【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら

文字の大きさ
109 / 297

109.温もりの大浴場(3)

しおりを挟む
「弓を作りたいんだ」

「弓?」

――くにっ(左)。

「うん。新しい弓」

「ほうほう。いいね! 新しい弓」

――くにっ(右)。

「俺にもハッキリとしたイメージはなくて、こう、自動で連射れんしゃできる弓を作りたいんだ」

「ふむふむ」

俺もまった構造こうぞうを知らない連弩れんどのことを一生懸命いっしょうけんめい、シーシに伝えようとするんだけど、もちろん伝わらない。

むしろ、シーシがねばづよく俺のイメージを聞き出そうとしてくれてるのが、申し訳ない気持ちになる。

いや、実は気付いていた。やりづくりをお願いしたとき、シーシはなかなか槍という概念がいねんを理解できなかった。

シーシはイチ100ヒャクにする天才職人てんさいしょくにんだけど、ゼロをイチにするのは苦手だ。

俺が伝える日本の知識ちしきや、ミンリンさんのえが設計図せっけいずもとに、イチ100ヒャクどころか1000センにもしてしまうけど、まったくのゼロから発想はっそうするのは、あまり得意とくいじゃない。

でも、どうにか伝えたい。まったくの素人しろうとを、短弓たんきゅうが使えるところまでそだててる時間はない。誰でもあつかえる弓が、どうしてもほしい。

「分かった!」

と、シーシが言った。

一緒いっしょに作ろう! マレビト様!」

その時、ふと、背中に密着みっちゃくしてるシーシのはだぬくもりを感じた。

気が付くと、俺は随分ずいぶん、落ち着きを取りもどしている。

思いこされるのは、ぞくに背中を向けてめてくれたシアユンさんのぬくもり、それよりずっと前、最初にシアユンさんが背中を手拭てぬぐいで流してくれたときにれた手のぬくもり。

そして、今、背中で泡立あわだ液体えきたいしに、じんわりとつつまれるようなシーシのあたたかさ。

――ボクは、マレビト様がマレビトで良かったのだ!

シーシが言ってくれた言葉も耳によみがえる。

俺は、ようやく顔に少しみを浮かべることが出来て、シーシにこたえた。

「一緒に作ろう! お願いするよ、シーシ!」

まかせておくのだ!」

その時、左腕をツイファさんが、右腕をユーフォンさんが、……つつんだ。

――むきゅ(左腕)。

――ふにゅん(右腕)。

あっ……。そこも律儀りちぎに、いつも通りなんスね?

昨夜ゆうべ出来事できごとも分かってる、素晴すばらしい人選じんせんだと思いますよ。

ただね、少し落ち着いたとはいえ、色々あり過ぎてのうのキャパすくなくなってますよ? 俺。

不意打ふいうちのようにつつまれたやわらかであたたかな感触かんしょく

一瞬で気恥きはずかしさがマックスにたっした俺の頭は、ポンッとぜた――。

ええ、そうですよ。

色々、なやんでたことも、びましたよ……。

――むきゅ。

ツイファさんが、いつものまし顔で微笑ほほえんだ。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

勇者のハーレムパーティー抜けさせてもらいます!〜やけになってワンナイトしたら溺愛されました〜

犬の下僕
恋愛
勇者に裏切られた主人公がワンナイトしたら溺愛される話です。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

処理中です...