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召喚
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さあ、我々の街と塔を作ろう。塔の先が天に届くほどの。あらゆる地に散って、消え去ることのないように、我々の為に名をあげよう(創世記)
1834年、イギリス、ロンドン。とある秋の日、都のシンボルであったウエストミンスター宮殿が消失した。運よく残ったジュエルタワーやウエスト・ミンスターホールを除き、ほとんどすべての建物がなくなってしまい、一か月たった今でも、その荘厳な姿は痛々しく焼け焦げたままだった。
レイチェル・キーズは、打ちひしがれていた。秋の日差しの下、金の髪がきらきらと光っている。緑の瞳は、新緑のように瑞々しい。
彼女は歴史ある宮殿の災害に落ち込んでいるわけではなかった。先日、親が他界し、見知った青年に家を奪われたからである。
ここ、英国を支配する「限嗣相続制」、すなわち、男子のみが家督を継げる、そのうえ財産もすべてその人物のものになる――それのおかげで、レイチェルはただいま無一文なのだ。
今座っている庭の椅子も、庭に咲いている一輪の秋薔薇さえ、もうレイチェルのものではない。ため息をついていると、聞き慣れた声がした。
「やあ、よく来たね、レイチェル」
客人をもてなす主の顔で現れたのは、従兄弟のルイスだ。傲慢さにあふれた顔で、レイチェルを見る。実際、今この家はルイスのものだ。
「こんにちは、ルイス……」
レイチェルは立ち上がって、ルイスに手を差し出した。がっちり握られ、痛みにうめく。
「用って何かしら」
なんとか手を引き抜いて問うと、ルイスは「座って」と椅子を指さした。自分のものだと主張するような態度に少しむっとする。
レイチェルが腰かけると、彼はその隣に座り、足を組んだ。彼の膝がレイチェルのスカートに触れて、思わずびくりとする。
「今どうしてるの? ホテルに泊まってるのかい」
ルイスに問われて、レイチェルはうなずいた。
「ええ、駅前のホテルに」
「ここにいればいいのに」
レイチェルだってそうしたい。だけど、どうもこの青年が苦手なのだ。悪い人ではないと思うけど――
「ここはもうあなたの家だもの」
そう言ってほほ笑むと、ルイスが身を乗り出してきた。思わず椅子を引く。
「確かにそうだね。でも、またここに住める方法があるよ」
「な、なにかしら」
「僕と結婚するんだ」
そう言って、ルイスはレイチェルの髪を撫でる。ぞくりとして思わず身を引くと、彼は何を勘違いしたのか、はは、と笑った。
「照れなくてもいいよ、僕たちは従兄弟じゃないか」
「い、いとこ同士の結婚って、あまりに近すぎるんじゃないかしら」
「そんなことないさ。僕たちなら面倒な付き合いを飛ばして生活を始められるし」
結婚できない理由として、血が近いからというのももちろんある。しかし、レイチェルはこの自信過剰な物言いが一番苦手だった。
今でも思い出す。「レイチェル、君はきれいだよね。女の子はやっぱりきれいでおとなしいのが一番だよ」
数年前、一緒に散歩をしたときに、彼がそう言ったことを。
それ以来、会わないようにしてきたのに。
と、レイチェルとルイスの間に割り込むようにして、にゅっと手が出てきた。
「お茶でございます」
すました顔で紅茶を差し出してきたのは、メイドのモリ―だ。ルイスは勢いをそがれ、鼻白む。
「割り込むなよ、モリ―。今レイチェルと大事な話をしてるんだ」
「申し訳ありません、ルイス坊ちゃん」
モリ―は背を向けたルイスにべえっと舌を出し、レイチェルに向かって励ますように拳を握って見せた。負けるな、というサインだろう。レイチェルは頷き、ありがとう、とちいさく口を動かした。
メイドが去ると、ルイスがまた身を乗り出した。呼応してレイチェルは身を引く。
「君には家族が必要だろ、レイチェル。一人じゃ生きていけない」
「そう思うわ、でも」
家を得るために、家族を得るために、この人に触られたくない。だって少し近づいただけで鳥肌が止まらないのだ!
「ごめんなさい、無理なの」
きっぱり言うと、胸がすうっ、とした。だが、これで家を手に入れるチャンスを逃したのも確かなのだ……
「そんなこと言わないで」
ルイスはそう言って、レイチェルの腕を掴んだ。おまけに、キスしようと唇を近づけてくる。鳥肌がぶわっ、と浮いた。
「きゃあっ」
思わず押しのけると、ルイスは地面に倒れる。
「あっ」
起き上がった彼を見て、レイチェルは真っ青になる。石にでもぶつけたのか、彼の額から血が出ていた。ルイスは額を抑えながら、レイチェルを睨み付ける。
「何するんだよ」
「ご、ごめんなさい」
立ち上がったルイスが歩き出したので、レイチェルは慌てて追った。
「待って、血を拭かないと」
「警察に突き出してやる。暴行罪と、住居侵入罪で!」
レイチェルはさあっと青くなった。
「そんな、あなたが呼んだんじゃない! それに暴行なんて」
ルイスは不遜そうな口元を緩め、言う。
「よかったね、レイチェル。住むところが見つかって。刑務所だ。お似合いだよ」
「待って、ルイス……!」
そのとき、レイチェルの立っている地面が赤く光り始めた。
「!」
ペンタグラムというのか、円に、不思議な文字が幾重にも重なった印が、レイチェルの足元に浮かんでいる。
「うわっ、なんだ、これ」
ルイスが悲鳴を上げて後ずさる。赤く発光した地面から、にゅうっ、と蛇が出てきた。それはレイチェルの足首を拘束する。あまりのことに、全身が粟だった。これは一体──なに!?
「いや、離して!」
ずるずるとペンタグラムの中へ引きずり込まれながら、レイチェルは必死に助けを求めた。
「助けて、ルイス!」
しかし、ルイスは腰を抜かしてしゃがみこんでいる。髪が乱れ、額にかかっていた。
「な、なんだよこれ……」
身体がどんどん沈んでいく。足元になんの感触もないのが恐怖を煽った。落ちたらどうなるのか、想像するだけで目の前が真っ暗になる。ついに、レイチェルの身体は、地上からは完全に見えなくなった。
「きゃああああ……」
レイチェルはそのまま、奈落の底へと落ちていった。
ぐんぐん、ぐんぐん、落ちていく。炭のように真っ黒な闇の中、身体は落下を続けている。やがて、落下速度がゆるくなってきた。どこかに、落ちる──。
どさっ。レイチェルは音を立てて墜落した。背中に固い感触を覚える。
「っ……」
痛みに呻きながら、身体を起こす。頭がくらくらして、視界がぼんやりする。
しばらくじっとしていたら、ふっと焦点が合って、目の前に紳士物の靴が見えた。ルイスのものだろうか? 彼の靴なんか見ていなかった。
レイチェルは視線を上げて、その人物と視線を合わせる。
真っ赤な瞳と目があって、息を飲んだ。次いで目に入ったのは漆黒の髪。仕立てのいいスーツを着て、悠然と足を組んでいる。
端正な顔立ちに、酷薄な気配を漂わせ、彼はレイチェルを見下ろしていた。耳が異常にとがっている。まるで、絵本に乗っている妖精か何かのようだ。
彼は口を開く。
「君は、誰だ」
1834年、イギリス、ロンドン。とある秋の日、都のシンボルであったウエストミンスター宮殿が消失した。運よく残ったジュエルタワーやウエスト・ミンスターホールを除き、ほとんどすべての建物がなくなってしまい、一か月たった今でも、その荘厳な姿は痛々しく焼け焦げたままだった。
レイチェル・キーズは、打ちひしがれていた。秋の日差しの下、金の髪がきらきらと光っている。緑の瞳は、新緑のように瑞々しい。
彼女は歴史ある宮殿の災害に落ち込んでいるわけではなかった。先日、親が他界し、見知った青年に家を奪われたからである。
ここ、英国を支配する「限嗣相続制」、すなわち、男子のみが家督を継げる、そのうえ財産もすべてその人物のものになる――それのおかげで、レイチェルはただいま無一文なのだ。
今座っている庭の椅子も、庭に咲いている一輪の秋薔薇さえ、もうレイチェルのものではない。ため息をついていると、聞き慣れた声がした。
「やあ、よく来たね、レイチェル」
客人をもてなす主の顔で現れたのは、従兄弟のルイスだ。傲慢さにあふれた顔で、レイチェルを見る。実際、今この家はルイスのものだ。
「こんにちは、ルイス……」
レイチェルは立ち上がって、ルイスに手を差し出した。がっちり握られ、痛みにうめく。
「用って何かしら」
なんとか手を引き抜いて問うと、ルイスは「座って」と椅子を指さした。自分のものだと主張するような態度に少しむっとする。
レイチェルが腰かけると、彼はその隣に座り、足を組んだ。彼の膝がレイチェルのスカートに触れて、思わずびくりとする。
「今どうしてるの? ホテルに泊まってるのかい」
ルイスに問われて、レイチェルはうなずいた。
「ええ、駅前のホテルに」
「ここにいればいいのに」
レイチェルだってそうしたい。だけど、どうもこの青年が苦手なのだ。悪い人ではないと思うけど――
「ここはもうあなたの家だもの」
そう言ってほほ笑むと、ルイスが身を乗り出してきた。思わず椅子を引く。
「確かにそうだね。でも、またここに住める方法があるよ」
「な、なにかしら」
「僕と結婚するんだ」
そう言って、ルイスはレイチェルの髪を撫でる。ぞくりとして思わず身を引くと、彼は何を勘違いしたのか、はは、と笑った。
「照れなくてもいいよ、僕たちは従兄弟じゃないか」
「い、いとこ同士の結婚って、あまりに近すぎるんじゃないかしら」
「そんなことないさ。僕たちなら面倒な付き合いを飛ばして生活を始められるし」
結婚できない理由として、血が近いからというのももちろんある。しかし、レイチェルはこの自信過剰な物言いが一番苦手だった。
今でも思い出す。「レイチェル、君はきれいだよね。女の子はやっぱりきれいでおとなしいのが一番だよ」
数年前、一緒に散歩をしたときに、彼がそう言ったことを。
それ以来、会わないようにしてきたのに。
と、レイチェルとルイスの間に割り込むようにして、にゅっと手が出てきた。
「お茶でございます」
すました顔で紅茶を差し出してきたのは、メイドのモリ―だ。ルイスは勢いをそがれ、鼻白む。
「割り込むなよ、モリ―。今レイチェルと大事な話をしてるんだ」
「申し訳ありません、ルイス坊ちゃん」
モリ―は背を向けたルイスにべえっと舌を出し、レイチェルに向かって励ますように拳を握って見せた。負けるな、というサインだろう。レイチェルは頷き、ありがとう、とちいさく口を動かした。
メイドが去ると、ルイスがまた身を乗り出した。呼応してレイチェルは身を引く。
「君には家族が必要だろ、レイチェル。一人じゃ生きていけない」
「そう思うわ、でも」
家を得るために、家族を得るために、この人に触られたくない。だって少し近づいただけで鳥肌が止まらないのだ!
「ごめんなさい、無理なの」
きっぱり言うと、胸がすうっ、とした。だが、これで家を手に入れるチャンスを逃したのも確かなのだ……
「そんなこと言わないで」
ルイスはそう言って、レイチェルの腕を掴んだ。おまけに、キスしようと唇を近づけてくる。鳥肌がぶわっ、と浮いた。
「きゃあっ」
思わず押しのけると、ルイスは地面に倒れる。
「あっ」
起き上がった彼を見て、レイチェルは真っ青になる。石にでもぶつけたのか、彼の額から血が出ていた。ルイスは額を抑えながら、レイチェルを睨み付ける。
「何するんだよ」
「ご、ごめんなさい」
立ち上がったルイスが歩き出したので、レイチェルは慌てて追った。
「待って、血を拭かないと」
「警察に突き出してやる。暴行罪と、住居侵入罪で!」
レイチェルはさあっと青くなった。
「そんな、あなたが呼んだんじゃない! それに暴行なんて」
ルイスは不遜そうな口元を緩め、言う。
「よかったね、レイチェル。住むところが見つかって。刑務所だ。お似合いだよ」
「待って、ルイス……!」
そのとき、レイチェルの立っている地面が赤く光り始めた。
「!」
ペンタグラムというのか、円に、不思議な文字が幾重にも重なった印が、レイチェルの足元に浮かんでいる。
「うわっ、なんだ、これ」
ルイスが悲鳴を上げて後ずさる。赤く発光した地面から、にゅうっ、と蛇が出てきた。それはレイチェルの足首を拘束する。あまりのことに、全身が粟だった。これは一体──なに!?
「いや、離して!」
ずるずるとペンタグラムの中へ引きずり込まれながら、レイチェルは必死に助けを求めた。
「助けて、ルイス!」
しかし、ルイスは腰を抜かしてしゃがみこんでいる。髪が乱れ、額にかかっていた。
「な、なんだよこれ……」
身体がどんどん沈んでいく。足元になんの感触もないのが恐怖を煽った。落ちたらどうなるのか、想像するだけで目の前が真っ暗になる。ついに、レイチェルの身体は、地上からは完全に見えなくなった。
「きゃああああ……」
レイチェルはそのまま、奈落の底へと落ちていった。
ぐんぐん、ぐんぐん、落ちていく。炭のように真っ黒な闇の中、身体は落下を続けている。やがて、落下速度がゆるくなってきた。どこかに、落ちる──。
どさっ。レイチェルは音を立てて墜落した。背中に固い感触を覚える。
「っ……」
痛みに呻きながら、身体を起こす。頭がくらくらして、視界がぼんやりする。
しばらくじっとしていたら、ふっと焦点が合って、目の前に紳士物の靴が見えた。ルイスのものだろうか? 彼の靴なんか見ていなかった。
レイチェルは視線を上げて、その人物と視線を合わせる。
真っ赤な瞳と目があって、息を飲んだ。次いで目に入ったのは漆黒の髪。仕立てのいいスーツを着て、悠然と足を組んでいる。
端正な顔立ちに、酷薄な気配を漂わせ、彼はレイチェルを見下ろしていた。耳が異常にとがっている。まるで、絵本に乗っている妖精か何かのようだ。
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