園中央に設置された大広場のステージにて、
伝統祭の最終告知と、卒業選抜の上位候補が発表される。
その中には、
「特別進級者:イッセイ・アークフェルド」の名もあった。
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騒がしい祝福と驚きの声。
だがイッセイの目には、ヒロインたちの表情がまっすぐに映っていた。
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でも今だけは。
この一瞬だけは、ただ、そばにいたい――そう願っていた。
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次回――
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