傘使いの過ごす日々

あたりめ

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お休みの前に その2

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気づいた時にはレナが倒れているのを見て、何がどうなったのかわからず困惑する静也。
その後、すぐに所有スキルの中にあるバーサークモード・傘を思い出し、それだと察した。
しかし手を蹴られ折れて呻いていたはずだというのに手が完全に治っている。だがすごい疲労感にさいなまれている。
バーサークモード前の傷は治るがすごく疲れるようだ。
目の前に倒れているレナをまず起こすか、運ぶかして村に帰ろうと思った。


結局レナを背負い、関所に戻るとダンやトマスとは違う門番が居た。

「すいません、この人、気を失ってて、どうしたらいいのか聞きたいんですが…」


すると門番は困った顔をして

「とりあえず…組員なら組合の貸し出し部屋があると思から組合に行くといい。」
「そうですか…ありがとうございます」
「構わない、がお前さん気を失ってる女に手ぇだすなよ」
「わかってます。」

門番が鋭い目つきで静也を見るものだから肩が吊り上がってしまった。


夜の組合は朝、昼方の様子と一変して静寂に包まれていた。
受付は未だに働いているが、もう今日は終わりになるのではと思うほど静かだった。
組合にいる者は指折りしかいない状態、小さな音でさえ聞き取れるほど静かなのだ。

「こんばんは、どうかなさいましたか?」

今の時間帯の受付はサラだった。夜勤もあるのか、と思っていた。

「こんばんは、この人を組合の貸し出し部屋で寝かせてあげれませんか?気を失っていて」
「分かりました。では奥に運びますので手伝ってください。」

組合の奥に誘導されついていく。


そこは貸し出し部屋というにはあまりにも手抜きすぎだった。
大きな空間に適当に仕切り壁を立てつけたようなところだ。
聞くところによると、組員の人もここで寝泊まりできるようだが、料金は取られるようだ。
今も何人か寝ている。
レナをベッドに寝かし、サラに貸し出し部屋を貸してくれたことに礼を言う。

「もう遅い時間ですし、お早めに帰られたほうが良いのでは?それにお疲れのようですし。」
「そうですね…、それでは自分はここで帰らせてもらいます。」

失礼します、と言い組合を去って行った。


帰路での出来事
暗闇の中で煌めく魔導ランタンが日の出ているときとは違った景色を醸す。
夜でも賑わう露店や屋台が多い中央通りも今や人通りの少ない道になっていた。

建物と建物の愛出には魔導ランタンの光が入らないのでそこだけが何も見えない暗黒へと変わる。
この村でもならず者などが出るらしく最悪殺人、強盗、強姦など犯罪も起こるらしい。
そんなのと出会いたくはないなと思った矢先建物の角で何者かに腕を引っ張られる。

出口はもう閉鎖され、さらに囲まれている。
スキルか何かで上にも、壁に張り付いいる者もいる。

「よう、兄さんよ。俺たち困ってんだ、金かしてくんない?」

ばれないように傘を召喚する。それと同時にスキル<探索・傘>が発動する。
囲んでいる者を数えると、8人。全員若く、装備は動きを阻害されにくい軽鎧、武器は全員違うものだが遠距離攻撃するものは2人、杖と投擲ナイフ
まずは交渉、もといやめるように説得を試みる。

「そんなことしたって誰も得しないですよ。後々自分の首を絞めることになるから真っ当に働いたほうがいいですよ」
「うっわ、くっさいセリフだな。」
「そんなこと俺達には関係ないの。早く金をよこせっての」
「なぁもういいから、こいつの着ぐるみ全部剥がそうや、そんで真っ裸で晒してやろうぜ」
「いいなそれ!お前天才かよ。」

チンピラどもは笑い、全員で一斉にかかってきた。
上に張り付いていた男は棍棒で落下攻撃を仕掛ける。後ろの男は鎖鎌で文鎮みたいなものを回し、攻撃にかかってきた。前からは男が槍を構え向かったきた。
後ろからの文鎮を傘で絡め、思い切り引っ張り上から来ている男の攻撃を食らわせる。前からきている男の槍の口金を握り、上から来た男に槍男ごとぶつける。常人では考えられない力があるからできたことだ。
残り5人、遠距離二人の同時攻撃、投擲ナイフに魔法を絡めたエンチャント攻撃、見るからに属性は火だ。
これは傘を開いて身を守る。それと同時に前に突進する。もう一本傘を召喚しておく。
遠距離2人、加えて1人を倒し残り2人。なお犠牲になったもう1人は双剣使いのような男。
残った男2人の内1人はメリケンを付け、耳や唇にピアスをしているピアス男。もう一人は鮫肌のような生地を使ったグローブをしているグローブ男。

「ふぅん…お前まぁまぁ強いやん。ま、俺には勝てんけどな」

ピアス男は脱力した状態で言う。

「………行くぞ」

グローブ男は口数が少ない、そのまま向かってくる。
傘を閉じ、手元を握り迎える。

自身の推進力をそのまま乗せた右ストレートを傘を横にして受ける。

その時グローブ男の爆発的な推進力のあるパンチで静也の体は浮いた。傘から伝わるグローブ男の攻撃の強さが直に伝わる。傘の生地はビニールっぽいのに、火花が散っている。
地面に足が着いたが反動が大きかったからか後ろに倒れそうになった。
それを逃さまいと前蹴りを腹に食らわされる。
腹にグローブ男の足がめり込み静也は後方へ転がる。
腹を抑え、吐き出そうになる吐瀉物をこらえようとするが、堪らずまき散らしてしまう。

それをいいことにピアス男が近づいて

「ん?どないいたんや?威勢が良かったあんときはどうしたんや?」

とにやけながら言いしまいには静也を蹴り、踏み出した。

「………」

グローブ男は未だにあの場から動いていない。何かを試すかのような目をして静也を眺めていた。
ピアス男に蹴られ、踏まれるたびに体の奥からどす黒いナニかが湧いてくる感覚がしてきた。
周りの音がだんだん遠のいていき、自身の心音すら聞き取れなくなる。

湧き出る黒いナニに体が覆われるのがわかる。成す術なし、いや身を委ねる。
意識はその黒いナニに埋もれていくような感覚で落ちていく。

《■■■■からコネクトされました個体名『水鏡静也』を一時的にスペクテイター状態にします》



本当に…お前は見てて飽きないわ…ちょっとだけ手助けしてやるよ…
そんな声が聞こえた気がしたと思ったら意識が飛んだ。
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