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第2話
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「つまり、この国は聖属性を持つ人を別の世界から連れてこないと使える人がいない。なのにいわゆる、モンスターのような生き物が生み出す瘴気をどうにかするには聖属性の魔法を使うしかない。それをどうにかする為に別世界にいる適性を持つ人をランダムで召喚していると……」
まるでゲームやアニメの中に出てくるような豪華な客室に案内された硝子と庵は部屋を見渡すのもそこそこにふかふかのソファに腰掛けるように促されると言われるがままに座り目の前に座るカイゼリオンの声に耳を傾けた。
そしてカイゼリオンが語ったのはこの国の、いや、この世界の欠けた部分についてだった。
「他の国も聖女様の召喚を成功させていて、この国だけだったんです。聖女様がいないのは……民達にも心配をかけてしまっていて……ショーコ様とイオリ様からすればかなり迷惑な願いだとは思うのですがどうか。どうか、私達の国を助けていただけないでしょうか……?」
カイゼリオンはそう言うとわざわざ立ち上がり深々と頭を下げた。その姿を見た庵は慌てて顔を上げるようにカイゼリオンに告げる。
自分達とは関係のない人とはいえ、仮にもこの国の第一王子。頭を下げさせたままではいられない。
「とはいえ、どうする庵?話を聞いた限り、帰る方法は分からないみたいだし……」
「う~ん……まぁ、僕達の衣食住をちゃんとしてくれるって言うなら……頑張ってみようかなぁ……」
「本当ですか?!」
「断った所でする事も行く所もないですからね」
「ありがとうございますっ……」
目を潤ませて庵にお礼を言うカイゼリオンを見ていると本当に頭を悩ませていたんだとわかる。きっと、カイゼリオンがここまで純粋に国の事を考えていなければ硝子も庵もこの場に留まると言わなかっただろう。
「でも、自分はどうすれば?庵みたいに聖属性が使える訳じゃなさそうだし……」
「この後、鑑定士を呼んでショーコ様とイオリ様のステータスを確認しますのでこれからの事はその後に考えましょう。ルシェル、彼を呼んできて」
「はい」
硝子と庵に一礼して部屋を後にしたルシェルに対して二人はもう嫌な感情は抱いていない。むしろ、好印象を抱いていた。
「ルシェルさん、普通に常識的な人でよかったね。硝子」
「本当にね。カイゼリオンさんもいい人そうだし、むしろ呼ばれたのがこの国で良かったのかも」
「お前ら……第一王子に対して「いい人そう」って……」
「いいんだよジェット。警戒していた二人にそう言ってもらえるなんていい事じゃないか」
ジェットと呼ばれたカイゼリオンの護衛騎士は呆れたように硝子と庵にそう言うがそれをカイゼリオンはいいんだと言って優しくたしなめた。
こういうところを見て硝子と庵はこの国は恵まれていると悟った。こんなにも器が大きくて穏やかで国の事を考えて頭を悩ませている人が第一王子なのだから。
「カイゼリオン様、グラシエルを連れて来ました」
「ありがとうルシェル。久しいねグラシエル。急な呼び出しに応じてくれて感謝するよ」
「いえ、カイゼリオン様の為ならばですよ……それで、鑑定をして欲しい客人というのは……そちらの?」
ルシェルに連れられてやってきたのはこれまた美形な少し冷たい印象を与える青年だった。
「ショーコ様、イオリ様。こちらが国一番の鑑定士グラシエル・アクアリス。グラシエル、このお二人が聖女召喚の儀によりこの国に呼び出されたショーコ様とイオリ様だ」
「二人ですか?」
「グラシエル、これは他言無用なのだが……召喚は確かに成功した。ルシェルの魔法の腕はよく知っているだろう?本来なら、聖女様一人が召喚されるのだが……我が国が召喚したのは二人。魔法陣に呼び出されたのはイオリ様なのだが、イオリ様は女性ではなく男性なんだ」
「なるほど、より詳しく調べる為に私を呼んだのですね」
「やってくれるか?」
「もちろんですよ。それではお二人共、こちらのカードを手に持ってください」
グラシエルはそう言って硝子と庵に透明なカードを手渡すと2人の手の上に自分の手を重ねた。
「今から私の魔力を流します。体の中に温かいものが流れた感覚があったらそれをカードを持つ手に移動させるイメージを頭の中に浮かべてください。私がいいと言うまで」
「はい」
「わかりました」
「ではいきますよ」
グラシエルの合図と共に硝子と庵の体には温かいものが流れ始める。何か知らないものが体の中を流れているのに不快な感じはなくて、どこか安心するような温かさ。硝子と庵は言われた通りに温かいものが指先に移動するようなイメージを頭の中に浮かべる。
「いいですね。その調子で、あと少しですよ」
ここに来た時よりも優しげな声が聞こえ肩の力が抜ける。そして、少ししてグラシエルから『もういいですよ』と声がかけられた。
「お二人共、手元のカードに文字が書かれているのが分かりますか?」
そう聞かれ手元を見ると確かにカードには細かい文字がたくさん書かれていた。
「これがステータスかぁ……」
「イオリ様、見せていただいても?」
「うん、アルディアさんならいいですよ」
「ありがとうございます」
アルディアは庵から手渡されたカードに目を通すと『やはり……』と呟いた。
「イオリ様は魔法適性がとても高いですね。聖属性はもちろん、様々な属性に適性があるみたいです」
「え、そうなんだ」
「カイゼリオン様、それって……」
「あぁ。イオリ様、貴方はとても希少な力の持ち主のようです」
「へぇ……」
カイゼリオンから返されたカードを見るが庵はイマイチピンと来ない。確かに魔法系の数値が高いのが見てわかるが男たるもの物理系も適性が欲しかったところなのだが、どうやら庵に物理系の適性はほとんどなかったらしい。少し不服そうにしながらも庵は隣で静かにカードを見ていた硝子に声をかけた。
「……硝子?どうだった?」
庵の声にその場にいた四人の視線が硝子に注がれる。そして、最後まで読んだ硝子は『なるほどね』と呟くとカイゼリオンにカードを手渡した。
「魔法適性はほぼナシ。代わりに固有ギフトってやつで【剣武の才】と【真眼】アリ。体力と攻撃力にパラメーター極振り脳筋タイプかな?」
「固有ギフト……?!」
「カイゼリオンさん?」
「ショーコ様、固有ギフトというのは神の気まぐれで稀に与えられるギフトの事で……それが2つもなんて……」
「スゲェなお前ら。規格外にも程がある」
驚いたようにジェットはそう言うが、当たり前のように硝子と庵はピンと来ない。
どうやら揃って規格外な能力をこちらに来る際に与えられたらしい。
「とりあえず、僕は聖魔法?ってやつを勉強すればいいのかな?」
「庵はそうだろうね。自分は……そうだな。庵を守れるように剣を学ぶのもいいかもしれない」
硝子の言葉を聞いてジェットが『それなら』と手を上げる。
「ショーコ……様は騎士団の方に来てみては?【剣武の才】なんて固有ギフトがあるのであればやって行けると思うんだが……」
「あ、ショーコでいいですよ。様はいらないです」
「いいのか?」
「様を付けられるような人ではないので」
「僕も、様はいらないかな。イオリでいいです。カイゼリオンさんも、もちろんルシェルさんとグラシエルさんも」
最初はそういう訳にはいかないと言っていたカイゼリオン達なのだが、硝子と庵がそうしてくれないと嫌だと言い続ければついには折れて『様は付けないが敬語は使う』という事で納得した。
「では、今後の事ですが……お二人にはそれぞれちゃんとお部屋をご用意させていただきます。必要なものがあれば遠慮なく声をかけてください。そして少し落ち着いたらイオリは魔法の勉強、ショーコは剣の練習を開始しましょう。そして二人に付き添う護衛騎士を選ばないといけないのですが……ジェット、いい人はいるかな?」
カイゼリオンがそう声をかけるとジェットは少し考えてから『呼んでくる』とその場を後にした。
「カイゼリオンさん、わざわざ護衛騎士なんて用意しなくても……」
「イオリ。油断したらダメなんですよ。例え王城でも、良くないことを考える人はたくさんいるんです」
カイゼリオンの真剣な眼差しにここは絶対に安全だと言える場所では無いと理解した。
そしてジェットが護衛騎士候補を呼びに行き数分が経過した。のんびりと紅茶を飲みながら待っているとノック音が聞こえてジェットが戻ってきた。
「カイゼリオン様。呼んできました」
「ありがとうジェット。紹介してくれるかな?」
「ヴァルディスとディオクルだ」
ジェットが連れてきたのは二人の若い騎士だった。細身な背の高い端正な顔つきのヴァルディスと背が高くガッチリした体型のディオクル。ジェット曰く、将来有望な優秀な騎士達らしい。
「どっちがどっちの護衛騎士になってもいいと思っているんだが……」
実力はトントン。ゆえにどちらについても問題ないと言うジェットの言葉を受けた硝子と庵が話し合った結果、庵には安易に人が近づけないように強面でガッチリしているディオクル。そして、硝子には基本無表情で口数の少ないヴァルディスが護衛騎士として共に行動する事が決まった。
「さぁ、今日はもう遅いですからショーコとイオリを部屋に案内して残りは明日話しましょうか」
カイゼリオンの一声で立ち上がった硝子達はそのまま前をカイゼリオンとジェット。左右をルシェルとグラシエル。そして後ろをヴァルディスとディオクルが守りながら与えられる予定の部屋まで歩いていくのであった。
まるでゲームやアニメの中に出てくるような豪華な客室に案内された硝子と庵は部屋を見渡すのもそこそこにふかふかのソファに腰掛けるように促されると言われるがままに座り目の前に座るカイゼリオンの声に耳を傾けた。
そしてカイゼリオンが語ったのはこの国の、いや、この世界の欠けた部分についてだった。
「他の国も聖女様の召喚を成功させていて、この国だけだったんです。聖女様がいないのは……民達にも心配をかけてしまっていて……ショーコ様とイオリ様からすればかなり迷惑な願いだとは思うのですがどうか。どうか、私達の国を助けていただけないでしょうか……?」
カイゼリオンはそう言うとわざわざ立ち上がり深々と頭を下げた。その姿を見た庵は慌てて顔を上げるようにカイゼリオンに告げる。
自分達とは関係のない人とはいえ、仮にもこの国の第一王子。頭を下げさせたままではいられない。
「とはいえ、どうする庵?話を聞いた限り、帰る方法は分からないみたいだし……」
「う~ん……まぁ、僕達の衣食住をちゃんとしてくれるって言うなら……頑張ってみようかなぁ……」
「本当ですか?!」
「断った所でする事も行く所もないですからね」
「ありがとうございますっ……」
目を潤ませて庵にお礼を言うカイゼリオンを見ていると本当に頭を悩ませていたんだとわかる。きっと、カイゼリオンがここまで純粋に国の事を考えていなければ硝子も庵もこの場に留まると言わなかっただろう。
「でも、自分はどうすれば?庵みたいに聖属性が使える訳じゃなさそうだし……」
「この後、鑑定士を呼んでショーコ様とイオリ様のステータスを確認しますのでこれからの事はその後に考えましょう。ルシェル、彼を呼んできて」
「はい」
硝子と庵に一礼して部屋を後にしたルシェルに対して二人はもう嫌な感情は抱いていない。むしろ、好印象を抱いていた。
「ルシェルさん、普通に常識的な人でよかったね。硝子」
「本当にね。カイゼリオンさんもいい人そうだし、むしろ呼ばれたのがこの国で良かったのかも」
「お前ら……第一王子に対して「いい人そう」って……」
「いいんだよジェット。警戒していた二人にそう言ってもらえるなんていい事じゃないか」
ジェットと呼ばれたカイゼリオンの護衛騎士は呆れたように硝子と庵にそう言うがそれをカイゼリオンはいいんだと言って優しくたしなめた。
こういうところを見て硝子と庵はこの国は恵まれていると悟った。こんなにも器が大きくて穏やかで国の事を考えて頭を悩ませている人が第一王子なのだから。
「カイゼリオン様、グラシエルを連れて来ました」
「ありがとうルシェル。久しいねグラシエル。急な呼び出しに応じてくれて感謝するよ」
「いえ、カイゼリオン様の為ならばですよ……それで、鑑定をして欲しい客人というのは……そちらの?」
ルシェルに連れられてやってきたのはこれまた美形な少し冷たい印象を与える青年だった。
「ショーコ様、イオリ様。こちらが国一番の鑑定士グラシエル・アクアリス。グラシエル、このお二人が聖女召喚の儀によりこの国に呼び出されたショーコ様とイオリ様だ」
「二人ですか?」
「グラシエル、これは他言無用なのだが……召喚は確かに成功した。ルシェルの魔法の腕はよく知っているだろう?本来なら、聖女様一人が召喚されるのだが……我が国が召喚したのは二人。魔法陣に呼び出されたのはイオリ様なのだが、イオリ様は女性ではなく男性なんだ」
「なるほど、より詳しく調べる為に私を呼んだのですね」
「やってくれるか?」
「もちろんですよ。それではお二人共、こちらのカードを手に持ってください」
グラシエルはそう言って硝子と庵に透明なカードを手渡すと2人の手の上に自分の手を重ねた。
「今から私の魔力を流します。体の中に温かいものが流れた感覚があったらそれをカードを持つ手に移動させるイメージを頭の中に浮かべてください。私がいいと言うまで」
「はい」
「わかりました」
「ではいきますよ」
グラシエルの合図と共に硝子と庵の体には温かいものが流れ始める。何か知らないものが体の中を流れているのに不快な感じはなくて、どこか安心するような温かさ。硝子と庵は言われた通りに温かいものが指先に移動するようなイメージを頭の中に浮かべる。
「いいですね。その調子で、あと少しですよ」
ここに来た時よりも優しげな声が聞こえ肩の力が抜ける。そして、少ししてグラシエルから『もういいですよ』と声がかけられた。
「お二人共、手元のカードに文字が書かれているのが分かりますか?」
そう聞かれ手元を見ると確かにカードには細かい文字がたくさん書かれていた。
「これがステータスかぁ……」
「イオリ様、見せていただいても?」
「うん、アルディアさんならいいですよ」
「ありがとうございます」
アルディアは庵から手渡されたカードに目を通すと『やはり……』と呟いた。
「イオリ様は魔法適性がとても高いですね。聖属性はもちろん、様々な属性に適性があるみたいです」
「え、そうなんだ」
「カイゼリオン様、それって……」
「あぁ。イオリ様、貴方はとても希少な力の持ち主のようです」
「へぇ……」
カイゼリオンから返されたカードを見るが庵はイマイチピンと来ない。確かに魔法系の数値が高いのが見てわかるが男たるもの物理系も適性が欲しかったところなのだが、どうやら庵に物理系の適性はほとんどなかったらしい。少し不服そうにしながらも庵は隣で静かにカードを見ていた硝子に声をかけた。
「……硝子?どうだった?」
庵の声にその場にいた四人の視線が硝子に注がれる。そして、最後まで読んだ硝子は『なるほどね』と呟くとカイゼリオンにカードを手渡した。
「魔法適性はほぼナシ。代わりに固有ギフトってやつで【剣武の才】と【真眼】アリ。体力と攻撃力にパラメーター極振り脳筋タイプかな?」
「固有ギフト……?!」
「カイゼリオンさん?」
「ショーコ様、固有ギフトというのは神の気まぐれで稀に与えられるギフトの事で……それが2つもなんて……」
「スゲェなお前ら。規格外にも程がある」
驚いたようにジェットはそう言うが、当たり前のように硝子と庵はピンと来ない。
どうやら揃って規格外な能力をこちらに来る際に与えられたらしい。
「とりあえず、僕は聖魔法?ってやつを勉強すればいいのかな?」
「庵はそうだろうね。自分は……そうだな。庵を守れるように剣を学ぶのもいいかもしれない」
硝子の言葉を聞いてジェットが『それなら』と手を上げる。
「ショーコ……様は騎士団の方に来てみては?【剣武の才】なんて固有ギフトがあるのであればやって行けると思うんだが……」
「あ、ショーコでいいですよ。様はいらないです」
「いいのか?」
「様を付けられるような人ではないので」
「僕も、様はいらないかな。イオリでいいです。カイゼリオンさんも、もちろんルシェルさんとグラシエルさんも」
最初はそういう訳にはいかないと言っていたカイゼリオン達なのだが、硝子と庵がそうしてくれないと嫌だと言い続ければついには折れて『様は付けないが敬語は使う』という事で納得した。
「では、今後の事ですが……お二人にはそれぞれちゃんとお部屋をご用意させていただきます。必要なものがあれば遠慮なく声をかけてください。そして少し落ち着いたらイオリは魔法の勉強、ショーコは剣の練習を開始しましょう。そして二人に付き添う護衛騎士を選ばないといけないのですが……ジェット、いい人はいるかな?」
カイゼリオンがそう声をかけるとジェットは少し考えてから『呼んでくる』とその場を後にした。
「カイゼリオンさん、わざわざ護衛騎士なんて用意しなくても……」
「イオリ。油断したらダメなんですよ。例え王城でも、良くないことを考える人はたくさんいるんです」
カイゼリオンの真剣な眼差しにここは絶対に安全だと言える場所では無いと理解した。
そしてジェットが護衛騎士候補を呼びに行き数分が経過した。のんびりと紅茶を飲みながら待っているとノック音が聞こえてジェットが戻ってきた。
「カイゼリオン様。呼んできました」
「ありがとうジェット。紹介してくれるかな?」
「ヴァルディスとディオクルだ」
ジェットが連れてきたのは二人の若い騎士だった。細身な背の高い端正な顔つきのヴァルディスと背が高くガッチリした体型のディオクル。ジェット曰く、将来有望な優秀な騎士達らしい。
「どっちがどっちの護衛騎士になってもいいと思っているんだが……」
実力はトントン。ゆえにどちらについても問題ないと言うジェットの言葉を受けた硝子と庵が話し合った結果、庵には安易に人が近づけないように強面でガッチリしているディオクル。そして、硝子には基本無表情で口数の少ないヴァルディスが護衛騎士として共に行動する事が決まった。
「さぁ、今日はもう遅いですからショーコとイオリを部屋に案内して残りは明日話しましょうか」
カイゼリオンの一声で立ち上がった硝子達はそのまま前をカイゼリオンとジェット。左右をルシェルとグラシエル。そして後ろをヴァルディスとディオクルが守りながら与えられる予定の部屋まで歩いていくのであった。
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