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151.お願い大浴場(2)

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「たぶん、3人ともだいぶ身分みぶんが高いわね」

と言うシュエンが、今朝けさ担当。

――ぽみゅ(上)。

あの、くら宿舎しゅくしゃ行灯あんどんの光に浮かんだ孤独こどくな谷間が、背中を勢い良くすべってると思うと感慨かんがい深いものが……。

「聞いてる? マレビト様」

「あ、はい。聞いてます」

――ぽみゅ(下)。

「こっちだってずかしいんだから、れてないで、ちゃんと聞いてよねっ」

「あ、はい。すみません」

――ぽみゅっ(上)。

恥ずかしいってハッキリ言えちゃうんですね、シュエンさん。むしろ清々すがすがしいです。

……柔らかいですし。

「3人の中では特に、あの一番おっぱいの大きなむすめが、だいぶえらいんじゃないかと思う」

――ぽみゅ(下)。

あ。シュエンさんも、胸の大きさで識別しきべつするんですね。

そういうのを嫌味いやみなくスパッと言える感じ、うらやましい資質ししつです。

「3人ともハッキリは言わないんだけど言葉の端々はしばしから、そんな感じがするのよね」

「話が出来たの? すごいなシュエンは。俺が何言っても、全然答えてもらえなかったのに」

――ぽみゅみゅ(上)。

「なんて言うか、マジメなのよね3人とも。ちょっと、からかったら、すぐムキになるし」

「へ、へぇー」

メイファンとは真逆まぎゃく方向からのコミュりょくお化けって感じがするなぁ。

――ぽみゅ(下)。

このシュエンが、あれだけがらみたいになってたんだから、よっぽどお父さんのこと好きだったんだろうなぁ……。

「まあ、このままじゃ、なかなか進まないと思うけど、ぼちぼち続けてみるわよ」

「そうか……」

――ぽみゅ(上)。

「あれは、なんかガツンとショックを与えた方が、話が早いかもしれないけどねー」

……ガツンとショックかぁ。

――ぽみゅ(下)。

「今日のところは、そんなとこかな」

「すまないな」

――ぽみゅ(上)。

「え? なにが?」

「いや、シュエンも北の蛮族ばんぞくの世話するの、気が進まないだろうなと思って」

「……」

――ぽみゅぅぅぅう(右)。

え? えっ? 柔らかい感触かんしょくが横にすべってく。

右のの横からシュエンの顔が、ヒョコっと出た。

「だって……、マレビト様はたすけたいんでしょう……?」

と、せつなそうにも見える表情で、俺を上目遣うわめづかいに見上げてる。

「う、うん……」

……や、やばい。す、すごい可愛かわいい。

急にしてるとか……。

「じゃあ、全然、頑張るよ!」

――ぽみゅう。

ニカッと笑ったシュエンに、後ろからめられるような形になった。

こ、これは、くさい……。

そして、また柔らかな感触が上に下に滑り始めた。

――ぽみゅ(上)。

「……あの時、マレビト様がむかえに来てくれなかったら、私は死んじゃってたかもなぁって思うの」

「う、うん……」

――ぽみゅ(下)。

大浴場お風呂んながいなかったら、もっと、おかしくなってたと思うの」

「……」

――ぽみゅ(上)。

「それが、今や重臣じゅうしんですって! もう、意味分かんないし……」

あ、なんか、すみません……。

――ぽみゅ(下)。

「……意味分かんないくらい、感謝してるの。ありがとね、マレビト様」

――ぽみゅ(抱)。

シュエンは俺の背中の下の方で、そっと腕を回し、抱き締めた。んなには見えないように。

「だから、マレビト様の願いなら、私、なんでもするから……」

「う、うん……。ありがと……」

――ぽみゅ!(上)。

――ぽみゅ!(下)。

――ぽみゅ!(上)。

――ぽみゅ!(下)。

――ぽみゅ!(上)。

――ぽみゅ!(下)。

――ぽみゅ!(上)。

――ぽみゅ!(下)。

――ぽみゅ!(上)。

あ、照れたんですね? 俺もしっかり照れてますよ……。

「はい。背中おしまい! 次は左腕ねっ!」
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