デカ男好きの俺が異世界転移した先は巨人族が暮らす集落だった

陽花紫

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巨人族のガラさんと転移者のシンジさん

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 ガラさんの家は大きな丸太小屋で、中には大きな家具と小さな家具が同じ数だけあった。

「実は、俺とガラは……結婚してるんだ」
「結婚!?」
 思わず俺とダグは、目を丸くしてしまう。
 ひとまず小さな椅子に座りながら、俺は話を聞いていた。
「私たちの集落では、細かいことは気にしないのです。シンジが小さくあろうが、他の世界からやってこようが、性別がどうであろうが……そのようなことは何も差し支えはないのです」
 そうガラさんは、大らかに微笑んでいた。
 シンジさんもまた幸せそうに笑って、ガラさんのことを見つめていた。
「右も左もわからない俺をガラが拾ってくれてさ、ここに住んでいくうちに……。好きになっていったんだ」
「私には、君が天使のように見えていたよ」
「ガラ……、よせよ」
 そんな仲睦まじい雰囲気の二人にあてられるかのように、俺とダグもまた目を見合わせて顔を赤くしてしまった。

「へえ。……二人はまだ、友達なんだ?」
 そのシンジさんの言葉に、俺は首を傾げてしまう。
「まだ、って……?」
「シンジ、お節介はやめないか」
 ガラさんが制するものの、ダグは俺を置いてはっきりと返事をしていた。
「いいえ。ゆくゆくは、お二人のようになりたいと俺は思っています」
 その言葉に、思わず俺は飛び上がってしまう。
「ダグ!?」
「ヒロキ、俺はお前のことが好きだ。お前も俺のことを好きなんじゃないかと思っているんだが、……違うか?」
 その言葉に、俺は顔がひどく熱くなるのを感じていた。

 確かに、ダグのことは好きだ。大好きすぎるくらいだった。
 それに、もう何度も性的な目で見てしまって毎晩お世話になっている。

 でもそんな大切なことを、第三者の前で言わなくてもいいんじゃないかと思った。
 そう俺がじとりと睨むと、ダグは頭を下げていた。
「突然、悪い。でも……、ヒロキのことが大好きなんだ。本当は今日の帰りにでも、言おうと思ってた」

 そうダグは、熱のこもった大きな瞳で俺のことを見つめていた。
 そこには、泣きそうな顔をした俺の姿がしっかりと映っていた。
 俺は、意を決して答えていた。
「俺も、好きだよ……。ダグのこと、大好きなんだ」
 そう伝えれば、ダグは俺の身を持ち上げた。
「おい、ダグ……!」
 そして静かに、胸元へと抱きしめるように俺の体を近づけていた。
「ヒロキ、ありがとう」
 目を閉じて、心の底から喜びを噛みしめるようなその表情に、俺は何も言えなくなってしまう。
 そして俺もまた、静かに胸元に全身を預けていた。
 初めて触れたダグの胸板は、想像よりもとても熱かった。

 しばらくして元の位置に戻れば、シンジさんもガラさんもにこにこと喜んでいた。
「よかった。広場で見た時から、そうなんじゃないかと思ってたんだ」
「お二人とも、シンジが勝手に……申し訳ありません」
 そうガラさんは謝るものの、俺たちは笑っていた。
「いいえ。気づかせてくださって、ありがとうございます」
「そうですよ。逆にこんな機会がなければ、言えなかったかもしれないですし……」

 シンジさんは笑みを浮かべて、ガラさんの指を引いていた。
「ね、二人もこう言ってることだし。……ガラ、今日はお祝いしようよ」
「えっ!そういうわけには……」
「ヒロキ、ここは素直にお気持ちを受け取っておこう」
「そうそう、よかったら生活に必要なものとかも教えるからさ。俺たちの話も、聞いてってよ」
「……わかりました。なんか、すみません。ありがとうございます」
「いいえ。むしろこのようにお仲間が増えて、嬉しい限りです」


 思わぬ出会いを経た俺たちは、ものの数時間ですっかり打ち解けていた。
 シンジさんは意外にも大胆な人で、ガラさんは物静かに全てを受け止めていた。
 はたから見ても、お似合いの二人だと思った。
 ダグもそう思っているみたいで、何度も二人のことを羨ましいと言っていた。

 ガラさんが色とりどりの手料理を作ってくれて、俺とダグはそれを食べて美味しいと笑う。
 シンジさんは話上手で頼りになって、帰るときにはこの家の設計図や家具の採寸表。使わない調理器具なんかをどっさりと貰ってしまった。

「こんなに沢山、なんかすみません……」
「気にしないで。ヒロキ君、また遊びに来なよ。俺たちはいつでも大歓迎だからさ」
「ガラさんも、ありがとうございました」
「いいえ。今日はこちらまで来てくださり、ありがとうございました。また、お会いしましょう」

 二人に手を振って、俺はまたダグの手のひらの上に乗って小屋へと戻る。
「なんだか今日は、盛りだくさんな一日だったな」
「そうだな。……ヒロキ、本当に……俺のこと……」
 そうダグは、頬を赤くしてうつむいた。
 俺はばしりと手のひらを叩いて、背をそらしてダグを見上げた。
「本当に、大好きだ!いつか俺も、ダグと一緒に暮らしたいよ」
 その言葉に、ダグは満面の笑みを浮かべていた。
「ありがとう。ヒロキ、大好きだ」
 静かに、ダグの大きな顔が近づいてきた。
 何をされるのかと思ったら、俺の鼻を潰すように分厚い唇があたっていた。
「ヒロキ、こういう時は目を閉じるんだぞ?」
 それは、初めてのキスだった。
 俺は静かに目を閉じて、その大きな唇を受け止めた。
 反対に俺からもすれば、ダグは顔を真っ赤にして笑っていた。


 小屋に戻って受け取った荷物の整理をしていると、ダグがぽつりと言った。
「明日にでも、同じ家に住むか?」
 俺が住んでいるこの小屋は、俺が住むには大きいくらいだけれどダグが住むには小さすぎる大きさでもあったんだ。
「そうだな……」
 先ほど目の当たりにしたシンジさんとガラさんの暮らしに憧れるものの、けれど俺たちはまだ恋人同士になったばかりの仲でもあった。
 そんなに急がなくてもいいんじゃないかと思いつつも、ダグと暮らす日々も楽しそうだと思ってしまう想像も広がった。

「べつに、そんなにすぐじゃなくてもいいよ。……いつかは、暮らしたいけどさ」
 そうこぼすと、ダグは指先で俺の頭を撫でてくれた。
「ヒロキ。……俺、頑張る。あの二人みたいに結婚できるように、頑張るから……」
 そう俺の体を持ち上げて、ダグは俺を手のひらの上に置いた。
 そして静かに、またあの大きな唇を近づけた。
 口を開けたらまるで丸呑みされてしまいそうなほどに、ダグの口は大きかった。
 触れるか触れないかのところで止まったから、俺は静かにそこに唇を重ねた。ダグは目を開けて、満面の笑みを浮かべていた。
「ヒロキ、大好きだ」
「俺も、ダグのことが大好きだ」
 再び唇を重ねてから、俺は地面に降ろされる。
 ダグは顔を赤くして、俺の頬をつついてみせた。
「また、明日……」
「ああ、また明日。気をつけて帰れよ?」
「ああ」
 そう言って、名残り惜しそうにダグは去っていった。


 俺はその日、幸せすぎて眠れなかった。
 寝ようとしても、昼間の幸せな時間と告白の言葉を思い出してしまってにやけが止まらなかった。
 そして、シンジさんとガラさんを羨ましくも思った。
「いつかは、俺も……」

 俺が眠りについたのは、夜も深まった頃だった。
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