25 / 60
25.かえって気を遣わせる始末
しおりを挟む
重い貢納を課されるために日々の暮らしもままならないと訴える、ラウリの瞳から目を離さなかった。
ラウリは決死の覚悟で、わたしに伝えようとしている。
ラウリができるだけ落ち着いて話せるようにと、心の動揺を押し隠し、穏やかな表情を心がけた。
「……トゥイッカ陛下も、いまや王太后……、国母となられました」
「ええ……」
「レトキ族とギレンシュテット王国の和平のため、その身を捧げていただき、意を尽くしていただくトゥイッカ陛下には心苦しいのですが……」
そうだ。姉は人質としての労苦を、一身に引き受けてきてくれたのだ。
その姉が、部族を一方的に苦しめるようなことをするはずがない。
なにか訳があるはずだ。
あるいは姉の知らないところで不正があるのなら、暴いて糾弾し、部族を救ってあげなくてはいけない。
そうでなくては、わたしと姉トゥイッカが、なんのために王都に囚われたままでいるのか。
わたしは、ラウリが膝のうえに置く両手を、ギュッと握った。
「分かりました。よく打ち明けてくれましたね、ラウリ」
「いえ、どうか……」
「折りをみて、取り成しいたしましょう」
いま聞いたばかりの話だ。
なにが起きているのか。部族から召し上げた貢納が、どこに流れているのか。
王宮から離れて暮らすわたしでは、すぐに解決してあげられるかどうか分からない。
「……妾は、なにも聞いていないことにします。この話は、ふたりだけの秘密にしておきましょう。ですが、取り成しは必ずいたします」
わたしへの直訴が漏れたら、ラウリの身が危うい。
使者たちのラウリを咎めるような蔑んだ視線。あれは、
――余計なことは言うなよ?
と、ラウリに釘を刺していたのだ。
使者たちからすれば、王太側后となったわたしの言葉「ラウリを連れて来て」という言葉を、おろそかにはできなかった。
けれど、秋の収穫祭に連れて来たら、翌日は離宮でゆっくりと話す機会が持ててしまう。直訴の機会をつくってしまう。
そこに、わたしの誕生祝いの噂が届いた。
祝いの品だけ置いて、チラッとラウリに会わせ、すぐに帰るつもりだった。
わたしの言葉に従った形だけを整え、部族の過酷な窮状は隠ぺいすることを目論んでいたのだ。
背筋が冷えた。
あの毎年ニコニコと、わたしに貢ぎ物を届けてくれる使者たちは、部族を虐げ自分たちはいい暮らしをする〈ひと握り〉の者たちだったのだ。
それとは知らず、わたしは部族の伝統を習って、一緒に狩りを楽しみ、故郷を懐かしむ時間をウキウキと過ごしてきた。
使者たちを、心待ちにしてきた。
いくら王太側后になったとはいえ、わたしが人質の身であることに変わりはない。
王都から離れることを、枢密院は許さないだろう。故郷に戻ったラウリを護ってやることはできない。
直訴は、なかったことにする必要がある。
夕刻。大急ぎで王宮と往復した使者たちが離宮に戻り、ラウリを連れて北の故郷に帰った。
この往復の速さが、ラウリの告白が真実であると、裏付けていた。
部族は苦しんでいる。
Ψ
隠し部屋のアーヴィド王子に、いつもより遅くなった夕食をお持ちして、わたしも一緒にいただく。
メイドたちは、わたしが裏庭で野営のような食事を摂っていると思ってるはずだ。
離宮にはフレイヤがいるし、うまく誤魔化してくれているだろう。
この時間まで、ほかの誰にもラウリを任せられず、狩り小屋に匿って励まし、労わり、慰め、昔話をして微笑みあって、直訴で昂ぶるラウリの気持ちをどうにか落ち着かせた。
秘密を守ると約束させた。
その間、ラウリから目を離せず、アーヴィド王子のお世話をイサクかフレイヤに頼める隙もなかった。
結局、昼食もお持ちできず、アーヴィド王子は空腹に耐えておられたはずだ。
だけど、いま文句ひとつ仰られず、わたしが慌てて煮込んだシチューを、美味しそうに食べてくださる。
アーヴィド王子が、おひとりで泉に行かれることはない。
山の気配に敏感なわたしかイサクを、必ず伴ってくださる。
だから、今日は地下の密室でひとり、わたしとラウリの話し声を耳にされながら、お待ちくださっていたのだ。
これでは、王宮の中庭でひとりポツンと座っていたわたしが楽しげに語らう人たちを遠目に見ていたのとおなじ目に、アーヴィド王子を遭わせているようなものだ。
……申し訳ない。
気付かれたわたしの恋心も、気のせいだった? と、思われているのではないか。
それならそれで、いままで通りに戻るだけなので別にいいのだけど……。
アーヴィド王子は、そんなわたしにやさしく微笑みかけてくださる。
「ボクなら大丈夫だよ? 気にしないで? 兎肉のシチュー、美味しいよ?」
いつまでもウジウジするわたしに、かえって気を遣わせる始末だ。
――その笑顔、大好きです!
とは思うものの、いまは申し訳なさの方が先に立つ。
きっとアーヴィド王子も耳にされた、
――部族に課されている、非公式な重い貢納……。
の話を、おうかがいすることも出来ない。
潜伏生活を強いられるアーヴィド王子に、相談をもちかけるようなことではない。
なにかご存知かもしれないけど……、
いや、この話はわたしがラウリから託されたのだ。わたしが解決しないといけない。
幾重にも気を遣わせてしまっているアーヴィド王子に、へたくそな笑顔を見せてしまった。
Ψ
アーヴィド王子の追討令取り消し、非公式な部族への重い貢納……、
わたしには荷の重い問題が積み重なる。
いっそ王宮に居を移し、重臣たちと交わり、関係をつくって動かす……、
となると、離宮の地下に匿うアーヴィド王子は?
王宮に移るとなれば、フレイヤとイサクを連れて行かない訳にもいかない。
かといって、姉に相談するのも気が引けた。
姉トゥイッカは、オロフ王の暴虐から解放されたとはいえ、今度は摂政の王太后として執政の重責を背負わされている。
わたしの分まで労苦を引き受け続けてくれている、姉の負担になるようなことは出来れば避けたい。
しかも、部族の方はどうやら姉の名前で行われていることでもある……。
万一、ほんとうに姉自身がなんらかの形で関わっていたなら、今度はラウリの身を危うくしてしまう。
夏の暑さが厳しくなる中、悶々と過ごした。
離宮でひらかれる定例茶会。
王国の貴族令息たちが集うサロンともいえるこの席で、わたしの味方になってくれそうな令息がいないか、微笑みながら見極めようとする。
いまのわたしが、王都政界につながろうとするなら、糸口はこの場しかない。
――だめだ……。みんな、怪しく見える……。
わたしに助け船を出してくれた黒髪のエルンストも、あれから目立つようなふる舞いはなく、ただお茶を飲んでは帰っていく。
飄々とした佇まいから、その意図は読めない。
王宮から離れて4年。
絶対的な権力で王国に君臨したオロフ王亡きいま、
14ヶ国を征服し、合計15ヶ国の貴族が入り乱れてひとつの国を成す、複雑な権力構造を紐解く糸口を、すぐにわたしが見つけ出すのは無理がある。
だけど、諦める訳にもいかない。
と、焦る気持ちを押さえつけて、サロンに集う貴族令息たちに微笑みを向けたとき、
突然、姉王太后トゥイッカが、わたしの離宮に姿を見せた。
優雅な微笑みを浮かべる姉を、驚きながらサロンの中心に迎え入れる貴族令息たち。
姉がわたしの離宮に足を運ぶのは、初めてのことだった。
ラウリは決死の覚悟で、わたしに伝えようとしている。
ラウリができるだけ落ち着いて話せるようにと、心の動揺を押し隠し、穏やかな表情を心がけた。
「……トゥイッカ陛下も、いまや王太后……、国母となられました」
「ええ……」
「レトキ族とギレンシュテット王国の和平のため、その身を捧げていただき、意を尽くしていただくトゥイッカ陛下には心苦しいのですが……」
そうだ。姉は人質としての労苦を、一身に引き受けてきてくれたのだ。
その姉が、部族を一方的に苦しめるようなことをするはずがない。
なにか訳があるはずだ。
あるいは姉の知らないところで不正があるのなら、暴いて糾弾し、部族を救ってあげなくてはいけない。
そうでなくては、わたしと姉トゥイッカが、なんのために王都に囚われたままでいるのか。
わたしは、ラウリが膝のうえに置く両手を、ギュッと握った。
「分かりました。よく打ち明けてくれましたね、ラウリ」
「いえ、どうか……」
「折りをみて、取り成しいたしましょう」
いま聞いたばかりの話だ。
なにが起きているのか。部族から召し上げた貢納が、どこに流れているのか。
王宮から離れて暮らすわたしでは、すぐに解決してあげられるかどうか分からない。
「……妾は、なにも聞いていないことにします。この話は、ふたりだけの秘密にしておきましょう。ですが、取り成しは必ずいたします」
わたしへの直訴が漏れたら、ラウリの身が危うい。
使者たちのラウリを咎めるような蔑んだ視線。あれは、
――余計なことは言うなよ?
と、ラウリに釘を刺していたのだ。
使者たちからすれば、王太側后となったわたしの言葉「ラウリを連れて来て」という言葉を、おろそかにはできなかった。
けれど、秋の収穫祭に連れて来たら、翌日は離宮でゆっくりと話す機会が持ててしまう。直訴の機会をつくってしまう。
そこに、わたしの誕生祝いの噂が届いた。
祝いの品だけ置いて、チラッとラウリに会わせ、すぐに帰るつもりだった。
わたしの言葉に従った形だけを整え、部族の過酷な窮状は隠ぺいすることを目論んでいたのだ。
背筋が冷えた。
あの毎年ニコニコと、わたしに貢ぎ物を届けてくれる使者たちは、部族を虐げ自分たちはいい暮らしをする〈ひと握り〉の者たちだったのだ。
それとは知らず、わたしは部族の伝統を習って、一緒に狩りを楽しみ、故郷を懐かしむ時間をウキウキと過ごしてきた。
使者たちを、心待ちにしてきた。
いくら王太側后になったとはいえ、わたしが人質の身であることに変わりはない。
王都から離れることを、枢密院は許さないだろう。故郷に戻ったラウリを護ってやることはできない。
直訴は、なかったことにする必要がある。
夕刻。大急ぎで王宮と往復した使者たちが離宮に戻り、ラウリを連れて北の故郷に帰った。
この往復の速さが、ラウリの告白が真実であると、裏付けていた。
部族は苦しんでいる。
Ψ
隠し部屋のアーヴィド王子に、いつもより遅くなった夕食をお持ちして、わたしも一緒にいただく。
メイドたちは、わたしが裏庭で野営のような食事を摂っていると思ってるはずだ。
離宮にはフレイヤがいるし、うまく誤魔化してくれているだろう。
この時間まで、ほかの誰にもラウリを任せられず、狩り小屋に匿って励まし、労わり、慰め、昔話をして微笑みあって、直訴で昂ぶるラウリの気持ちをどうにか落ち着かせた。
秘密を守ると約束させた。
その間、ラウリから目を離せず、アーヴィド王子のお世話をイサクかフレイヤに頼める隙もなかった。
結局、昼食もお持ちできず、アーヴィド王子は空腹に耐えておられたはずだ。
だけど、いま文句ひとつ仰られず、わたしが慌てて煮込んだシチューを、美味しそうに食べてくださる。
アーヴィド王子が、おひとりで泉に行かれることはない。
山の気配に敏感なわたしかイサクを、必ず伴ってくださる。
だから、今日は地下の密室でひとり、わたしとラウリの話し声を耳にされながら、お待ちくださっていたのだ。
これでは、王宮の中庭でひとりポツンと座っていたわたしが楽しげに語らう人たちを遠目に見ていたのとおなじ目に、アーヴィド王子を遭わせているようなものだ。
……申し訳ない。
気付かれたわたしの恋心も、気のせいだった? と、思われているのではないか。
それならそれで、いままで通りに戻るだけなので別にいいのだけど……。
アーヴィド王子は、そんなわたしにやさしく微笑みかけてくださる。
「ボクなら大丈夫だよ? 気にしないで? 兎肉のシチュー、美味しいよ?」
いつまでもウジウジするわたしに、かえって気を遣わせる始末だ。
――その笑顔、大好きです!
とは思うものの、いまは申し訳なさの方が先に立つ。
きっとアーヴィド王子も耳にされた、
――部族に課されている、非公式な重い貢納……。
の話を、おうかがいすることも出来ない。
潜伏生活を強いられるアーヴィド王子に、相談をもちかけるようなことではない。
なにかご存知かもしれないけど……、
いや、この話はわたしがラウリから託されたのだ。わたしが解決しないといけない。
幾重にも気を遣わせてしまっているアーヴィド王子に、へたくそな笑顔を見せてしまった。
Ψ
アーヴィド王子の追討令取り消し、非公式な部族への重い貢納……、
わたしには荷の重い問題が積み重なる。
いっそ王宮に居を移し、重臣たちと交わり、関係をつくって動かす……、
となると、離宮の地下に匿うアーヴィド王子は?
王宮に移るとなれば、フレイヤとイサクを連れて行かない訳にもいかない。
かといって、姉に相談するのも気が引けた。
姉トゥイッカは、オロフ王の暴虐から解放されたとはいえ、今度は摂政の王太后として執政の重責を背負わされている。
わたしの分まで労苦を引き受け続けてくれている、姉の負担になるようなことは出来れば避けたい。
しかも、部族の方はどうやら姉の名前で行われていることでもある……。
万一、ほんとうに姉自身がなんらかの形で関わっていたなら、今度はラウリの身を危うくしてしまう。
夏の暑さが厳しくなる中、悶々と過ごした。
離宮でひらかれる定例茶会。
王国の貴族令息たちが集うサロンともいえるこの席で、わたしの味方になってくれそうな令息がいないか、微笑みながら見極めようとする。
いまのわたしが、王都政界につながろうとするなら、糸口はこの場しかない。
――だめだ……。みんな、怪しく見える……。
わたしに助け船を出してくれた黒髪のエルンストも、あれから目立つようなふる舞いはなく、ただお茶を飲んでは帰っていく。
飄々とした佇まいから、その意図は読めない。
王宮から離れて4年。
絶対的な権力で王国に君臨したオロフ王亡きいま、
14ヶ国を征服し、合計15ヶ国の貴族が入り乱れてひとつの国を成す、複雑な権力構造を紐解く糸口を、すぐにわたしが見つけ出すのは無理がある。
だけど、諦める訳にもいかない。
と、焦る気持ちを押さえつけて、サロンに集う貴族令息たちに微笑みを向けたとき、
突然、姉王太后トゥイッカが、わたしの離宮に姿を見せた。
優雅な微笑みを浮かべる姉を、驚きながらサロンの中心に迎え入れる貴族令息たち。
姉がわたしの離宮に足を運ぶのは、初めてのことだった。
30
あなたにおすすめの小説
【完結】消された第二王女は隣国の王妃に熱望される
風子
恋愛
ブルボマーナ国の第二王女アリアンは絶世の美女だった。
しかし側妃の娘だと嫌われて、正妃とその娘の第一王女から虐げられていた。
そんな時、隣国から王太子がやって来た。
王太子ヴィルドルフは、アリアンの美しさに一目惚れをしてしまう。
すぐに婚約を結び、結婚の準備を進める為に帰国したヴィルドルフに、突然の婚約解消の連絡が入る。
アリアンが王宮を追放され、修道院に送られたと知らされた。
そして、新しい婚約者に第一王女のローズが決まったと聞かされるのである。
アリアンを諦めきれないヴィルドルフは、お忍びでアリアンを探しにブルボマーナに乗り込んだ。
そしてある夜、2人は運命の再会を果たすのである。
もう長くは生きられないので好きに行動したら、大好きな公爵令息に溺愛されました
Karamimi
恋愛
伯爵令嬢のユリアは、8歳の時に両親を亡くして以降、叔父に引き取られたものの、厄介者として虐げられて生きてきた。さらにこの世界では命を削る魔法と言われている、治癒魔法も長年強要され続けてきた。
そのせいで体はボロボロ、髪も真っ白になり、老婆の様な見た目になってしまったユリア。家の外にも出してもらえず、メイド以下の生活を強いられてきた。まさに、この世の地獄を味わっているユリアだが、“どんな時でも笑顔を忘れないで”という亡き母の言葉を胸に、どんなに辛くても笑顔を絶やすことはない。
そんな辛い生活の中、15歳になったユリアは貴族学院に入学する日を心待ちにしていた。なぜなら、昔自分を助けてくれた公爵令息、ブラックに会えるからだ。
「どうせもう私は長くは生きられない。それなら、ブラック様との思い出を作りたい」
そんな思いで、意気揚々と貴族学院の入学式に向かったユリア。そこで久しぶりに、ブラックとの再会を果たした。相変わらず自分に優しくしてくれるブラックに、ユリアはどんどん惹かれていく。
かつての友人達とも再開し、楽しい学院生活をスタートさせたかのように見えたのだが…
※虐げられてきたユリアが、幸せを掴むまでのお話しです。
ザ・王道シンデレラストーリーが書きたくて書いてみました。
よろしくお願いしますm(__)m
人質王女の婚約者生活(仮)〜「君を愛することはない」と言われたのでひとときの自由を満喫していたら、皇太子殿下との秘密ができました〜
清川和泉
恋愛
幼い頃に半ば騙し討ちの形で人質としてブラウ帝国に連れて来られた、隣国ユーリ王国の王女クレア。
クレアは皇女宮で毎日皇女らに下女として過ごすように強要されていたが、ある日属国で暮らしていた皇太子であるアーサーから「彼から愛されないこと」を条件に婚約を申し込まれる。
(過去に、婚約するはずの女性がいたと聞いたことはあるけれど…)
そう考えたクレアは、彼らの仲が公になるまでの繋ぎの婚約者を演じることにした。
移住先では夢のような好待遇、自由な時間をもつことができ、仮初めの婚約者生活を満喫する。
また、ある出来事がきっかけでクレア自身に秘められた力が解放され、それはアーサーとクレアの二人だけの秘密に。行動を共にすることも増え徐々にアーサーとの距離も縮まっていく。
「俺は君を愛する資格を得たい」
(皇太子殿下には想い人がいたのでは。もしかして、私を愛せないのは別のことが理由だった…?)
これは、不遇な人質王女のクレアが不思議な力で周囲の人々を幸せにし、クレア自身も幸せになっていく物語。
子供が可愛いすぎて伯爵様の溺愛に気づきません!
屋月 トム伽
恋愛
私と婚約をすれば、真実の愛に出会える。
そのせいで、私はラッキージンクスの令嬢だと呼ばれていた。そんな噂のせいで、何度も婚約破棄をされた。
そして、9回目の婚約中に、私は夜会で襲われてふしだらな令嬢という二つ名までついてしまった。
ふしだらな令嬢に、もう婚約の申し込みなど来ないだろうと思っていれば、お父様が氷の伯爵様と有名なリクハルド・マクシミリアン伯爵様に婚約を申し込み、邸を売って海外に行ってしまう。
突然の婚約の申し込みに断られるかと思えば、リクハルド様は婚約を受け入れてくれた。婚約初日から、マクシミリアン伯爵邸で住み始めることになるが、彼は未婚のままで子供がいた。
リクハルド様に似ても似つかない子供。
そうして、マクリミリアン伯爵家での生活が幕を開けた。
[完結]7回も人生やってたら無双になるって
紅月
恋愛
「またですか」
アリッサは望まないのに7回目の人生の巻き戻りにため息を吐いた。
驚く事に今までの人生で身に付けた技術、知識はそのままだから有能だけど、いつ巻き戻るか分からないから結婚とかはすっかり諦めていた。
だけど今回は違う。
強力な仲間が居る。
アリッサは今度こそ自分の人生をまっとうしようと前を向く事にした。
継子いじめで糾弾されたけれど、義娘本人は離婚したら私についてくると言っています〜出戻り夫人の商売繁盛記〜
野生のイエネコ
恋愛
後妻として男爵家に嫁いだヴィオラは、継子いじめで糾弾され離婚を申し立てられた。
しかし当の義娘であるシャーロットは、親としてどうしようもない父よりも必要な教育を与えたヴィオラの味方。
義娘を連れて実家の商会に出戻ったヴィオラは、貴族での生活を通じて身につけた知恵で新しい服の開発をし、美形の義娘と息子は服飾モデルとして王都に流行の大旋風を引き起こす。
度々襲来してくる元夫の、借金の申込みやヨリを戻そうなどの言葉を躱しながら、事業に成功していくヴィオラ。
そんな中、伯爵家嫡男が、継子いじめの疑惑でヴィオラに近づいてきて?
※小説家になろうで「離婚したので幸せになります!〜出戻り夫人の商売繁盛記〜」として掲載しています。
モンスターを癒やす森暮らしの薬師姫、騎士と出会う
甘塩ます☆
恋愛
冷たい地下牢で育った少女リラは、自身の出自を知らぬまま、ある日訪れた混乱に乗じて森へと逃げ出す。そこで彼女は、凶暴な瘴気に覆われた狼と出会うが、触れるだけでその瘴気を浄化する不思議な力があることに気づく。リラは狼を癒し、共に森で暮らすうち、他のモンスターたちとも心を通わせ、彼らの怪我や病を癒していく。モンスターたちは感謝の印に、彼女の知らない貴重な品々や硬貨を贈るのだった。
そんなある日、森に薬草採取に訪れた騎士アルベールと遭遇する。彼は、最近異常なほど穏やかな森のモンスターたちに違和感を覚えていた。世間知らずのリラは、自分を捕らえに来たのかと怯えるが、アルベールの差し出す「食料」と「服」に警戒を解き、彼を「飯をくれる仲間」と認識する。リラが彼に見せた、モンスターから贈られた膨大な量の希少な品々に、アルベールは度肝を抜かれる。リラの無垢さと、秘められた能力に気づき始めたアルベールは……
陰謀渦巻く世界で二人の運命はどうなるのか
偉物騎士様の裏の顔~告白を断ったらムカつく程に執着されたので、徹底的に拒絶した結果~
甘寧
恋愛
「結婚を前提にお付き合いを─」
「全力でお断りします」
主人公であるティナは、園遊会と言う公の場で色気と魅了が服を着ていると言われるユリウスに告白される。
だが、それは罰ゲームで言わされていると言うことを知っているティナは即答で断りを入れた。
…それがよくなかった。プライドを傷けられたユリウスはティナに執着するようになる。そうティナは解釈していたが、ユリウスの本心は違う様で…
一方、ユリウスに関心を持たれたティナの事を面白くないと思う令嬢がいるのも必然。
令嬢達からの嫌がらせと、ユリウスの病的までの執着から逃げる日々だったが……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる