びんびんどろっぷしぃるを求めて父親はその扉を開けてしまう

陽花紫

文字の大きさ
2 / 4

タチの扉

しおりを挟む
「じゃ、がんばってー!」

 タチ。
 そうユウトは、宣言していた。

 軽やかな声に背中を押され、扉の奥へおずおずと足を踏み入れていく。

 そして彼は、息を呑む。
 そこには柔らかな灯りの中で、愛らしい容姿をした小柄な男がぽつんと全裸で立っていたのだから。

「わっ……、すみません!」

 だが目を逸らす最中に、虹色に煌めくその光を見つけてしまう。
 男の胸元と股間には、ユウトが強く求めていた、あの“びんびんどろっぷしぃる”がその輝きを辺りに放つかのように存在感を示していたのだ。

「なるほど、今夜はそうきたか。……僕、ミチルっていいます!よろしくお願いしまーす!」

 そして、ユウトの目がその肌に慣れるまで、ミチルはにこやかな笑みを浮かべて語り出す。
 その屈託のない笑みと和やかな雰囲気に、いつしかユウトの警戒心も溶けていく。

 ミチルは大手シール会社に勤めおり、安価でそのシールを手に入れることができるのだと微笑んだ。

「まさか、こんなに人気になるとは僕も思わなくってさー。でも……、本当はこうして使ってもらいたかったんだよ?ねえ、見てよ。びんどろしぃる貼った僕、かわいい?」

 そう言って、わずかに照れたように首を傾げる。
 そして、悩まし気に胸元を寄せては次々と美しいポージングを決めていく。

 ユウトは、ごくりと喉が鳴るのを止めることができずにいた。

 思わず胸元のシールへと手を伸ばすものの、呆気なくその手は取られてしまう。

「だーめ♡僕をいっぱい気持ちよくさせてくれたら、このシール……。ぜーんぶあげてもいいんだよ?」

 不敵な笑みを浮かべて、ミチルはその小さな唇をユウトのものへと重ねていく。

 ちゅっ♡

 その一瞬で、ユウトの頭から本来の目的はすっかり消え去ってしまうのだ。

 ちゅっ♡ちゅっ♡むちゅっ♡

 熱い舌を絡めて、目の前に差し出されたそのぬくもりと、高鳴る鼓動と、確かにそこにあるミチルの不思議な存在にいつしか心は囚われていく。

「んんう♡ちゅうっ♡上手だねっ♡はあっ♡むちゅっ♡」

 ユウトはその指で、左右の胸元に輝くぷっくりとしたシールの輪郭をなぞる。

 こりっ♡こりっ♡

「んんうっ♡ああっ♡♡」

 絹のような白い肌に貼られた、まるで子ども向けとは思えないほどに無防備であるその輝き。
 リボンやユニコーンといったその柄は、まるでその先にある秘密を隠すための仮面であるかのようにも見えていた。

「……可愛いな」

 自然と、口から言葉が溢れていた。
 それはシールに対してではない、ミチルの切なげな反応にその心は動いていくのであった。

 ぐりっ♡ぐりっ♡

「あああっ♡だめぇっ♡♡」

 押し潰すように刺激を与えては、やがてシールの端に指先をかける。

 かりっ♡かりっ♡

「まだぁ♡だめえっ♡もっと♡もーっといじってえ♡♡」

 しかしミチルのその声は、もはやユウトの耳に届いてなどいなかった。

 ぴりっ♡ぴりっ♡

 すぐさまシールを剥がしては、ぷっくりと立ち上がった薄桃色の突起を躊躇なく口に含む。

 ちゅばっ♡ちゅばっ♡ちゅばっ♡ちゅばっ♡

 本能のまま、ユウトはそれを吸い上げた。

 こりっ♡こりっ♡かりっ♡こりっ♡

 もう片方の突起は、容赦なく撫で回されてしまう。

「ああんっ♡ちょっとっ♡あっ♡ああっ♡まってよぉ♡♡」

「待てない」

 ぢゅるるるるう♡♡ちゅばっ♡ちゅばっ♡

「ああああっ♡♡」

 ユウトは、もう止まることなどできずにいた。

 娘が産まれてからここ数年、そういった行為からもご無沙汰であったのだ。
 湧き上がる欲望を心の奥底にしまい込み、常に、愛される夫であり愛されるべき父親であることを選び続けてきたのだ。

 その戦士の鎧が、この場においては、シールの輝かしい光によって音もなく外れていくようでもあった。

 ユウトが持つその勇ましい剣は、すでに万全の体勢となっており、未だスーツをその身に着けているというのに恥もなくミチルの身へと擦り付けられていたのだから。

 ミチルの先端で輝く、最後の一枚のシールが震えていた。
 もこもことしたクマのイラストが、そこには描かれていた。

 先端に鎮座するそのクマの輪郭から、透明な液体が溢れ出る。

「ああんっ♡見ちゃだめぇ♡♡」

 張り詰めたミチルの熱にそっと手を伸ばし、ユウトは静かに撫で上げた。

 くちゅっ♡くちゅっ♡

「でちゃうからっ♡だめぇ♡♡はがしちゃ♡だめぇ♡♡」

「邪魔だな、これ」

 ぴりっ♡♡

「やああああっ♡♡」

 勢いよく剥がされたその瞬間、ユウトの視界に白濁が広がる。

 ぴゅっ♡ぴゅっ♡

「だめだって♡いったのにぃ♡♡ううっ♡ひぐうっ♡」

 ついにはミチルは泣き出してしまい、ユウトは慌てて我に返る。

「その、……すみません……」

***

 しばらくして、ミチルは頬を膨らませたままユウトのことを睨みつけていた。

「もう、これだから慣れてない人は!……いい?僕のことを気持ちよくしないと、このシールは没収!わかった?」

「はい」

 ユウトは肩を落としながら、没収という言葉に項垂れてしまう。
 しかしミチルは、そのようなユウトを気にすることなく脚をM字に広げていく。

「じゃ♡さっさとぶちこんでよ♡♡前戯はもういいからさ♡」

「……えっ?」

「なに、その顔。……もしかして、初めて?やだ、度胸あるね♡かわいい♡♡」

 挑発的なその言葉に、ユウトの何かがぶちりと切れる。

 ずぶりっっ♡

「あーっ♡♡♡そうだよっ♡これっ♡これぇ♡♡」

 ずぶっ♡ずぶっ♡ずぶっ♡ずぶっ♡

 無意識のうちに、ユウトは腰を振っていた。
 自らが今、何をしているのか。何のために、ここに来たのか。
 その一切を、思い出せぬままに。

 ぱんっ♡ぱんっ♡ぱんっ♡ぱんっ♡

「あっ♡あっ♡あっ♡あっ♡んあっ♡♡」

 ただ一心不乱に、欲望のまま腰を振り続けていたのである。

 ぱん♡ぱん♡ぱん♡ぱん♡ぱん♡ぱん♡ぱん♡ぱん♡

「いくうっ♡♡いっちゃうううっ♡♡♡」


 やがて灯りが滲み、時間の感覚が溶けていったころ。

 ユウトは一枚一枚、シーツに散らばったシールを丁寧に剥がし、自らのピンクのシール帳へと収めていた。

 その姿を、ミチルはやけにすっきりとしたような顔をして、にこやかに見つめていた。

「娘さん、喜ぶといいですね」

「……ありがとう」

「いいなあ、素敵なパパさん。……羨ましい」

 そのように目を伏せるミチルの頬に向けて、ユウトは軽く唇を押し当てた。

 ちゅっ♡

「必要になったら……。また、……ここに来てもいいですか?」

 頬を赤く染めて告げられたその言葉に、ミチルは満面の笑みを浮かべていた。

「もちろん!まだまだ、いろんなシールがありますからね?」


 静かに衣服を整えて、ユウトはその場を立ち去った。

 その胸の奥には、ほのかな甘さと、わずかな痛みが残っていた。

 しかし、こうしてはいられない。
 ユウトの顔は、再び戦士の顔つきへと戻っていくのであった。

「あら、もう帰っちゃうのー?」
「寂しいわー」
「娘ちゃんに、よろしくねぇー」
「また、いつでも来てね?」

「ありがとうございました」

 外に出れば、夜風が優しく吹いていた。
 わずかに熱を秘めるその頬を、静かに冷ましていくかのように。

 明日の朝。
 あの小さな手に、この虹色に輝く愛らしいシールを渡したら。
 娘は、どのような顔をして笑ってくれるのだろうか。

 その想像だけを胸に、ユウトは夜の街を後にした。

END
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される

マンスーン
BL
​王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。 泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

仕方なく配信してただけなのに恋人にお仕置される話

カイン
BL
ドSなお仕置をされる配信者のお話

おすすめのマッサージ屋を紹介したら後輩の様子がおかしい件

ひきこ
BL
名ばかり管理職で疲労困憊の山口は、偶然見つけたマッサージ店で、長年諦めていたどうやっても改善しない体調不良が改善した。 せっかくなので後輩を連れて行ったらどうやら様子がおかしくて、もう行くなって言ってくる。 クールだったはずがいつのまにか世話焼いてしまう年下敬語後輩Dom × (自分が世話を焼いてるつもりの)脳筋系天然先輩Sub がわちゃわちゃする話。 『加減を知らない初心者Domがグイグイ懐いてくる』と同じ世界で地続きのお話です。 (全く別の話なのでどちらも単体で読んでいただけます) https://www.alphapolis.co.jp/novel/21582922/922916390 サブタイトルに◆がついているものは後輩視点です。 同人誌版と同じ表紙に差し替えました。 表紙イラスト:浴槽つぼカルビ様(X@shabuuma11 )ありがとうございます!

俺の指をちゅぱちゅぱする癖が治っていない幼馴染

海野
BL
 唯(ゆい)には幼いころから治らない癖がある。それは寝ている間無意識に幼馴染である相馬の指をくわえるというものだ。相馬(そうま)はいつしかそんな唯に自分から指を差し出し、興奮するようになってしまうようになり、起きる直前に慌ててトイレに向かい欲を吐き出していた。  ある日、いつもの様に指を唯の唇に当てると、彼は何故か狸寝入りをしていて…?

BL 男達の性事情

蔵屋
BL
 漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。 漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。  漁師の仕事は多岐にわたる。 例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。  陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、 多彩だ。  漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。  漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。  養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。  陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。  漁業の種類と言われる仕事がある。 漁師の仕事だ。  仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。  沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。  日本の漁師の多くがこの形態なのだ。  沖合(近海)漁業という仕事もある。 沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。  遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。  内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。  漁師の働き方は、さまざま。 漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。  出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。  休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。  個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。  漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。  専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。  資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。  漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。  食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。  地域との連携も必要である。 沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。  この物語の主人公は極楽翔太。18歳。 翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。  もう一人の主人公は木下英二。28歳。 地元で料理旅館を経営するオーナー。  翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。 この物語の始まりである。  この物語はフィクションです。 この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。

処理中です...