【完結】側妃のわたしが王子を地下に匿い、王位に就けます! でも、真の敵は姉でした。

三矢さくら

文字の大きさ
51 / 60

51.姉の望みどおりのわたしになる

しおりを挟む
十日宴ものこり2日という、正午前。

わたしの仮宮殿に急使が駆け込んだ。

ローゼハン侯爵家の三男、身体のおおきなダニエルが差し向けた急使だった。


――旧スコグベール王国勢、ニクラス殿下から、……離反。


やはりニクラス殿下は、王都で起きた偶発的な決起を、厳しい口調でなじられた。

発端となった、最初に黒狼騎士団と戦闘におよんだ西方貴族に対し、


――貴様がおとなしく、首を黒狼にくれてやればよかったのだ!


とまで言い放ち、集結しつつあった反乱軍内部はおおいに紛糾したらしい。

ニクラス殿下のあまりに尊大な態度に耐えかね、ダニエルのローゼハン侯爵家をはじめ、旧スコグベール王国から帰順した貴族たちがそろって反乱軍から離脱。

王国西方でも北寄りの、旧スコグベール王国領内に兵を引き上げたとのことだった。

それが9日前。

選帝侯カミル閣下が総督府に来られたのと同じ日の出来事だ。

当然、ダニエルはわたしの即位とレトキ建国を知らないままに急使を発している。

わたしは貴賓室で引見した急使を労い、しばらく休んでいくよう伝えてから、大会堂に戻る。

途中、回廊からは、集まりはじめた志願兵の建てたゲルが見えた。


――反乱軍の崩壊が早すぎる……。


離反したのは一部であり、崩壊というのはまだ大袈裟かもしれない。

けれど、のこった反乱貴族たちも少なからず動揺しているはずだ。

賑やかな十日宴の会場で、そっと耳打ちしたアーヴィド王子は眉をよせ、皮肉げに口の端をあげられた。


「……スコグベール王国は、父オロフ王の侵攻に手ひどくやられたからね。もともとギレンシュテット王国への忠誠心が薄いんだよ」


ニクラス殿下の短慮に、いまにもため息を吐きそうな表情でアーヴィド王子はソファの背もたれに身体を預けられる。

その向こうでは、カミル閣下が笑いをこらえられていた。


「頼れる兄君をお持ちではないか?」


わたしは声を潜めていたというのに、女性の声は絶対に聞き逃されない。

思わず、フレイヤのような視線でカミル閣下を見てしまった。

といっても、これまでの経緯はすべてアーヴィド王子がカミル閣下に話してしまわれた。


――俺を巻き込もうとするなよ。

――でも、カミルだってほんとうは興味津々でしょ? 隣国の政変なんて。

――それはそうだが。


口では文句を仰られながら、カミル閣下の表情は楽しげで、おふたりの友情に厚みを感じさせられたものだ。

いまさら、カミル閣下に隠し立てすることは、なにもない。

物憂げな表情だったアーヴィド王子が、わたしに微笑みかけられた。


「それで、そのローゼハン侯爵家の三男坊は、ヴェーラになんて言ってきたの?」

「……わたしのレトキ建国が成れば、ぜひ同盟を結ばせてほしいと」

「同盟?」


ダニエルたちは、旧スコグベール王国の再興を目指すつもりだと書き送ってきた。

それは、彼らにとって東方に位置する王都の姉王太后トゥイッカとも、南方に兵を集める反乱軍のニクラス殿下とも敵対することになる。

そこに加えて、北方のレトキまで、敵には回せないということだ。

だけど、


最強――……、


と、ダニエルが評してくれた、レトキの兵はまだそろっていない。

いささか気の早過ぎる急使だったけれど、それだけ王国の情勢が緊迫しているということだろう。

カミル閣下が、麗しいお顔のとがった顎に、手をあてられた。


「……スコグベールといえば、たしか王族はすべて討たれたのではなかったか?」

「うん。……焼け落ちた宮殿と運命をともにされたって聞いてるよ」


アーヴィド王子が、お気持ちを窺わせない表情で応えられた。

旧スコグベール王国の併合は、アーヴィド王子がお生まれになる前の話だ。

それでも、父オロフ王の侵攻でひとつの王家が滅んだことは、アーヴィド王子のご性分からされると、決して快い話ではない。

覇道の家にお生まれなのに平和を愛されるアーヴィド王子だからこそ、わたしは惹かれてやまないのだ。


「……王家にゆかりのある者を探して、王に担ぐんじゃない? 姻戚関係まで含めたら、いっぱいいるでしょ。……たとえば、ピエカル家とかさ」


アーヴィド王子がチラッと横目にカミル閣下の顔色を窺われる。

カミル閣下は視線を上にあげ、口をへの字に曲げられた。こんな表情でも麗しいのだから、ほんとうに女の敵だ。


「ふむ……。ピエカル宗家は、いま帝国の南方にかかり切りだ」

「ふ~ん、そうなんだ?」

「異民族に侵攻の動きがみられてな。……帝国西方で起きた内乱に、介入を軽々に決断できるとは思えんがな」


口ではそう仰りながらも、あながちあり得ない話でもないというご表情だ。

これは、ギレンシュテット王国の領土を、ピエカル家が切り取るという話でもある。

王国の第3王子たるアーヴィド王子と、ピエカル家のカミル閣下が交わされる会話としては、いささか際どい。

ピエカル家はエルハーベン帝国の外にも支配国を有している。条件次第では、スコグベール王国を獲りに動くかもしれない。


――内乱にはやく決着をつけないと、他国の介入を招く……。


ここに、わたしのジレンマがある。

姉の王国軍と反乱軍。王国を二分している両軍の戦線は膠着するだろう。

混乱の深まるなか、アーヴィド王子のご健在をあきらかにして、

両軍から、貴族を切り崩す。

反乱軍はともかく、姉が掌握している東方貴族まで切り崩すには、おそらくこの方法しかあり得ない。

反乱軍だけをニクラス殿下派とアーヴィド王子派に割ったのでは、姉の思う壺だ。

王国を二分から三分に持ち込むには、内乱がある程度膠着してくれないと、勝機が見えない。

だけど、王国政界ですら、すべては把握できていないわたしにとって、複雑な国際情勢まで動き始めたら手に負えない。

わたしは、アーヴィド王子をギレンシュテットの王位に就けたいのだ。

アーヴィド王子を、わたしが匿う悲劇の王子のまま終わらせたくない。


「ヴェーラ陛下は、実に欲張りだ」


と、カミル閣下には大笑いされた。

だけど、愉快そうな表情を浮かべられ、こうも仰られた。


「……わが友アーヴィドがギレンシュテットの玉座に座れば、実に楽しい世の中になりそうですな」


そして、いまだ動向のつかめていない、王都の動き。姉トゥイッカはどんな手を打っているのか。

招集をかけた東方貴族の兵は、すでに王都に集結しているのか。


――旧スコグベール王国勢の離反、反乱軍の分裂。……姉は動くのではないか?


エルンストの残してくれた腹心13名のうち4名を商人に扮装させ、王都の情勢を探る偵騎として走らせている。

けれど、彼らからの報告が返ってくるのには、いましばらく時間がかかる。

それまでは、読むしかない。姉の心を。

いまのところ、わたしの離反は、姉に隠し通せているはずだ。

まもなく、戦時宰相イサクのもと、新生レトキ王国の国軍の編成もはじまる。

姉の権力ちからの源泉、その重要なひとつであるレトキ族を、姉から切り離す準備が着々と進んでいる。

そして、わたしは初めて、姉に対抗できるだけの権力ちからを握れる。

対等なところから、話しかけられる。


――レトキに帰っておいでよ!!


一緒に山野を駆ければ、また元の姉の姿に戻るのではないか。怨みも復讐も、レトキの大地が忘れさせてくれるのではないか。

姉は、自分を赦せるのではないか。

王権など、アーヴィド王子にお返しすれば良い。

レトキの民たちが許すなら、レトキの女王は姉にゆずってもいい。

いや、喜んでゆずる。

そして、わたしはアーヴィド王子の奥さんになるのだ。


――ヴェーラは本当に好きな人と結婚してね? 幸せになってね? 幸せなヴェーラをお姉ちゃんに見せてね? 絶対よ?


姉の望みどおりの、……わたしになる。

あまりにもわたしに都合の良すぎる、わたし的大団円。

姉が口汚く罵ったアーヴィド王子こそ、わたしの本当に好きな人だと知ったら、姉はどんな顔をするだろう。


  Ψ


十日宴の最終日。アーヴィド王子のふとしたひと言が、わたしの気にかかった。


「いまのボクは、ヴェーラのために生きているからね」

「はははっ。そう言える伴侶に巡り合えるとは、得難き宝を手に入れたな。アーヴィド」


と、カミル閣下が冷やかすように笑われ、アーヴィド王子もはにかまれた。

隠し部屋から初めて泉のほとりに出た晩、わたしに聞かせて下さったのと同じ言葉。

なのに、なぜかわたしの心に影がさす。

おおいに盛り上がる宴席の主座で、チリッと、胸の奥でなにかが焼け焦げたような痛みを感じた。


「おや、ヴェーラ陛下はなにか憂いることでも?」


と、カミル閣下が切れ長の瞳をほそめられた。

知らず、わたしの眉の片方が眉間に寄っていた。ほんとうに、このお方は見逃されない。


「……い、いえ。憂いなど……、すこし恥ずかしかったのですわ。アーヴィド殿下が、のろけるようなことを仰られて」


照れ隠しするように笑顔をつくろい、盛り上がる舞台に顔を向けた。

わたしの侍女見習いになったシルクカも、踊り子たちの最後の舞踊にまじって見事な舞いを披露している。

カミル閣下にわたしの秘密を隠すために開いた十日宴は、すべてを打ち明ける場となり、幕を閉じようとしている。

アーヴィド王子がカミル閣下をお信じになられている以上、わたしもカミル閣下を信じようと思う。

なにより、みなに存在をあきらかにされ、心地よさそうなアーヴィド王子の天真爛漫な笑顔が見られることは、私も嬉しい。


十日宴がおわり、わたし居室の大きな窓から、アーヴィド王子とまもなく満月を迎える月を見あげた。

二度目の口づけを交わし、厚い胸板にほほを寄せる。


「まだ……」

「……なに? ヴェーラ」


アーヴィド王子の胸の中から、月明かりに照らされる美しいお顔を見あげた。

あまねく大地に報せられた訳ではないけれど、選帝侯カミル閣下を証人に、わたしの民となったレトキ族のみなの前で、わたしたちの婚約があきらかにされた。

ふたりで寄り添う姿を誰かに見られても、すこし恥ずかしいということをのぞけば、なんの問題もなくなったのだ。


「……まだ、……手を出してはくださらないのですか?」

「えっと……、そうだね」


戸惑われるアーヴィド王子は可愛らしい。

ふふっと笑い、夜空に浮かぶ満ちてゆく月に目を向けた。


「……すべて終わって、結婚式も挙げたあとがいいかな……?」


あたまの上から聞こえる、アーヴィド王子のたどたどしいお言葉。

すこし、意地悪な気持ちが起きてしまう。


「ふたりとも、死んでしまうかもしれませんわよ?」

「死なないよ」


わたしの予想になかった、アーヴィド王子のキッパリとした声音に、思わずもう一度、お顔を見あげた。

まっすぐな視線。空を見あげて、微笑んでおられた。

情勢は予断を許さない。

姉がニクラス殿下との決戦をまえに、こちらに兵を差し向けていたら、わたしたちは山に逃げ込んで、泥沼の山岳戦を展開するしかなくなる。

オロフ王を苦しめたレトキ族の山岳戦とはいえ、族長の息子であった兄たちは3人とも戦死したのだ。

わたしたちが無事でいられる保証はどこにもない。

けれど、アーヴィド王子の表情は自信に満ちていて、つい見惚れてしまうほどに美しかった。


「ボクは……、ヴェーラと結ばれたいからね。だから死なないよ。ヴェーラも死なせない」

「アーヴィド王子……、意外と……」

「ん?」


アーヴィド王子は首を傾け、やさしく微笑むお顔をわたしに向けられた。

わたしを見詰める宝石のような青い瞳が月明かりに透け、いつにもまして澄んでいるように見えた。


「……エロいですわね」

「エロ……、あ、いや、えっと……、結ばれたいって、そういう意味じゃなくて……、あ、そういう意味でもあるのか……、いや、えっと……」


狼狽えるアーヴィド王子に、クスクスと笑い、厚い胸板に手を添えた。

わたしの手の平の向こう、お服のなかには、アーヴィド王子のお命を奪う寸前だったおおきな傷跡がある。


3日後。

オクスティエルナ伯爵からの急使が届く。

姉トゥイッカは、王国西方の反乱軍に向けて出兵を命じた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】消された第二王女は隣国の王妃に熱望される

風子
恋愛
ブルボマーナ国の第二王女アリアンは絶世の美女だった。 しかし側妃の娘だと嫌われて、正妃とその娘の第一王女から虐げられていた。 そんな時、隣国から王太子がやって来た。 王太子ヴィルドルフは、アリアンの美しさに一目惚れをしてしまう。 すぐに婚約を結び、結婚の準備を進める為に帰国したヴィルドルフに、突然の婚約解消の連絡が入る。 アリアンが王宮を追放され、修道院に送られたと知らされた。 そして、新しい婚約者に第一王女のローズが決まったと聞かされるのである。 アリアンを諦めきれないヴィルドルフは、お忍びでアリアンを探しにブルボマーナに乗り込んだ。 そしてある夜、2人は運命の再会を果たすのである。

もう長くは生きられないので好きに行動したら、大好きな公爵令息に溺愛されました

Karamimi
恋愛
伯爵令嬢のユリアは、8歳の時に両親を亡くして以降、叔父に引き取られたものの、厄介者として虐げられて生きてきた。さらにこの世界では命を削る魔法と言われている、治癒魔法も長年強要され続けてきた。 そのせいで体はボロボロ、髪も真っ白になり、老婆の様な見た目になってしまったユリア。家の外にも出してもらえず、メイド以下の生活を強いられてきた。まさに、この世の地獄を味わっているユリアだが、“どんな時でも笑顔を忘れないで”という亡き母の言葉を胸に、どんなに辛くても笑顔を絶やすことはない。 そんな辛い生活の中、15歳になったユリアは貴族学院に入学する日を心待ちにしていた。なぜなら、昔自分を助けてくれた公爵令息、ブラックに会えるからだ。 「どうせもう私は長くは生きられない。それなら、ブラック様との思い出を作りたい」 そんな思いで、意気揚々と貴族学院の入学式に向かったユリア。そこで久しぶりに、ブラックとの再会を果たした。相変わらず自分に優しくしてくれるブラックに、ユリアはどんどん惹かれていく。 かつての友人達とも再開し、楽しい学院生活をスタートさせたかのように見えたのだが… ※虐げられてきたユリアが、幸せを掴むまでのお話しです。 ザ・王道シンデレラストーリーが書きたくて書いてみました。 よろしくお願いしますm(__)m

人質王女の婚約者生活(仮)〜「君を愛することはない」と言われたのでひとときの自由を満喫していたら、皇太子殿下との秘密ができました〜

清川和泉
恋愛
幼い頃に半ば騙し討ちの形で人質としてブラウ帝国に連れて来られた、隣国ユーリ王国の王女クレア。 クレアは皇女宮で毎日皇女らに下女として過ごすように強要されていたが、ある日属国で暮らしていた皇太子であるアーサーから「彼から愛されないこと」を条件に婚約を申し込まれる。 (過去に、婚約するはずの女性がいたと聞いたことはあるけれど…) そう考えたクレアは、彼らの仲が公になるまでの繋ぎの婚約者を演じることにした。 移住先では夢のような好待遇、自由な時間をもつことができ、仮初めの婚約者生活を満喫する。 また、ある出来事がきっかけでクレア自身に秘められた力が解放され、それはアーサーとクレアの二人だけの秘密に。行動を共にすることも増え徐々にアーサーとの距離も縮まっていく。 「俺は君を愛する資格を得たい」 (皇太子殿下には想い人がいたのでは。もしかして、私を愛せないのは別のことが理由だった…?) これは、不遇な人質王女のクレアが不思議な力で周囲の人々を幸せにし、クレア自身も幸せになっていく物語。

継子いじめで糾弾されたけれど、義娘本人は離婚したら私についてくると言っています〜出戻り夫人の商売繁盛記〜

野生のイエネコ
恋愛
後妻として男爵家に嫁いだヴィオラは、継子いじめで糾弾され離婚を申し立てられた。 しかし当の義娘であるシャーロットは、親としてどうしようもない父よりも必要な教育を与えたヴィオラの味方。 義娘を連れて実家の商会に出戻ったヴィオラは、貴族での生活を通じて身につけた知恵で新しい服の開発をし、美形の義娘と息子は服飾モデルとして王都に流行の大旋風を引き起こす。 度々襲来してくる元夫の、借金の申込みやヨリを戻そうなどの言葉を躱しながら、事業に成功していくヴィオラ。 そんな中、伯爵家嫡男が、継子いじめの疑惑でヴィオラに近づいてきて? ※小説家になろうで「離婚したので幸せになります!〜出戻り夫人の商売繁盛記〜」として掲載しています。

[完結]7回も人生やってたら無双になるって

紅月
恋愛
「またですか」 アリッサは望まないのに7回目の人生の巻き戻りにため息を吐いた。 驚く事に今までの人生で身に付けた技術、知識はそのままだから有能だけど、いつ巻き戻るか分からないから結婚とかはすっかり諦めていた。 だけど今回は違う。 強力な仲間が居る。 アリッサは今度こそ自分の人生をまっとうしようと前を向く事にした。

子供が可愛いすぎて伯爵様の溺愛に気づきません!

屋月 トム伽
恋愛
私と婚約をすれば、真実の愛に出会える。 そのせいで、私はラッキージンクスの令嬢だと呼ばれていた。そんな噂のせいで、何度も婚約破棄をされた。 そして、9回目の婚約中に、私は夜会で襲われてふしだらな令嬢という二つ名までついてしまった。 ふしだらな令嬢に、もう婚約の申し込みなど来ないだろうと思っていれば、お父様が氷の伯爵様と有名なリクハルド・マクシミリアン伯爵様に婚約を申し込み、邸を売って海外に行ってしまう。 突然の婚約の申し込みに断られるかと思えば、リクハルド様は婚約を受け入れてくれた。婚約初日から、マクシミリアン伯爵邸で住み始めることになるが、彼は未婚のままで子供がいた。 リクハルド様に似ても似つかない子供。 そうして、マクリミリアン伯爵家での生活が幕を開けた。

【12月末日公開終了】有能女官の赴任先は辺境伯領

たぬきち25番
恋愛
辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26) ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。 そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。 そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。   だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。 仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!? そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく…… ※お待たせしました。 ※他サイト様にも掲載中

モンスターを癒やす森暮らしの薬師姫、騎士と出会う

甘塩ます☆
恋愛
冷たい地下牢で育った少女リラは、自身の出自を知らぬまま、ある日訪れた混乱に乗じて森へと逃げ出す。そこで彼女は、凶暴な瘴気に覆われた狼と出会うが、触れるだけでその瘴気を浄化する不思議な力があることに気づく。リラは狼を癒し、共に森で暮らすうち、他のモンスターたちとも心を通わせ、彼らの怪我や病を癒していく。モンスターたちは感謝の印に、彼女の知らない貴重な品々や硬貨を贈るのだった。 そんなある日、森に薬草採取に訪れた騎士アルベールと遭遇する。彼は、最近異常なほど穏やかな森のモンスターたちに違和感を覚えていた。世間知らずのリラは、自分を捕らえに来たのかと怯えるが、アルベールの差し出す「食料」と「服」に警戒を解き、彼を「飯をくれる仲間」と認識する。リラが彼に見せた、モンスターから贈られた膨大な量の希少な品々に、アルベールは度肝を抜かれる。リラの無垢さと、秘められた能力に気づき始めたアルベールは…… 陰謀渦巻く世界で二人の運命はどうなるのか

処理中です...