影の薄い悪役に転生してしまった僕と大食らい竜公爵様

佐藤 あまり

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 翌朝、なんだか体がだるくて起き上がれなくなってしまった。若干熱っぽい気がするし、頭もズキズキする。昨日、色んなことがあったから疲れが出たみたいだ。
 ひとりが不安で、喉も乾いて、ラトさんを呼ぼうと鈴に手を伸ばした。ギリギリで届かなくて、一生懸命手を伸ばす、掴んだ!と思った瞬間、手から鈴がこぼれ落ちて大きな音が鳴った。
 

 「ルイス様!」

 いつも丁寧なラトさんがいつになく慌ててドアを開けて、こちらに来る。

 「ルイス様、大丈夫ですか?顔色が悪いようです。」

 「風邪、かも」

 「っ医者を」

 「呼ばなくていい、大丈夫だから」

 「……分かりました。なにか欲しい物はありますか?」

 「喉……乾いた。」

 本格的に熱が出てきたみたいだ。体がそわそわして、頭がふわふわする。
 ラトさんが魔法でお水を出してくれた。水属性なんだ……魔石に魔力補充してくれた時も、水みたいだったなぁ。冷たくて、美味しい。

 「ご飯は食べれそうですか?」

 「わかんない……」

 「鈴、近くに置いておきますね。御用があればすぐに参ります。」

 「ん……」

 夢を見た、幼い頃、風邪をひいた時の夢。そばにいて欲しくて、お粥を作ってくれるという母さんに、駄々を捏ねていた。

 ふと目が覚めた僕の頬には涙が伝っていた。懐かしい夢だな……
 もう熱は下がったみたいで、だいぶ体調が良くなった。

 スープをもらって食べていたのだけど、何となくラトさんの様子がおかしい。戸惑っているような気がする。いつもより明るくて、気が紛れるようにと色んなものを持ってきてくれた。


 3日ほどで僕は完全復活を果たした、が、ベッドの住人と吐血の相性は最悪すぎた……チキチキ!ラトさんにバレずに後始末を成功させ大会が1人で開催されてしまった。
 僕の服の至る所にハンカチが仕込まれるようになったのは、また別の話。

 そんなことより米だ。待ち遠しすぎて、一日一日が長く感じる。
 その後の精米の方法はなんだっけ……小学生の時の記憶を辿った。その時僕は料理を母さんと初めてしばらくした頃で……伏せたおわんの中に稲を入れて引っ張って粒にわけて、そのあとすり鉢で殻をとって、んー確か瓶の中に入れて綿棒でトントンしてたら白っぽくなってた気がする。

 売っているお米みたいに真っ白にはならなかったから自分で精米したちょっぴりのお米を混ぜたら一目瞭然で、これ僕のやつ!とか言ってたなぁ

 すり鉢あるといいんだけどな、何はともあれ乾燥させないと、待つべしである。

 


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