【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら

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19.純潔乙女会議(3)

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「幼馴染にフラれたばかりのマレビト様……」

かえさなくていいです……。

「しかも、マレビト様もまた、純潔じゅんけつなのです!」

ひとクラス分くらいの女子を前に「この人、童貞どうてい!」ってさけばれた男子高校生の気持ちをべよ。ただし、叫んだのはスレンダー長身超絶美女とする。

「我らに子種こだねさずけてくださるような気持ちには、到底とうていならないではありませんか」

あ、はい……。それは、そうですけど……。いや、みなさんもウンウンうなずくのめてください。

「無数の乙女おとめたちの純潔じゅんけつらし、76人もの子供をもうけた初代マレビト様を基準きじゅんにしてはいけないのです!」

初代マレビト、お前か。お前が好き放題ほうだいやったから出来たか……。

「私たちの城も命も、前代未聞ぜんだいみもん危機ききさらされています。マレビト様をおむかえ出来たのは、私たちに残された、唯一ゆいいつの希望と言っていいでしょう。ご自身の命をしてまで召喚されたリーファ姫のおもいにこたえるためにも、私たちは今こそ一致いっち結束けっそくしてマレビト様のお気持ちにわなくてはいけません!」

パチパチと、小さな拍手が起きた。いや、拍手って。しかも、拍手はどんどん大きくなっていくし……。

悲痛ひつうな表情を浮かべたシアユンさんが、俺の方を向いた。その表情もやめてほしい……。

「マレビト様……」

「あ、はい……」

「私ども宮城きゅうじょうつかえる者が、変な理屈りくつをつけてマレビト様をひとめしようとしているのではないかとみなに誤解されないよう、ご自身の前で皆にも話を聞いてもらいました」

そういう理由でしたか……。ものすごいダメージくらいましたけど、一応納得はしました。血を吐くかと思いましたけど。

「我ら純潔じゅんけつ乙女おとめ一同いちどう、マレビト様を心の底からおささえいたします」

と、シアユンさんは再び女子たちの方に向き直った。

「皆もそれで良いな? マレビト様のご様子から、私の言葉にいつわりがないことは分ってもらえたと思う」

色とりどりの髪をした頭が、それぞれに力強くうなずいてる。よく分かりませんが、気持ちがひとつになったのなら、良かったですね……。

「ダーシャン王国の臣民しんみんとして、2代マレビト様の悲劇を繰り返してはなりません! 筆舌ひつぜつがたいほどの危難きなん見舞みまわれている今だからこそ、その思いを強く持つ必要があるのです!」

「悲劇……?」

と、思わず口を開いてしまった。シアユンさんは視線を落とし、つらそうな表情を浮かべた。

めたのです……」

「はい?」

「北の蛮族ばんぞくに攻め込まれ、王都も陥落かんらくし、王国南東の小城こじろにまで押し込まれて籠城ろうじょうしていたところ、召喚に応じてくださった2代マレビト様に対して、当時の王や貴族が『早く救え』『早くなんとかしろ』と言いまくり、何も状況の分からない2代マレビト様がヘソを曲げ、めにめたのです……」

「ああ……」

「関係はこじれにこじれ、別のマレビト様を召喚しようと無駄死むだじにする呪術師まで出る始末であったと伝わります……。城の守りはかたかったので、蛮族の攻撃はしのげましたが、関係の修復しゅうふくには長い時間をようし、最初から丁寧ていねいに接していれば1年は早く危難きなんを退けられたのではとも伝わります」

召喚されてから、すごく丁重ていちょうに扱われて、段階をんで接してくれてる理由が分かりました。

――こうして、後の歴史書にも『純潔じゅんけつ乙女おとめ会議かいぎ』としるされることになる、俺のフラれ話に面識めんしきのない多数の女子たちが涙して、昨日フラれたばかりの俺の心をえぐりきった女子会……、が終わった。
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