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「はい。リバイバル発動と同時に、私はあいな様への想いを失うことになります」
「どうしてそんな平然としていられる!?想いだけじゃなく命まで失うかもしれないんだぞ……。そんなの俺は反対だ!」
シャルはルイスを激しく揺さぶり、考えを改めるよう強く説得した。
「移魂の儀以外に何か方法はないのか!?お前は医者だろ?どんな病でも簡単に治してやると言ってくれよ……!」
「アレも嫌、コレも嫌、と。あなたは本当にワガママなお方ですね。医術は万能ではないのですよ」
言葉とは裏腹に、ルイスは優しい表情でシャルを見た。
「これが最終手段です。調べ尽くして行き着いた結論なのです。一妻多夫制度が制定されたとしても、こうなってはもう無意味。かといって今この状況であいな様を抱くのにも抵抗がある。でしたら、移魂の儀を受け入れて下さい」
「そんな……!」
ルイスの肩をつかみその胸に頭をつけ、シャルは涙を流した。母親が亡くなった時に支えてくれたのは他でもないルイスだった。ルイスにその気はなかったかもしれない、それでもシャルは、勝手にそう思っていたかった。
「嫌だ……!俺はもう大切な人を亡くしたくない!あいなにもお前にも、ずっとそばにいてほしいんだ!」
「なんです?その『もう死んだ』みたいな扱いは。私はそう簡単に死にません。シャル様とハロルド様もよくご存じのはずでしょう?」
昔ハロルドが寄越(よこ)した人型魔物の件を持ち出し、ルイスはニヒルな笑みを浮かべた。
「普通なら死んでいたあの状況で生きていたのは不思議だと医者に言われました。生命力は人並み以上にあるみたいですよ、私は」
「たとえ命が助かっても、大切な想いを失くすなんて死んだも同然だ……!そんなこと、俺は認めない!!」
「このまま何もせずに居たらエトリアの指輪からその魔力は消失し、あいな様は確実に命を失います。本当にそれでよろしいのですか?」
「お前は、どうしていつもそう大事なことに限って究極の選択ばかり迫るんだ……!」
「シャル様にとっては選択でも私にとっては答えが決まっている事です。気持ちの整理はつきました。覚悟は出来ています」
「ルイス……」
「私の短冊をお読みになったのでしょう?それならどうかお察し下さい。あいな様を救える可能性があるのなら私はそれに全てを賭(か)けます。それに、こう思うのです。先祖エトリア様はこういう事態を想定していたから、極秘で王室関係者にリバイバルを継承されたのではないか、と。壊れた物を直すなんてのは建前で、リバイバルは元々エトリアの指輪を修復するための魔法として生み出されたものなのではないでしょうか」
ハロルドは目を見開き、あることに気付いた。
「ねえルイス。君は初めからそのつもりだったの…?」
「…………」
肯定も否定もせずうつむくルイスに、シャルはおそるおそる視線を向けた。
「どういうことだ?」
その疑問に答えたのはハロルドだった。
「おかしいと思ったんだよ。そんな大々的な儀式をなぜ王子ともあろうシャルが知らされていなかったのか。それは移魂の儀で犠牲を払うのは王子の専属執事の役割だと定められているから。そうなんだね?ルイス……」
「はい。古(いにしえ)の時代はどうだったのか定(さだ)かではありませんが、ハロルド様のおっしゃる通り、近代、移魂の儀とリバイバルはロールシャイン王国の王位継承者につく専属執事にしか継承されない決まりになっていました。エトリアの指輪をはめる者――つまりシャル様がリバイバルの代償に大切な想いを失うなど本末転倒ですし、決してあってはならないことですから」
たとえ望んでも、シャルはリバイバルを使うことは出来ない。
「そんな……。お前は初めから全て知った上であいなのそばにいたのか!?」
「ここまで最悪の事態になることは避けたかったですが、常に起こりうることとして頭の片隅にはありました」
「俺が執事に戻れだなんて言ったから……」
自分の恋が、結婚願望が、大切な人に悲しい選択をさせることになった。そう感じシャルは自分を責めたが、ルイスは静かに首を横に振った。
「あなたの執事で居させて頂けた。そのおかげで私はあいな様に出会うことが出来たのです。カロス様にも感謝したいと、今は心から思います」
「……報われないのに、なぜそんな穏やかでいられる?」
「あいな様に出会わなければ私はリバイバルを発動させることは出来ませんでした。彼女を好きになれたからこそエトリアの指輪を修復できるのです」
「はじめからそのつもりだったのか?」
「…………夢の時間は終わりです」
ルイスは立ち上がり、座ったままのシャルを見下ろした。
「シャル様。今ここで誓って下さい。リバイバル発動後、私の心身にどのような変化があっても動揺することなく今まで通りあいな様を愛しぬき、護り、生涯をかけて幸せにすると」
「そんな……!」
誰かの犠牲の上に成り立つ幸福。シャルの目指していた未来はまさにその一言に凝縮(ぎょうしゅく)されていた。
「あいなを好きになったことは間違いだったのか?こんな風になるなんて……。俺は……!」
涙を流し、シャルは唇を震わせた。頬が熱くなる。リバイバルが発動されエトリアの指輪が元に戻ったらあいなは助かるかもしれないが、ルイスは寿命を何年か削られあいなへの恋愛感情を失ってしまう。それに、そんな代償を払ったってあいなが確実に助かるという保証もない。
(シャル。君の答えはすでに決まっているはずだよ)
ハロルドは神妙な面持ちで二人の様子を見守った。
「…………俺は…!」
両親の秘密を思わぬ形で知ってしまったあいなは、好物ばかりが並ぶ食卓についても心ここにあらずといった状態だった。
(お父さんとお母さん……。本当は私のことどう思ってるの?)
空腹感はあるのに食は進まず、心の中を見せないよう終始笑顔を作るだけ。そんなことにも疲れてしまい、家族がまだ食べている中、あいなは一人夕食の時間を終わらせた。
「ごちそうさま。おいしかった。ありがとう」
「もういいの?まだこんなに残ってるわよ、エビフライ」
「大丈夫。なんか眠くて。久しぶりに帰ってきたから気が抜けたのかも。残りは龍河(りゅうが)にあげる」
龍河は眉を寄せ、立ち上がったあいなを見上げる。
「熱でもある?エビフライの日はいつも、俺の分奪ってでもたくさん食べようとするクセに」
「ははは。そうだね。そんなことして今までごめんね」
ぎこちなく返し、怪訝(けげん)そうにこちらを見てくる龍河の視線に気付かないフリで食器を片付けると、あいなは二階の自室に向かった。眠いなんてウソ。本当は、どんな顔であの場にいたらいいのか分からなかったのである。
「なんか、よく知る家なのに違う場所に見える……」
自室に入ると部屋の扉を閉め、電気もつけずベッドに寝そべる。室内が暗いせいでカーテンを開いた窓から夜空がよく見える。肌という境界線を壊し闇が体内に入ってくるようで恐ろしい。あいなは胎児のように身を縮こまらせた。
「恐い……。なにこれ」
エアコンをつけていない7月の夜は、動かなくても汗が出るほど蒸し暑い。それなのに寒気がする。昼間、ルイスとの外出で発汗したのが信じられないくらい今は全く汗が出ない。
寒さは、不安を煽(あお)る思考回路を活発にさせる。自分が養子であることを考えていると、それに連なり嫌な記憶が次々と胸によみがえった。せっかくルイスと楽しい時を過ごしたのに、それは無意味だったと言わんばかりにシャルと別れた時のことが色濃く浮かび上がるのはなぜなのか。
「あんな優しい人に嫌われるって、私、どこまでダメな女なんだろ……」
厳しい現実から目をそらすようにルイスとの時間を思い出そうとした。まだ首についているネックレスの石を両手で強く握りしめる。
「ルイスは私のそばから居なくならないよね…?」
求めれば求めるほど、両手から大切なものがこぼれ落ちていく。そんな気がして恐かった。
(私は何も求めるべきじゃなかった?そもそも、エトリアの指輪を買ったりしなければ、シャルのことあんなに傷付けずに済んだ……)
涙がにじむ。頬はひどく熱を持つのに、体は寒さで震えたままだ。歩くことも億劫(おっくう)に感じる体を何とか動かし、押し入れにしまってあった冬用の毛布を引きずり出してきた。それを頭から羽織ったところで、ノックの音が響く。
「姉ちゃん、入るよ?」
「えっ、ちょ……!」
あいなの返事を待たず入ってきて、龍河はさっそく悲鳴に近い声をあげた。真っ暗な部屋で姉が毛布をかぶっている姿に驚いたらしい。
「びっくりした!一瞬、座敷わらし的な何かかと思った!」
普段飄々としている龍河の驚く様が面白く、あいなの不安定だった気持ちは少しだけ落ち着いた。
「何してんのそれ。新手のおまじない?つーか暗い」
床に座るあいなをまじまじと見て、龍河は部屋の電気をつけた。
「寒いから」
「こんなに暑いのに?ちょっと待ってて」
ベッドに行くようあいなを促すと、龍河は階下へ水枕を取りに行った。風邪薬と水を持ってすぐに戻ってくる。
「薬、ありがとね」
「城暮らししてる間に弱くなったな。健康だけが取り柄だったんじゃないっけ?」
「私もそう思ってたよ」
「姉ちゃんがそんなんだと、なんか調子狂う。いつもの能天気さはどこいったよ」
そっけなく言いつつ、龍河は姉のそばを離れない。床にあぐらをかいて彼女の様子を見ている。
「もし私がこの家の本当の子供じゃなかったら、龍河はどうする?」
「は?」
姉らしからぬ深刻な声音と質問の内容に、龍河は面食らった。
「何?姉ちゃん、しばらく見ない間にドロドロの愛憎劇にでもハマり出した?基本ラノベ好きじゃなかった??」
「ううん、何でもない。今の忘れて」
(龍河、やっぱり養子のこと知らないんだ……。お父さん達、龍河にも話してないって言ってたもんね……)
寂しげな姉の表情に気付き、龍河は質問を返した。
「姉ちゃんはどうなの?」
話はもう終わったと思っていたので、そう訊(き)かれたことにあいなは少し驚いた。
「俺がもしこの家の子供じゃなかったら、姉ちゃんは他人扱いしてくるの?」
「そんなっ、絶対ないよ!龍河は龍河!何があっても弟に変わりないっ」
あいなは素直に答えていた。
「俺も同じ」
「え?」
「いちいち言わせないでくれる?」
そっぽを向いて、龍河は照れ隠しに本棚からギャグマンガを取り出す。あいなお気に入りの一冊だった。
昔と違い可愛らしさの欠片(かけら)もないが、龍河の優しさは子供の頃と変わらない。あいなはホッとした。
「そうだよね。血のつながりなんて関係ないよね」
「そうだよ。マリッジブルーなのか何なのか知らないけど、そういう妄想やめてくれる?反応に困るから」
「うん、ごめん。私、どうかしてた」
相変わらずそっけない龍河の言葉も、今のあいなには元気の素に感じられた。
(そうだよ。血のつながりがなくたって私はこの家の子供なんだ。今こんなに素敵な家族と暮らしてるんだから過去なんてどうだっていい。もう、悪い風に考えるのはやめよう!)
そこへ、ノックの音が響いた。あいなの体調を心配した麻子(あさこ)と勲(いさむ)がやってきたらしい。
「あいな。大丈夫?」
「毛布なんかかぶって暑くないのか?」
勲はさきほどの龍河と同じことを言いエアコンのスイッチをつけようとしたが、龍河がそれを止めた。
「姉ちゃん寒いんだって」
「風邪かしら。さっきもあまり食べてなかったもんね……。念のためにこれを飲んでおきなさい」
麻子は、コップに入った手作りフルーツジュースをあいなに渡した。昔からよく知る優しい味。あいなはゆっくりそれを喉(のど)に流し込み、再びベッドに横たわった。
「ありがとう、お母さん。お父さんと龍河も、心配かけてごめんね。寝たらすぐ治るから」
あいなは今、心からの笑みを家族に見せた。本当の両親じゃないが、言葉にされなくても深い愛を感じる。昔の記憶はなくてもかまわない。今、自分がこうしていられるのはここに居る家族のおかげなのだから。
(シャルとの結婚は無くなってしまったけど、きっといつかいい人に出会って、お父さんとお母さんみたいな夫婦になりたい)
短冊にルイスとの幸せな未来を願えなかった理由はひとつ。
(私は、ルイスのことを……)
考えているうちに眠気が訪れ、思考は停止した。シャルとの別れは予想外のことでひどく悲しかったが、家族のあたたかさが傷付いた心を優しく包み込んでくれる。
(私は一人じゃない、よね……)
そのまま、何分も経たないうちに寝てしまった。あいなが眠ったのを見守り、龍河達も部屋から出ていった。
――起きなさい。私の可愛い生(い)け贄(にえ)。
「っ……!!」
夜中、あいなは突然目を覚ました。誰かの声が頭の中に大きく響く。聞いたことのない女性の、怒りに満ちた、それでいて悲しげな声音。
――ねえ、教えてあげましょうか?あなたの実の両親のことを。
「だ、れ……なの?」
だるい体は金縛りにあったかのように動かないが、唇だけは動かせる。あいなのか細い声を無視し、某(なにがし)は一方的に言葉を紡いだ。
――あなたの母親は若くして未婚の母になった。異性関係が奔放(ほんぽう)な人だったから父親が誰かも分からずあなたを産んだ。周囲に頼れる人も無く一人であなたを育てるうちに、彼女はノイローゼになりあなたを虐待するようになった。
「私の話……?」
見知らぬ誰かになぜそんなことを語られるのかは分からないが、心の奥ではとても気になっていたこと。一字一句聞き逃さないよう、あいなはその声に意識を集中させる。
――母親はあなたを愛していた。愛の深さゆえ不慣れな育児にストレスがたまり、結果、彼女はあなたを疎(うと)ましい存在と思うようになった。捨てたいと願った。その苦しみから解放されたいと毎日願った。結果、彼女は新しい恋人を作りあなたを捨てた。
「捨て、られた……?」
――そう。あなたはいらない子なのよ。私と同じ、生まれた時から不必要な存在だった。今の幸せもいつか壊れる。永遠なんてないの。甘い物語は一滴の毒で悲劇に変わる。
「愛されて、なかった……」
――シャルも同じ。あなたのことなんてはじめから好きでも何でもなかったのよ。
「…………!」
――あなたは恋愛に不慣れで男女の違いをよく知らないから、唐突(とうとつ)なプロポーズにほだされてしまっただけ。可哀想(かわいそう)に……。愛情に餓(う)えていたあなたに、シャルはつけ込んだ。彼があなたに向けたものは愛なんかじゃない、自己満足よ。
「……やめて……。シャルだって色んなことに苦しんでた…!強引な所もあったけど優しくて憎めない人だった。他人の弱味につけ込むような男じゃない。シャルが離れていったのは私が悪いから……!」
あいなは必死に意見したが、まるで意味がなかった。ひび割れた壺(つぼ)から泥水が漏(も)れ出すかのように、その声はじわじわとあいなの弱い部分を侵食する。
――愛さなければいい。あなたには必要がないことよ。だって、捨てられた命なんだもの。どうなったって世界には何の影響も与えないわ。それに、愛を知らないあなたが人を愛せる?無理よ。あなたは誰かに関わるとその分誰かを傷付ける。だから、ね……?
「う……。あ、あ……!」
これまで体験したことのない頭痛があいなを襲った。割れるのではないかというほど激しく痛む。心臓も恐ろしく音を立てた。
(私は消えたい。ママからもシャルからも捨てられた、不要な人間だから……)
――そうよ、それでいい!絶好の素材だわ。私の糧(かて)になりなさい!
体が黒い光に覆われると同時に、あいなの呼吸は止まった。
声がしていたのはあくまであいなの頭の中だけ……。静かな夜、神蔵家であいなの異変に気付ける者は一人もいなかった。
「どうしてそんな平然としていられる!?想いだけじゃなく命まで失うかもしれないんだぞ……。そんなの俺は反対だ!」
シャルはルイスを激しく揺さぶり、考えを改めるよう強く説得した。
「移魂の儀以外に何か方法はないのか!?お前は医者だろ?どんな病でも簡単に治してやると言ってくれよ……!」
「アレも嫌、コレも嫌、と。あなたは本当にワガママなお方ですね。医術は万能ではないのですよ」
言葉とは裏腹に、ルイスは優しい表情でシャルを見た。
「これが最終手段です。調べ尽くして行き着いた結論なのです。一妻多夫制度が制定されたとしても、こうなってはもう無意味。かといって今この状況であいな様を抱くのにも抵抗がある。でしたら、移魂の儀を受け入れて下さい」
「そんな……!」
ルイスの肩をつかみその胸に頭をつけ、シャルは涙を流した。母親が亡くなった時に支えてくれたのは他でもないルイスだった。ルイスにその気はなかったかもしれない、それでもシャルは、勝手にそう思っていたかった。
「嫌だ……!俺はもう大切な人を亡くしたくない!あいなにもお前にも、ずっとそばにいてほしいんだ!」
「なんです?その『もう死んだ』みたいな扱いは。私はそう簡単に死にません。シャル様とハロルド様もよくご存じのはずでしょう?」
昔ハロルドが寄越(よこ)した人型魔物の件を持ち出し、ルイスはニヒルな笑みを浮かべた。
「普通なら死んでいたあの状況で生きていたのは不思議だと医者に言われました。生命力は人並み以上にあるみたいですよ、私は」
「たとえ命が助かっても、大切な想いを失くすなんて死んだも同然だ……!そんなこと、俺は認めない!!」
「このまま何もせずに居たらエトリアの指輪からその魔力は消失し、あいな様は確実に命を失います。本当にそれでよろしいのですか?」
「お前は、どうしていつもそう大事なことに限って究極の選択ばかり迫るんだ……!」
「シャル様にとっては選択でも私にとっては答えが決まっている事です。気持ちの整理はつきました。覚悟は出来ています」
「ルイス……」
「私の短冊をお読みになったのでしょう?それならどうかお察し下さい。あいな様を救える可能性があるのなら私はそれに全てを賭(か)けます。それに、こう思うのです。先祖エトリア様はこういう事態を想定していたから、極秘で王室関係者にリバイバルを継承されたのではないか、と。壊れた物を直すなんてのは建前で、リバイバルは元々エトリアの指輪を修復するための魔法として生み出されたものなのではないでしょうか」
ハロルドは目を見開き、あることに気付いた。
「ねえルイス。君は初めからそのつもりだったの…?」
「…………」
肯定も否定もせずうつむくルイスに、シャルはおそるおそる視線を向けた。
「どういうことだ?」
その疑問に答えたのはハロルドだった。
「おかしいと思ったんだよ。そんな大々的な儀式をなぜ王子ともあろうシャルが知らされていなかったのか。それは移魂の儀で犠牲を払うのは王子の専属執事の役割だと定められているから。そうなんだね?ルイス……」
「はい。古(いにしえ)の時代はどうだったのか定(さだ)かではありませんが、ハロルド様のおっしゃる通り、近代、移魂の儀とリバイバルはロールシャイン王国の王位継承者につく専属執事にしか継承されない決まりになっていました。エトリアの指輪をはめる者――つまりシャル様がリバイバルの代償に大切な想いを失うなど本末転倒ですし、決してあってはならないことですから」
たとえ望んでも、シャルはリバイバルを使うことは出来ない。
「そんな……。お前は初めから全て知った上であいなのそばにいたのか!?」
「ここまで最悪の事態になることは避けたかったですが、常に起こりうることとして頭の片隅にはありました」
「俺が執事に戻れだなんて言ったから……」
自分の恋が、結婚願望が、大切な人に悲しい選択をさせることになった。そう感じシャルは自分を責めたが、ルイスは静かに首を横に振った。
「あなたの執事で居させて頂けた。そのおかげで私はあいな様に出会うことが出来たのです。カロス様にも感謝したいと、今は心から思います」
「……報われないのに、なぜそんな穏やかでいられる?」
「あいな様に出会わなければ私はリバイバルを発動させることは出来ませんでした。彼女を好きになれたからこそエトリアの指輪を修復できるのです」
「はじめからそのつもりだったのか?」
「…………夢の時間は終わりです」
ルイスは立ち上がり、座ったままのシャルを見下ろした。
「シャル様。今ここで誓って下さい。リバイバル発動後、私の心身にどのような変化があっても動揺することなく今まで通りあいな様を愛しぬき、護り、生涯をかけて幸せにすると」
「そんな……!」
誰かの犠牲の上に成り立つ幸福。シャルの目指していた未来はまさにその一言に凝縮(ぎょうしゅく)されていた。
「あいなを好きになったことは間違いだったのか?こんな風になるなんて……。俺は……!」
涙を流し、シャルは唇を震わせた。頬が熱くなる。リバイバルが発動されエトリアの指輪が元に戻ったらあいなは助かるかもしれないが、ルイスは寿命を何年か削られあいなへの恋愛感情を失ってしまう。それに、そんな代償を払ったってあいなが確実に助かるという保証もない。
(シャル。君の答えはすでに決まっているはずだよ)
ハロルドは神妙な面持ちで二人の様子を見守った。
「…………俺は…!」
両親の秘密を思わぬ形で知ってしまったあいなは、好物ばかりが並ぶ食卓についても心ここにあらずといった状態だった。
(お父さんとお母さん……。本当は私のことどう思ってるの?)
空腹感はあるのに食は進まず、心の中を見せないよう終始笑顔を作るだけ。そんなことにも疲れてしまい、家族がまだ食べている中、あいなは一人夕食の時間を終わらせた。
「ごちそうさま。おいしかった。ありがとう」
「もういいの?まだこんなに残ってるわよ、エビフライ」
「大丈夫。なんか眠くて。久しぶりに帰ってきたから気が抜けたのかも。残りは龍河(りゅうが)にあげる」
龍河は眉を寄せ、立ち上がったあいなを見上げる。
「熱でもある?エビフライの日はいつも、俺の分奪ってでもたくさん食べようとするクセに」
「ははは。そうだね。そんなことして今までごめんね」
ぎこちなく返し、怪訝(けげん)そうにこちらを見てくる龍河の視線に気付かないフリで食器を片付けると、あいなは二階の自室に向かった。眠いなんてウソ。本当は、どんな顔であの場にいたらいいのか分からなかったのである。
「なんか、よく知る家なのに違う場所に見える……」
自室に入ると部屋の扉を閉め、電気もつけずベッドに寝そべる。室内が暗いせいでカーテンを開いた窓から夜空がよく見える。肌という境界線を壊し闇が体内に入ってくるようで恐ろしい。あいなは胎児のように身を縮こまらせた。
「恐い……。なにこれ」
エアコンをつけていない7月の夜は、動かなくても汗が出るほど蒸し暑い。それなのに寒気がする。昼間、ルイスとの外出で発汗したのが信じられないくらい今は全く汗が出ない。
寒さは、不安を煽(あお)る思考回路を活発にさせる。自分が養子であることを考えていると、それに連なり嫌な記憶が次々と胸によみがえった。せっかくルイスと楽しい時を過ごしたのに、それは無意味だったと言わんばかりにシャルと別れた時のことが色濃く浮かび上がるのはなぜなのか。
「あんな優しい人に嫌われるって、私、どこまでダメな女なんだろ……」
厳しい現実から目をそらすようにルイスとの時間を思い出そうとした。まだ首についているネックレスの石を両手で強く握りしめる。
「ルイスは私のそばから居なくならないよね…?」
求めれば求めるほど、両手から大切なものがこぼれ落ちていく。そんな気がして恐かった。
(私は何も求めるべきじゃなかった?そもそも、エトリアの指輪を買ったりしなければ、シャルのことあんなに傷付けずに済んだ……)
涙がにじむ。頬はひどく熱を持つのに、体は寒さで震えたままだ。歩くことも億劫(おっくう)に感じる体を何とか動かし、押し入れにしまってあった冬用の毛布を引きずり出してきた。それを頭から羽織ったところで、ノックの音が響く。
「姉ちゃん、入るよ?」
「えっ、ちょ……!」
あいなの返事を待たず入ってきて、龍河はさっそく悲鳴に近い声をあげた。真っ暗な部屋で姉が毛布をかぶっている姿に驚いたらしい。
「びっくりした!一瞬、座敷わらし的な何かかと思った!」
普段飄々としている龍河の驚く様が面白く、あいなの不安定だった気持ちは少しだけ落ち着いた。
「何してんのそれ。新手のおまじない?つーか暗い」
床に座るあいなをまじまじと見て、龍河は部屋の電気をつけた。
「寒いから」
「こんなに暑いのに?ちょっと待ってて」
ベッドに行くようあいなを促すと、龍河は階下へ水枕を取りに行った。風邪薬と水を持ってすぐに戻ってくる。
「薬、ありがとね」
「城暮らししてる間に弱くなったな。健康だけが取り柄だったんじゃないっけ?」
「私もそう思ってたよ」
「姉ちゃんがそんなんだと、なんか調子狂う。いつもの能天気さはどこいったよ」
そっけなく言いつつ、龍河は姉のそばを離れない。床にあぐらをかいて彼女の様子を見ている。
「もし私がこの家の本当の子供じゃなかったら、龍河はどうする?」
「は?」
姉らしからぬ深刻な声音と質問の内容に、龍河は面食らった。
「何?姉ちゃん、しばらく見ない間にドロドロの愛憎劇にでもハマり出した?基本ラノベ好きじゃなかった??」
「ううん、何でもない。今の忘れて」
(龍河、やっぱり養子のこと知らないんだ……。お父さん達、龍河にも話してないって言ってたもんね……)
寂しげな姉の表情に気付き、龍河は質問を返した。
「姉ちゃんはどうなの?」
話はもう終わったと思っていたので、そう訊(き)かれたことにあいなは少し驚いた。
「俺がもしこの家の子供じゃなかったら、姉ちゃんは他人扱いしてくるの?」
「そんなっ、絶対ないよ!龍河は龍河!何があっても弟に変わりないっ」
あいなは素直に答えていた。
「俺も同じ」
「え?」
「いちいち言わせないでくれる?」
そっぽを向いて、龍河は照れ隠しに本棚からギャグマンガを取り出す。あいなお気に入りの一冊だった。
昔と違い可愛らしさの欠片(かけら)もないが、龍河の優しさは子供の頃と変わらない。あいなはホッとした。
「そうだよね。血のつながりなんて関係ないよね」
「そうだよ。マリッジブルーなのか何なのか知らないけど、そういう妄想やめてくれる?反応に困るから」
「うん、ごめん。私、どうかしてた」
相変わらずそっけない龍河の言葉も、今のあいなには元気の素に感じられた。
(そうだよ。血のつながりがなくたって私はこの家の子供なんだ。今こんなに素敵な家族と暮らしてるんだから過去なんてどうだっていい。もう、悪い風に考えるのはやめよう!)
そこへ、ノックの音が響いた。あいなの体調を心配した麻子(あさこ)と勲(いさむ)がやってきたらしい。
「あいな。大丈夫?」
「毛布なんかかぶって暑くないのか?」
勲はさきほどの龍河と同じことを言いエアコンのスイッチをつけようとしたが、龍河がそれを止めた。
「姉ちゃん寒いんだって」
「風邪かしら。さっきもあまり食べてなかったもんね……。念のためにこれを飲んでおきなさい」
麻子は、コップに入った手作りフルーツジュースをあいなに渡した。昔からよく知る優しい味。あいなはゆっくりそれを喉(のど)に流し込み、再びベッドに横たわった。
「ありがとう、お母さん。お父さんと龍河も、心配かけてごめんね。寝たらすぐ治るから」
あいなは今、心からの笑みを家族に見せた。本当の両親じゃないが、言葉にされなくても深い愛を感じる。昔の記憶はなくてもかまわない。今、自分がこうしていられるのはここに居る家族のおかげなのだから。
(シャルとの結婚は無くなってしまったけど、きっといつかいい人に出会って、お父さんとお母さんみたいな夫婦になりたい)
短冊にルイスとの幸せな未来を願えなかった理由はひとつ。
(私は、ルイスのことを……)
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――ねえ、教えてあげましょうか?あなたの実の両親のことを。
「だ、れ……なの?」
だるい体は金縛りにあったかのように動かないが、唇だけは動かせる。あいなのか細い声を無視し、某(なにがし)は一方的に言葉を紡いだ。
――あなたの母親は若くして未婚の母になった。異性関係が奔放(ほんぽう)な人だったから父親が誰かも分からずあなたを産んだ。周囲に頼れる人も無く一人であなたを育てるうちに、彼女はノイローゼになりあなたを虐待するようになった。
「私の話……?」
見知らぬ誰かになぜそんなことを語られるのかは分からないが、心の奥ではとても気になっていたこと。一字一句聞き逃さないよう、あいなはその声に意識を集中させる。
――母親はあなたを愛していた。愛の深さゆえ不慣れな育児にストレスがたまり、結果、彼女はあなたを疎(うと)ましい存在と思うようになった。捨てたいと願った。その苦しみから解放されたいと毎日願った。結果、彼女は新しい恋人を作りあなたを捨てた。
「捨て、られた……?」
――そう。あなたはいらない子なのよ。私と同じ、生まれた時から不必要な存在だった。今の幸せもいつか壊れる。永遠なんてないの。甘い物語は一滴の毒で悲劇に変わる。
「愛されて、なかった……」
――シャルも同じ。あなたのことなんてはじめから好きでも何でもなかったのよ。
「…………!」
――あなたは恋愛に不慣れで男女の違いをよく知らないから、唐突(とうとつ)なプロポーズにほだされてしまっただけ。可哀想(かわいそう)に……。愛情に餓(う)えていたあなたに、シャルはつけ込んだ。彼があなたに向けたものは愛なんかじゃない、自己満足よ。
「……やめて……。シャルだって色んなことに苦しんでた…!強引な所もあったけど優しくて憎めない人だった。他人の弱味につけ込むような男じゃない。シャルが離れていったのは私が悪いから……!」
あいなは必死に意見したが、まるで意味がなかった。ひび割れた壺(つぼ)から泥水が漏(も)れ出すかのように、その声はじわじわとあいなの弱い部分を侵食する。
――愛さなければいい。あなたには必要がないことよ。だって、捨てられた命なんだもの。どうなったって世界には何の影響も与えないわ。それに、愛を知らないあなたが人を愛せる?無理よ。あなたは誰かに関わるとその分誰かを傷付ける。だから、ね……?
「う……。あ、あ……!」
これまで体験したことのない頭痛があいなを襲った。割れるのではないかというほど激しく痛む。心臓も恐ろしく音を立てた。
(私は消えたい。ママからもシャルからも捨てられた、不要な人間だから……)
――そうよ、それでいい!絶好の素材だわ。私の糧(かて)になりなさい!
体が黒い光に覆われると同時に、あいなの呼吸は止まった。
声がしていたのはあくまであいなの頭の中だけ……。静かな夜、神蔵家であいなの異変に気付ける者は一人もいなかった。
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