『転生悪役令嬢、スライムで世界を変える』 ~追放先で見つけたヌルヌルが産業革命を巻き起こしました~

のびすけ。

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第三部 ぷるぷる銀河航海記

ぷにアトランティス浮上! 宇宙(そら)から来た挑戦状

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女王ティアナの統治のもと、「ぷるぷる共存国」は、かつてないほどの平和と繁栄を謳歌していた。
私も女王としての仕事にようやく慣れ、スライムたちと過ごす穏やかな日常を噛み締めていた。
──そう、空の彼方から、新たな嵐の予兆が届くまでは。

異変の始まりは、第3牧場でガーディアンとして静かに暮らしているはずの、始祖スライム「ぷにアルファ」様の奇妙な行動だった。

「ティアナ様、たいへんです! ぷにアルファ様が、先日発見された『ぷるぷる神殿』の奥で、ずっと壁をぷにぷに叩いているんです!」

研究顧問のミスト博士から緊急の連絡を受け、私とスリィ、そしていつもの仲間たちは、急ぎ遺跡へと向かった。
遺跡の最奥。ぷにアルファ様は、巨大な身体で、今まで誰も気づかなかった一枚の壁画を、優しく、しかし執拗に叩き続けていた。

「この壁……隠し通路になっているのか?」

ライオネルが壁に触れた瞬間、壁画が光を放ち、ゴゴゴ……と音を立ててスライドし始めた。その向こうに現れたのは、さらに地下深くへと続く、未知の階段だった。

『……ここから先は、私も知らない領域です。ですが、スリィと、そしてぷにアルファ様の魂が、強く共鳴しています』
「行くしかないわね。この先に、スライムの根源に関わる何かが眠っている」

覚悟を決めた私たちは、古代の空気が満ちる階段を、一歩一歩、下りていった。



階段の先に広がっていたのは、言葉を失うほどに幻想的な、巨大な地下空洞だった。
天井には、水晶化したスライムが星々のように輝き、空間全体を青白く照らしている。まるで、地底に広がる、もう一つの星空。そこは、伝説の古代都市「ぷにアトランティス」だった。

「すごい……なんて美しい……」

シャルロッテが感嘆の声を漏らす。
都市の中心には、ひときわ巨大なジェル状のカプセルが安置され、その中で、何かが静かに眠りについていた。

私たちが近づくと、カプセルがゆっくりと開き、中から、威厳に満ちた声が響き渡った。

『……1000年ぶりの、来訪者か……』

姿を現したのは、牛ほどもある巨大な長老型スライムだった。その身体は、長い年月を思わせる深い蒼色をしていた。

『我は、このぷにアトランティスの守護者。名をグランド=ぷにス。……まあ、長いから“グラぷに”でよい』
「自分で略称を!? なんて気さくな長老様なの!?」

グラぷには語り始めた。
かつてこの星には、ぷにを信奉し、柔らかさと思いやりの心で統治する、高度なスライム文明があったこと。
しかし、その平和は、「硬き者」──“ドライ文明”の始祖たちによって、無残にも打ち砕かれたこと。

『ドライの民は、感情や柔軟さを“弱さ”と断じ、論理と秩序のみを絶対とした。彼らは我らを“軟弱なぷに共”と罵り、この星から全ての“柔らかさ”を消し去ろうとしたのだ』
『……それが、現代にまで続く、反ぷに勢力の原型ですね』

スリィの言葉に、グラぷには重々しく頷いた。

『我らは滅び、ドライの民もまた、この星を去った。だが、奴らの思想は、死んではおらぬ』

グラぷにの身体が淡く光り、私たちの眼前に、一つのビジョンを映し出した。
それは、漆黒の宇宙空間を進む、冷たい鋼鉄でできた、巨大な艦隊だった。

『再び、ぷにを否定する者たちが動き始めている。その気配は、王都の地下を超えて──遥か、星々の彼方から、届いているのだ』
「……え、ちょっと待って。“星々”って言った? あの、宇宙の、キラキラしたアレのこと?」

『うむ。我が予知スライム細胞が、明確に捉えておる。銀河の彼方で、ドライの“残党”が、復活を始めていると』

私のぷるぷる革命が、あまりにも大きな“ぷに波動”を生み出してしまった結果、それが宇宙にまで届き、眠っていた古代の敵を呼び覚ましてしまったらしい。

ビジョンには、艦隊のブリッジに立つ、一人の女の姿が映し出された。氷のように冷たい瞳を持つ、銀髪の女指導者。

『彼女こそが“銀河ドライ機関”の現総帥、ゼルナ=ハーデン。地球のぷに文化が、銀河の秩序を乱していると断じ、近く、この星に“硬さ”の洗礼を与えに来るだろう』

「……つまり、次の敵は、宇宙人ってこと?」
『そういうことになりますね。ティアナ様、宇宙服のデザインを考えなくては』
「スリィ!? 呑気なこと言ってる場合じゃないでしょう!?(でも可愛いデザインがいいわ!)」

私は、目の前に突き付けられた、あまりにも壮大すぎる現実に、頭を抱えた。
悪役令嬢として追放され、スライムと出会い、商売を始め、国まで作った。それだけでも、十分すぎるほど波乱万丈だったのに。
今度は、宇宙規模の文明戦争に巻き込まれるなんて。

だが、私はすぐに顔を上げた。
隣には、スリィがいる。背後には、頼もしい仲間たちがいる。

「……面白くなってきたじゃないの」

私は、不敵に笑って見せた。

「宇宙の“固い”連中にも、教えてあげる時間ね。私たちの“ぷるぷる”が、どれほど強くて、優しくて、そして最高に手強いかってことを!」

こうして、ぷるぷる王国の、そして悪役令嬢ティアナの、次なる舞台は、広大な星の海へと移ることになった。
これは、ぷるぷるが銀河を救う、新たな冒険の序章である。
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