捨てられた彼女は敏腕弁護士に甘く包囲される

あさの紅茶

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10.解放

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そんな心配をよそに、一緒に洗い物をして片付けをし、交代でシャワーを浴びた。穂高さんは今日もソファで寝るつもりなのか、傍らのテーブルにノートパソコンや書類を広げて仕事でもしているようだ。

「あの、穂高さん。今日はベッド使ってくださいね。シーツも洗っておきましたし」

「えっ? シーツ?」

「はい、二日間も私が使ってしまったし、汗もかいちゃったと思うから……」

「一緒に寝ないの?」

「はい、一緒に……はい?!」

言葉を理解した瞬間、心臓が口から飛び出そうになった。心臓がバックンバックンうるさくなる。だけど動揺しているのは私だけで、穂高さんは涼しい顔をしている。

あれ?
私がおかしいの?

確かに「一緒に寝るのもいいかもね」なんて、つい今朝言われた気がするけど。そのときも穂高さんは何とも思ってない感じだったし……。

「あ、でもベッドじゃ狭いかな? どうする?」

「ど、……どうしましょう?」

まさか私に決定権がある?
え、どうする? どうしたらいい?

何も言えないでいると、穂高さんがくすっと笑って眉を下げた。

「ごめん。そんな困らせたいわけじゃないから。莉子さんは今日もベッドで寝たらいいよ。俺はここでいい」

「それは嫌です」

「嫌?」

「嫌……です。穂高さんがちゃんと休めないのは嫌です」

「うーん、じゃあ、一緒に寝る?」

こてっと首を傾げるので、私はまた困ってしまった。だって、一緒に寝るって……寝るって……。そ、そうか、別に変な意味じゃないわよね。一緒のベッドで眠るだけだもの。そこに変な意味はないに決まってる。何を考えているの、私ったら。

「一緒に寝ます」

そう伝えたら、今度は穂高さんの方が困った顔をした。

あ、あれ?
答え、間違えたかな?

オロオロしていると、穂高さんはノートパソコンをパタンと閉じる。書類もささっとまとめて、立ち上がった。

「じゃあ、寝ようか」

手を引かれて寝室へ。

やばい。そういう“寝る”じゃないってわかっているのに、変に意識してしまって心臓の音がバカみたいにうるさい。胸のあたりをぎゅうっと押さえてみたけれど、一向に静まりそうになかった。

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