君は僕だけの

アラレ

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5時45分※

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寂しかった



私はこんなにも話したいのに



伊央はそうじゃないのかな










「結希、好きな人出来たでしょ」



「え」





かなにはすぐにバレた



伊央のサボり場所をばらさないように、なんとなく誰にも言ってなかったけど





「…さすがです」



「いいから、誰?」



名前を告げると、どうやら予想があたっていたようで、そこまで驚いてはいなかった




「え?!なんで分かったの?!」



「見すぎだし」



「…気をつけよう」




「話してるのあんま見たことないけど」




「…最近全然話してない」




「…いいの?」





「よくない」






よくないよやっぱり




平気な顔しやがって吉高このやろう





でも私は話したい






「吉高いないし、またサボってんじゃん?

探してくれば?」



今は体育の時間


たしかに伊央は見当たらない






場所は分かってる







「ごめんかな、行ってくる」



「頑張れ」




伊央のこと嫌いって言ってたのに、私の幼なじみはなんて良い奴なんだ






「先生ー!結希が体調悪いみたいです!」



「お?大丈夫か、保健室行っていいぞ!1人で行けるか?」




「…はい、すみません」



先生ほんとにすみません、仮病です








もちろん保健室へは行かず、思いっきり走った


多分君がいる、あの場所へ











「…やっぱりいた」



彼はいつかと同じように、そこに腰掛けていた




「え、どうしたの?結希もさぼったの」





伊央は驚いた様子で、立ち上がってこちらに来る





どうしたのって



貴方が話してくれないからですよ





自分はすぐサボるくせに



人が珍しくサボったからってそうやって心配して




そういうとこ、意味わかんない








「…泣いてんじゃん、何かあった?」





全然泣くとこじゃないのに



なんだか込み上げた









「伊央、」



「…ん?」





「っ、寂しいよ…




話したいよ、」









なんて言おうか考えたけど、全然まとまらなくて、言ったのはそれだけ



でも、伊央にはちゃんと伝わったみたい





一瞬驚いた顔をして、微笑んだ



私の目元に触れ、涙を優しく拭ってくれた





「…俺も、話したい」





照れ屋な伊央が、一生懸命に目を合わせてそういうものだから、なんだかおかしくなって





「ふふっ…」


「…おい」




気づけば笑っていた








それから、部活終わりによくからむようになった




休日、午前練のときは、昼から公園でバスケしたり



どっちかの家でお笑い見たり、漫画読んだり、ゲームしたり




夜のお笑い番組の日は速攻で帰ってお風呂とご飯済ませて、電話を繋げて一緒に見たりもした





気づけば、毎日一緒にいた









「伊央ー!昨日の見逃したー!」




「だと思って録画した、来る?」




「これだから伊央は最高!」






家は録画が出来なかったから、見逃した番組はよく伊央の家で見た







でもやっぱり教室で話すのはあんまり好きじゃないみたいで、


からかってしつこく話しかけると怒られた


そんな感じで、私達が仲良しってことを知る人は少なかった








この関係を進めたいとかは、あまり思ってなかった


私達は私達の時間を大切にしていたから




なにより伊央が、それを望んでいないような気がした






そしてめぐってきた一度目のバレンタイン



もちろん伊央にチョコを渡した


でも、友達として



私は告白をしなかった









そして、私達は2年生になった

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