89 / 106
静也の昇級試験 その2
しおりを挟む
―――ダンside―――
シズヤめ…滅茶苦茶強くなってやがる…
だが、それでもまだまだだ…。
対人戦闘経験が少ない証拠が、俺の上半身ばっかりみているのが何よりだ。
スキル<剛力>が昇華し、スキル<剛腕>になり、さらに昇華したスキル<鬼腕>で振るう大剣をあしらう技術も驚きだが、やはり、甘いな。
ダンは静也と対戦している最中にも冷静に相手の情報を読んでいた。
相手の視線、筋肉の動き、呼吸、足裁き。
隠れて言葉に表しがたい苦行を経て得た動体視力、判断力。
必ず勝つと誓い、励んだ賜物である。
静也になくてダンにあるものは、多くあるが、特にこの試験でよく出てくるのは体術、身のこなし、自身の限界の認識の差である。
ダンは、体術と剣術を併用しているため、二つのスキルの効果をおりあわせている。以前とは比べ物にならない位の一撃の重さを傘越しに受けている。
それでも倒すまでにはいかないと、そこまでには至らないとダンはわかっている。
今試験は、実戦形式、つまり、生きるか死ぬかを想定した試験だ。
しかし、試験だ。
「参った」と言えば命は保証される。
しかし今のダンにはその「参った」と言う気はさらさらない。
最初から全力、最初から殺す気持ちで静也と対戦している。
パワー勝負は五分五分、若干静也の方が劣っているが。
スピードは静也の方に分がある、という状態だ。
大剣は磨耗し、歯溢れを起こしている。使い物にならなくなるのも時間の問題だ。
だから
「その前に倒すまでだ!」
最後の切り札を切った。
―――ダンside 終わり―――
「その前に倒すまでだ!」
ダンの怒号が体を震わせる。
そして、ダンの体が変化を起こす。切り札を切ったことが伺える。
「くそぅ…!こんなのを隠してたのかよ!」
静也が悪態をつくもダンは攻撃を止める気はない。
「いくぞ!スキル<猛攻>!」
「スキル<傘融合>解除!」
静也は傘を二つに分け、盾と槍へと変える。
攻防共に全力で、先ずは相手の出方を知る。
対人戦闘において素人の静也の考えた最善。
しかし、これが裏目になる。
「どぅおらぁぁぁ!」
「ぐぅぅぅ!重すぎるって!」
ダンの大振りの横凪ぎを盾で防ぐが、あまりの強さに体が横にずれる。
攻撃の来ている方に意識を向けていると、反対側の方から鋭く、そして鈍い衝撃が走る。
ダンの蹴りだ。
静也はたまらず距離を取ろうとバックステップをするが、ダンの脚力ですぐに追い付かれ、目の前にダンの拳が迫る。
咄嗟に傘を迫り来る拳の前に召喚し、防いだが、それもまた裏目になる。
拳は目の前に迫っていた。そこに傘を召喚すると視界が傘で塞がってしまう。
そこを突いたダンは高速で静也の後ろに回り込み、背中に向けて飛び蹴りをかます。
背中の方向へ折れ曲がり、くの字になるも直ぐ様後ろのダンのいる方へ傘で凪ぐも、空振りに終わる。
ダンは静也の懐に低い体制で潜り込んでいた。
ダンの拳が横腹に入る。
スキル<防御強化・傘>があるが、ここまでの痛みは悪戯の神以来だ。
過信していた、傘を。スキルを。
今になって後悔が脳裏を過る。
いかに強力な武器、スキルがあれど担い手が強くなければ意味が無い。
通用するのは格下まで。
しかし、静也も覚悟は決めている。
この世界に来てから、ピンチや危機に見舞われ、生への執着を覚えた。
生きる為、死なないため。
強くなった筈だ。
無論、強くなった。
しかし相手は自分を遥かに上回る。覚悟も、戦い方も、生への執着も何もかも上だ。
勝てる見込みは低い…いや、無いのだ。
「うぅおおおおあああ!!」
「うぉっ!あぶねぇ!まだこんなの放つ余裕があるのかよ!」
静也は蹴りを放つも、回避される。
静也の内臓は痛み、吐血させる。
口膣内に血の味が広まり、不快感を覚える。
それ以前に、静也はここまでの痛みを知らなかった為、痛みでまともに動けそうにない。
今すぐにでも転げ回りたい。降参したいという気持ちが身体を襲うが、初めてここまで意地になった。
「シズヤ、お前、いい顔になってるぜ。」
「はは…この状態はあまりかっこよく無いでしょうが…」
「いや、お前はいままでより一番格好が良くなってるぜ。俺が保証するさ。意地でもって顔だ。」
あたりです。
「でも、俺は手加減しない。それが俺がお前に対してする、最大の敬意の表しかただから。」
男らしいですね、ダンさんは…
「お前は強くなれる。目を覚ましたら修行付けてやる。」
お願いしますね。でも、加減してくださいね?
そして俺の意識は、ダンさんの手によって断たれた。
それと同時に俺の本当の異世界生活が始まるのだった。
シズヤめ…滅茶苦茶強くなってやがる…
だが、それでもまだまだだ…。
対人戦闘経験が少ない証拠が、俺の上半身ばっかりみているのが何よりだ。
スキル<剛力>が昇華し、スキル<剛腕>になり、さらに昇華したスキル<鬼腕>で振るう大剣をあしらう技術も驚きだが、やはり、甘いな。
ダンは静也と対戦している最中にも冷静に相手の情報を読んでいた。
相手の視線、筋肉の動き、呼吸、足裁き。
隠れて言葉に表しがたい苦行を経て得た動体視力、判断力。
必ず勝つと誓い、励んだ賜物である。
静也になくてダンにあるものは、多くあるが、特にこの試験でよく出てくるのは体術、身のこなし、自身の限界の認識の差である。
ダンは、体術と剣術を併用しているため、二つのスキルの効果をおりあわせている。以前とは比べ物にならない位の一撃の重さを傘越しに受けている。
それでも倒すまでにはいかないと、そこまでには至らないとダンはわかっている。
今試験は、実戦形式、つまり、生きるか死ぬかを想定した試験だ。
しかし、試験だ。
「参った」と言えば命は保証される。
しかし今のダンにはその「参った」と言う気はさらさらない。
最初から全力、最初から殺す気持ちで静也と対戦している。
パワー勝負は五分五分、若干静也の方が劣っているが。
スピードは静也の方に分がある、という状態だ。
大剣は磨耗し、歯溢れを起こしている。使い物にならなくなるのも時間の問題だ。
だから
「その前に倒すまでだ!」
最後の切り札を切った。
―――ダンside 終わり―――
「その前に倒すまでだ!」
ダンの怒号が体を震わせる。
そして、ダンの体が変化を起こす。切り札を切ったことが伺える。
「くそぅ…!こんなのを隠してたのかよ!」
静也が悪態をつくもダンは攻撃を止める気はない。
「いくぞ!スキル<猛攻>!」
「スキル<傘融合>解除!」
静也は傘を二つに分け、盾と槍へと変える。
攻防共に全力で、先ずは相手の出方を知る。
対人戦闘において素人の静也の考えた最善。
しかし、これが裏目になる。
「どぅおらぁぁぁ!」
「ぐぅぅぅ!重すぎるって!」
ダンの大振りの横凪ぎを盾で防ぐが、あまりの強さに体が横にずれる。
攻撃の来ている方に意識を向けていると、反対側の方から鋭く、そして鈍い衝撃が走る。
ダンの蹴りだ。
静也はたまらず距離を取ろうとバックステップをするが、ダンの脚力ですぐに追い付かれ、目の前にダンの拳が迫る。
咄嗟に傘を迫り来る拳の前に召喚し、防いだが、それもまた裏目になる。
拳は目の前に迫っていた。そこに傘を召喚すると視界が傘で塞がってしまう。
そこを突いたダンは高速で静也の後ろに回り込み、背中に向けて飛び蹴りをかます。
背中の方向へ折れ曲がり、くの字になるも直ぐ様後ろのダンのいる方へ傘で凪ぐも、空振りに終わる。
ダンは静也の懐に低い体制で潜り込んでいた。
ダンの拳が横腹に入る。
スキル<防御強化・傘>があるが、ここまでの痛みは悪戯の神以来だ。
過信していた、傘を。スキルを。
今になって後悔が脳裏を過る。
いかに強力な武器、スキルがあれど担い手が強くなければ意味が無い。
通用するのは格下まで。
しかし、静也も覚悟は決めている。
この世界に来てから、ピンチや危機に見舞われ、生への執着を覚えた。
生きる為、死なないため。
強くなった筈だ。
無論、強くなった。
しかし相手は自分を遥かに上回る。覚悟も、戦い方も、生への執着も何もかも上だ。
勝てる見込みは低い…いや、無いのだ。
「うぅおおおおあああ!!」
「うぉっ!あぶねぇ!まだこんなの放つ余裕があるのかよ!」
静也は蹴りを放つも、回避される。
静也の内臓は痛み、吐血させる。
口膣内に血の味が広まり、不快感を覚える。
それ以前に、静也はここまでの痛みを知らなかった為、痛みでまともに動けそうにない。
今すぐにでも転げ回りたい。降参したいという気持ちが身体を襲うが、初めてここまで意地になった。
「シズヤ、お前、いい顔になってるぜ。」
「はは…この状態はあまりかっこよく無いでしょうが…」
「いや、お前はいままでより一番格好が良くなってるぜ。俺が保証するさ。意地でもって顔だ。」
あたりです。
「でも、俺は手加減しない。それが俺がお前に対してする、最大の敬意の表しかただから。」
男らしいですね、ダンさんは…
「お前は強くなれる。目を覚ましたら修行付けてやる。」
お願いしますね。でも、加減してくださいね?
そして俺の意識は、ダンさんの手によって断たれた。
それと同時に俺の本当の異世界生活が始まるのだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
少年神官系勇者―異世界から帰還する―
mono-zo
ファンタジー
幼くして異世界に消えた主人公、帰ってきたがそこは日本、家なし・金なし・免許なし・職歴なし・常識なし・そもそも未成年、無い無い尽くしでどう生きる?
別サイトにて無名から投稿開始して100日以内に100万PV達成感謝✨
この作品は「カクヨム」にも掲載しています。(先行)
この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。
この作品は「ノベルアップ+」にも掲載しています。
この作品は「エブリスタ」にも掲載しています。
この作品は「pixiv」にも掲載しています。
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする
初
ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。
リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。
これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる