俺は彼女が死ぬ3年前に戻った

青井陸

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翌日、生徒が登校するより早く同室のハンスから叩き起こされ寮から学園に向かった。

本館と別館は背の高い垣根がある。


「ここからだと別館が覗けるんだ」


どうだ、すごいだろと得意げに言うハンス。
垣根に覗けるくらいの隙間がありよく見ないとわからないだろう。


「…ハンスが切ったのか?」


その隙間は誰かが意図的に枝を切ってつくったようだ。


「まあな。バレなそうにうまく切れてるだろ?」


いつ切ったんだろう…そこまでして別館を覗きたいハンスの執念に感心する。


「ここは校舎の横。あっちが正門で、この角度から見れば校舎に入って行く子達に気づかれず、みれるんだ。入口の横だと見つかりそうだろ?」


ハンスは見目も良いし、こう見えて頭も良い。変な行動はするが絶対にモテると思う。
俺としては面白いから一緒にいて飽きないしいいんだが。ただ機会がないだけで、もったいないなと思っていると、


「きたきたきたー!」


中腰で覗いてるハンスの尻が左右に揺れ出した。

あー…やっぱり変だな。


「女の子って可愛いな~」

「あっちの子も可愛い、後ろの子も。俺も婚約者欲しいな~」


寮に入っているため、ハンスはなかなか女と交流が持てないらしい。
いつも俺のことを羨んでいる。俺もリー以外とは交流を持っていない。まあ、別に持ちたいと思っていないが。

リーとは最近会ってないない。俺が学園に先に通い、寮生活だったため長期休暇に家へ帰るくらいで、そのときにリーと会う。
男だらけの世界、意味もなくふざけたことばかりやっている友人たちと過ごす時間は新鮮で楽しく、長期休暇でも家に帰らないときもあった。
それでも勉学はちゃんとやっている。成績も良いため2年後にある隣国との交換留学の生徒にも選ばれた。
ちなみに、ハンスも選ばれている。


「おい!昨日のあの子だ!ユーリも見てみろよ」


ハンスの横で垣根に背を向けてしゃがみ込んでいた俺は、特に興味はなかった…が、悪いことをしているという背徳感と少しの好奇心もあり覗いてみた。


「あの子!2人で歩いている右!赤毛の!すっげぇ可愛いだろ!?」


2人で歩いている右の赤毛の可愛い子…
どれどれ、と俺は目を配らせた。


「あ…」


やばい…目が合った。
距離があっても目が合ったのがわかる。


「…え、あの子こっちに来てない?」


ハンスも気がついたのだろう。すごい勢いでこっちに向かってきている。

まずい、バレたと立ち上がったとき、


「…ユーリ?」


垣根の向こうからリーの声が聞こえた。

ちょうど予鈴も鳴り俺もハンスもとりあえず逃げよう、と慌ててその場を去った。
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