15 / 60
15.息が止まった
しおりを挟む
年が明け、新年祝賀の儀に列席するため王宮へと向かう。アーヴィド王子のお世話はイサクに任せた。
久しぶりに着せられた正装のドレス。
着慣れているはずなのに、やけに窮屈に感じる。
王都の厳戒態勢は緩んでいない。
謀反人の第2王子と第3王子は、いまだ捕縛されていないのだ。
わたしもふる舞いに油断はできない。
馬車のなかで呼吸を整え、生贄の人質、暴虐の王の側妃としての顔をつくる。
はやく地下のアーヴィド王子のそばに戻りたい気持ちを、冷ましていく。
――なにか、いいことがございました?
などと王宮で声をかけられては、目も当てられない。
いつかは暴虐の王の閨に召され、部族の平穏のために純潔を捧げる。姉トゥイッカと人質の労苦を分かち合う。
その運命を受け入れた、側妃ヴェーラとしての顔を、……つくる。
苦痛が増していた。
アーヴィド王子との秘めた暮らしが、わたしの心を塗り替えている。
閨で、オロフ陛下の老いてシワだらけの手がわたしの身体を這い、すべてを蹂躙されるという想像が、いままでにない生々しい嫌悪感と苦痛をもたらす。
「……お気分がすぐれませんか?」
と、馬車で向き合うフレイヤの心配そうな声に、ハッと顔をあげた。
わたしは、よほどひどい顔をしていたのだろう。
「大丈夫よ……、すこし馬車に酔ったかしら?」
窓の外に目をやる。
アーヴィド王子を匿うと決めたのは、わたしだ。わたしがすべてを隠し通さなくてはならない。
王宮の煌びやかな謁見の間。
鮮血のような赤絨毯に転がる、わたしとフレイヤの首――、
脳裏に浮かんだ凄惨な想像に、
背筋を凍らせた。
Ψ
3日に渡る新年祝賀を終えて隠し部屋に戻ったとき、わたしの動揺はアーヴィド王子にひと目で見抜かれた。
「……フェリックスの立太子が発表されたのでしょう?」
「お……、お分かりになるのですか?」
「当然の流れですから」
新年祝賀の儀で、6歳になる甥、第4王子フェリックス殿下の立太子――つまり、王太子の座に就かれることが、
国王オロフ陛下の口から宣言された。
離宮に暮らすわたしには、重要な決定であっても、前もって知らされることはない。
玉座のとなりで、必死に動揺を押し殺した。
事態は粛々と進み……、アーヴィド王子の帰れる場所がどんどん奪われてゆく。
――いや、いまは甥の立太子を寿ぐべき場面だ。王国の……、慶事だ。
と、その場にそぐう微笑みをつくった。
黒狼騎士団長のシモンは、わたしが漏らしてしまった一瞬の動揺を、見逃さなかったかもしれない――。
ベッドに横たわるアーヴィド王子が、うすく微笑まれた。
「……ヴェーラ陛下の甥御が、次の国王に決まったのです」
「……はい」
「喜んでさし上げてください」
「ですが……」
「なんですか?」
「……アーヴィド殿下の疑いが晴れたのち……、争いになるのでは、と……」
「……たとえ、そのような日が訪れたとしても、……私はかわいい弟と王座を争ったりはいたしません」
アーヴィド王子の微笑みは、わたしを安心させるためだけのものだと分かる。
だけど、すべてを諦められたような微笑みが、かえってわたしの心を締めつける。
世界から隔絶されたちいさなちいさな泡のような、薄暗い地下の隠し部屋。
いまだ身動きの取れないアーヴィド王子の胸に、そっと手を置き、顔を伏せると、
ロウソクの炎が、わたしの影を揺らした。
Ψ
無言のままアーヴィド王子の包帯を替え、隠し部屋から出ると、
イサクが真剣な眼差しをして待っていた。
――いい人はいないの?
と、聞いた日から、時折わたしに向けてくる熱い視線から、目を逸らす。
「……どうしたの?」
「お話が……」
「……話? ……後にできない? わたし、すこし疲れてるのよ」
「……申し訳ありません。大切な話があります……」
と、狩り小屋を出て、裏庭の目立たないところに連れてゆかれる。
これ以上に、わたしの心を揺さぶる話を耳にしたくなかった。
だけど、真剣な面持ちのままで何かを言いよどむイサクが、口をひらくのを待つ。
「……アーヴィド殿下が、ご自分の首を獲れと……」
「えっ!?」
「首を獲り、王宮に差し出せと……、俺に仰いました」
激しい動悸が胸を打つ。
アーヴィド王子は、まだ死のうとなされていた。
きっと、わたしを守るために。
「……ですが」
「なに?」
イサクは真剣な眼差しで、わたしを見詰め続けている。
イサクはきっと、アーヴィド王子の言葉に悩んだはずだ。
わたしの身の安全のためには、アーヴィド王子の首を王宮に差し出すことも、悪くないと思ったに違いない。
だけど、踏み止まってくれた。
「ヴェーラ陛下を悲しませることは……、俺にはできません」
イサクは、わたしに恋焦がれている。
もはや、確信がある。
王都の路地裏から救い出した、褐色の少年は、逞しい16歳の青年に育った。
もっとも近くでわたしに仕え、日に日にわたしへの想いを募らせてきたのだろう。
あの日、わたしに向けた真剣な眼差し。
イサクがひた隠しにしてきた熱情が、こぼれ出た。
イサクの瞳に、わたしがどう映っているのか、一瞬で悟らされた。
だけど、応えることはできない。
拒絶することすら出来ない。
わたしは王の側妃で、イサクは従者だ。
イサクの想いはこの世に存在してはならないものだ。わたしが拒絶し、存在を明らかにすれば、イサクの首が飛ぶ。
イサクが心の奥底に秘める想いを、わたしは見て見ぬふりするしかない。
そして、アーヴィド王子の秘密を知るイサクを、どこかに配置替えして遠ざけてあげることも、いまはできない。
わたしのそばに置くしかない。
惹かれてはいけないわたしに惹かれてしまったイサクに、残酷なことをしているのは、わたしがいちばんよく知っている。
引き続きアーヴィド王子をお護りするようにと命じて、仕事に戻らせた。
Ψ
立て続けに揺さぶられた心の動揺が収まらないわたしは、アーヴィド王子の夕食にフレイヤをともなった。
せまい地下の密室に3人。
いまは、わたしがアーヴィド王子とふたりきりになることも、
フレイヤをアーヴィド王子とふたりきりにすることも出来なかった。
やきもち、ではない。
アーヴィド王子から「殺せ」と頼まれたら、フレイヤはその願いを叶えてしまうかもしれない。
ふたりは乳姉弟として、堅い絆で結ばれている。
お似合いのふたりに、妬ける心がない訳ではない。むしろ、はっきり妬いている。
――いいなぁ……、フレイヤはアーヴィド王子と仲良しで……。
と、いつも思っている。
くだならい冗談を言い合って、笑いあうフレイヤが羨ましい。
フレイヤに向けるアーヴィド王子の砕けた笑顔を、わたしにも向けてほしい。
だけど、いまはそのフレイヤを頼るしかないほどに、わたしの心が乱れていた。
わたしがアーヴィド王子を抱きかかえるように密着して、兎肉のシチューを食べさせている間、
フレイヤが、くだらない昔話でアーヴィド王子の心をほぐす。
わたしは、それを黙って見ていた。
食事を終えて、横になったアーヴィド王子が、ふふっと笑った。
「なんですか? 意味ありげに笑ったりして? 美人ふたりを前に、失礼ですわよ?」
と、茶化すようにフレイヤが言った。
板を張り付けただけの天井を見詰めるアーヴィド王子が、愉快気に口をひらいた。
「意識を失っている間に、……夢を見たのを思い出したのだ」
「あら、楽しい夢だったのですね?」
「ああ……。絶世の美女が、私に口移しで水を飲ませてくれるのだ」
息が止まった。
身じろぎひとつ出来ない。
「あれは、ひょっとしてフレイヤだったのかな?」
「まさか!? いくら乳姉弟だからといって、そこまでしませんわよ。いやらしい夢。ねぇ、ヴェーラ陛下……」
と、フレイヤがわたしを見た。
「え、ええ……、そうね……」
だけど、フレイヤの方を向けない。
フレイヤが、わたしをジッと見ていることが分かるのに、うまく笑うことができない。
天井を見たまま微笑むアーヴィド王子を、見詰め続けた。
「はははっ。そうだな……、女神様がまだ生きろと仰られていたのだと思うことにしよう」
「ええ、そうですわね」
と、フレイヤが、穏やかな声でアーヴィド王子に応えてくれた。
「よい夢を見られましたわね」
「ああ、この世のものとは思えない、やわらかな唇だった」
「まっ、いやらしい。年頃の乙女ふたりを前にして」
「はははっ、すまんすまん」
アーヴィド王子は眠り、わたしとフレイヤは隠し部屋から出た。
――誰にも知られてはいけない、わたしの恋心に……、フレイヤは気が付いただろうか……?
真っ赤な夕陽がさし込む狩り小屋で、なにも言えずに立ちすくむわたしを、
フレイヤが、ジッと見詰めた。
久しぶりに着せられた正装のドレス。
着慣れているはずなのに、やけに窮屈に感じる。
王都の厳戒態勢は緩んでいない。
謀反人の第2王子と第3王子は、いまだ捕縛されていないのだ。
わたしもふる舞いに油断はできない。
馬車のなかで呼吸を整え、生贄の人質、暴虐の王の側妃としての顔をつくる。
はやく地下のアーヴィド王子のそばに戻りたい気持ちを、冷ましていく。
――なにか、いいことがございました?
などと王宮で声をかけられては、目も当てられない。
いつかは暴虐の王の閨に召され、部族の平穏のために純潔を捧げる。姉トゥイッカと人質の労苦を分かち合う。
その運命を受け入れた、側妃ヴェーラとしての顔を、……つくる。
苦痛が増していた。
アーヴィド王子との秘めた暮らしが、わたしの心を塗り替えている。
閨で、オロフ陛下の老いてシワだらけの手がわたしの身体を這い、すべてを蹂躙されるという想像が、いままでにない生々しい嫌悪感と苦痛をもたらす。
「……お気分がすぐれませんか?」
と、馬車で向き合うフレイヤの心配そうな声に、ハッと顔をあげた。
わたしは、よほどひどい顔をしていたのだろう。
「大丈夫よ……、すこし馬車に酔ったかしら?」
窓の外に目をやる。
アーヴィド王子を匿うと決めたのは、わたしだ。わたしがすべてを隠し通さなくてはならない。
王宮の煌びやかな謁見の間。
鮮血のような赤絨毯に転がる、わたしとフレイヤの首――、
脳裏に浮かんだ凄惨な想像に、
背筋を凍らせた。
Ψ
3日に渡る新年祝賀を終えて隠し部屋に戻ったとき、わたしの動揺はアーヴィド王子にひと目で見抜かれた。
「……フェリックスの立太子が発表されたのでしょう?」
「お……、お分かりになるのですか?」
「当然の流れですから」
新年祝賀の儀で、6歳になる甥、第4王子フェリックス殿下の立太子――つまり、王太子の座に就かれることが、
国王オロフ陛下の口から宣言された。
離宮に暮らすわたしには、重要な決定であっても、前もって知らされることはない。
玉座のとなりで、必死に動揺を押し殺した。
事態は粛々と進み……、アーヴィド王子の帰れる場所がどんどん奪われてゆく。
――いや、いまは甥の立太子を寿ぐべき場面だ。王国の……、慶事だ。
と、その場にそぐう微笑みをつくった。
黒狼騎士団長のシモンは、わたしが漏らしてしまった一瞬の動揺を、見逃さなかったかもしれない――。
ベッドに横たわるアーヴィド王子が、うすく微笑まれた。
「……ヴェーラ陛下の甥御が、次の国王に決まったのです」
「……はい」
「喜んでさし上げてください」
「ですが……」
「なんですか?」
「……アーヴィド殿下の疑いが晴れたのち……、争いになるのでは、と……」
「……たとえ、そのような日が訪れたとしても、……私はかわいい弟と王座を争ったりはいたしません」
アーヴィド王子の微笑みは、わたしを安心させるためだけのものだと分かる。
だけど、すべてを諦められたような微笑みが、かえってわたしの心を締めつける。
世界から隔絶されたちいさなちいさな泡のような、薄暗い地下の隠し部屋。
いまだ身動きの取れないアーヴィド王子の胸に、そっと手を置き、顔を伏せると、
ロウソクの炎が、わたしの影を揺らした。
Ψ
無言のままアーヴィド王子の包帯を替え、隠し部屋から出ると、
イサクが真剣な眼差しをして待っていた。
――いい人はいないの?
と、聞いた日から、時折わたしに向けてくる熱い視線から、目を逸らす。
「……どうしたの?」
「お話が……」
「……話? ……後にできない? わたし、すこし疲れてるのよ」
「……申し訳ありません。大切な話があります……」
と、狩り小屋を出て、裏庭の目立たないところに連れてゆかれる。
これ以上に、わたしの心を揺さぶる話を耳にしたくなかった。
だけど、真剣な面持ちのままで何かを言いよどむイサクが、口をひらくのを待つ。
「……アーヴィド殿下が、ご自分の首を獲れと……」
「えっ!?」
「首を獲り、王宮に差し出せと……、俺に仰いました」
激しい動悸が胸を打つ。
アーヴィド王子は、まだ死のうとなされていた。
きっと、わたしを守るために。
「……ですが」
「なに?」
イサクは真剣な眼差しで、わたしを見詰め続けている。
イサクはきっと、アーヴィド王子の言葉に悩んだはずだ。
わたしの身の安全のためには、アーヴィド王子の首を王宮に差し出すことも、悪くないと思ったに違いない。
だけど、踏み止まってくれた。
「ヴェーラ陛下を悲しませることは……、俺にはできません」
イサクは、わたしに恋焦がれている。
もはや、確信がある。
王都の路地裏から救い出した、褐色の少年は、逞しい16歳の青年に育った。
もっとも近くでわたしに仕え、日に日にわたしへの想いを募らせてきたのだろう。
あの日、わたしに向けた真剣な眼差し。
イサクがひた隠しにしてきた熱情が、こぼれ出た。
イサクの瞳に、わたしがどう映っているのか、一瞬で悟らされた。
だけど、応えることはできない。
拒絶することすら出来ない。
わたしは王の側妃で、イサクは従者だ。
イサクの想いはこの世に存在してはならないものだ。わたしが拒絶し、存在を明らかにすれば、イサクの首が飛ぶ。
イサクが心の奥底に秘める想いを、わたしは見て見ぬふりするしかない。
そして、アーヴィド王子の秘密を知るイサクを、どこかに配置替えして遠ざけてあげることも、いまはできない。
わたしのそばに置くしかない。
惹かれてはいけないわたしに惹かれてしまったイサクに、残酷なことをしているのは、わたしがいちばんよく知っている。
引き続きアーヴィド王子をお護りするようにと命じて、仕事に戻らせた。
Ψ
立て続けに揺さぶられた心の動揺が収まらないわたしは、アーヴィド王子の夕食にフレイヤをともなった。
せまい地下の密室に3人。
いまは、わたしがアーヴィド王子とふたりきりになることも、
フレイヤをアーヴィド王子とふたりきりにすることも出来なかった。
やきもち、ではない。
アーヴィド王子から「殺せ」と頼まれたら、フレイヤはその願いを叶えてしまうかもしれない。
ふたりは乳姉弟として、堅い絆で結ばれている。
お似合いのふたりに、妬ける心がない訳ではない。むしろ、はっきり妬いている。
――いいなぁ……、フレイヤはアーヴィド王子と仲良しで……。
と、いつも思っている。
くだならい冗談を言い合って、笑いあうフレイヤが羨ましい。
フレイヤに向けるアーヴィド王子の砕けた笑顔を、わたしにも向けてほしい。
だけど、いまはそのフレイヤを頼るしかないほどに、わたしの心が乱れていた。
わたしがアーヴィド王子を抱きかかえるように密着して、兎肉のシチューを食べさせている間、
フレイヤが、くだらない昔話でアーヴィド王子の心をほぐす。
わたしは、それを黙って見ていた。
食事を終えて、横になったアーヴィド王子が、ふふっと笑った。
「なんですか? 意味ありげに笑ったりして? 美人ふたりを前に、失礼ですわよ?」
と、茶化すようにフレイヤが言った。
板を張り付けただけの天井を見詰めるアーヴィド王子が、愉快気に口をひらいた。
「意識を失っている間に、……夢を見たのを思い出したのだ」
「あら、楽しい夢だったのですね?」
「ああ……。絶世の美女が、私に口移しで水を飲ませてくれるのだ」
息が止まった。
身じろぎひとつ出来ない。
「あれは、ひょっとしてフレイヤだったのかな?」
「まさか!? いくら乳姉弟だからといって、そこまでしませんわよ。いやらしい夢。ねぇ、ヴェーラ陛下……」
と、フレイヤがわたしを見た。
「え、ええ……、そうね……」
だけど、フレイヤの方を向けない。
フレイヤが、わたしをジッと見ていることが分かるのに、うまく笑うことができない。
天井を見たまま微笑むアーヴィド王子を、見詰め続けた。
「はははっ。そうだな……、女神様がまだ生きろと仰られていたのだと思うことにしよう」
「ええ、そうですわね」
と、フレイヤが、穏やかな声でアーヴィド王子に応えてくれた。
「よい夢を見られましたわね」
「ああ、この世のものとは思えない、やわらかな唇だった」
「まっ、いやらしい。年頃の乙女ふたりを前にして」
「はははっ、すまんすまん」
アーヴィド王子は眠り、わたしとフレイヤは隠し部屋から出た。
――誰にも知られてはいけない、わたしの恋心に……、フレイヤは気が付いただろうか……?
真っ赤な夕陽がさし込む狩り小屋で、なにも言えずに立ちすくむわたしを、
フレイヤが、ジッと見詰めた。
35
あなたにおすすめの小説
もう長くは生きられないので好きに行動したら、大好きな公爵令息に溺愛されました
Karamimi
恋愛
伯爵令嬢のユリアは、8歳の時に両親を亡くして以降、叔父に引き取られたものの、厄介者として虐げられて生きてきた。さらにこの世界では命を削る魔法と言われている、治癒魔法も長年強要され続けてきた。
そのせいで体はボロボロ、髪も真っ白になり、老婆の様な見た目になってしまったユリア。家の外にも出してもらえず、メイド以下の生活を強いられてきた。まさに、この世の地獄を味わっているユリアだが、“どんな時でも笑顔を忘れないで”という亡き母の言葉を胸に、どんなに辛くても笑顔を絶やすことはない。
そんな辛い生活の中、15歳になったユリアは貴族学院に入学する日を心待ちにしていた。なぜなら、昔自分を助けてくれた公爵令息、ブラックに会えるからだ。
「どうせもう私は長くは生きられない。それなら、ブラック様との思い出を作りたい」
そんな思いで、意気揚々と貴族学院の入学式に向かったユリア。そこで久しぶりに、ブラックとの再会を果たした。相変わらず自分に優しくしてくれるブラックに、ユリアはどんどん惹かれていく。
かつての友人達とも再開し、楽しい学院生活をスタートさせたかのように見えたのだが…
※虐げられてきたユリアが、幸せを掴むまでのお話しです。
ザ・王道シンデレラストーリーが書きたくて書いてみました。
よろしくお願いしますm(__)m
【完結】消された第二王女は隣国の王妃に熱望される
風子
恋愛
ブルボマーナ国の第二王女アリアンは絶世の美女だった。
しかし側妃の娘だと嫌われて、正妃とその娘の第一王女から虐げられていた。
そんな時、隣国から王太子がやって来た。
王太子ヴィルドルフは、アリアンの美しさに一目惚れをしてしまう。
すぐに婚約を結び、結婚の準備を進める為に帰国したヴィルドルフに、突然の婚約解消の連絡が入る。
アリアンが王宮を追放され、修道院に送られたと知らされた。
そして、新しい婚約者に第一王女のローズが決まったと聞かされるのである。
アリアンを諦めきれないヴィルドルフは、お忍びでアリアンを探しにブルボマーナに乗り込んだ。
そしてある夜、2人は運命の再会を果たすのである。
子供が可愛いすぎて伯爵様の溺愛に気づきません!
屋月 トム伽
恋愛
私と婚約をすれば、真実の愛に出会える。
そのせいで、私はラッキージンクスの令嬢だと呼ばれていた。そんな噂のせいで、何度も婚約破棄をされた。
そして、9回目の婚約中に、私は夜会で襲われてふしだらな令嬢という二つ名までついてしまった。
ふしだらな令嬢に、もう婚約の申し込みなど来ないだろうと思っていれば、お父様が氷の伯爵様と有名なリクハルド・マクシミリアン伯爵様に婚約を申し込み、邸を売って海外に行ってしまう。
突然の婚約の申し込みに断られるかと思えば、リクハルド様は婚約を受け入れてくれた。婚約初日から、マクシミリアン伯爵邸で住み始めることになるが、彼は未婚のままで子供がいた。
リクハルド様に似ても似つかない子供。
そうして、マクリミリアン伯爵家での生活が幕を開けた。
人質王女の婚約者生活(仮)〜「君を愛することはない」と言われたのでひとときの自由を満喫していたら、皇太子殿下との秘密ができました〜
清川和泉
恋愛
幼い頃に半ば騙し討ちの形で人質としてブラウ帝国に連れて来られた、隣国ユーリ王国の王女クレア。
クレアは皇女宮で毎日皇女らに下女として過ごすように強要されていたが、ある日属国で暮らしていた皇太子であるアーサーから「彼から愛されないこと」を条件に婚約を申し込まれる。
(過去に、婚約するはずの女性がいたと聞いたことはあるけれど…)
そう考えたクレアは、彼らの仲が公になるまでの繋ぎの婚約者を演じることにした。
移住先では夢のような好待遇、自由な時間をもつことができ、仮初めの婚約者生活を満喫する。
また、ある出来事がきっかけでクレア自身に秘められた力が解放され、それはアーサーとクレアの二人だけの秘密に。行動を共にすることも増え徐々にアーサーとの距離も縮まっていく。
「俺は君を愛する資格を得たい」
(皇太子殿下には想い人がいたのでは。もしかして、私を愛せないのは別のことが理由だった…?)
これは、不遇な人質王女のクレアが不思議な力で周囲の人々を幸せにし、クレア自身も幸せになっていく物語。
モンスターを癒やす森暮らしの薬師姫、騎士と出会う
甘塩ます☆
恋愛
冷たい地下牢で育った少女リラは、自身の出自を知らぬまま、ある日訪れた混乱に乗じて森へと逃げ出す。そこで彼女は、凶暴な瘴気に覆われた狼と出会うが、触れるだけでその瘴気を浄化する不思議な力があることに気づく。リラは狼を癒し、共に森で暮らすうち、他のモンスターたちとも心を通わせ、彼らの怪我や病を癒していく。モンスターたちは感謝の印に、彼女の知らない貴重な品々や硬貨を贈るのだった。
そんなある日、森に薬草採取に訪れた騎士アルベールと遭遇する。彼は、最近異常なほど穏やかな森のモンスターたちに違和感を覚えていた。世間知らずのリラは、自分を捕らえに来たのかと怯えるが、アルベールの差し出す「食料」と「服」に警戒を解き、彼を「飯をくれる仲間」と認識する。リラが彼に見せた、モンスターから贈られた膨大な量の希少な品々に、アルベールは度肝を抜かれる。リラの無垢さと、秘められた能力に気づき始めたアルベールは……
陰謀渦巻く世界で二人の運命はどうなるのか
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
【完結】転生したらラスボスの毒継母でした!
白雨 音
恋愛
妹シャルリーヌに裕福な辺境伯から結婚の打診があったと知り、アマンディーヌはシャルリーヌと入れ替わろうと画策する。
辺境伯からは「息子の為の白い結婚、いずれ解消する」と宣言されるが、アマンディーヌにとっても都合が良かった。「辺境伯の財で派手に遊び暮らせるなんて最高!」義理の息子など放置して遊び歩く気満々だったが、義理の息子に会った瞬間、卒倒した。
夢の中、前世で読んだ小説を思い出し、義理の息子は将来世界を破滅させようとするラスボスで、自分はその一因を作った毒継母だと知った。破滅もだが、何より自分の死の回避の為に、義理の息子を真っ当な人間に育てようと誓ったアマンディーヌの奮闘☆
異世界転生、家族愛、恋愛☆ 短めの長編(全二十一話です)
《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、いいね、ありがとうございます☆
「白い結婚最高!」と喜んでいたのに、花の香りを纏った美形旦那様がなぜか私を溺愛してくる【完結】
清澄 セイ
恋愛
フィリア・マグシフォンは子爵令嬢らしからぬのんびりやの自由人。自然の中でぐうたらすることと、美味しいものを食べることが大好きな恋を知らないお子様。
そんな彼女も18歳となり、強烈な母親に婚約相手を選べと毎日のようにせっつかれるが、選び方など分からない。
「どちらにしようかな、天の神様の言う通り。はい、決めた!」
こんな具合に決めた相手が、なんと偶然にもフィリアより先に結婚の申し込みをしてきたのだ。相手は王都から遠く離れた場所に膨大な領地を有する辺境伯の一人息子で、顔を合わせる前からフィリアに「これは白い結婚だ」と失礼な手紙を送りつけてくる癖者。
けれど、彼女にとってはこの上ない条件の相手だった。
「白い結婚?王都から離れた田舎?全部全部、最高だわ!」
夫となるオズベルトにはある秘密があり、それゆえ女性不信で態度も酷い。しかも彼は「結婚相手はサイコロで適当に決めただけ」と、面と向かってフィリアに言い放つが。
「まぁ、偶然!私も、そんな感じで選びました!」
彼女には、まったく通用しなかった。
「なぁ、フィリア。僕は君をもっと知りたいと……」
「好きなお肉の種類ですか?やっぱり牛でしょうか!」
「い、いや。そうではなく……」
呆気なくフィリアに初恋(?)をしてしまった拗らせ男は、鈍感な妻に不器用ながらも愛を伝えるが、彼女はそんなことは夢にも思わず。
──旦那様が真実の愛を見つけたらさくっと離婚すればいい。それまでは田舎ライフをエンジョイするのよ!
と、呑気に蟻の巣をつついて暮らしているのだった。
※他サイトにも掲載中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる