9 / 19
9 (ハロルド視点)
無事に結婚した。結婚し、爵位を継いだ。シャルとは結婚前も、その後も今日までろくな会話ができていない。
俺はつまらない男だ。
何を話して良いのかわからないし、シャルを前にすると5年もたつのに未だに緊張する…結局逃げてたんだ。5年もの間。
シャルと呼んでいるが、本人の前では呼んだことはない。
エリックは初夜で授かることができ、結婚1年目で生まれた。
出産の際、出血が酷く大変だったため、俺が怖くなりシャルを抱いたのは、初夜の一度きり。
エリックは容姿は俺に似ていて目の色、優しいところはシャルににている。とても可愛い子だ。
そして、結婚して5年たったあの日……
私は書斎で仕事をしていた。静かだった屋敷に悲鳴や足音で騒がしくなり、真っ青な顔をした執事が勢いよく部屋に入ってきて私に告げた。
シャルが倒れた…と。
シャルが倒れた…… 執事が大声で俺を呼んでいるようだ。……何を言われたかわからなかった。
執事に体を揺すられ、はっと我にかえり、急いでシャルのところへ行った。
シャルは真っ青な顔をして倒れている。俺はシャルへ駆け寄った。
それから急いで医師となり有名になって帰って来ているテオドールに連絡した。テオドールなら最善を尽くすだろうと。
テオドールはすぐに来て、シャルを診てくれた。
テオドールから、命には別状はないと聞いたときは安堵した。
ただ、いつ目を覚ますかはわからないと。目を覚ましたり何かあったときにはすぐに知らせてほしいと言い、テオドールは帰った。
俺は、シャルが倒れてから毎晩シャルの部屋に行っている。エリックは母から離れたくないと片時も離れない。昼間時間私もエリックのようにシャルのそばにいたいが仕事もあるため、こんな時間になってしまう。エリックがこのままだとだめだと思い、時間を無理矢理つくって、倒れて3日目からエリックと遊ぶようになった。
最初エリックはシャルから離れるのを嫌がったが、俺が遊ぼうと言っているとアンネが伝えたら
「……お父様が?」と、泣き止み、それなら、と嬉しそうに言ったと聞いた。二人で外で追いかけっこをしたり、かくれんぼや、虫をさがしたりした。
エリックは自分と愛するシャルとの子だ。とても可愛い。だが、子供の接し方もわからないし、何を話して良いかわからない。仕事を理由に食事以外ではあまり関わってこないまま4年も過ぎてしまった。
それでも、子供だからだろうか。こんな父親でも楽しそうに遊んでくれた。
遊び終わり、エリックはシャルのところに行き俺と遊んだことを嬉しそうに話し、シャルも目を覚ましたら一緒に遊ぼうと言っていたようだ。
そして俺も、仕事を終え夜中にシャルのところへ行き、エリックと久々に遊んだことを報告した。
シャルが倒れてから5日目の晩、シャルの部屋で日記をみつけた。
日記……。
知らなかった…いつからつけていたのだろうか…俺のことは……書かれていたらきっと……
………読んでいいのだろうか。
いや……変わろうと決めたのだ。
何が書いてあったとしても関係ない。シャルが目を覚ましてから、 今までのことを謝り、家族、夫婦の時間をつくろう。そして…自分の気持ちも伝えよう。
あなたにおすすめの小説
記憶を失くした悪役令嬢~私に婚約者なんておりましたでしょうか~
Blue
恋愛
マッツォレーラ侯爵の娘、エレオノーラ・マッツォレーラは、第一王子の婚約者。しかし、その婚約者を奪った男爵令嬢を助けようとして今正に、階段から二人まとめて落ちようとしていた。
走馬灯のように、第一王子との思い出を思い出す彼女は、強い衝撃と共に意識を失ったのだった。
本の通りに悪役をこなしてみようと思います
Blue
恋愛
ある朝。目覚めるとサイドテーブルの上に見知らぬ本が置かれていた。
本の通りに自分自身を演じなければ死ぬ、ですって?
こんな怪しげな本、全く信用ならないけれど、やってやろうじゃないの。
悪役上等。
なのに、何だか様子がおかしいような?
断罪される令嬢は、悪魔の顔を持った天使だった
Blue
恋愛
王立学園で行われる学園舞踏会。そこで意気揚々と舞台に上がり、この国の王子が声を張り上げた。
「私はここで宣言する!アリアンナ・ヴォルテーラ公爵令嬢との婚約を、この場を持って破棄する!!」
シンと静まる会場。しかし次の瞬間、予期せぬ反応が返ってきた。
アリアンナの周辺の目線で話しは進みます。
婚約破棄してたった今処刑した悪役令嬢が前世の幼馴染兼恋人だと気づいてしまった。
風和ふわ
恋愛
タイトル通り。連載の気分転換に執筆しました。
※なろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、pixivに投稿しています。
記憶を失くして転生しました…転生先は悪役令嬢?
ねこママ
恋愛
「いいかげんにしないかっ!」
バシッ!!
わたくしは咄嗟に、フリード様の腕に抱き付くメリンダ様を引き離さなければと手を伸ばしてしまい…頬を叩かれてバランスを崩し倒れこみ、壁に頭を強く打ち付け意識を失いました。
目が覚めると知らない部屋、豪華な寝台に…近付いてくるのはメイド? 何故髪が緑なの?
最後の記憶は私に向かって来る車のライト…交通事故?
ここは何処? 家族? 友人? 誰も思い出せない……
前世を思い出したセレンディアだが、事故の衝撃で記憶を失くしていた……
前世の自分を含む人物の記憶だけが消えているようです。
転生した先の記憶すら全く無く、頭に浮かぶものと違い過ぎる世界観に戸惑っていると……?
【完結】名前もない悪役令嬢の従姉妹は、愛されエキストラでした
犬野きらり
恋愛
アーシャ・ドミルトンは、引越してきた屋敷の中で、初めて紹介された従姉妹の言動に思わず呟く『悪役令嬢みたい』と。
思い出したこの世界は、最終回まで私自身がアシスタントの1人として仕事をしていた漫画だった。自分自身の名前には全く覚えが無い。でも悪役令嬢の周りの人間は消えていく…はず。日に日に忘れる記憶を暗記して、物語のストーリー通りに進むのかと思いきや何故かちょこちょこと私、運良く!?偶然!?現場に居合わす。
何故、私いるのかしら?従姉妹ってだけなんだけど!悪役令嬢の取り巻きには絶対になりません。出来れば関わりたくはないけど、未来を知っているとついつい手を出して、余計なお喋りもしてしまう。気づけば私の周りは、主要キャラばかりになっているかも。何か変?は、私が変えてしまったストーリーだけど…
気配消し令嬢の失敗
かな
恋愛
ユリアは公爵家の次女として生まれ、獣人国に攫われた長女エーリアの代わりに第1王子の婚約者候補の筆頭にされてしまう。王妃なんて面倒臭いと思ったユリアは、自分自身に認識阻害と気配消しの魔法を掛け、居るかいないかわからないと言われるほどの地味な令嬢を装った。
15才になり学園に入学すると、編入してきた男爵令嬢が第1王子と有力貴族令息を複数侍らかせることとなり、ユリア以外の婚約者候補と男爵令嬢の揉める事が日常茶飯事に。ユリアは遠くからボーッとそれを眺めながら〘 いつになったら婚約者候補から外してくれるのかな? 〙と思っていた。そんなユリアが失敗する話。
※王子は曾祖母コンです。
※ユリアは悪役令嬢ではありません。
※タグを少し修正しました。
初めての投稿なのでゆる〜く読んでください。ご都合主義はご愛嬌ということで見逃してください( *・ω・)*_ _))ペコリン
公爵令嬢は、どう考えても悪役の器じゃないようです。
三歩ミチ
恋愛
*本編は完結しました*
公爵令嬢のキャサリンは、婚約者であるベイル王子から、婚約破棄を言い渡された。その瞬間、「この世界はゲームだ」という認識が流れ込んでくる。そして私は「悪役」らしい。ところがどう考えても悪役らしいことはしていないし、そんなことができる器じゃない。
どうやら破滅は回避したし、ゲームのストーリーも終わっちゃったようだから、あとはまわりのみんなを幸せにしたい!……そこへ攻略対象達や、不遇なヒロインも絡んでくる始末。博愛主義の「悪役令嬢」が奮闘します。
※小説家になろう様で連載しています。バックアップを兼ねて、こちらでも投稿しています。
※以前打ち切ったものを、初めから改稿し、完結させました。73以降、展開が大きく変わっています。