侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】

のびすけ。

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第四章 伝統祭編

卒業旅行:運命の旅とお嫁さん会議

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◆旅の始まり、胸に刻む想い



卒業――それは終わりではなく、新たな物語の始まり。



魔法騎士学園の卒業式が終わり、祝賀の言葉と拍手に包まれた数日後。

イッセイ・アークフェルドは、仲間たちとの卒業旅行に旅立つ準備をしていた。



「ふぅ……荷物はこれで全部。あとは、みんなを待つだけだな」



王都の東門近く、冒険者ギルド前の集合場所に立ち尽くすイッセイ。



「おーい! お待たせー!」

リリィの元気な声が響き、魔道具のトランクを片手に駆けてくる。



「旅の準備は完璧! 特製弁当も、お風呂グッズも、温泉ガイドも、ぜ~んぶ揃ってるから!」



「ふふっ、リリィらしいね」

その後ろからクラリスが優雅に歩み寄り、スカートの裾を翻す。

「わたくしも、お菓子をいくつか手作りしてまいりましたのよ。イッセイくん、お口に合えば良いのですが」



「……まったく、みんな張り切りすぎじゃない?」

ツンとした口調のセリアも現れ、その後ろにはミュリルが猫耳をふにゃりと揺らして歩いてくる。

「にゃぁ~ん……朝早いの苦手にゃん……」



「ウサ……それでも、この空気は心地いいウサ……! 旅って、こういう感じだったウサね!」

フィーナがスキップしながら陽の光を浴びている。



「さて、全員そろったな」

イッセイはみんなの顔を見回して頷いた。

「じゃあ、行こうか。最高の思い出を作る旅へ!」



こうして、馬車に揺られながら、彼らの旅は始まった。



◆草原の風と、温泉宿の夜



旅の道中、広がる草原に一同は歓声を上げる。

花が咲き乱れ、小川がせせらぎ、遠くには鳥たちの鳴き声。



「見て、あれ! 羊が群れてるウサ!」

フィーナが指さす先には、白いもこもこの群れ。



「おぉ……ふわふわしてて、気持ちよさそうにゃ」

ミュリルは早速スケッチブックを取り出し、走り描きを始めた。



「この風景、楽譜にしたくなりますわ」

クラリスはハープの小型魔道具を膝に乗せて、即興で旋律を奏でる。



「いい旅になりそうだね」

イッセイは、そんな皆の姿を微笑みながら見守る。



宿に到着すると、広々とした和風の温泉宿。

部屋は二部屋に分かれていたが、結局女子チームはひとつの部屋に集合し、大騒ぎに。



「ねぇ! イッセイくん、覗いたら承知しないわよ!」

セリアが怒鳴ると、ドアの向こうでイッセイの笑い声が返ってくる。

「大丈夫だよ、信じてるから」



温泉は見晴らしの良い露天。

星空が鏡のように湯面に映り込み、空と湯が溶け合っていた。



「うぅ~……生き返るにゃ~……」

「ウサ~……旅って、最高ウサ……」



その後、宿の食事処での夕食。

地元の山菜、川魚、丁寧に調理された料理の数々が並ぶ。



「ねぇ、イッセイくん。……どの料理が一番好き?」

クラリスが甘えるように問いかける。



「この鹿のローストかな。……味もいいし、君の笑顔を見てると、より美味しく感じるよ」



「っ……! ま、まったく……! イッセイくんったら……!」

クラリスは顔を真っ赤にしながら笑う。



「イッセイくん、ずるい。私にもそう言って」

ルーナが挑発気味に微笑み、彼の隣に座る。

「イッセイくんの目、やっぱり好き。……私をちゃんと見てくれるから」



◆星の下、お嫁さん会議



夜遅く。

イッセイが寝静まったのを見計らって、女子たちは焚き火を囲んだ。



「さて……ここからが本題よ」

リリィがグラスを傾けながら言う。

「イッセイって、全員に優しいでしょ? だから、あたしらがちゃんと決めないと」



「決めるって……どういうことにゃ?」

「ウサ……もしかして、お嫁さんのこと?」



皆が一斉に顔を赤らめる。



「……そうよ。私は、本気であいつと家庭を持ちたいと思ってる」

セリアがぽつりと呟く。

「べ、別に寂しいとかじゃないからね……!」



「わたくしも同じ気持ちですの。イッセイくんとなら、どんな未来でも恐くありません」

クラリスが胸に手を当てて続ける。



「私もよ。彼の隣じゃないと、私の本当の笑顔は出ないから」

ルーナが真剣に言い、皆の目が自然と集まった。



しばしの沈黙。

やがてリリィがニヤリと笑って言った。

「じゃあ、全員、嫁になっちゃえばいいじゃん」



「「「「「……え?」」」」」



「イッセイくんなら、それでも受け止めてくれる。きっと」



その場にいた全員が静かに頷いた。



◆お嫁さん宣言



朝。

高原の光がさわやかに降り注ぐ中。



イッセイは六人の少女に呼び出され、驚きの表情を浮かべていた。



「い、いったい何が……?」



「イッセイくん、聞いていただけますか」

クラリスが一歩前に出る。



「わたくしは、あなたの隣で生きたいのです。どうか、お嫁さんにしてくださいまし」



「わ、私も……あんたがいなきゃ、ダメなのよ。……結婚して」



「私はね、もうとっくに覚悟してたの。だから……迎えに来て」



「にゃん……イッセイさまと、一緒に家庭を築きたいにゃ……」



「ウサ、毎朝一緒に目覚めたいウサ……!」



「イッセイくんの未来を、私に預けてくれませんか?」



全員の真剣な想いを受けて、イッセイは頬を赤らめながら頷いた。



「ありがとう、みんな。……僕は、君たちを一人にしない」



◆新たな旅へ



その日の午後、王都の冒険者ギルドで六人の少女と共に新たな登録を済ませる。



「チーム名、何にするウサ?」

「“イッセイ旅団”が無難じゃない?」



「えぇ~、つまらないにゃ~」

「私は“未来の花嫁連合”がいいと思うわ」



「却下!」



笑い声が王都の空に響いた。



馬車に乗り込み、出発の号令がかかる。

イッセイは六人の少女に囲まれながら、心からの笑顔を浮かべた。



「さぁ、次はどんな冒険が待ってるかな」



――これは、青春と恋、そして希望に満ちた新章の始まり。

彼らの旅は、世界の果てまで続いていく。
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