好きになった女子が愛人にしかなる気がないと言っていたので、形だけの彼女を作って愛人として付き合ってもらった。

無自信

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第13話

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 午後の授業が終わり、放課後になると俺とキョウヘイはキョウヘイを迎えに来た車に乗ってキョウヘイの家に向かっていた。車中でキョウヘイはムスッとして何も言わずにいたが、しばらくすると、「お前、どうするつもりなんだ?」と聞いてきた。

「どうするつもりって?」

キョウヘイの言いたいことは分かっていたが、もしかしたら違うかもしれないので、ちゃんと口に出してもらおうと聞き返した。

「だから!ハナザワさんとかいう女子についてだよ!どうするつもりなんだ?」

「どうするも何も、ハナザワさんとは本の話をしただけだよ。」

「セイが今話すべきなのはハナザワさんじゃなくてカジワラだろ!『待ってるつもりはない。』って言われたんだろ!」

「『待ってるつもりはない。』どころか、『私とは付き合わない方がいいよ。』とまで言われた。」

「何でそこまで言われて落ち着いていられるんだよ?もしかしてカジワラと付き合うためにハナザワさんと付き合おうとしているのか?」

キョウヘイはヒートアップしていて、もし誰かに聞かれたらとんでもないことになりそうなことを大声で言い始めた。

俺はキョウヘイを落ち着かせるため、「そんなことはしないよ。それにまた話す約束はしたけど、今度図書室で会ったらっていう確実なものじゃないし、連絡先も交換してないよ。」と冷静に否定と言い訳をした。

「本当か?」

キョウヘイはまだ信じられないのか聞き返してきた。

「本当だよ。それに俺が落ち着いているように見えるのは、今更慌てたってしょうがないと思ってるからだよ。今度の中間試験でいい点とるのと球技大会で活躍することでカジワラを振り向かせるって決めただろ?それの結果が出るまでは慌てずにじっくりやるさ。」

「そうか?それならいいんだけどさ。いくら恋愛にルールがないとは言っても、セイが人として最低なことをするんじゃないかとひやひやしたよ。」

「カジワラと付き合うためにハナザワさんを利用したりしないって。」

「分かった。それが聞ければいいんだ。」

キョウヘイはやっと納得した様子を見せた。

そうこうしているうちにキョウヘイの家に着いた。
シュート練習と中間試験の勉強をして、7時半頃自宅に送ってもらった。


 家に帰るとナツキから「窓開けて。」とメッセージが来たので窓を開けると不機嫌そうなナツキが隣の家の窓からこっちを見ていた。

「何を聞こうとしてるか分かる?」とナツキが言ってきた。おそらくキョウヘイと同じことだろうとは思ったが、わざと気が付かないふりをして、「いや、全然。」と答えた。

「今日の昼休み!セイが下級生の女子と人気ヒトケのない教室に行くところを見たって友だちが言ってたんだけど!どういうこと?セイってカジワラさんのことが好きだったんじゃないの?カジワラさんと付き合うために努力してるんじゃなかったの?」

「はぁ~。それは話すと少し長くなるんだけど……。」

俺は月曜日からのことをナツキに話した。

「つまりお薦めを聞いて借りた本の話をしていただけってことね?」

「そうだよ。」

「変なこととかしてないよね?」

「変なことって何?」

「変なことって言えば変なことよ!分かるでしょ!」

「あーはいはい。そんなことしてませんよ。」

「それならいいのよ。じゃあ、おやすみ~。」

そう言うとナツキは窓を閉めてしまった。

「何なんだ?あいつ?」
俺はナツキが俺がカジワラのことを諦めてハナザワさんを口説こうとしたと勘違いして怒っていたのか、俺がハナザワさんと人気ヒトケのない教室で変なことしたんじゃないかと勘違いして怒っていたのか分からなかった。

いくら考えても分からなかったので、たぶん、両方なのだろう。と結論付けて俺も寝ることにした。

 
 土曜日、授業の間の休み時間にカジワラと話したが、昨日俺がハナザワさんと話していたことや俺に「私とは付き合わない方がいいよ。」と言ったことをまったく気にしていない様子で接してきた。こうなると昨日の夜、眠りにつくまでに考えていたことが頭をよぎる。

俺を振った時にカジワラが言った、「私愛人志望なの。」という理由は、俺と付き合いたくないからでっち上げた嘘なんじゃないのか?それなら大体のことに説明が付く。もともと俺のことをなんとも思っていないから、今まで通り接することが出来るし、俺が他の女子と仲良くしていても気にならないのではないか?だけど、できればそうは思いたくない。

それに月曜日に「いつまでも待つつもりはない。」と言っていたが、裏を返せば今のところは待っててくれているということになるのではないか?しかし、猶予はあまりないことは確かだ。だからと言って、カジワラと付き合うためにもう一人誰かと付き合うなんてことはできそうにない。やっぱりキョウヘイに言った通り、まずは中間試験の結果と球技大会の活躍で振り向かせられるように頑張るしかないか。

そう結論付けた俺は午後になるとカジワラのいる図書室には行かずにキョウヘイと一緒にキョウヘイの家に向かった。この日は朝から天気があまり良くなくてキョウヘイの家に着いたら雨が降り出した。俺はシュート練習ができなくてがっかりしたが、キョウヘイが、「あと1週間後には中間試験が始まるんだし、試験勉強に集中できて良かったと考えようぜ。」と慰めてきたので、それもそうだなと考え直すことにした。

7時までキョウヘイの部屋で試験勉強をした。キョウヘイの部屋の中にいたため、キョウヘイの、「夕飯食べて行けよ。」という提案を断れず、キョウヘイと一緒に豪華な夕飯を食べた。本来はナイフとフォークで食べるような料理だったが、箸が用意されていたので箸で食べた。キョウヘイも俺に気を遣ったのか箸で食べていた。料理の名前は説明されてもよく分からないものばかりだったがどれもおいしかった。

夕飯を食べ終えて車で俺の家まで送ってもらっている道中、キョウヘイに、「明日は用事があるので一緒にシュート練習や試験勉強をすることはできない。」と言われた。俺が、「用事があるなら仕方ないよ。」返答すると、キョウヘイはホントに申し訳なさそうにしていた。


 日曜日、朝から天気が良くて、今日だったらシュート練習がいくらでもできそうだな。と思ったが、すぐに考えても無駄なことを考えるのはやめて、中間試験の勉強を始めた。先週の日曜日と同じく、集中力が切れたら別な科目を勉強してできるだけ長い時間集中して勉強するようにした。あと1週間で試験だという焦りもあったからか、自分でも驚くぐらい集中して勉強ができた。
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