嫌われ者の王子様

のぼる

文字の大きさ
10 / 24

9話 信頼

しおりを挟む
第4機の騎士達が待機していると思われる所まで駆け足で行く。

ここは少し寒いな…。
こんな所で風邪でもひかないだろうか?

そんな事を思っていると、森の奥から明るい光が見えた。

焚き火の炎だ。

手に持っている夕食が冷めないためにもダッシュで走る。

「イルドだ!」

僕の声に反応し第4機の騎士たちが慌てて集う。

「何かあられましたか?殿下。」

深刻そうな表情で1番前で屈んでる騎士が問う。

「いや、大したことでは無いのだが…。保存食だけでは物足りないと思って今日貰ったものをそなたたちに渡そうとな。」

僕の手作りとは言わない。何故かは言うまでもないが。

そこでふと僕は思った。

………フェイに手作りだと危うく言いかけてた?

俺の行動と言動からではグレーが正解だな。
まぁ、別に知られたところで死ぬわけでもないが。

「殿下………宜しいのですか?に。」

我々のような者…。
こいつらは貴族でも平民でもない。元奴隷だ。

今は父上の働きにより奴隷制度を厳しく取り締まっているが
先代までは奴隷制度があった。
多分この者達の人生の半分が奴隷だったのだろう。

ここで思うが、父上は何故奴隷制度を廃止したのか。商人たちの反乱が起こることは分かっていたし、臣下・側近の信頼を失うことはいくら愚王でも分かっていた事だ。
勿論奴隷制度廃止には僕も賛成だが。
愚王なら何もしなく遊んで過ごす。今みたいに。
何故僕達が生まれる前はそのような行動を起こしていたのか僕には分からなかった。

…でも僕は薄ら薄ら気づいていたかもしれない。父の異変は何かのものによると。


◇◇◇


貪るように僕の作った夕食に食らいつく。

「殿下…ありがとう、ありがとう御座います。このように人間のように扱ってくださって…俺は!俺は!」

騎士たちの半数はボロボロと涙を零す。
泣きじゃくる姿は僕の心を強く締め付けた。

「まさか、まだ差別を受けているのか?」

「………恐れながら。まだ差別は続いております。」

悔しそうに歯を噛み締める。

「…僕が不甲斐ないばかりに…っ…。申し訳が立たない。」

僕が頭を下げると騎士達は慌てて頭を上げるようにと言う。

「やめてください殿下!俺達は殿下のことを会ってもないのに誤解をしていました!見せる顔も無いです!!」

「いや良いんだ。それと今からすることはすぐに差別を止めることの出来ない詫びとしてだ。」

スっと目の前にいる騎士の手を掴んだ。

一瞬ビクッとして目が泳ぐ。他人に触られるのに慣れていないようだな。

─ヒール

ぶわっと痛々しい古傷が綺麗に治っていく…

「「「「!?」」」」

騎士たちがどよめき出した。

「こっこれは一体………?」

「回復魔法だよ。」

「かっ回復魔法!?」

回復魔法とは。
使える者が極少数で本当はそんな魔法は存在しないと思っている人は少なくもない。
それほどにまで貴重な魔法だ。

「まさか俺たちのような者がこんな素晴らしい魔法を見れるなんて!」

騎士達の歓声にまみれる。

「あー、でもこのことは外部には漏らさないよう。僕が回復魔法を見せたのはそなたたちが初めてだからね?」

「「「「はい!」」」」

それから僕は騎士達全員の治療をおこなった。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました

放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。 だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。 「彼女は可哀想なんだ」 「この子を跡取りにする」 そして人前で、平然と言い放つ。 ――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」 その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。 「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」

追放された聖女は旅をする

織人文
ファンタジー
聖女によって国の豊かさが守られる西方世界。 その中の一国、エーリカの聖女が「役立たず」として追放された。 国を出た聖女は、出身地である東方世界の国イーリスに向けて旅を始める――。

なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた

下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。 ご都合主義のハッピーエンドのSSです。 でも周りは全くハッピーじゃないです。 小説家になろう様でも投稿しています。

十六歳の妹の誕生日、私はこの世を去る。

あいみ
恋愛
碌に手入れもされていない赤毛の伯爵令嬢、スカーレット。 宝石のように澄んだ青い髪をした伯爵令嬢、ルビア。 対極のような二人は姉妹。母親の違う。 お世辞にも美しいと言えない前妻の子供であるスカーレットは誰からも愛されない。 そばかすだらけで、笑顔が苦手な醜い姉。 天使のように愛らしく、誰からも好かれる可愛い妹。 生まれつき体の弱いルビアは長くは生きられないと宣告されていた。 両親の必死に看病や、“婚約者の献身的なサポート”のおかげで、日常生活が送れるようになるまで回復した。 だが……。運命とは残酷である。 ルビアの元に死神から知らせが届く。 十六歳の誕生日、ルビアの魂は天に還る、と。 美しい愛しているルビア。 失いたくない。殺されてなるものか。 それぞれのルビアを大切に思う想いが、一つの選択をさせた。 生まれてくる価値のなかった、醜いスカーレットを代わりに殺そう、と。 これは彼女が死ぬ前と死んだ後の、少しの物語。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

悪役女王アウラの休日 ~処刑した女王が名君だったかもなんて、もう遅い~

オレンジ方解石
ファンタジー
 恋人に裏切られ、嘘の噂を立てられ、契約も打ち切られた二十七歳の派遣社員、雨井桜子。  世界に絶望した彼女は、むかし読んだ少女漫画『聖なる乙女の祈りの伝説』の悪役女王アウラと魂が入れ替わる。  アウラは二年後に処刑されるキャラ。  桜子は処刑を回避して、今度こそ幸せになろうと奮闘するが、その時は迫りーーーー

処理中です...