天使の国のシャイニー

悠月かな(ゆづきかな)

文字の大きさ
34 / 54

地球とシャイニーの疑問

しおりを挟む
シャイニーとフレームが図書室に向かった頃、ラフィはサビィの部屋にいた。

「それで…問題はフレームの事か…」
「そうなんだ…サビィ。フレームは危うさもあるけど、大きな可能性も秘めている。ただ…今、1人で修業に向かわせるのはどうかと思うんだ。」

サビィとラフィは、マレンジュリティーの入ったカップを手に、フレームの修業の旅について話していた。

「私もフレームの可能性を信じている。しかし、確かに1人で修業の旅に出るのは…」

サビィは、押し黙ると暫く考えていたがフッと顔を上げた。

「では、こうしよう。」

そう言うと、サビィは白く長い指で銀色に輝く美しい長い髪を1本抜くとフーッと息を吹きかけた。
すると、その髪はムクムクと動き出し少しずつ形を変え、やがて小さなサビィの姿となった。

「随分、可愛らしいサビィだね。」
「可愛らしいは余計だ。」

サビィが不愉快そうにムッとすると、ラフィはクスクス笑いながら小さなサビィを手の平に乗せ、楽しそうに眺めた。
そして、指を伸ばすと軽く突いた。

「ラフィ!私を突くのをやめろ!」

小さなサビィは、乱れた髪を直しながらラフィを軽く睨み抗議した。

「へぇ~喋るんだね。こんなに小さくても、ちゃんとサビィなんだ。」
「ちゃんとサビィとは、どういう意味だ?」
「いや…こんなに小さくても仕草や話し方はサビィなんだな…と思って。」

ラフィはクスクス笑いながら、小さなサビィをソッとテーブルに置いた。

「それで、この小さいけどちゃんとサビィをどうするんだい?」
「ラフィ、その呼び方をやめてくれないか。この私の分身にフレームを見守らせる。分身が見たものは、全て私の頭にビジョンとして浮かぶ。何か異変があった時は、すぐに対処できるだろう。」
「なるほどね。フレームには気付かれない?」
「その心配はない。この分身は姿を消す事ができる。」

サビィの言葉を聞いた小さなサビィは、スッと姿を消したかと思うと、すぐに姿を現してみせた。

「へぇ~小さくてもちゃんとサビィも凄いね。さすがサビィ!」
「ラフィ、それは褒めているのか?あまり褒められている気はしないのだが…」
「もちろん、しっかり褒めてるよ。これならフレームに気付かれず見守る事ができるね。」

ラフィは笑顔でサビィを見ていたが、突然スッと笑顔を消し真剣な表情になった。

「サビィ、もう一つ話しがあるんだ。実は…先日、シャイニーの前に"地球に続く扉" が現れた。」
「何!それは本当か?」

サビィは、身を乗り出しラフィを見つめた。

「うん。ブランカ以来の出来事だ。」
「そうか…それは、やはりシャイニーだからか…」
「僕もそう思う。"地球に続く扉" がシャイニーを選んだのかもしれない…シャイニーは、扉の先で泣いている女の子を見たんだ。」
「なるほど…地球がシャイニーを呼んでいるのか…その泣いていた女の子とどのような関係があるのか…」
「うん。ブランカの時と同じだと思う。泣いていた女の子との関連性は分からないけどね。まぁ…でも、修業先をどこの惑星に決めるかは、シャイニー次第だね。」
「そうだな…私達はシャイニーの決断を見守るしかないからな。」
「そういう事。それじゃ、僕からの報告は以上だよ。あ!それから、子供達が惑星について相談しに来るかもしれないから、その時は対応よろしくね。」
「ああ、分かった。」
「それじゃ、僕は戻るとするよ。」

ラフィは、笑顔で軽く手を振りながらスーッと姿を消した。

「ラフィ…ブランカ以来の "地球に続く扉" の出現に思うところがあるだろうに…君は、本心を語るつもりはないのだな…」

サビィは、すっかり冷めたマレンジュレテイーを飲み干すと溜め息を吐くのだった。


シャイニーとフレームが図書室に着くと、たくさんの子供達が惑星についての本を探しに来ていた。
図書室を管理している鳥、クレイリーも忙しそうにあちこち飛び回っている。

「クレイリー、忙しそうだね…」
「ああ、やっぱり考える事はみんな同じだな。」
「うん。とりあえず、クレイリーを呼んでみよう。」

2人が口笛を吹くと、体が真っ白でくちばしが金色のクレイリーが2羽飛んできた。
そして、シャイニーとフレームの手にそれぞれ止まった。

「クレイリー、地球に関する本が並んでいる棚を教えて。」

クレイリーはジッとシャイニーの言葉を聞いていたが、頷いたかと思うとフワッと舞い上がりシャイニーを見た。

「フレーム、先に調べてくるね。」

シャイニーは、クレイリーの後を追い飛び立った。

「よし!俺は、やっぱり情熱の惑星のレイニー星だな。クレイリー、レイニー星に関する本が並んでいる棚を教えてくれ。」

クレイリーが頷き舞い上がると、フレームも後を追い飛び立った。



シャイニーは、クレイリーの案内で地球に関する本が並ぶ棚を見ていた。

(わぁ~思ったより色々あるんだな…どの本から読もう…)

シャイニーは、本を一冊取りパラパラとめくった。

(この本は、ちょっと僕には難しいな…)

その本を戻し他の本を手に取ってみる。

(これは、僕の知りたい事が書いてない…)

シャイニーは、本を取っては戻す作業を何回か繰り返していた。

(なかなか見つからないな…)

溜め息を吐きながら、また別の本を取りめくった瞬間、シャイニーの目が輝いた。

(この本、凄く綺麗だ!)

その本は、地球の姿が詳細に描かれた画集だった。
遠くから見た地球の姿だけではなく、近くに寄り陸地まで細かく描かれている絵もあった。

(一冊は、この本にしよう。)

その後、シャイニーは画集以外に2冊の本を選び図書室の入り口まで戻った。

(フレームはまだかな?)

空中に浮いている本棚を見上げていると、フレームが数冊の本を抱えて戻ってきた。

「シャイニーごめん。待ったか?」
「ううん。僕も今戻って来たところだよ。」
「そっか、それじゃ部屋に戻るか?」
「うん!」

その後、部屋に戻るとシャイニーの髪の中からフルルが飛び出し部屋の中を飛び回り始めた。

「フルル、ずっと髪の中に隠れてたもんね。僕は本を読むから遊んでてね。」

シャイニーは、早速借りてきた本をテーブル並べてみた。

  " 画集 地球 "
  " 地球に生息する生物 "
  " 地球の人類について "

「やっぱり、まずはこの本かな。」

シャイニーが選んだ本は画集だった。
広げると、青と白のコントラストが美しい地球が大きく描かれていた。

「何度見ても綺麗だな~」

画集のページをめくっていくと、様々な地球の姿が目に飛び込んでくる。

「この緑色の光は何だろう?」

めくる手を止めたページには、緑色の光が一部掛かり揺らめいている地球の姿が描かれていた。

「あ!ページの下に何か書いてある。え~と、地球にオーロラが発生した様子…そっか、この光はオーロラと呼ばれてるんだ~綺麗だな~」

シャイニーは、地球の美しさにすっかり魅了されていた。
そして、この画集には地球の自然も描かれていた。
それは、真っ青な海や季節により色合いも様子も変わる山々であったり、雪景色や湖、たくさんの水が落下する大きな滝など、天使の国では見た事がない景色ばかりであった。

「ふぅ~」

シャイニーは夢心地で画集を閉じ、別の本を手に取った。

「次は… " 地球に生息する生物 " にしよう。」

本をめくっていくと、小さな虫や可愛らしい小動物や大型の肉食獣や草食動物、綺麗な花々や緑豊かな森林、そして人類の事も書かれていた。

「地球には、本当にたくさんの生物がいるんだ…やっぱり、自然豊かな惑星だからなんだろうな。」

そして、シャイニーは最後に ''地球の人類について ” に手を伸ばした。

(地球の人類…この間、" 地球に続く扉 "の先で見た琴ちゃんを思い出すな…)

「地球には様々な人々が住んでいる。地域により文化や言葉の違いや肌や髪の色の違いがある…これは、ラフィ先生も言ってたな…」

シャイニーは順調に読み進めていったが、あるページで、めくる手をピタリと止めた。

(地球に住む人々は、戦争や内戦、反乱を繰り返してきた。戦争とは、一般的に自衛や利益の確保を目的としている。現在では、自衛以外の侵略戦争は禁じられている…)

シャイニーは、何度も何度も同じ文章を繰り返し読んだ。
そして、夢で見た天使の国で起こった悪魔との闘いを思い出したのであった。

(地球の人々の争いも、あんな感じなのかな…もしそうなら悲しむ人々がたくさんいるはず。どうして地球の人々は争いを繰り返すのだろう…琴ちゃんが泣いてたのも、この事と関係あるのかな…)

シャイニーは、一生懸命考えたが全く分からなかった。

「駄目だ…いくら考えても分からない…ラフィ先生に聞きに行こう。フルル、ラフィ先生のところに行くからおいで。」

フルルが髪の中に潜り込むと、シャイニーはラフィの部屋にへと向かった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

ボロ雑巾な伯爵夫人、やっと『家族』を手に入れました。~旦那様から棄てられて、ギブ&テイクでハートフルな共同生活を始めます2~

野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
 第二夫人に最愛の旦那様も息子も奪われ、挙句の果てに家から追い出された伯爵夫人・フィーリアは、なけなしの餞別だけを持って大雨の中を歩き続けていたところ、とある男の子たちに出会う。  言葉汚く直情的で、だけど決してフィーリアを無視したりはしない、ディーダ。  喋り方こそ柔らかいが、その実どこか冷めた毒舌家である、ノイン。    12、3歳ほどに見える彼らとひょんな事から共同生活を始めた彼女は、人々の優しさに触れて少しずつ自身の居場所を確立していく。 ==== ●本作は「ボロ雑巾な伯爵夫人、旦那様から棄てられて、ギブ&テイクでハートフルな共同生活を始めます。」からの続き作品です。  前作では、二人との出会い~同居を描いています。  順番に読んでくださる方は、目次下にリンクを張っておりますので、そちらからお入りください。  ※アプリで閲覧くださっている方は、タイトルで検索いただけますと表示されます。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】 佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。 新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。 「せめて回復魔法とかが良かった……」 戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。 「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」 家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。 「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」 そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。 絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。 これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

処理中です...