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道具 その4
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窓から見える土砂降りの雨はいつ止むのかわからない。静也はさっさと止んでほしいと願っている。
静也は村中を探索したいと思っているのもあるし、雨の降っているときのジメジメが嫌だっていうのもある。それに、彼が死んだ原因は雷。
土砂降りの中、外から聞こえる轟きが彼を不安にさせるのに十分だった。
彼が死ぬ間際まで感じた、言葉に表せない痛み、臓器は焼き焦げ、眼球は蒸発し体内が熱湯にでも変わったような異常なまでの熱さ。視界が一気に暗黒に変わる恐怖。死んだと分かった時の無情感。
二度と味わいたくない、本能が訴える恐怖。
静也は片腕を掴んでいた。
「ねぁ、シズヤの兄ちゃん、兄ちゃんは魔法って使える?」
唐突にそんなことを聞いてきたので、静也はどう答えたものかと、戸惑ってしまった。
「あ、別に深い意味はないんだよ?私は使えないけど、お姉ちゃんは使えるから、他の人はどうなのかなって気になってて、聞いただけなんだけどね…」
つまり、姉は魔法が使えている。他の人は?という好奇心で聞いたようだ。別に教えても問題は無いのだろうと思い答える。
「ああ、使えるぞ。俺も魔法が。」
するとティアは自分のことでも無いのに凄く嬉しそうにはしゃいでいた。
「凄い凄い!シズヤの兄ちゃんも使えるんだ!いいなぁ」
「わ、私の方が強い魔法よ?!ティア?」
その様子を見ていたアンは必死に自分の魔法が強いことをアピールする。静也は苦笑いをしていた。
道具屋でいる内に外に降っていた雨は気が付いたときには止み、空には雲の隙間から光が差し掛かっていた。
依頼に赴く前にはここに来るとティアと約束し、道具屋を出る。
ドアのベルがなると少し寂しい気持ちになった。
雨が上がり、村の人たちは活気づきはじめた。
その証拠に村のいたるところで人を見かける。
村の地図を見ながら、静也はまだ足を踏み入れたことのないところであろう場所を目指す。
見たことのない風景に土地勘が狂いそうになりつつも。
地図を頼りに村中を歩き回る。ゆっくりと吟味するように。
ひとつひとつの建物が違うので、じっくり眺めるのも楽しいのだとか。
歩いていて気がついたことは、中央にいくにつれ活気づいていること。見るからに人の集まりが異常なほど多いのが特徴だ。
何をするでもないのにただそこでいる者、誰かを待つ者、色々だ。
この村では防具、武器を取り扱っている店は少なく、外側に行くほど人気が少ないので、すぐに無くなる店が多いのだとか。
やることがなくなれば、唱館に行くものもいるため、娯楽には困っているようにも思えた。
静也も一人の男として好奇心があるも、やはり周りの目を気にするビビりなので行こうとはしなかった。チキン野郎なのだ。
村を歩いて回って、色々している間に時間はすでに夜へと変わっていた。
暗闇を照らす魔導ランタンの明かりは前世の夜の街のネオンライトを思わせるような妖艶な光に思える。
明かりの下には人が集まり、露店や屋台が大賑わい。
客寄せなんかも動き出す時間帯なのでなお、活気付く。
ここが村だが、街や国になるとどうなるのか気になった静也だが、ここよりかなり離れた街や国に向かおうとは思わなかった。
それは、この場所は比較的安全らしく、たまに出没する魔物は弱いらしい。近くにある魔樹海から魔物はそうそう出ることがないし、万が一出てきたとしても組合の長であるロドムもいるので安全らしい。
だが、今まで一度もそのような事態になってない(なっていたが事前に阻止した)ので、ロドムを見たことのある人物はかなり限られる。
今日もいつもの酒場で飯を食べた後、宿に戻り身の回りの世話を終えると眠り次の朝を待つのだった。
静也は村中を探索したいと思っているのもあるし、雨の降っているときのジメジメが嫌だっていうのもある。それに、彼が死んだ原因は雷。
土砂降りの中、外から聞こえる轟きが彼を不安にさせるのに十分だった。
彼が死ぬ間際まで感じた、言葉に表せない痛み、臓器は焼き焦げ、眼球は蒸発し体内が熱湯にでも変わったような異常なまでの熱さ。視界が一気に暗黒に変わる恐怖。死んだと分かった時の無情感。
二度と味わいたくない、本能が訴える恐怖。
静也は片腕を掴んでいた。
「ねぁ、シズヤの兄ちゃん、兄ちゃんは魔法って使える?」
唐突にそんなことを聞いてきたので、静也はどう答えたものかと、戸惑ってしまった。
「あ、別に深い意味はないんだよ?私は使えないけど、お姉ちゃんは使えるから、他の人はどうなのかなって気になってて、聞いただけなんだけどね…」
つまり、姉は魔法が使えている。他の人は?という好奇心で聞いたようだ。別に教えても問題は無いのだろうと思い答える。
「ああ、使えるぞ。俺も魔法が。」
するとティアは自分のことでも無いのに凄く嬉しそうにはしゃいでいた。
「凄い凄い!シズヤの兄ちゃんも使えるんだ!いいなぁ」
「わ、私の方が強い魔法よ?!ティア?」
その様子を見ていたアンは必死に自分の魔法が強いことをアピールする。静也は苦笑いをしていた。
道具屋でいる内に外に降っていた雨は気が付いたときには止み、空には雲の隙間から光が差し掛かっていた。
依頼に赴く前にはここに来るとティアと約束し、道具屋を出る。
ドアのベルがなると少し寂しい気持ちになった。
雨が上がり、村の人たちは活気づきはじめた。
その証拠に村のいたるところで人を見かける。
村の地図を見ながら、静也はまだ足を踏み入れたことのないところであろう場所を目指す。
見たことのない風景に土地勘が狂いそうになりつつも。
地図を頼りに村中を歩き回る。ゆっくりと吟味するように。
ひとつひとつの建物が違うので、じっくり眺めるのも楽しいのだとか。
歩いていて気がついたことは、中央にいくにつれ活気づいていること。見るからに人の集まりが異常なほど多いのが特徴だ。
何をするでもないのにただそこでいる者、誰かを待つ者、色々だ。
この村では防具、武器を取り扱っている店は少なく、外側に行くほど人気が少ないので、すぐに無くなる店が多いのだとか。
やることがなくなれば、唱館に行くものもいるため、娯楽には困っているようにも思えた。
静也も一人の男として好奇心があるも、やはり周りの目を気にするビビりなので行こうとはしなかった。チキン野郎なのだ。
村を歩いて回って、色々している間に時間はすでに夜へと変わっていた。
暗闇を照らす魔導ランタンの明かりは前世の夜の街のネオンライトを思わせるような妖艶な光に思える。
明かりの下には人が集まり、露店や屋台が大賑わい。
客寄せなんかも動き出す時間帯なのでなお、活気付く。
ここが村だが、街や国になるとどうなるのか気になった静也だが、ここよりかなり離れた街や国に向かおうとは思わなかった。
それは、この場所は比較的安全らしく、たまに出没する魔物は弱いらしい。近くにある魔樹海から魔物はそうそう出ることがないし、万が一出てきたとしても組合の長であるロドムもいるので安全らしい。
だが、今まで一度もそのような事態になってない(なっていたが事前に阻止した)ので、ロドムを見たことのある人物はかなり限られる。
今日もいつもの酒場で飯を食べた後、宿に戻り身の回りの世話を終えると眠り次の朝を待つのだった。
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