どうやら、こどもの日には幼い頃のことを思い出すようです。 それが、失恋に関することなら尚更……

鮭茶漬 梅茶

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2 話 子供の日が終わってなお、未だ大人になりきれず 【前編】

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 手紙がきていたのは数日前だったようだが、俺がその存在を確認したのはつい昨日。
 酒などを一通り買い込んで帰宅した際に、1、2週間程溜め込んだ手紙の中にそれはあった。
 飲み会が始まる前に目を通したのが間違いだった。
 せっかくの誕生会に水を差すのも悪いから、忘れることに努めたのだが。
 酒が進むうちに、自分には幼馴染とも言える年上の、姉と慕う女性がいること。
 自分が高校に上がる時に上京してきたは、彼女を追ってのことだということ。
 そして、告白もできないまま、いつしか姉には恋人ができていたこと。
 それらのことを愚痴るように話した。

「恥ずいカミングアウトして、それで、気づけばこのザマか」

 俺は、あらかた片付けを終えると、敷布団の上に横たわった。
 友人へ愚痴りまくったのもそうだが、今の自分の姿は酷く滑稽に思えた。
 安いボロアパートの天井にはシミが見える。
 入居当初はもっと綺麗に見えたし、こんな安アパート、金を貯めてさっさと出てやるって思ってたか。

 俺が上京してきた時、彼女は大学3年生に上がる前だった。
 その頃は、4年になったら就活で忙しいだろうけれど、3年になる今なら。
 この一年が勝負で、大人になった俺の魅力を見せて、そのまま恋人に。
 あわよくば、もっといい場所に越して、同棲を……なんて、考えてたか。
 その夢は、再会早々甘い目論みだったと打ち砕かれた。

 姉さんが、高校に進学するために上京してからも、手紙や電話でのやりとりはあった。
 俺が中3になって、上京の説得を両親へ取り付けた際。 
 ようやく、今となっては絶滅に向かうガラパゴス式の携帯を買ってもらってからは。
 上京についての相談を名目に、毎晩のように電話をかけた。
 話すノリは、それ程変化はなく、子供の頃のまま話すことができた。
 強いて言えば、声は大人っぽくなり、姉さんの方が聞き手に回ることが増えたことくらい。
 それも、俺の方が声変わりしていたし、名目上質問することが多かったから、特に気にかけることはなかった。

 だから、実際に会って言葉を失った。
 引っ越しの手伝いに来てくれた姉さんは、綺麗だった。
 被っていた麦わら帽子を外した時、それが誰か一瞬分からなかった程だった。
 その時は、思わずたじろぎ後退り、距離を取ってしまった。
 ショートカットや、長くなったらポニテだった髪は、腰まで届くサラサラロングヘアーに。
 栗色の髪は艶やかで、亜麻色と称するにふさわしい輝いた見え方をしていた。
 短パンやTシャツなどの動きやすいラフな格好を好み、スカートは制服以外あまり見たことがなかったが。
 今では純白のプリーツスカートと、黒の半袖Tシャツを。
 その上から、透かしの入った、少しピンクがかった白色のニットカーディガンを羽織っていた。
 手に持っていたバックは不恰好だったが。
 肩にかけた小さなショルダーバックと、首にかけたネックレスが小洒落た感を出し。
 靴を脱いだ際には、それがハイヒールだったことにようやく気づいた。
 
 それを出迎えた俺は、いつもの短パンTシャツだったものだから、とても恥ずかしかった。
 そんな俺のことを、姉さんは朗らかな柔らかい笑みを浮かべながら。
 故郷のことでも思い出したのか、何かを懐かしむような顔だった。
 俺が、見たことのない穏やかな表情。
 姉さんは、俺の格好を馬鹿にすることなく、部屋に入るや否や着替えたいと言ってきた。
 俺は玄関の辺りで待っている間、気が気ではなかった。
 しかし、内心ドキドキしている俺を尻目に現れたのは、ジャージ姿の姉。
 俺は、残念に思うと共に安堵した。
 さっきの姿に対して、俺の姿はあまりにも釣り合いが取れていなかったからだ。
 手持ちの服にも釣り合いがとれそうなものはなかったから、心から安堵した。

 今度のジャージ姿は地味なもので、一見すれば幼い頃を思い出させてくる姿だった。
 俺は安堵して、久方ぶりに姉のパーソナルスペースに入った。
 安堵したのはものの数秒だった。
 その時の、不意打ちで鼻腔に舞い込んだ柑橘系の芳しい香りは、今でも鮮明に覚えている。
 こうして目を閉じれば思い出す、あの日の出来事を。
 本来なら安心感のようなものを感じる香りは、俺の心を酷く掻き乱していた。

ーー。

「それにしても、大きくなったよねー、今までは、電話越しで分からなかったけど、背……抜かれちゃってたんだね」

「お、驚いたでしょ、僕……俺だって、ずいぶん、大人になったでしょ?」

 姉はこちらにを見上げながら、髪を懐かしいポニテにまとめ始めた。
 爪は短く切られていたが、光沢感を持っていて。
 顔もよく見れば、記憶のそれよりも色白で、化粧もしているようだ。
 ふっくらした唇にも薄くだが、母がよく唇に塗っていた何かが塗られているようだった。
 まつ毛もなんだか上向きで、つけ物ではなさそうだが、何か手入れをしているのかも。
 当時の俺は、化粧なんか口紅ぐらいしか知らなかったから。
 服装どころか、体の細かい部分まで着飾る姉の姿は、あまりにも情報量が多いものだった。

「俺ー? クス、どうしたの、突然? いつもは僕だったのに?」

「あ、ああ、うん、ほら、今日から都会人な訳だし……じゃなくて!!」
「お姉ちゃ……姉さんと、話す時は、驚くと思って、昔のまま話してたけど、前からこうだよ!!」

「ふ~ん? でも、呼び方も、姉さんだなんてー、そんな、他人行儀、距離感ができて、お姉ちゃん、悲しい……」

「えっ!? あっ!! やっ!? こ、これは、お姉ちゃんのことが嫌いになったとかじゃ!!」

「ふふふ、うそ、うそ!! 君は、お姉ちゃんのことが、大好きだもんねー」
「なんたって、携帯買ってもらってから、毎晩のように、電話をかけてきてるもんねー」

「い、いや!! だから、アレはっ!! あくまで、相談事とかでーー」

 緊張感は抜け切らないものの、からかうように話しかけてくる姉さんのおかげで、会話ぐらいは問題なくなった。
 しかし、悟られないように努めながらも、視線は姉さんから離せない。
 昔よりも長いもののポニテを形作った姿は、とても懐かしいものがあった。
 だというのに、初めて見るかのようなトキメキが止まない。
 うなじを色っぽく感じたことはなかったが、ソレがいやに艶かしく感じる。

 昔の体つきは、元々胸もお尻もそれなりにあって腰はさしてくびれていない。
 そんな、太ってはいないものの痩せてもいない健康体なものだったが。
 今では女性的な丸みは目を惹くほどに増していながら、ウエストは昔よりもくびれている。
 昔は、散々透け下着やパンチラを目にする機会はあったものの、自分の幼さもあって気にも留めなかった。
 だが、今では色気のない服の上からだというのに、メリハリのある曲線が目に毒だ。

「ーーえー、そう言いながら、綺麗になった、お姉ちゃんに、見惚れちゃったんでしょー」

「バッ……」

 俺は、思わず口元を抑えながら、顔ごと視線を逸らしてしまった。
 完全に、図星だった。

「あれー? あれあれ? なんだか、顔赤くない? どうしたのー、突然、顔なんか逸らしちゃって」

「ち、違う!! その、孫にも衣装的なことを思っただけで!!」

「あー、ひっどーい!!」

 姉さんは、そのままじゃれつくように戯れにきた。
 昔であれば、そのまま取っ組み合いでもしたのだろうが。
 俺は姉さんの手が身体に触れた瞬間、驚いて飛び退くように離れようと身を引いた。

「危ない!!」

「っ~~ご、ごめん!! お姉ちゃん!! 大丈……夫?」

「う、うん、私は……それより、君の方こそ大丈夫? 凄い音したけど?」

 俺は床にあった荷物に足をとられ、姉さんはそんな俺の体を咄嗟に掴んで。
 そのまま姉さんが俺の上に覆い被さるようになりながら、俺は尻餅をついた。
 何度も戯れあい密着したことのある大きな体は、いつの間にかサイズが逆転していて。
 細い腰は片腕で回しきれてしまいそうな程。
 昔は抱きついても背中まで腕を回しきれなかったが、今なら包み込むように腕の中へ抱けるだろう。

「その、さっきはゴメン……あんまりキレイになってたもんだから、驚いて」
「お姉ちゃん、凄く大人っぽくて、キレイになってる」

 予想外の接触で、改めて自分が姉のことを異性として好きであることを認識しながら。
 俺は、ようやくさっきから言いたかった本心を、少しだけ口にすることができた。
 こんなことを言えば、またからかわれる。
 そんな風に考えていたら、姉さんはとても驚いた表情を浮かべていた。

「そっか、よかった……ふふ、君の様子が少し変だったし、色々考えちゃったけど……そっか」

 ほっ、と一息吐いた後の姉さんの表情は、とても穏やかだった。
 声音も何度も聞いているとゆうのに、とてもたおやかなもので。
 改めて、姉さんは大人の女性になったのだと認識できた。

「実はね、私も少し緊張してたの」
「直接会うのは、本当に……久しぶりだったし」
「ドアから出てきた君は、私よりも背が大きくなってて、体つきもがっしりしてて……」

 姉さんの掌が俺の胸板を撫でてくる。
 服越しだというのに、直で神経を撫でられているような敏感な感覚を覚えながら。
 手の位置がもう少し横にズレて、心臓の鼓動の速さがバレないかが不安だった。

「君も、ずいぶんと大人になったんだなーって……」

 その言葉を聞いて、俺の胸の鼓動は臨界に達しった。
 イケる。
 雰囲気も、おらくはとてもいい。
 と、いうか、俺がもう我慢できない。

「お姉ちゃん!! いや、姉さん!!」

 俺が意を決した時、姉さんのショルダーバックから着信が聞こえた。

「ご、ごめん!! ちょっと、いいかな?」

「あ、ああ……どうぞ!!」

 なんてタイミングだ!!
 重さと温もりが体の上から消えるのを寂しく思いながら、俺はただ見送った。

「あれ? それって、まさか、スマホ!!」

「あっ、うん、そうだよ」 
「あっ、ゴメン!! 大事な相手からの電話だから、ちょっと静かにしててね」 

 俺たちの田舎では、ガラケーですら凄いものなのに、スマホ。
 大事な相手?
 いやな予感を感じながら、聞こえてきた声は男だった。
 俺は、頭の中が真っ白になりながら、無意識に聞き耳を立てた。
 しかし、内容は聞き取れなかった。
 最初の数言こそ日本語ながら、その後は英語だったのだ。
 姉さんはかしこまった様子で、淡々と同じく英語で返事を返している。
 目の前の女性は、誰なのだろうか?
 その様は、子供の頃の天真爛漫ともいえる姿は露もない。
 確か、田舎にいた頃は英語など、アップル程度しか知らなかったはずなのに。
 素人でも察せられる程に、流暢とは言えないが上手いイントネーション。
 緊張を浮かべながらも、時折柔らかな笑顔を浮かる様は服の着こなし動揺慣れたものだった。
 垣間見せる所作は大人らしい、とても道に入ったもので。
 服装が先程のように整ったものなら、育ちの良い淑城にも見えたことだろう。
 電話を終えるまで微動だにできなかった俺は、見計らって声をかけるまで時間がかかった。
 
「その、今の男の人って、その……かれ……」

「うん? ああ、違う、違う、ウチの大学のOBさん」
「私が、今度、インターンしようとしてる会社に勤めてるから」
「大学の先生に、連絡をつけてくれるように頼んでたの」

「インターンって、何?」

「ん? ああ、インターンていうのは、体験入社……みたいなものかな?」

「体験入社……確か、お姉ちゃんの将来の夢って、キャビンアテンダント……だったよね?」

「うん、そう!! でっ、5月にインターンががあるから、できればその前にお会いして、色々お話を聞きたいなーって」

「5月って、今年の?」

「もちろん、今度の5月だよ?」

「今まだ、2年生……でしょ?」

 春休みだだから、今度はまだ3年生。
 あの頃は、いくらなんでも就活には早すぎると考えていたっけ。

「うん、でっ、インターンの募集対象が大学3年生からだったから、早速申し込もうって思ってるの!!」

「いや、だって、卒業まで、まだ2年も……」

「2年しかない、だよ!! それに、色々資格なんかも取りたいし……」
「ひとまずはTOEICで……って、いっても、分かんないか?」
「英検なら、分かるかな? 私、英語が苦手で……高校の時は、準2で落ちちゃって」
「今なら受かるだろうし、2級相当ぐらいだと思うんだけど」
「最低でも、準一級相当の点数を取るつもりでーー」

 思えば、電話でしていた話は東京のことや、逆に故郷のこと。
 それにテレビだったり、当たり障りのないものだった。
 だから、今こうして将来の夢を叶えるための話を、澱みなく楽しげにする姉のことなど知らない。
 漠然と夢について話したことはあったが、ここまで具体性のある話は初めてだった。
 俺は当然会話についていけるわけもなく、質問したり、相槌をうったりする程度。

「ああ、ごめんね。 私の方ばっかり、話しちゃって」
「この話は置いておいて、さっき、何か言おうとしてたよね? 何かな?」

「え、あー、その……もう、いいよ」

「もういいって、遠慮しないで、お姉ちゃんに、言ってみ? あ、後回しにされて、拗ねちゃった?」

「重いから、どいてくれって、言おうとしただけだからーー」

 言えるわけがない。
 色々文句を言う姉さんの声を聞きながら、自分がとても惨めな気持ちになった。
 何が、大人になっただ。
 俺はただ、図体がでかくなっただけじゃないか!!

「ねえ、姉さん」

「なんですかー、体重なら秘密だけど、昔よりは痩せてますよー」

「姉さんって、モテるでしょ?」

「いきなり、どうしたの? 別に、そんなことないよ? 恋人だって、まだ居ないしーー」

 目の前に居る姉さんの本当の顔が分からない
 昔の姉さんだったら、色恋の話をすれば、取り乱したり赤面したものだ。
 そして、恋人が居ないという言葉は、俺に安堵感どころか不安感を与えた。
 嘘ではないだろう。
 でも、さっきの電話とその言葉を聞いて、俺は初めて、姉さんが他の男と付き合うという可能性に思い至った。
 所々昔と違う姿を見せる姉さん。
 俺に見せていた顔は、もしかして昔の姉を演じてるだけじゃないか?
 本当は、大人びた顔の方が本物ではないのか?
 俺は、今更ながら、自分が成長した時間は、姉にとっても成長する時間であったことを知った。
 そして、俺達の差は、昔よりも酷く開いているのだと思い知らされた。

「とりあえず、立とっか? ほら」

 姉さんが、昔のように上から手を差し伸べてくる。
 猜疑心や劣等感に苛まれた俺は、その手をとれなかった。

「自分で、立てるから……もう、子供じゃないし」

 ああ、そうだ……その頃から、俺は子供の自分がいやで、酷い背伸びの仕方をーー。

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