【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら

文字の大きさ
261 / 297

最終話.エピローグ大浴場

しおりを挟む
日本に戻って19年がった――。

あの後、佐藤さんの病院で目覚めた里佳と一緒に家に帰り、見慣みなれた里佳の部屋で俺たちは、2回目ので結ばれた。

ちなみにお互い、めちゃくちゃ照れた。

異世界で、あんなにたのに。

けど、地球ではたら子どもが出来るというわけではない。生命せいめい神秘しんぴがある。

「やっぱ、医学部いいや」

と、言い出した里佳をご両親はとがめるでもなく、大学入学を前に俺たちはあわただしく結婚した。

「できこんはちょっと……」

という里佳の意向いこうだったけど、両家とも理解してくれて良かった。そして、甲斐かいあって、無事に里佳は妊娠して娘が生まれた。

娘には、麗花れいかと名付けた。

中国語読みでリーファだ。

麗花が生まれた頃から、チラホラとダーシャンのたましいを持つ子どもとすれ違うようになった。

「やっぱ、受精卵じゅせいらんに転生してたんだねぇ」

と、里佳がベビーカーを押しながら言った。

「今さらながら人間の身で、世界のことわりを全部正確にあやつるのは難しいわ」

物心ものごころの付いてなかったというか、胎児たいじだった麗花にダーシャンの記憶も自覚もない。

「マ、マレビト様のお宅はこちらでしょうか……?」

と、転生した乙女が、初めて訪ねて来てくれたのは、麗花が小学校に上がった年だった。

それから、旅先で再会出来たり、SNSで繋がったり、麗花が高校に入学する頃には、転生した乙女全員の消息が確認できた。

麗花と同い年の元乙女たちとは、なつかしむように異世界での名前で呼び合う。

「ニシシ。おきさき様の言う通り、やっぱ側室そくしつは『ない』のだ」

と、笑う黒髪のシーシは、やっぱりツルペタだ。里佳がリーファにうり二つだったように、んなうつしの姿で現れる。だけど、19歳年下の女子をそんな目で見るのは日本的には良くない。

イーリンさんなど、既にふくらみが立派で目のやり場に困るわけだけど、会いに来てくれるのは嬉しい。

里佳もなつかし気に笑って迎えた。

そして、麗花が高校の卒業旅行に出掛けた今日。同じように高校を卒業したばかりの22人の元乙女たちがそろって遊びに来てくれた。

「マーくん! 久しぶりー!」

と、腕に抱き着いて豊かなふくらみを押し当ててきたのはメイファンだ。マレビトと呼ぶのは人目を引くので、俺のことをマーくんと呼ぶようになっている。

乙女たちは里佳となにやらたくらんでいたらしく、んなでそろって、初代マレビトの佐藤さんに会いに行った。

そう言えば、こっちに戻ってすぐに探し出した3代マレビトの山口さんは、予想通り就職に苦戦していて、親父の町工場を紹介した。

今ではあといだ俺の部下として元気に頑張ってくれている。女性恐怖症きょうふしょう克服こくふくして、去年ようやく結婚した。

佐藤さんは初老の紳士になっていて、奥さんと一緒に温かく迎えてくれた。

思い出話に花を咲かせた後、んなに手を引かれて連れて行かれたのは、貸し切りにしてある温泉旅館だった。

「1回だけよ」

と、里佳が俺の顔をのぞき込んだ。

日本基準で超美形の18歳女子22人とかる温泉は、照れ臭いなんてもんじゃない。

俺もすっかりいい歳なのに、顔を真っ赤にしてると、突然――、

――むにゅん。

「へ?」

「ひひっ!」

「メ、メイファン……?」

「1回だけ1回だけ。私ね、彼氏出来たんだ」

「そ、そっか!」

「でも、まだ純潔じゅんけつだよ」

「え……?」

「マーくんと、こっちでもお風呂入るまでは、純潔じゅんけつでいたいなって思って」

「そ、そっか」

「彼氏。マーくんほどじゃないけど、いい男だよ? 1回会ってね」

ど、どんな顔して会えばいいんだ……。

メイファンを皮切かわきりに、次々、柔らかな肌とふくらみが俺に押し当てられていく。

――俺、よくこれにえたな。

と、顔を真っ赤にしている俺を、にこにこ見てる里佳の笑顔が怖い……。

風呂上がり、宴会場で豪華な食事をいただきながら、俺たちだけの思い出話に花を咲かせた。

、好きだったよね!」

「お尻もよく見てた」

「チラッとだけどね」

「小さなおっぱいも好きだったのだ」

「お腹もお好きでした」

「細い腰回りもチラッと見てた」

わきとかも見逃さなかったよね」

「でも、やっぱり一番は大きなおっぱいでしょ」

「うむ。よく見られてたな」

つ、妻が同席しておりまして……。

ていうか、その里佳も爆笑してるし。私のも見てた見てた、ってなんだ? 夫の恥ずかしい話を暴露ばくろしてるんじゃありません……。

小さくなってる俺のそばに、そっとシアユンさんが座った。

異世界でも黒髪だったシアユンさんは、再現度がより高い。あの抱き合った晩が生々しく思い浮かんで、顔を赤くしてしまう。

「マーくん……」

うーん。年下になったシアユンさんから、そんな風に呼ばれたら、おじさん、ときめいてしまいますよ?

「これを……」

と、差し出してくれたのは1冊の本だった。

「ダーシャン王国とジーウォ公国の歴史をまとめました」

「えっ? 出版したの?」

「いえ、今は1冊からでも装丁そうていしてもらえますので」

「そうなんだあ」

パラパラとめくると、後半はあの闘いのことがつぶさにまとめられていた。

じゅ、純潔じゅんけつ乙女おとめ会議かいぎこう分厚ぶあつくないですか……?

「え――っ!? 私も欲しい!」

と、シュエンが声を上げた。

「よし! 費用は俺が出すから、人数分ろう!」

おおーっ! と、乙女たちから拍手が起こる。

「だって一応、社長だしぃ。奥さんは弁護士だしぃ」

里佳は麗花を出産した後、大学に入り直して法学部に進んだ。数学がよっぽどつらかったらしい。

そんなダーシャンのたましいで生まれながら、ミンリンさんは工学部の建築学科に進んだ。学問が大好きで努力をしまないミンリンさんらしい。

シーシは工業高校を出て、春から俺の会社で働く。物作りし放題の職場で活躍してくれることを期待している。

シュエンは調理学校に進んだし、クゥアイは農業試験場に就職する。ミンユーはアーチェリーの国体選手でオリンピックもねらってる。ラハマは競馬の騎手を目指していて、スイランさんは経済学部に、アスマは政治学部に進んだ。

んな、日本での生活を謳歌おうかしているようで、なによりだ。

気が付くとんながキャッキャと、シアユンさんの執筆した歴史書を回し読みしている。

温泉ではのぼせてしまってたけど、宴会場で浴衣ゆかたを着てキャッキャとしてるんなの姿が、あのころと重なって見えた。

――よく、生き残った。

その気持ちが一番にき上がる。

「あれぇ? マーくん、泣いてるの?」

と、んなの輪から抜けてメイファンがそばに座った。

「年取ると、涙もろくなるの」

「ふうん、そっかあ……」

「そうなの」

と、俺が照れ笑いしながら鼻をすすると、メイファンが浴衣をペラっとめくった。

「じゃ、、見とく?」

転生してもブレないな。

彼氏できたんでしょ?

見ちゃったけど。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

第2の人生は、『男』が希少種の世界で

赤金武蔵
ファンタジー
 日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。  あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。  ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。  しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

男が少ない世界に転生して

美鈴
ファンタジー
※よりよいものにする為に改稿する事にしました!どうかお付き合い下さいますと幸いです! 旧稿版も一応残しておきますがあのままいくと当初のプロットよりも大幅におかしくなりましたのですいませんが宜しくお願いします! 交通事故に合い意識がどんどん遠くなっていく1人の男性。次に意識が戻った時は病院?前世の一部の記憶はあるが自分に関する事は全て忘れた男が転生したのは男女比が異なる世界。彼はどの様にこの世界で生きていくのだろうか?それはまだ誰も知らないお話。

処理中です...