デカ男好きの俺が異世界転移した先は巨人族が暮らす集落だった

陽花紫

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いきなり新婚生活開始です

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 翌朝、眠い目を擦っていると、どしんどしんと遠くから地響きが近づいてくる。

 それは、ダグがやってくる足音だった。
 いつもは昼過ぎにしか来ないのに、今日はやけにどしどしと張り切っていた。
 扉を開けると、ダグは静かに息を整えてこう言ったんだ。
「ヒロキ、家を作ったぞ!」

 いえ?家って、あの家のことか?
 聞き間違いかと思って、俺はもう一度聞いてみることにした。
「ダグ、何をつくったって?」

「家だ!俺たちが、暮らす家」
「……えっ?」

 ダグの手のひらに乗って連れられた場所には、確かに大きな家が建っていた。
 それはシンジさんとガラさんが住む家を模したような造りで、大きな丸太が幾重にも組まれていた。

 扉を開けると、大きな家具と小さな家具が、必要最低限なぶんだけ置かれていた。
「これ……、どうしたんだよ」
「昨日の設計図をもとに、集落のみんなにも協力してもらって建てたんだ」
「ええっ!?」
「みんな、俺が結婚するって言ったら喜んで手伝ってくれた」
 その誇らしげな顔とは逆に、俺は驚きが止まらなかった。
「ダグ、いろいろと早すぎやしないか?」
「そうか?集落の皆も、やっと俺とヒロキとくっついたかって祝ってくれたぞ?それに長老も、結婚してもいいって」

 そしてダグは、俺に向けて一本の太い縄のようなものを差し出した。
「ヒロキ、俺と結婚してくれ。これは俺の集落に伝わる、幸せの腰紐なんだ。お前のことを思って編んだ。受け取ってくれ」
 それは、紛れもなくプロポーズの言葉だった。
 昨日告白されて、今日にはプロポーズをされるなんて急展開すぎて信じられなかった。

 戸惑いと喜びと嬉しさとで、俺は何も言えなくなってしまう。
 けれどダグがあまりにも真面目な顔をしていたから、俺は目に涙を浮かべながらその紐を受け取った。

 ずしりと重かったけど、それでも俺にとっては何よりも嬉しい紐だったんだ。
「ダグ……!!」
 抱きつきながら、俺もまた愛を叫んでいた。
「ダグ、こんな俺でよければ……喜んで!愛してるよ!」

 こうして俺とダグは、光の速さで結婚することになったんだ。

 ダグのぶんの腰紐は、俺があと少し手伝えばいいだけに編まれていた。
 二人で協力してその紐を編んで、ダグもまた嬉しそうにそれを腰に巻いてくれていた。


 その日から、俺は新居に住むことになった。
 前の小屋の荷物は、ダグが小屋を持ち上げてひっくり返せば、すぐに新しい家に収まったんだ。
 恐るべし、巨人族の力だと思った。

***

 それからしばらく、俺たちは新婚生活を楽しんでいた。
 ダグとともに暮らすと初めて知ることばかりで、毎日が楽しかった。

 まずその莫大な食事のに驚いて、ダグが案外綺麗好きなことも知った。ダグもまた俺の食事量に驚いて、本当に臓器が詰まっているのかと心配するくらいだった。
 それに、ダグは読書家でもあったんだ。
 俺にこの世界の文字も教えてくれて、最近は一緒に本を読めるようにもなっていた。
 この世界の本はとても大きかったけど、ダグがいつも本を取り出してページをめくる係をしてくれた。

「ダグは、どんな話が好き?」
「冒険ものが、わりと好きだな。知らない世界に行けるみたいで、楽しくなる」
「そうなんだ。俺も、そういうの好きだな。あと、戦うやつ!」
「そうか。こんど、ヒロキが好きそうな本を探してみるよ」
「ありがとう!でも、この本も好きだよ」
 そう笑い合いながら、本を読む時間も俺は大好きだった。

 ダグの主な仕事は、その怪力を活かしたいろんな集落の荷物の大移動で、いつも朝早くに出かけては昼頃には帰ってきていた。

 俺は働けるような仕事もなかったから、いつも家で家事をしたり本を読んだりして過ごしていた。
 シンジさんもそうしていると聞いていたし、ダグもまた何も言わなかった。
 そもそも、あまり俺を外に出そうとはしなかったんだ。
「俺のいない間にもしヒロキが潰されたらと思うと、いてもたってもいられない」
 そう言われて、余計に俺は家に引きこもっていた。

 いまも、大きなテーブルの上に乗ってダグと一緒に本を読んでいた。
 突然、ブフウ!と空気が大きく揺れた。
「悪い、ヒロキ」
 それは、ダグのオナラだった。
「いいって、気にしてないから」
 そう言いながらも、俺は初めて感じたダグのオナラに感動していた。

 ダグは足音もそうだし、日常生活の音もとにかく大きかったんだ。
 常にどすどす歩いて、大きな口を広げてあくびをして、ブシャーと勢いよく小便もしていた。生きているだけで俺の性癖をくすぐってくるものから、それは非常に困るくらいでもあったんだ。

 もちろんそんなことはダグには言えないけど、大便もひねり出す音もめちゃくちゃ大きくて俺は密かに震えていた。
「ヒロキ、何かいいことでもあったのか?」
「うん?……そうだな。なんか、幸せだなって」
 まさかそんな下品な妄想をしているとは本人にも言えずに、俺は恥ずかしさを紛らわすために太い腰紐をいじってみせた。
「俺も、幸せだ」
 ダグもまた、俺と同じように自らの腰紐に手を添えていた。

 このままずっと、こうして生きていたい。
 俺はそんなことを願いながら、ダグの手に強くキスをした。

 ダグは手のひらを広げて、そこを指でとんとんと叩いた。
 それは、乗ってくれの合図だった。
 静かによじ登って、広い胸板に抱き寄せられる。
「ヒロキ、愛している」
「俺も」
 このまま、潰されるように抱きしめられたい。
 骨が軋むほど強く、逃げられないほどに深く。声も出なくなるほどに、溺れたい。

 そんな不純な心を押し込めながら、俺はダグの胸に体をぴったりとくっつけた。
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