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第35章 転生王子と夏休み 後半
ランタン祭り~テラス席にて
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イルフォードたちと別れ、俺たちは預けていたお土産のランタンを受け取ったあとテラス席へ向かった。
指定の席は大通りに面した三階建ての建物だ。この通りにある建物では一番高いらしい。
ティリアの王族警備兵に誘導されて、俺たちは裏手からこっそり建物に入る。
テラス席は三十畳ほどの広さで、周りはタンタの簾で囲われていた。
あの簾は、こちらからは見えるが外からは見えにくくなっているそうだ。
だからなのか、囲われていても閉塞感は感じられない。
席は、大きなローテーブルに座椅子という、こちらの世界では珍しい床に座るタイプ。
簾から風が入ってくるから、まるで河川敷にある納涼床みたいだな。
すでに席には、ティリア王国のフェリペ国王陛下とサフィーナ王妃殿下、アンリ義兄さんとステラ姉さんが着いていた。
「遅れて申し訳ありません」
俺たちは慌てて、フェリペ国王とサフィーナ王妃に挨拶をする。
実を言うと、二人に会うのは今日が二回目。昨日初めてご挨拶したんだよね。
ずっと別荘にいて王城に行かなかったから、お会いしたことがなかったのだ。
国王夫妻は厳格そうな雰囲気だったので、初めてご挨拶した時は粗相して怒られないか不安だったが……結論から言うと、そんな心配まったく必要なかった。
お二人は子供好きらしく、俺たち全員頭を撫でられ、お菓子をもらい、めちゃくちゃ可愛がられた。
背が高くて大人っぽいカイルまでもである。
今も頭を下げて礼をする俺たちに、笑って優しく声をかけてくれた。
「今日は祭りの日だ。そんな堅苦しい挨拶はやめよう」
「ええ、そうね。さあさあ、席に座って」
お言葉に甘えて席に座った俺に、アンリ義兄さんは尋ねる。
「街の散策は楽しめましたか?」
聞かれた俺は、コクリと頷いた。
「はい。いろんなお店がありました。お揃いの小さなランタンを買って、お昼は屋台料理を食べ歩きました」
そう話すと、サフィーナ王妃は「あらあら」と困った顔になる。
「お腹を空かせていると思って、皆のためにたくさん夕餉を用意したのだけど……食べられないかしら?」
見れば、給仕係が料理を運んで、ローテーブルに並べていくところだった。
あっという間に、テーブルがいろいろな料理で埋め尽くされる。
今日はお祭りだからか、別荘で出されるような洗練された料理ではなく、山盛りでどどんとお皿に載っており、豪快だ。
久しぶりにこんな山盛り料理を見た。
その迫力に、思わず喉がゴクリと鳴る。
「皆、無理をしなくていいからね」
気遣いを見せるアンリ義兄さんに、レイが首を横に振る。
「いえ! 僕のお腹には余裕があります」
そう言って、ポンと腹を叩く。
フェリペ国王はその仕草を見て、大きな声で笑った。
「あははは! そうかそうか。それは頼もしいな。では、たくさん食べなさい」
「はい! いただきます」
元気に答えるレイにライラは呆れていたが、フェリペ国王とサフィーナ王妃は嬉しそうだ。
和やかな雰囲気の中、俺たちは歓談しつつ食事を始めた。
いつの間にか夕日が落ち、薄暗くなってきた。
俺は席を立って、囲いの隙間から通りを覗き込んだ。
通りではお店や屋台の店主たちが、軒先のランタンに火を灯しているのが見えた。
暗くなりかけていた街が、赤や青や緑や橙の、色とりどりのランタンの灯りで満たされていく。
「わぁ、綺麗だな」
感動する俺の肩に、いつの間に近付いていたのかステラ姉さんがそっと手を置く。
「美しいですわよね。私、この火が灯る瞬間が好きなんです」
通りにいる人々も、ランタンの火を見て歓声を上げ、笑い合っている。
楽しそうな様子を見て、ステラ姉さんの気持ちがわかる気がした。
しばらくそうして通りを眺めていると、どこからともなく太鼓と笛の音が聞こえてきた。
その音に誘われて、レイたちも「なんだなんだ」とやって来る。
「もうすぐ来ますね」
アンリ義兄さんも来て、大通りの奥を指さした。
眼下では、人々が両脇に寄って通りの真ん中を空けている。
だんだんと近づいてくる太鼓の音に、街の人たちのざわめきも熱気を帯びていく。
何が始まるのかわからないけど、ワクワクするな。
そうして待っていると、右の道から小さな横笛を吹き、腰につけた小太鼓を叩く集団が現れた。
一行は同じ衣装を着て、隊列を組み、軽やかにステップを踏みながら音楽を奏でている。
すると、その集団の後ろから、光を纏った羊の山車がゆっくりとカーブを曲がりながらやって来た。
真っ白なティルン羊を模った山車だ。
「わぁ! 大きいティルン羊!」
トーマが大喜びで、手を叩く。
「あれが、ランタン祭りのもう一つの名物。ティルン車です。ランタンと同じ作りで、骨組みはタンタ、覆っているのは紙、光っているのはろうそくです」
あんなに大きな山車を、竹と紙で作り上げたのか。
内部にある灯りにろうそくの火が使われているからか、白い紙は黄金に輝いて見えた。
闇を照らす大きな羊は、どこか神聖さを感じる。
「それにしても、大きいなぁ」
目の前をゆっくりと通っていく山車に、俺は感嘆の息を漏らす。
前で台車を引っ張る人と、後ろから押す人、台車についている車輪の舵をとる人がいて、それぞれが合図を出し合って山車を動かしているみたいだ。
「さっき話しましたとおり、タンタと紙製なので、見た目より重くはないんです。ただ、建物にぶつかると壊れてしまうので、移動は慎重にしなければいけないのですが……」
そうだよね。コントロールが難しそう。
「あ! また新しいティルン羊が来た!」
レイの言葉で再び通りの奥に目をやると、今度は左の道から太鼓や笛を鳴らす集団と、ティルン羊の山車が現れた。
今度は白ではなく、色とりどりの紙を貼ったティルン羊だ。
鮮やかな色彩は、前世にあるねぶたの山車を思い出させる。
通りの歓声が大きくなってきたので、ステラ姉さんは俺に聞こえるよう耳元で言う。
「これからあと八台の山車が出てきて、街中を回るのですよ」
つまり、計十台のティルン羊がやって来るのか。。
次々と現れる羊の山車は、ティルン羊というモチーフは共通しているものの、少しずつ違っていた。
体に模様が入っていたり、帽子をかぶっていたり、服を着ていたり、絨毯を背に載せていたり……。
あぁ、そうか。これらは、どれもティリア王国が誇る品なんだ。
ティルン羊はティリア王国の名前の由来であり、国を豊かにしてくれた動物。
山車のティルン羊たちが街を光で満たしていく姿は、まさにそのことを象徴しているようだった。
感動しながら最後の山車を見送っていると、フェリペ国王が俺の隣にいたアンリ義兄さんとステラ姉さんを呼んだ。
「アンリ、ステラ妃。そろそろランタン飛ばしの準備を始めよう」
アンリ義兄さんは振り返って頷く。
「はい。父上」
毎年ランタンを初めに空に飛ばすのは、ティリア国王一家。
広場のステージに立ち、皆が見ている前でランタンを飛ばすらしい。
もちろん既製品ではなく、各々が骨組みから作っているのだという。
王家のランタンは形がすでに決まっているって聞いたけど、もしかして……。
運ばれてきたティリア王家のランタンを見て、俺たちは「わぁ!」と声を上げた。
予想していた通り、ティルン羊の形をしたランタンだ。
バランスをとるためか、羊毛のボリュームがアップした丸いフォルムになっている。
アリスとライラが声を弾ませた。
「「ティルン羊のランタン可愛い~!」」
四体の羊にはそれぞれ違うパーツがつけられていた。
フェリペ国王の羊は、白い体毛に王冠とマントをつけているからわかりやすい。
水色の羊にオレンジのお花があしらわれているのは、多分サフィーナ王妃のランタン。
あの花は王妃の誕生花だって、どこかで聞いた覚えがある。
残る二つは、背中に翼が生えたラベンダー色の羊と、ソメウサギを背に乗せているパステルレインボーの羊。
ソメウサギはキュルンとした目で愛らしく、乗っている羊がパステルレインボーということもあり、どのランタンよりも可愛かった。
ステラ姉さんはラベンダー色が好きだから、これはアンリ義兄さんのやつだな。
アンリ義兄さんのランタン、めちゃくちゃ可愛い。クオリティも高い。
国王夫妻やステラ姉さんも上手なんだけど、アンリ義兄さんは飛び抜けて上手すぎる。
フェリペ国王たちは自分のランタンを手に取ると、ランタンに問題ないかを自ら確認した。
王室のランタン飛ばしは、王国の繁栄を願う儀式でもある。
願い事を空高く飛ばすことが、重要になってくるからなぁ。
確認を終えると、ステラ姉さんが俺に告げる。
「私たちはこれからステージに参ります。イベントが始まるとしばらく戻ってこられませんが、フィルはここにいてくださいね。約束ですよ」
「わかっています。ステラ姉さまの許可なくいなくなったりしません」
俺は胸に手を当てて、ステラ姉さんに誓いを立てる。
「できれば、一緒にランタン飛ばしをしたかったのですが……。すみません」
申し訳なさそうなアンリ義兄さんに、俺は「いえいえ」と横に首を振る。
「大事なご公務ですから、僕らのことはお気になさらず。ここからステージを見ていますね」
サフィーナ王妃とフェリペ国王は、俺たちに向かって微笑んだ。
「一緒にイベントを楽しんでくれたら嬉しいわ」
「お菓子をいっぱい用意したから、皆で食べてゆっくりしておくれ」
俺たちは「はい。ありがとうございます」と笑顔で返した。
お二人は、本当にたくさん甘やかしてくれるなぁ。
そうして、ステラ姉さんたちはステージへ向かい、テラス席は俺たちだけになった。
「フィル様、俺たちもランタンの準備をしましょうか」
カイルに言われ、俺は「そうだね」と頷く。
指定の席は大通りに面した三階建ての建物だ。この通りにある建物では一番高いらしい。
ティリアの王族警備兵に誘導されて、俺たちは裏手からこっそり建物に入る。
テラス席は三十畳ほどの広さで、周りはタンタの簾で囲われていた。
あの簾は、こちらからは見えるが外からは見えにくくなっているそうだ。
だからなのか、囲われていても閉塞感は感じられない。
席は、大きなローテーブルに座椅子という、こちらの世界では珍しい床に座るタイプ。
簾から風が入ってくるから、まるで河川敷にある納涼床みたいだな。
すでに席には、ティリア王国のフェリペ国王陛下とサフィーナ王妃殿下、アンリ義兄さんとステラ姉さんが着いていた。
「遅れて申し訳ありません」
俺たちは慌てて、フェリペ国王とサフィーナ王妃に挨拶をする。
実を言うと、二人に会うのは今日が二回目。昨日初めてご挨拶したんだよね。
ずっと別荘にいて王城に行かなかったから、お会いしたことがなかったのだ。
国王夫妻は厳格そうな雰囲気だったので、初めてご挨拶した時は粗相して怒られないか不安だったが……結論から言うと、そんな心配まったく必要なかった。
お二人は子供好きらしく、俺たち全員頭を撫でられ、お菓子をもらい、めちゃくちゃ可愛がられた。
背が高くて大人っぽいカイルまでもである。
今も頭を下げて礼をする俺たちに、笑って優しく声をかけてくれた。
「今日は祭りの日だ。そんな堅苦しい挨拶はやめよう」
「ええ、そうね。さあさあ、席に座って」
お言葉に甘えて席に座った俺に、アンリ義兄さんは尋ねる。
「街の散策は楽しめましたか?」
聞かれた俺は、コクリと頷いた。
「はい。いろんなお店がありました。お揃いの小さなランタンを買って、お昼は屋台料理を食べ歩きました」
そう話すと、サフィーナ王妃は「あらあら」と困った顔になる。
「お腹を空かせていると思って、皆のためにたくさん夕餉を用意したのだけど……食べられないかしら?」
見れば、給仕係が料理を運んで、ローテーブルに並べていくところだった。
あっという間に、テーブルがいろいろな料理で埋め尽くされる。
今日はお祭りだからか、別荘で出されるような洗練された料理ではなく、山盛りでどどんとお皿に載っており、豪快だ。
久しぶりにこんな山盛り料理を見た。
その迫力に、思わず喉がゴクリと鳴る。
「皆、無理をしなくていいからね」
気遣いを見せるアンリ義兄さんに、レイが首を横に振る。
「いえ! 僕のお腹には余裕があります」
そう言って、ポンと腹を叩く。
フェリペ国王はその仕草を見て、大きな声で笑った。
「あははは! そうかそうか。それは頼もしいな。では、たくさん食べなさい」
「はい! いただきます」
元気に答えるレイにライラは呆れていたが、フェリペ国王とサフィーナ王妃は嬉しそうだ。
和やかな雰囲気の中、俺たちは歓談しつつ食事を始めた。
いつの間にか夕日が落ち、薄暗くなってきた。
俺は席を立って、囲いの隙間から通りを覗き込んだ。
通りではお店や屋台の店主たちが、軒先のランタンに火を灯しているのが見えた。
暗くなりかけていた街が、赤や青や緑や橙の、色とりどりのランタンの灯りで満たされていく。
「わぁ、綺麗だな」
感動する俺の肩に、いつの間に近付いていたのかステラ姉さんがそっと手を置く。
「美しいですわよね。私、この火が灯る瞬間が好きなんです」
通りにいる人々も、ランタンの火を見て歓声を上げ、笑い合っている。
楽しそうな様子を見て、ステラ姉さんの気持ちがわかる気がした。
しばらくそうして通りを眺めていると、どこからともなく太鼓と笛の音が聞こえてきた。
その音に誘われて、レイたちも「なんだなんだ」とやって来る。
「もうすぐ来ますね」
アンリ義兄さんも来て、大通りの奥を指さした。
眼下では、人々が両脇に寄って通りの真ん中を空けている。
だんだんと近づいてくる太鼓の音に、街の人たちのざわめきも熱気を帯びていく。
何が始まるのかわからないけど、ワクワクするな。
そうして待っていると、右の道から小さな横笛を吹き、腰につけた小太鼓を叩く集団が現れた。
一行は同じ衣装を着て、隊列を組み、軽やかにステップを踏みながら音楽を奏でている。
すると、その集団の後ろから、光を纏った羊の山車がゆっくりとカーブを曲がりながらやって来た。
真っ白なティルン羊を模った山車だ。
「わぁ! 大きいティルン羊!」
トーマが大喜びで、手を叩く。
「あれが、ランタン祭りのもう一つの名物。ティルン車です。ランタンと同じ作りで、骨組みはタンタ、覆っているのは紙、光っているのはろうそくです」
あんなに大きな山車を、竹と紙で作り上げたのか。
内部にある灯りにろうそくの火が使われているからか、白い紙は黄金に輝いて見えた。
闇を照らす大きな羊は、どこか神聖さを感じる。
「それにしても、大きいなぁ」
目の前をゆっくりと通っていく山車に、俺は感嘆の息を漏らす。
前で台車を引っ張る人と、後ろから押す人、台車についている車輪の舵をとる人がいて、それぞれが合図を出し合って山車を動かしているみたいだ。
「さっき話しましたとおり、タンタと紙製なので、見た目より重くはないんです。ただ、建物にぶつかると壊れてしまうので、移動は慎重にしなければいけないのですが……」
そうだよね。コントロールが難しそう。
「あ! また新しいティルン羊が来た!」
レイの言葉で再び通りの奥に目をやると、今度は左の道から太鼓や笛を鳴らす集団と、ティルン羊の山車が現れた。
今度は白ではなく、色とりどりの紙を貼ったティルン羊だ。
鮮やかな色彩は、前世にあるねぶたの山車を思い出させる。
通りの歓声が大きくなってきたので、ステラ姉さんは俺に聞こえるよう耳元で言う。
「これからあと八台の山車が出てきて、街中を回るのですよ」
つまり、計十台のティルン羊がやって来るのか。。
次々と現れる羊の山車は、ティルン羊というモチーフは共通しているものの、少しずつ違っていた。
体に模様が入っていたり、帽子をかぶっていたり、服を着ていたり、絨毯を背に載せていたり……。
あぁ、そうか。これらは、どれもティリア王国が誇る品なんだ。
ティルン羊はティリア王国の名前の由来であり、国を豊かにしてくれた動物。
山車のティルン羊たちが街を光で満たしていく姿は、まさにそのことを象徴しているようだった。
感動しながら最後の山車を見送っていると、フェリペ国王が俺の隣にいたアンリ義兄さんとステラ姉さんを呼んだ。
「アンリ、ステラ妃。そろそろランタン飛ばしの準備を始めよう」
アンリ義兄さんは振り返って頷く。
「はい。父上」
毎年ランタンを初めに空に飛ばすのは、ティリア国王一家。
広場のステージに立ち、皆が見ている前でランタンを飛ばすらしい。
もちろん既製品ではなく、各々が骨組みから作っているのだという。
王家のランタンは形がすでに決まっているって聞いたけど、もしかして……。
運ばれてきたティリア王家のランタンを見て、俺たちは「わぁ!」と声を上げた。
予想していた通り、ティルン羊の形をしたランタンだ。
バランスをとるためか、羊毛のボリュームがアップした丸いフォルムになっている。
アリスとライラが声を弾ませた。
「「ティルン羊のランタン可愛い~!」」
四体の羊にはそれぞれ違うパーツがつけられていた。
フェリペ国王の羊は、白い体毛に王冠とマントをつけているからわかりやすい。
水色の羊にオレンジのお花があしらわれているのは、多分サフィーナ王妃のランタン。
あの花は王妃の誕生花だって、どこかで聞いた覚えがある。
残る二つは、背中に翼が生えたラベンダー色の羊と、ソメウサギを背に乗せているパステルレインボーの羊。
ソメウサギはキュルンとした目で愛らしく、乗っている羊がパステルレインボーということもあり、どのランタンよりも可愛かった。
ステラ姉さんはラベンダー色が好きだから、これはアンリ義兄さんのやつだな。
アンリ義兄さんのランタン、めちゃくちゃ可愛い。クオリティも高い。
国王夫妻やステラ姉さんも上手なんだけど、アンリ義兄さんは飛び抜けて上手すぎる。
フェリペ国王たちは自分のランタンを手に取ると、ランタンに問題ないかを自ら確認した。
王室のランタン飛ばしは、王国の繁栄を願う儀式でもある。
願い事を空高く飛ばすことが、重要になってくるからなぁ。
確認を終えると、ステラ姉さんが俺に告げる。
「私たちはこれからステージに参ります。イベントが始まるとしばらく戻ってこられませんが、フィルはここにいてくださいね。約束ですよ」
「わかっています。ステラ姉さまの許可なくいなくなったりしません」
俺は胸に手を当てて、ステラ姉さんに誓いを立てる。
「できれば、一緒にランタン飛ばしをしたかったのですが……。すみません」
申し訳なさそうなアンリ義兄さんに、俺は「いえいえ」と横に首を振る。
「大事なご公務ですから、僕らのことはお気になさらず。ここからステージを見ていますね」
サフィーナ王妃とフェリペ国王は、俺たちに向かって微笑んだ。
「一緒にイベントを楽しんでくれたら嬉しいわ」
「お菓子をいっぱい用意したから、皆で食べてゆっくりしておくれ」
俺たちは「はい。ありがとうございます」と笑顔で返した。
お二人は、本当にたくさん甘やかしてくれるなぁ。
そうして、ステラ姉さんたちはステージへ向かい、テラス席は俺たちだけになった。
「フィル様、俺たちもランタンの準備をしましょうか」
カイルに言われ、俺は「そうだね」と頷く。
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