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最終話.エピローグ大浴場
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日本に戻って19年が経った――。
あの後、佐藤さんの病院で目覚めた里佳と一緒に家に帰り、見慣れた里佳の部屋で俺たちは、2回目のはじめてで結ばれた。
ちなみにお互い、めちゃくちゃ照れた。
異世界で、あんなにしたのに。
けど、地球ではしたら子どもが出来るという訳ではない。生命に神秘がある。
「やっぱ、医学部いいや」
と、言い出した里佳をご両親は咎めるでもなく、大学入学を前に俺たちは慌ただしく結婚した。
「でき婚はちょっと……」
という里佳の意向だったけど、両家とも理解してくれて良かった。そして、努力の甲斐あって、無事に里佳は妊娠して娘が生まれた。
娘には、麗花と名付けた。
中国語読みでリーファだ。
麗花が生まれた頃から、チラホラとダーシャンの魂を持つ子どもとすれ違うようになった。
「やっぱ、受精卵に転生してたんだねぇ」
と、里佳がベビーカーを押しながら言った。
「今さらながら人間の身で、世界の理を全部正確に操るのは難しいわ」
物心の付いてなかったというか、胎児だった麗花にダーシャンの記憶も自覚もない。
「マ、マレビト様のお宅はこちらでしょうか……?」
と、転生した乙女が、初めて訪ねて来てくれたのは、麗花が小学校に上がった年だった。
それから、旅先で再会出来たり、SNSで繋がったり、麗花が高校に入学する頃には、転生した乙女全員の消息が確認できた。
麗花と同い年の元乙女たちとは、懐かしむように異世界での名前で呼び合う。
「ニシシ。お妃様の言う通り、やっぱ側室は『ない』のだ」
と、笑う黒髪のシーシは、やっぱりツルペタだ。里佳がリーファにうり二つだったように、皆んな生き写しの姿で現れる。だけど、19歳年下の女子をそんな目で見るのは日本的には良くない。
イーリンさんなど、既に膨らみが立派で目のやり場に困る訳だけど、会いに来てくれるのは嬉しい。
里佳も懐かし気に笑って迎えた。
そして、麗花が高校の卒業旅行に出掛けた今日。同じように高校を卒業したばかりの22人の元乙女たちが揃って遊びに来てくれた。
「マーくん! 久しぶりー!」
と、腕に抱き着いて豊かな膨らみを押し当ててきたのはメイファンだ。マレビトと呼ぶのは人目を引くので、俺のことをマーくんと呼ぶようになっている。
乙女たちは里佳となにやら企んでいたらしく、皆んなで揃って、初代マレビトの佐藤さんに会いに行った。
そう言えば、こっちに戻ってすぐに探し出した3代マレビトの山口さんは、予想通り就職に苦戦していて、親父の町工場を紹介した。
今では跡を継いだ俺の部下として元気に頑張ってくれている。女性恐怖症を克服して、去年ようやく結婚した。
佐藤さんは初老の紳士になっていて、奥さんと一緒に温かく迎えてくれた。
思い出話に花を咲かせた後、皆んなに手を引かれて連れて行かれたのは、貸し切りにしてある温泉旅館だった。
「1回だけよ」
と、里佳が俺の顔を覗き込んだ。
日本基準で超美形の18歳女子22人と浸かる温泉は、照れ臭いなんてもんじゃない。
俺もすっかりいい歳なのに、顔を真っ赤にしてると、突然――、
――むにゅん。
「へ?」
「ひひっ!」
「メ、メイファン……?」
「1回だけ1回だけ。私ね、彼氏出来たんだ」
「そ、そっか!」
「でも、まだ純潔だよ」
「え……?」
「マーくんと、こっちでもお風呂入るまでは、純潔でいたいなって思って」
「そ、そっか」
「彼氏。マーくんほどじゃないけど、いい男だよ? 1回会ってね」
ど、どんな顔して会えばいいんだ……。
メイファンを皮切りに、次々、柔らかな肌と膨らみが俺に押し当てられていく。
――俺、よくこれに耐えたな。
と、顔を真っ赤にしている俺を、にこにこ見てる里佳の笑顔が怖い……。
風呂上がり、宴会場で豪華な食事をいただきながら、俺たちだけの思い出話に花を咲かせた。
「横乳、好きだったよね!」
「お尻もよく見てた」
「チラッとだけどね」
「小さなおっぱいも好きだったのだ」
「お腹もお好きでした」
「細い腰回りもチラッと見てた」
「脇とかも見逃さなかったよね」
「でも、やっぱり一番は大きなおっぱいでしょ」
「うむ。よく見られてたな」
つ、妻が同席しておりまして……。
ていうか、その里佳も爆笑してるし。私のも見てた見てた、ってなんだ? 夫の恥ずかしい話を暴露してるんじゃありません……。
小さくなってる俺の側に、そっとシアユンさんが座った。
異世界でも黒髪だったシアユンさんは、再現度がより高い。あの抱き合った晩が生々しく思い浮かんで、顔を赤くしてしまう。
「マーくん……」
うーん。年下になったシアユンさんから、そんな風に呼ばれたら、おじさん、ときめいてしまいますよ?
「これを……」
と、差し出してくれたのは1冊の本だった。
「ダーシャン王国とジーウォ公国の歴史をまとめました」
「えっ? 出版したの?」
「いえ、今は1冊からでも装丁してもらえますので」
「そうなんだあ」
パラパラとめくると、後半はあの闘いのことがつぶさにまとめられていた。
じゅ、純潔乙女会議の項、分厚くないですか……?
「え――っ!? 私も欲しい!」
と、シュエンが声を上げた。
「よし! 費用は俺が出すから、人数分刷ろう!」
おおーっ! と、乙女たちから拍手が起こる。
「だって一応、社長だしぃ。奥さんは弁護士だしぃ」
里佳は麗花を出産した後、大学に入り直して法学部に進んだ。数学がよっぽど辛かったらしい。
そんなダーシャンの魂で生まれながら、ミンリンさんは工学部の建築学科に進んだ。学問が大好きで努力を惜しまないミンリンさんらしい。
シーシは工業高校を出て、春から俺の会社で働く。物作りし放題の職場で活躍してくれることを期待している。
シュエンは調理学校に進んだし、クゥアイは農業試験場に就職する。ミンユーはアーチェリーの国体選手でオリンピックも狙ってる。ラハマは競馬の騎手を目指していて、スイランさんは経済学部に、アスマは政治学部に進んだ。
皆んな、日本での生活を謳歌しているようで、なによりだ。
気が付くと皆んながキャッキャと、シアユンさんの執筆した歴史書を回し読みしている。
温泉ではのぼせてしまってたけど、宴会場で浴衣を着てキャッキャとしてる皆んなの姿が、あの頃と重なって見えた。
――よく、生き残った。
その気持ちが一番に湧き上がる。
「あれぇ? マーくん、泣いてるの?」
と、皆んなの輪から抜けてメイファンが側に座った。
「年取ると、涙もろくなるの」
「ふうん、そっかあ……」
「そうなの」
と、俺が照れ笑いしながら鼻をすすると、メイファンが浴衣をペラっとめくった。
「じゃ、横乳、見とく?」
転生してもブレないな。
彼氏できたんでしょ?
見ちゃったけど。
あの後、佐藤さんの病院で目覚めた里佳と一緒に家に帰り、見慣れた里佳の部屋で俺たちは、2回目のはじめてで結ばれた。
ちなみにお互い、めちゃくちゃ照れた。
異世界で、あんなにしたのに。
けど、地球ではしたら子どもが出来るという訳ではない。生命に神秘がある。
「やっぱ、医学部いいや」
と、言い出した里佳をご両親は咎めるでもなく、大学入学を前に俺たちは慌ただしく結婚した。
「でき婚はちょっと……」
という里佳の意向だったけど、両家とも理解してくれて良かった。そして、努力の甲斐あって、無事に里佳は妊娠して娘が生まれた。
娘には、麗花と名付けた。
中国語読みでリーファだ。
麗花が生まれた頃から、チラホラとダーシャンの魂を持つ子どもとすれ違うようになった。
「やっぱ、受精卵に転生してたんだねぇ」
と、里佳がベビーカーを押しながら言った。
「今さらながら人間の身で、世界の理を全部正確に操るのは難しいわ」
物心の付いてなかったというか、胎児だった麗花にダーシャンの記憶も自覚もない。
「マ、マレビト様のお宅はこちらでしょうか……?」
と、転生した乙女が、初めて訪ねて来てくれたのは、麗花が小学校に上がった年だった。
それから、旅先で再会出来たり、SNSで繋がったり、麗花が高校に入学する頃には、転生した乙女全員の消息が確認できた。
麗花と同い年の元乙女たちとは、懐かしむように異世界での名前で呼び合う。
「ニシシ。お妃様の言う通り、やっぱ側室は『ない』のだ」
と、笑う黒髪のシーシは、やっぱりツルペタだ。里佳がリーファにうり二つだったように、皆んな生き写しの姿で現れる。だけど、19歳年下の女子をそんな目で見るのは日本的には良くない。
イーリンさんなど、既に膨らみが立派で目のやり場に困る訳だけど、会いに来てくれるのは嬉しい。
里佳も懐かし気に笑って迎えた。
そして、麗花が高校の卒業旅行に出掛けた今日。同じように高校を卒業したばかりの22人の元乙女たちが揃って遊びに来てくれた。
「マーくん! 久しぶりー!」
と、腕に抱き着いて豊かな膨らみを押し当ててきたのはメイファンだ。マレビトと呼ぶのは人目を引くので、俺のことをマーくんと呼ぶようになっている。
乙女たちは里佳となにやら企んでいたらしく、皆んなで揃って、初代マレビトの佐藤さんに会いに行った。
そう言えば、こっちに戻ってすぐに探し出した3代マレビトの山口さんは、予想通り就職に苦戦していて、親父の町工場を紹介した。
今では跡を継いだ俺の部下として元気に頑張ってくれている。女性恐怖症を克服して、去年ようやく結婚した。
佐藤さんは初老の紳士になっていて、奥さんと一緒に温かく迎えてくれた。
思い出話に花を咲かせた後、皆んなに手を引かれて連れて行かれたのは、貸し切りにしてある温泉旅館だった。
「1回だけよ」
と、里佳が俺の顔を覗き込んだ。
日本基準で超美形の18歳女子22人と浸かる温泉は、照れ臭いなんてもんじゃない。
俺もすっかりいい歳なのに、顔を真っ赤にしてると、突然――、
――むにゅん。
「へ?」
「ひひっ!」
「メ、メイファン……?」
「1回だけ1回だけ。私ね、彼氏出来たんだ」
「そ、そっか!」
「でも、まだ純潔だよ」
「え……?」
「マーくんと、こっちでもお風呂入るまでは、純潔でいたいなって思って」
「そ、そっか」
「彼氏。マーくんほどじゃないけど、いい男だよ? 1回会ってね」
ど、どんな顔して会えばいいんだ……。
メイファンを皮切りに、次々、柔らかな肌と膨らみが俺に押し当てられていく。
――俺、よくこれに耐えたな。
と、顔を真っ赤にしている俺を、にこにこ見てる里佳の笑顔が怖い……。
風呂上がり、宴会場で豪華な食事をいただきながら、俺たちだけの思い出話に花を咲かせた。
「横乳、好きだったよね!」
「お尻もよく見てた」
「チラッとだけどね」
「小さなおっぱいも好きだったのだ」
「お腹もお好きでした」
「細い腰回りもチラッと見てた」
「脇とかも見逃さなかったよね」
「でも、やっぱり一番は大きなおっぱいでしょ」
「うむ。よく見られてたな」
つ、妻が同席しておりまして……。
ていうか、その里佳も爆笑してるし。私のも見てた見てた、ってなんだ? 夫の恥ずかしい話を暴露してるんじゃありません……。
小さくなってる俺の側に、そっとシアユンさんが座った。
異世界でも黒髪だったシアユンさんは、再現度がより高い。あの抱き合った晩が生々しく思い浮かんで、顔を赤くしてしまう。
「マーくん……」
うーん。年下になったシアユンさんから、そんな風に呼ばれたら、おじさん、ときめいてしまいますよ?
「これを……」
と、差し出してくれたのは1冊の本だった。
「ダーシャン王国とジーウォ公国の歴史をまとめました」
「えっ? 出版したの?」
「いえ、今は1冊からでも装丁してもらえますので」
「そうなんだあ」
パラパラとめくると、後半はあの闘いのことがつぶさにまとめられていた。
じゅ、純潔乙女会議の項、分厚くないですか……?
「え――っ!? 私も欲しい!」
と、シュエンが声を上げた。
「よし! 費用は俺が出すから、人数分刷ろう!」
おおーっ! と、乙女たちから拍手が起こる。
「だって一応、社長だしぃ。奥さんは弁護士だしぃ」
里佳は麗花を出産した後、大学に入り直して法学部に進んだ。数学がよっぽど辛かったらしい。
そんなダーシャンの魂で生まれながら、ミンリンさんは工学部の建築学科に進んだ。学問が大好きで努力を惜しまないミンリンさんらしい。
シーシは工業高校を出て、春から俺の会社で働く。物作りし放題の職場で活躍してくれることを期待している。
シュエンは調理学校に進んだし、クゥアイは農業試験場に就職する。ミンユーはアーチェリーの国体選手でオリンピックも狙ってる。ラハマは競馬の騎手を目指していて、スイランさんは経済学部に、アスマは政治学部に進んだ。
皆んな、日本での生活を謳歌しているようで、なによりだ。
気が付くと皆んながキャッキャと、シアユンさんの執筆した歴史書を回し読みしている。
温泉ではのぼせてしまってたけど、宴会場で浴衣を着てキャッキャとしてる皆んなの姿が、あの頃と重なって見えた。
――よく、生き残った。
その気持ちが一番に湧き上がる。
「あれぇ? マーくん、泣いてるの?」
と、皆んなの輪から抜けてメイファンが側に座った。
「年取ると、涙もろくなるの」
「ふうん、そっかあ……」
「そうなの」
と、俺が照れ笑いしながら鼻をすすると、メイファンが浴衣をペラっとめくった。
「じゃ、横乳、見とく?」
転生してもブレないな。
彼氏できたんでしょ?
見ちゃったけど。
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