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2話 こどもの日が終わっても、未だ大人になりきれず 【後編】
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「……また、夢か……夕方…マジか?」
夢の中で掴めなかった手を求めるように、起きた時には手を伸ばしていた。
俺は、今日二度目の起床をしたのだ。
外は夕焼けがカーテン越しに映り、時刻は夕暮れどきだということが分かった。
寝覚が悪すぎたからか、二日酔いは悪化しているように感じる。
視界の端に、あの手紙が見えた。
実際に届いたのは、およそ2週間前のようだ。
そろそろ、返事を決めねばならない。
結婚式に参列するか、否かを。
「いって……あれ? なんだっけ……ウコンがいんだっけか? 腹も、減ったな……っ」
気分が滅入っても、空腹はやってくる。
このまま横になったところで、どうせ悪夢しかみない。
俺はひとまずコンビニに向かうために、着替え始めた。
下はジーパン。 上はTシャツの上に半袖という、ラフながら周囲の視線が気にならない程度の軽装。
「髭は…いいか、どうせ、マスクだし」
もはや、出かける際の必須装備となったマスクを装着する。
煩わしいものではあるが、こういう無精な時にはありがたくもある。
どうせ、コンビニ店員としか関わらないし、マスクを外すこともない。
俺は、手紙から逃げるように部屋を後にした。
ーー。
なぜ、今なのだろう? なぜ、彼女は目の前に。
家から少しだけ距離があるものの、10分とかからない道のりで、彼女は俺の前に現れた。
「あっ、久しぶり……だね」
「う、うん……」
先に見つけたのは、俺の方。
彼女はマスクで口元を隠し、リクルートスーツに身を包んでいるものの見間違えるはずがなかった。
思わず凝視して足を止めた時、彼女も俺に気付いて驚愕した顔で足を止めた。
見つけたのは俺が先だが、声をかけてきたのは彼女の方が先だった。
「2年ぶり……くらいかな?」
「う、うん……」
ぎこちない雰囲気が、2人の間に流れる。
姉さんがすぐに俺だと気づいてくれたのは、正直嬉しい。
でも、できれば知らんぷりして、或いは気付かずにいて欲しかった。
「本当に、久しぶり……ねえ、今から、家に行ってもいいかな? 色々お話したいことが、あるから」
「そ、それは!! ちょっと……」
「あっ、そうだよね、彼女さんが居るんだもんね?」
「ゴメンね、久しぶりに会えたのが、嬉しくって……つい」
彼女が居るというのは、以前ついた嘘だ。
ただ、姉さんと距離を取りたいがための。
「姉さん、こそ……もう、結婚するんだし、男の部屋に上がるのは、まずいんじゃ……」
「大丈夫、彼はその辺寛容だから。 といっても、君の家以外には流石に上がれないけどね」
相変わらず、俺のことは男とは見られていないようだ。
「でも、ああー、よかったー。 手紙、ちゃんと届いてたんだね?」
「君だけ、何もお返事がないから、ちゃんと届いてるか、不安だったんだーー」
しまった。
「じゃあ、さ、今から近くのお店で、少し飲まない?」
「昨日、誕生日だったでしょ?」
「覚えてて、くれたんだね……俺の、誕生日」
「当たり前でしょ!! あっ、これも覚えてるよ」
「前に、20歳になったら、一緒に飲もうって、約束」
「いや、その……」
「まあ、そのね……無理にとは言わないよ、君も、色々忙しいみたいだし」
「彼女さんが、異性関係に敏感だって、聞いてるから……」
ついた嘘を真に受ける姿に居た堪れなくなったが、何よりも早くこの場を逃げ出したかった。
「でも、ね? 私、もうすぐ日本を離れるの」
「えっ?」
「だから、その前に色々お話したいの……君は、もう、あたしのことを嫌ってる……かもしれないけど」
姉さんが、居なくなる?
それに、俺が姉さんのことを嫌っているって?
その言葉に、どう言い訳をしてこの場を去ろうかとばかり考えていた俺の頭は、真っ白に。
当然と言えば当然だが、姉さんは、俺が避けていることに気づいてたんだ。
この2年ほど、姉さんとはまともに連絡も取らない程に疎遠になっていた。
多分、ここで逃げたら、俺はもう生涯姉さんと向かい合う機会は訪れないだろう。
当然、結婚式になんか顔を出せるはずもない。
姉さんが、不安そうに俺の顔色を伺い、返事を待っている。
「……いいよ」
姉さんに言うべき言葉は、2つある。
そのうち片方は、姉さんが望んでいることで、もう片方は、今更言われても困るであろうこと。
そのどちらも言うべきか、それとも片方の言葉に留めるべきか。
まだ、答えは出てない。
「ぁ……よかった」
「ただ、勘違いしないで欲しいんだけど、僕は……こほん!! 俺は、姉さんのことが嫌いだから、断ろうか迷ったんじゃないよ」
「その、さ……髭、剃ってないんだよ……見られたくなくてさ」
「食事だと、外さなきゃいけないだろ? マスクをさ」
「……ぷっ!! 何それ? 今更、そんなことを気にする仲じゃないでしょ? あたし達」
「姉さんこそ、そんなこと言いながら、俺が嫌ってるとか、勘違いしてたじゃないか、おあいこだよ」
何が、おあいこなのか? 苦し紛れで無理に口を開いたからか、会話が噛み合わなかった。
その言葉が出たのは、ついさっき、似たシチュを夢で見て思い出したかもしれない。
でも、姉さんはそんなことを気にせず、笑っている。
マスク越しでも、色鮮やかにその笑顔を思い浮かべることができた。
言うべき言葉を言うのには、もう少し心の整理が必要だった。
俺は、安堵の吐息を吐いた姉さんに連れられて、近くのレストランに入っていく。
「そういえば、容姿なんかを気にしてたから、思い出したけど」
「昔、君にデートに連れられた時、ドレスコードが必要で、追い返されたことがあったよねー」
「あたしは、入店許可がもらえたけど」
「うっ……!! 忘れたよ、そんなこと」
嘘です、忘れられるはずない、黒歴史です。
「へー、じゃあ、あのパンク系ファッション、とか、もう捨てちゃったの?」
「……」
「いやいや、あの時は、ビックリしちゃったよー、流石に、高一の子が誘う店じゃなかったし」
「……」
「君が、お楽しみだって言うから期待してたら、まさかの当人が、門前払いだもんねー」
姉さんの顔は、マスクで伺いきれないところがあるが、無理をしている風に感じた。
多分、少しでも俺との間を悪くしまいと。
あえて今なら笑えるであろう失敗談を絡めて、昔の話をしてきたのだろう。
「若気の至り……というやつだよ……認めたくは、ないけどね」
「おーい、どこ見てるんですかー、お髭が気になって、女性の誘いを断ろうとした、新成人さん」
「現在進行形じゃないですかー」
「くっ!!」
「あはは!!」
今まさに姉さんが話題に出したことが、俺の後悔に至る積み重ねの一つだった。
俺は、なんとか大人の対応というやつで、ごまかせているだろうか?
とったリアクションは、大学の友人達とのバカノリだったが。
店員がやってくると、姉さんは店員に尋ねることもなく、個室をお願いした。
姉さんの家はここからだいぶ離れていたはずだけど、来たことがあるのか?
俺は疑問に思いながらも、案内されたテーブルに着いた。
俺達の間には透明なアクリル板があったが。
近くにいながらも、仕切りに遮られ、距離感を見た目以上に感じる。
まるで、今の俺達を表しているかのようだった。
夢の中で掴めなかった手を求めるように、起きた時には手を伸ばしていた。
俺は、今日二度目の起床をしたのだ。
外は夕焼けがカーテン越しに映り、時刻は夕暮れどきだということが分かった。
寝覚が悪すぎたからか、二日酔いは悪化しているように感じる。
視界の端に、あの手紙が見えた。
実際に届いたのは、およそ2週間前のようだ。
そろそろ、返事を決めねばならない。
結婚式に参列するか、否かを。
「いって……あれ? なんだっけ……ウコンがいんだっけか? 腹も、減ったな……っ」
気分が滅入っても、空腹はやってくる。
このまま横になったところで、どうせ悪夢しかみない。
俺はひとまずコンビニに向かうために、着替え始めた。
下はジーパン。 上はTシャツの上に半袖という、ラフながら周囲の視線が気にならない程度の軽装。
「髭は…いいか、どうせ、マスクだし」
もはや、出かける際の必須装備となったマスクを装着する。
煩わしいものではあるが、こういう無精な時にはありがたくもある。
どうせ、コンビニ店員としか関わらないし、マスクを外すこともない。
俺は、手紙から逃げるように部屋を後にした。
ーー。
なぜ、今なのだろう? なぜ、彼女は目の前に。
家から少しだけ距離があるものの、10分とかからない道のりで、彼女は俺の前に現れた。
「あっ、久しぶり……だね」
「う、うん……」
先に見つけたのは、俺の方。
彼女はマスクで口元を隠し、リクルートスーツに身を包んでいるものの見間違えるはずがなかった。
思わず凝視して足を止めた時、彼女も俺に気付いて驚愕した顔で足を止めた。
見つけたのは俺が先だが、声をかけてきたのは彼女の方が先だった。
「2年ぶり……くらいかな?」
「う、うん……」
ぎこちない雰囲気が、2人の間に流れる。
姉さんがすぐに俺だと気づいてくれたのは、正直嬉しい。
でも、できれば知らんぷりして、或いは気付かずにいて欲しかった。
「本当に、久しぶり……ねえ、今から、家に行ってもいいかな? 色々お話したいことが、あるから」
「そ、それは!! ちょっと……」
「あっ、そうだよね、彼女さんが居るんだもんね?」
「ゴメンね、久しぶりに会えたのが、嬉しくって……つい」
彼女が居るというのは、以前ついた嘘だ。
ただ、姉さんと距離を取りたいがための。
「姉さん、こそ……もう、結婚するんだし、男の部屋に上がるのは、まずいんじゃ……」
「大丈夫、彼はその辺寛容だから。 といっても、君の家以外には流石に上がれないけどね」
相変わらず、俺のことは男とは見られていないようだ。
「でも、ああー、よかったー。 手紙、ちゃんと届いてたんだね?」
「君だけ、何もお返事がないから、ちゃんと届いてるか、不安だったんだーー」
しまった。
「じゃあ、さ、今から近くのお店で、少し飲まない?」
「昨日、誕生日だったでしょ?」
「覚えてて、くれたんだね……俺の、誕生日」
「当たり前でしょ!! あっ、これも覚えてるよ」
「前に、20歳になったら、一緒に飲もうって、約束」
「いや、その……」
「まあ、そのね……無理にとは言わないよ、君も、色々忙しいみたいだし」
「彼女さんが、異性関係に敏感だって、聞いてるから……」
ついた嘘を真に受ける姿に居た堪れなくなったが、何よりも早くこの場を逃げ出したかった。
「でも、ね? 私、もうすぐ日本を離れるの」
「えっ?」
「だから、その前に色々お話したいの……君は、もう、あたしのことを嫌ってる……かもしれないけど」
姉さんが、居なくなる?
それに、俺が姉さんのことを嫌っているって?
その言葉に、どう言い訳をしてこの場を去ろうかとばかり考えていた俺の頭は、真っ白に。
当然と言えば当然だが、姉さんは、俺が避けていることに気づいてたんだ。
この2年ほど、姉さんとはまともに連絡も取らない程に疎遠になっていた。
多分、ここで逃げたら、俺はもう生涯姉さんと向かい合う機会は訪れないだろう。
当然、結婚式になんか顔を出せるはずもない。
姉さんが、不安そうに俺の顔色を伺い、返事を待っている。
「……いいよ」
姉さんに言うべき言葉は、2つある。
そのうち片方は、姉さんが望んでいることで、もう片方は、今更言われても困るであろうこと。
そのどちらも言うべきか、それとも片方の言葉に留めるべきか。
まだ、答えは出てない。
「ぁ……よかった」
「ただ、勘違いしないで欲しいんだけど、僕は……こほん!! 俺は、姉さんのことが嫌いだから、断ろうか迷ったんじゃないよ」
「その、さ……髭、剃ってないんだよ……見られたくなくてさ」
「食事だと、外さなきゃいけないだろ? マスクをさ」
「……ぷっ!! 何それ? 今更、そんなことを気にする仲じゃないでしょ? あたし達」
「姉さんこそ、そんなこと言いながら、俺が嫌ってるとか、勘違いしてたじゃないか、おあいこだよ」
何が、おあいこなのか? 苦し紛れで無理に口を開いたからか、会話が噛み合わなかった。
その言葉が出たのは、ついさっき、似たシチュを夢で見て思い出したかもしれない。
でも、姉さんはそんなことを気にせず、笑っている。
マスク越しでも、色鮮やかにその笑顔を思い浮かべることができた。
言うべき言葉を言うのには、もう少し心の整理が必要だった。
俺は、安堵の吐息を吐いた姉さんに連れられて、近くのレストランに入っていく。
「そういえば、容姿なんかを気にしてたから、思い出したけど」
「昔、君にデートに連れられた時、ドレスコードが必要で、追い返されたことがあったよねー」
「あたしは、入店許可がもらえたけど」
「うっ……!! 忘れたよ、そんなこと」
嘘です、忘れられるはずない、黒歴史です。
「へー、じゃあ、あのパンク系ファッション、とか、もう捨てちゃったの?」
「……」
「いやいや、あの時は、ビックリしちゃったよー、流石に、高一の子が誘う店じゃなかったし」
「……」
「君が、お楽しみだって言うから期待してたら、まさかの当人が、門前払いだもんねー」
姉さんの顔は、マスクで伺いきれないところがあるが、無理をしている風に感じた。
多分、少しでも俺との間を悪くしまいと。
あえて今なら笑えるであろう失敗談を絡めて、昔の話をしてきたのだろう。
「若気の至り……というやつだよ……認めたくは、ないけどね」
「おーい、どこ見てるんですかー、お髭が気になって、女性の誘いを断ろうとした、新成人さん」
「現在進行形じゃないですかー」
「くっ!!」
「あはは!!」
今まさに姉さんが話題に出したことが、俺の後悔に至る積み重ねの一つだった。
俺は、なんとか大人の対応というやつで、ごまかせているだろうか?
とったリアクションは、大学の友人達とのバカノリだったが。
店員がやってくると、姉さんは店員に尋ねることもなく、個室をお願いした。
姉さんの家はここからだいぶ離れていたはずだけど、来たことがあるのか?
俺は疑問に思いながらも、案内されたテーブルに着いた。
俺達の間には透明なアクリル板があったが。
近くにいながらも、仕切りに遮られ、距離感を見た目以上に感じる。
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