君は僕だけの

アラレ

文字の大きさ
上 下
48 / 51

5時55分※

しおりを挟む
それから、席はとっくに離れ、


夏が来て、秋が来た







私達は、ずっと変わらないまま








「伊央~~助けて~~!」



「助けるから俺も助けて」





そういえば私達は、得意科目と苦手科目が真逆で


テスト前はいつも2人で教えあってた





「結希ちゃん、伊央のことお願いね~、これでも飲んで頑張って」



「ああああ伊央ママありがとうございます!」




両方とも親公認だったから、夜中までいることもあった






「伊央これ分かんない~~」


「ちょ、教えるから泣くなってまた」



「無理ーー数学嫌いーーー」



器用な伊央は苦手って言っても教えたらすぐにできる


だから基本的に迷惑をかけていたのは私







「テスト終わったらM-1だよ」



「いやだーーー頑張るーーー」



そう、季節は冬に移り変わり、

お笑い好きの私達にとっての大イベント



M-1グランプリが迫っていた









そんな波乱のテストも終わり、部活も再開した




「結果どうだった?」


「ばっちり!!伊央は?」


「俺もまぁそこそこ」






これでM-1を堪能出来る



約束した訳じゃないけど、また電話繋いで見るんだろうなってなんとなく思ってたんだけど…








「結希ー、今週の土曜男女バスケ部で栄養会するんだけど、来れそう?」



部活の先輩から栄養会に誘われた




土曜日って、M-1の日じゃん






「あー、その日は…」


「何かある??まじかぁ!結構行けない子達多いみたいでさ、行けそうだったら教えて!」




「あ、いや、大丈夫です!行けます!」



「ほんとに?!ありがとう!」





こういうとき、断れない自分が辛い













「え、俺?行かないよM-1あるし」



「だよねえええええ」




伊央はもちろん速攻で断ったようだ





「結希行くの?」



「…ごめん、断れなくて」



ほんとは午前練だから、2時から敗者復活戦見て、準備して7時から本戦を見る予定だった







「そっか」


「…」





「じゃあ、次の日家来れば?録画しとくわ」




「え、…怒んないの?」





「…なんでそんなことで怒るの


結希がそういうの断れないの知ってるし


てか今回人数少ないって聞いて気にしたんでしょ、そういうお人好しなの、結希の良いとこだし」






「だって、せっかく楽しみにして、テストも頑張ったのに…」





「いや補習で見れないとかだったら多分怒るけどね、テストはばっちりだったんでしょ、

もう時間微妙だから、敗者復活戦も見るなよ、
1日我慢ね」




「…うん」


伊央の優しさに、ちょっとだけ泣きそうになった























「おじゃましまーす!」




「敗者復活から見るでしょ?」


「もちろん!」






「うわー、今回本戦に知らない人多いと思ったらこっちに常連が集まってんね」




「…ん?もしかして伊央も見てないの?」



「…そうだけど」




「え?!なんで?!わざわざ栄養会断ったのに!」




「別に、M-1なくても断るし







てか、一緒に見た方が絶対いいでしょ」















「…ははっ、まじかぁ」



私は多分、伊央のこういう所が好き




のらりくらりとしてて、好きなことには全力、嫌いなことはやらない



自分に正直で、相手の顔色をうかがっちゃう私とは大違い


そんな伊央だから、私も伊央の前では自分に正直で居られたし、一緒にいて楽しかった





そんな自由で、器用な伊央が羨ましくて、





でもこうやってなんだかんだ優しくて


器用な伊央の邪魔ばっかする不器用な私を



いつも助けてくれる






「…ちょっと、何笑ってんの


結希のせいで昨日から携帯触ってないんだからね」





「ははは!一緒!ネットニュースにすぐ結果のせるもんね!」







そんな伊央が、大好き








伊央も、私もこの関係を大切に思ってる


壊したくない






でもここままじゃ、私はやっぱりいや






私が均衡を破り、進もうとしたとして




それが叶わなかったとしても





この関係だけは絶対に、終わらせない







だから、せめて伝えたい



私が伊央に抱いてる気持ち




だって、この先二度と出会えない、こんな人
































 
しおりを挟む

処理中です...