普通の人生じゃなかった。

凛華(*゚。゚*)

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第三章:よからぬ影

猛虎は急に止まれない

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いやいやいや。

B組にも妖怪がいる?そんなこと、あるわけないじゃん。

と、思いたかったんだけど。
この話、ガチみたいだ。

実際、戦う寸前まで行った咲人もいるし、
美琴が夢輝に絡まれたのも、彼が妖狐である
美琴を狙ったと考えると納得が出来る。

「こうなった以上、あの3人とは迂闊に話せないね……」
「仕方ないさ、ふっかけてきたのはあっちだし、
僕らがあまり深く考えることないよ」

いや、なんで2人ともそんなにあっさりしてんの?!
俺が異常なの?

「な、なぁ……なんで、あの3人は俺には
関わろうとしないんだ……?」

率直な俺の疑問。2人には直接絡んできたのに、どうして俺だけ、って。
俺は違うと思ったのか?
すると、咲人が口を開いた。

「そりゃ、あいつらからしたら、お前はA組のリーダー格だしな。
お前のこと敵に回したらヤバいって分かってんだろ。」

え?俺そんなポジションだったっけ?

「ま、私はA組の腫れ物だしね。能力見せちゃったら、こうなるよーって、
よく分かっただろうから、クラスメートのいる所では、
対立したくないってあっちなりに考えてんじゃないの?」
「ま、まぁそうだよな……」

って、なに言いくるめられてんだよ。
美琴がA組の腫れ物?何だそれ。初めて聞いたぞ。


と、まぁ。そんなこんなで、今日はここで終わっちゃったんだけどね。
またヤバいことになりそうだな……
と思ったらさ。


帰り道。美琴も咲人も、俺が『先帰っていいよ』って言ったから、
もう居ないし。もう7時だよ。
先生以外もう誰もいないってなんなの?!
高等部の先輩ももう帰ってるし……。
しゃーない。ここ、暗くて視界が悪いけど一人で帰るしかないか……。
あーあ、こんな時に美琴がいてくれたらなぁ……。

「……深沢君?」

え?誰?校舎には誰もいなかったはず……。

「……僕だよ、B組の。小滝佑真。」

えぇ…こんな時に鉢合わせちゃうのーーーーーー?!

「2人きりで会うのは初めてかな?」

初めても何もないよー!話すのも初めてだよーーー!

「あ、そうだ。僕、こんな話聞いたことあるんだけど、
ちょっと聞いてくれる?」


ああ、妖怪の話か……


「この後、この煙羅族って、どうなったと思う?」
「……え?この話の終わり方からして、滅びたんじゃ?」

あ。間違った。

「……そっか。君もそんな人なんだね。」
佑真の目には涙が浮かんでいた。

え……え?泣いてる?!
咲人から聞いた話ではこんな子じゃなかったよな……?

「……誰も、僕の気持ちなんて分かってくれないんだ……」
こんなに弱気だったのこの子?!

「え……あの……ごめん……な?」
咄嗟に謝る。
こんなことがクラス中、学年中に知れ回ったらタダじゃ済まない。


「ふふっ……引っかかった。」


「?!」

急に、地面が歪んで、沈み始めた。
気付くと佑真は、全身黒ずくめの衣装に着替えていて、
顔には大きな火傷のような跡があった。
「あはは、やっぱり。驚いたよねぇ。
こーんなに大きな傷があるんだから。
この傷はね、煙羅族が先祖代々受け継いできたものなんだー。もちろん、
僕達のご先祖さまが、君達三大妖族の先祖に、付けられたものなんだけど。
だから、この傷をなくすためには……

君達を、一人残らず消さなきゃいけないの。だから…ごめんね?


死んで。」

真っ黒な何かが俺の顔めがけて飛んでくる。
あ、もうこれダメだ。そう思いながら目を閉じる。


……あれ?痛みがない。
もしかしてもう死んでる?そう思って目を開けると、そこには、今にも砕けそうな真っ黒な矢があった。

俺を、突き刺そうとしている矢が壊れかけている……
なら、壊れてしまえばいい。

そう思った瞬間、矢は、バラバラに砕けた。

「は……?」

自分でも何が起こってるか分からない。
だから当然、佑真は口を大きく開けて動揺しているようだ。

これ、もしかしたらすげー力になるかもしれない。
でも、今1番したいこと、それは。


「なぁ、なんにもしないなら、ここから出してくれる?
お腹空いたし帰りたいんだけど。」

そう、俺は今とても帰りたい。

「……なんで?」

「え?」

「なんで解放してあげなきゃいけないの?悪いのはそっちでしょ?」

餓死させる気かお前。
……仕方ないなぁ。この前気づいちゃった技、出してあげようかな。

一気に息を吐き出し、また吸い込んで、背筋を伸ばし正面を見る。
すると、俺の中にいる虎が目を覚ますんだ。
『呼んだか、若き虎』
『……ああ、こいつがいつまで経っても解放してくれねぇから、
ちょっと力を貸してくれねぇか?』
『……お安い御用だ』

虎の了承を得た途端、俺の体は黄色の眩い光に包まれ、
虎の耳と尾が生え、手は虎のように爪が尖って、肉球もあり、縞模様が映える。

そう、これが俺の新たな技だ。

そして、半分虎の姿になった俺は、佑真の方へと突っ込んで行く。

「ふふ、どうやってもここからは出られないよ」
佑真はこうは言ったが、俺は分かっている。
佑真の持っているその炎を消せば、元に戻る。
地面が歪んだ時も、佑真かその炎を作っていたのをしっかりと見た。

あ。でも、佑真のとこで急に止まれないや。
ごめんね、佑真。虎が通りま~す。

「いっ……あれ?……あぁ!?炎が消えて……クソッ……」

炎が消えて、俺がいた暗闇はだんだん消えてゆき、
元の場所に戻る。学校の時計を見ると、学校を出た時刻から変わらない。

「あ、よかった……でも、空腹感は増したなぁ……早くかーえろっと。」


虎(勇大)に踏まれ、腰を痛めた佑真は、帰っていく勇大の後ろ姿を
ただただ眺めていた。

「……今回は逃しちゃったけど、3対3になったらどうなるだろうね……
楽しみだなぁ。」

まだ、これで終わりではない。
ようやく始まったばかりなのだ。
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