侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】

のびすけ。

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第四章 伝統祭編

卒業選抜と、君に贈る未来

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祭りの最終日。

校庭中央に設けられた円形アリーナには、卒業選抜試験の舞台が用意されていた。

選ばれし生徒たちが、それぞれの技術・人格・未来性を試される場――それがこの試験だった。



観覧席ではクラリス、ルーナ、リリィが並んで見守っている。



「イッセイくんなら、大丈夫ですわ」

「うん……でも、ちゃんと見てる。私、今日は誰よりも真剣に見るから」

「勝って当然じゃなくて、“どんな勝ち方をするか”が大事だよね」



彼女たちの視線の先で、イッセイが静かに立ち上がる。





「次の挑戦者――イッセイ・アークフェルド!」



観衆の中にどよめきが広がる。

すでに数々の功績を残した少年は、今や“未来の英雄候補”とささやかれていた。



対戦相手は、学内でも実力者として名を馳せる上級生。

魔剣と体術を併せ持つ老練な剣士だ。





――第一合。



開始と同時に、鋭い斬撃が飛び交う。

イッセイは力押しではなく、冷静に相手のリズムを崩し、確実に間合いを詰めていく。



「若いのに、やりおる……!」



敵の技を一発受けた瞬間、イッセイの肩がはじけるように痛む。

だが、そこで一歩引かず――



「僕は、譲れないんです。ここで、立ち止まるわけにはいかない」





――第二合。



今度は魔力と剣を融合させた連撃。

空気が軋み、砂塵が舞い、観客席は息を呑んで見守る。



「いっけー! イッセイくんっ!!」

ルーナの叫びに、リリィもクラリスも拳を握る。



剣を交差させたまま、互いに渾身の力をぶつけ合い――



最後、相手の剣が地面に落ちた。





「……見事だ。未来は、君のものだ」



老剣士が穏やかに微笑みながら敗北を認めたその瞬間、

観客席は拍手と歓声に包まれた。





表彰台。

学園長から「名誉卒業選抜生」として表彰を受けるイッセイ。

その視線の先には、三人の少女がいた。



クラリスは、静かに涙を浮かべて笑う。

ルーナは、眩しそうに唇を噛みしめる。

リリィは、誇らしげに胸を張ってうなずく。





式が終わったあと。

中庭の一角で、三人が順に、イッセイに声をかけてくる。



「……あなたと過ごした日々は、わたくしの宝物ですわ。

だから、これから先も……共に歩む選択を、わたくしは望みます」



クラリスは優雅に一礼し、頬を赤らめて手を差し伸べる。



「イッセイくん、私はもう、からかうんじゃなくて――

ちゃんと、好きって言いたいの。……これからも、そばにいてくれる?」



ルーナは甘えるように笑い、イッセイの手を握る。



「言わなくてもわかってる。……でも言わせて。

私はあんたに、全力で惚れてんの。あんたが進むなら、私も一緒に進む」



リリィは照れ隠しの笑みを浮かべながら、肩を寄せてきた。





イッセイは、その手を一つ一つ、しっかりと握り返す。



「ありがとう。君たちがいたから、僕はここまで来られた。

これからも……きっと、僕は君たちと歩いていくよ」





そして、学園生活は幕を下ろし――

次なる冒険と未来が、イッセイたちを待っていた。



三人の少女と一人の少年の物語は、卒業と共に――

新たなる章へと続いていく。
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