好きになった女子が愛人にしかなる気がないと言っていたので、形だけの彼女を作って愛人として付き合ってもらった。

無自信

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第51話

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 次の日の夏期講習が終わると、前日と同じく文化祭の出し物についての話し合いが行われた。

伊東と内藤がみんなの前に出て、何か案を出してくれるように求めたが、やっぱり前日と同じく誰も何も案を出さなかった。

みんな誰かが案を出さないと案を出しづらいのかな?しょうがない。俺が先陣を切るか。

覚悟を決めて俺が手を挙げると、伊東が、「トツカ!何か案があるのか?」と嬉しそうに尋ねてきた。

俺は席から立ち上がり、「あー、その、みんなやる気がないみたいだし、何かの展示とかでいいんじゃないかと思ったんだけど……。」と少し緊張しながら提案した。

「なるほど。何かの展示な。例えばどんなの?」

「例えば?例えば……そうだなぁ。バルーンアートとかかな。たくさん教室にあったら華やかだし、小さい子たちに受けそうじゃん?」

「なるほど。バルーンアートな。ありがとう。他に誰か案がある人はいないか?」

伊東は俺の提案を聞き終えると他の人から案を募集し始め、内藤は黒板に「何かの展示(例:バルーンアート)」と書いた。

俺は何事もなかったかのように席に着いたが、内心は大仕事を終えた後のように緊張から解放されてホッとしていた。俺が気を利かせて文化祭の出し物の提案を一番にしたのにもかかわらず、俺のあとに提案する人は5分経っても現れなかった。

おいおい。どんだけやる気がない奴らばかりなんだよ!うちのクラスは!まだ何かの展示を提案した俺の方が積極的じゃないか!まあ、この分だと俺の提案が通るんだろうな。提案しておいてなんだが、本当にいいのかな?文化祭は高校生活において一大行事じゃないのかな?

俺がクラスメートの非積極的な態度に不安を感じていると、誰かが手を挙げるのが見えた。

「はい。カジワラさん、何か案ある?」

「私は何か劇をやりたいな。衣装とか作るのが難しいのなら朗読劇とかでもいいけど。」

「なるほど。劇ね。分かった。ありがとう。」

伊東がそう言うとカジワラはスッと席に着いた。

カジワラの奴、ハタケが劇を提案することができないから、代わりに提案してあげたんだな。
できれば何もしたくないとか言ってたくせに、こういう優しいところがあるんだよなぁ。

カジワラの後に案を出す人は現れず、結局案を出したのは俺とカジワラだけだった。話し合いの最後に伊東が、「来週までには出し物を決めたいから、明日他に案が出なかったらこの中から決めます!」と宣言した。おそらくこれ以上案が出ることはないので、「何かの展示」か「劇」で決まりだろう。


 話し合いが終わった後、いつもの4人で集まるとやっぱり文化祭の出し物についての話になった。

「ありがとう!レーちゃん!私の代わりに劇を提案してくれて。」

「いいよ。ミーちゃんがあの空気の中で発言することができないのは分かってたから。」

「ホントにありがとう!」

ハタケがカジワラにお礼を言いながら抱きついているのを見ながら、俺は昨日のことをハタケに言ってやろうかな?と意地の悪い考えが浮かんでいたが、わざわざ言うものでもないよなと思い、口には出さなかった。

「この分だと展示か劇の2択になりそうだな。」

キョウヘイがそう言うと、ハタケはカジワラにさらにきつく抱きついて、「レーちゃんは劇を選んでくれるよね?」と泣きそうな声で尋ねていた。

「うんうん。ちゃんと劇に投票するよ。」

「ありがとう!レーちゃん!」

「それならキョウヘイは展示を選んでくれるよな?」

「う~ん?俺は別の案を提案するかもしれないな。」

「チェッ。何だよ。友だちがいのない奴!」

「ハハハ。まあ、するかもしれないだから、思いつかなかったら展示に投票するよ。」

「まあ、それならいいけどさ。」

そこで文化祭の出し物についての話は終わり、いつの間にか漫画の話になっていた。


 4人での話が終わった後、いつも通り図書室へ行った。そこでハナザワさんの隣の席で図書室が閉まるまでハナザワさんお薦めの本を読んだ。

図書室が閉まった後は昇降口に向かう間、文化祭の出し物についての話をした。ハナザワさんのクラスはお化け屋敷にほぼ決まりそうだが大規模にやりたいので隣のクラスを勧誘しているところだという話だ。何にせよ、やる気があるクラスはいいなぁ。と思った。

昇降口でハナザワさんと別れて、ナツキが来るのを待った。15分ほど待つとナツキが走ってやって来たので、帰宅の途に就いた。

5分ほど歩いたら急にナツキが、「そうだ!セイ!今度の日曜日、部活休みになったからデートしよ!」と言ってきた。

俺は昨日の一件があったので、ナツキの発言を訝しんだが、あまりにも強く疑うとナツキの機嫌が悪くなりそうだったので、「へー。また顧問の先生に用事ができたのか?」と何気なくを装い、部活が休みになる理由を尋ねた。

「そうなの!ホントはあまり喜んじゃいけないんだけど、私としては都合が良かったから、まあ、いいかなっていう感じかな。」

「そうか。まあ、俺は大丈夫だよ!ただ、あまりお金がかかるところにはいけないけど大丈夫か?」

「良かった~!デートはしてくれるんだよね。お金がかからない所、私も探してみるよ!」

「サンキュー。じゃあ今度の日曜日な。」

「うん!今度の日曜日ね!」

デートの約束をすると、明らかにナツキの機嫌がよくなったので、まあ、夏休みの内の1日くらい部活を休んでも大丈夫か。と俺は自分に言い聞かせるように思い込むことにした。
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