捨てられた彼女は敏腕弁護士に甘く包囲される

あさの紅茶

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9.暴く

03

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わずかに漂うコーヒーの香りに、私はガバッと起き上がった。寝坊したと思った瞬間、布団と共に体が転がり落ちる。

「きゃあっ!」

幸い布団がクッションになって衝撃は免れたけれど、いったい何事かと思ってきょろきょろと周りを見回した。

「莉子さん大丈夫?」

すぐに駆け寄ってくれた穂高さんが、私の体を支えて起こしてくれる。

「え? あれ?」

「寝ぼけてた? ソファでぐっすり寝ちゃってたから、そのまま寝かせてたんだけど、まさか転がり落ちるなんて思わなかったよ」

「え、うそ……。恥ずかしい」

とたんにカアアと顔が熱くなる。とんだ醜態をさらしてしまった。まるで私の寝相が悪いみたいじゃないか。いやいや、ちょっと待って。私、穂高さんに抱きしめられていたんじゃなかったっけ? それで寝ちゃったってこと?

当の穂高さんはそんなことなかったかのように普通にしていて、もしかして私の夢だったんじゃないかとも思う。だからってソファを占領するのはどうなのよ。いくら寝ぼけてたからって、それはないでしょ。

自問自答を繰り返すも、答えは出ない。

「穂高さん……ソファで寝てましたよね?」

「寝てたよ。布団持ってきてくれてありがとう」

「あ、いえ。こちらこそ、ベッド使っちゃってごめんなさい。しかもソファも占領しちゃって……」

「莉子さんが来てくれたから、温かくてよく眠れたよ。これから一緒に寝るのもいいかもね。結婚するんだし」

「あ、はい……はい?」

やっぱり、夢じゃなかったんだ。ていうか、これから一緒に寝る? ええっ?  もう、理解が頭のキャパシティを超えた。わたわたとテンパっている間に、「コーヒー飲むよね?」とダイニングテーブルに朝食の準備がされていく。

……動揺しているのは私だけ。
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