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一人じゃない
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俺たちはガストンさんに案内され、テソーロの南東部にあるという共同墓地へ向かった。
墓地と聞いて、どこか陰気な場所を想像していたが、現地に着いてみると、その印象はいい意味で裏切られた。
「うわぁ……綺麗な花がたくさん咲いてる。日本の墓地とは全然違うなぁ」
「大将? ニホンって、なんです?」
しまった、つい思ってたことを口にしてしまった……。でも、いつまでも俺のことを秘密にしておくのもなんだかな……。落ち着いたら、いつかちゃんと話そう——
「ううん、なんでもないよ。ここは、綺麗に手入れされてるなぁ~って感心しただけ」
すると、ガストンさんが説明してくれる。
「ここの管理は、街のボランティアの方々がやってくれている。アイリス教には『先祖・故人を敬え』っていう教えがあってな。それを愚直に守っている証だな」
「良い心がけだと思います」
「そうだな。さて、メリクリウス夫妻のお墓を探そうか。ベリアが、Mブロックだって言ってたから……こっちだな」
縦に積まれる日本の様式とは違い、この世界の墓石は平たく、地面に対し、少しだけ傾斜した状態で置かれていた。
それぞれの墓石には、故人の名前や命日だけでなく、動植物などの色鮮やかな絵が彫られていた。きっと、故人が好きだったものなのだろう。
日本の墓地に比べると、ずっと明るく、どこかあたたかい印象を受けた。
周囲を見渡しながら歩いていると、ガストンさんが足を止めた。
「おぉ、あったぞ。俺の恩人であり、ララちゃんの……ご両親のお墓だ」
指差された先には、白と青の生花が添えられた墓石があった。挿されたばかりなのか、まだみずみずしさを保っている。
「これが、パパとママの……」
ララはそっと膝をつき、墓石に手を当てながら、しみじみと言葉をこぼす。
「やっと……会えたですね。ララは、ずっとさみしかったですよ……」
その姿に、どんな言葉をかければいいのか悩んでいると、彼女はふいに顔を上げ、笑顔を浮かべながら言った。
「でも、もう大丈夫です。今は、パパとママと同じくらい大好きな人たちと一緒にいられるです。ララは、もう一人じゃないです!」
「ララ……」
ララの言葉を聞き、心から嬉しかった。俺がララを大切に思っているのと同じように、ララも、俺たちを大切に思ってくれている——その気持ちが、まっすぐ伝わってきた。
「ララ、ありがとな」
「? なにがです?」
「ううん、なんでも。これからもよろしくな」
「もちろんです!」
「もう少し、ここにいるか?」
「ううん、もう大丈夫です。そろそろお屋敷に戻って、きびだんご作りを再開しなきゃですしね!」
「だな。夕方まで、時間もあまりなくなっちゃったし」
「んじゃ、ララは先に帰って、チャットにおやつ作ってもらうです~」
そう言い残すと、俺とガストンさんを残し、爆速で走り去っていくのだった。
「だんごじゃなくて、自分のおやつ優先かよ! 毎度ながら、せわしない子だなぁ……ララちゃんは」
「でも、ララの天真爛漫さに救われてる部分もありますから——」
そう口にした瞬間「いや、振り回されてる方が多いかも」と、思い直す俺だった。
墓地と聞いて、どこか陰気な場所を想像していたが、現地に着いてみると、その印象はいい意味で裏切られた。
「うわぁ……綺麗な花がたくさん咲いてる。日本の墓地とは全然違うなぁ」
「大将? ニホンって、なんです?」
しまった、つい思ってたことを口にしてしまった……。でも、いつまでも俺のことを秘密にしておくのもなんだかな……。落ち着いたら、いつかちゃんと話そう——
「ううん、なんでもないよ。ここは、綺麗に手入れされてるなぁ~って感心しただけ」
すると、ガストンさんが説明してくれる。
「ここの管理は、街のボランティアの方々がやってくれている。アイリス教には『先祖・故人を敬え』っていう教えがあってな。それを愚直に守っている証だな」
「良い心がけだと思います」
「そうだな。さて、メリクリウス夫妻のお墓を探そうか。ベリアが、Mブロックだって言ってたから……こっちだな」
縦に積まれる日本の様式とは違い、この世界の墓石は平たく、地面に対し、少しだけ傾斜した状態で置かれていた。
それぞれの墓石には、故人の名前や命日だけでなく、動植物などの色鮮やかな絵が彫られていた。きっと、故人が好きだったものなのだろう。
日本の墓地に比べると、ずっと明るく、どこかあたたかい印象を受けた。
周囲を見渡しながら歩いていると、ガストンさんが足を止めた。
「おぉ、あったぞ。俺の恩人であり、ララちゃんの……ご両親のお墓だ」
指差された先には、白と青の生花が添えられた墓石があった。挿されたばかりなのか、まだみずみずしさを保っている。
「これが、パパとママの……」
ララはそっと膝をつき、墓石に手を当てながら、しみじみと言葉をこぼす。
「やっと……会えたですね。ララは、ずっとさみしかったですよ……」
その姿に、どんな言葉をかければいいのか悩んでいると、彼女はふいに顔を上げ、笑顔を浮かべながら言った。
「でも、もう大丈夫です。今は、パパとママと同じくらい大好きな人たちと一緒にいられるです。ララは、もう一人じゃないです!」
「ララ……」
ララの言葉を聞き、心から嬉しかった。俺がララを大切に思っているのと同じように、ララも、俺たちを大切に思ってくれている——その気持ちが、まっすぐ伝わってきた。
「ララ、ありがとな」
「? なにがです?」
「ううん、なんでも。これからもよろしくな」
「もちろんです!」
「もう少し、ここにいるか?」
「ううん、もう大丈夫です。そろそろお屋敷に戻って、きびだんご作りを再開しなきゃですしね!」
「だな。夕方まで、時間もあまりなくなっちゃったし」
「んじゃ、ララは先に帰って、チャットにおやつ作ってもらうです~」
そう言い残すと、俺とガストンさんを残し、爆速で走り去っていくのだった。
「だんごじゃなくて、自分のおやつ優先かよ! 毎度ながら、せわしない子だなぁ……ララちゃんは」
「でも、ララの天真爛漫さに救われてる部分もありますから——」
そう口にした瞬間「いや、振り回されてる方が多いかも」と、思い直す俺だった。
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