再創世記 ~その特徴は「天使の血筋」に当てはまらない~

タカナデス

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第3章

118 パーティー準備

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5の日のお話し合いの時間は先週とは打って変わって皆楽しそうに話している。週末のパーティーのことだ。

制服参加は指定だが、その他の装飾は自由だ。それぞれ何を付けるとかどんな髪飾りにするとかどんな芸石を付けるとか楽しそうに話してる。

明日のパーティーは生徒とその保護者のためのもの。だからといって気は抜けない。なぜなら保護者枠で王族や帝国の要人らが来るからだ。

まぁ、みんなが1番ビビってるのは俺の保護者だけどね。今年は帝国の宰相であるシャルト公爵とシーラも参加するのでパーティーの格が1つ上がるらしい。
よく知らんし、まぁ俺はセシルに従おうと思う。

そして放課後、今日は技術発展研究会に行っていた。

「はいこれ!それぞれ頼まれたやつな!」

俺は会員の3人にそれぞれ「薄くて細長い包丁」と「ハンマー」と「円形の鉄枠」を渡した。それぞれ何に使うか知らんけど俺は注文通りに作ったまでだ。

「おお~!!!いいなこれ!使いやすい!」

「助かります!前のが壊れて困ってたんです!!」

「綺麗な円形だ……うん、問題ない。ありがとう!!」

3人はそれぞれ商品をお気に召してくれたようだ。

俺は今、「材料費だけ貰って無料で作る」ってのを学院内でしている。けど皆、お金を上乗せして渡してくれるので、少し儲けが出るのだ。

皆からしたらほんの少しのお金かもしれんが、俺んちはお小遣いがないからな!!このお金で下町に行って買い食いをするんだ!それがすんげぇ楽しいんだよ!!

「アグニ……もう帰らなきゃ…。」

「おぉ、セシル!もう帰る?」

「うん……。今日は早めに帰ってきなさいって言われてる……」

パーティーは明日だ。色々準備しなきゃいけないのかもしれない。

「そっか!俺はもう寮の荷物まとめてあるからすぐに出れるよ。」

「早いね…。けど私も準備終わってるから…帰ろう。」

「おっけ!」

俺とセシルはいつもより数時間早く学院を後にした。

「アグニの胸飾り……できてる。」

そういえば先週、セシルとお揃いの胸飾りを作るとハーロー男爵が言っていたことを思い出した。

「あぁそっか!ありがとうな。今日貰って帰るわ!」

「うん……。」

「どんな感じになってるの?」

「………綺麗な感じ。銀と紫と赤紫とかの造花と……黒色の芸獣の羽とか。」

「へぇ~!!なんかお洒落だな!楽しみだ。」

セシルの家に着くとすぐに男爵が出てきて、胸飾りを見せてくれた。セシルの言った通りほんとに綺麗だった。そして明日何時に迎えに行くか等を最終確認し、俺は公爵邸へ帰っていった。




・・・





「ただいま~!!!」

「アグニ遅いわよ!!」

「えぇ?!」

応接室に入るなりシーラが怒った様子で立っているのが目に入った。


   いつもより早い時間に帰ってきたのに?!
   パーティー前って早く帰るべきなの??


シーラの後ろでニヤニヤしているシリウスが見えた。俺を助ける気はないらしい。

「ご、ごめん。頑張って早く帰ってきたんだけど……何か予定あったっけ…?」

俺が遠慮がちにシーラに問うと、シーラは大きくため息を吐いてからキリッとした顔で言った。

「今から綺麗にするわよ!!」

「ええ???」




・・・





俺はシーラに連れられ本邸へと向かった。なぜか後ろからシリウスも付いてきてる。
本邸にはずらーっと使用人達が控えており、あれよこれよと言う間に俺は顔をパックされ髪を念入りにトリートメントされ、マッサージまでされた。パーティーの準備らしい。
明日参加するシーラも俺の隣で同じ事をされてる。そしてなぜかパーティーに参加しないシリウスさんも同じことをしている。気持ちいいから頼んだのだろう。

コンコン・・・

「入っていいわよ~」

シーラが横になりながら告げる。すると公爵が部屋に入ってきた。

『やぁ。今回はアグニとシリウスまで一緒に準備しているんだな。』

「いつも1人で寂しかったのよぉ~だからちょうどいいからアグニも連れてきちゃったわ。」

『シリウスはどうしたんだい?』

「シリウスは連れてきてないわ。勝手に付いてきたの」

『えへへ~』

シリウスに仕方なさそうに笑った後、公爵は俺の方を向いた。

『アグニ、明日は私が君の保護者として参席する。そしてもうわかってると思うが、シーラも参加する。』

「あ、うん。」

『けれどもシーラは私のパートナーではない。』

「え?そうなの??」

てっきり公爵とシーラが一緒に来るのかと思っていた。俺がシーラの方を向いてどういうことかと目で問うとシーラはマッサージをされたまま言った。

「明日はオートヴィル公国の方と一緒に行くのよ。」

「オートヴィル公国?え?なんで?」

「うふふっ。なんでだと思う?」

シーラが艶やかな目線で俺に問い返した。けど理由はわからない。

「明日、理由がわかるでしょう。楽しみにしててねっ」





・・・





6の日

パーティーは夜からだ。

つまり、昼はめっちゃ暇。
俺は本を読んだり剣を磨いたりしていた。

『ねぇアグニ。』

「…………なに?」

俺の部屋の窓からシリウスが現れた。もう驚きはしない。日常茶飯事だ。

『暇でしょ?武術の練習しようよ』

「……行く。」

俺は磨いていた剣をそのまま持って窓から飛び降りた。そして2人で公爵邸内の屋内競技場へと向かった。シリウスとは俺があげた短剣で相対あいたいした。

そしてやっぱ、速さも段違いだし剣のレベルも群を抜いてる。全然勝てない。まるで空気を相手にしているようにひらひらと避けられ、そのくせあっという間に剣を弾かれる。一体どんだけ練習したらこんな実力がつくのか

お陰様で俺は汗だくになるまで身体を動かした。

「ちょっと~~~~~???!!!!シリウス!!!!どういうことよ??!!!」

「うぉ?!シーラ?!」

シーラが競技場に入ってきた。めちゃくちゃキレてる。

「アグニ!!昨日なんのために綺麗にしたと思ってるの!そんなどろどろになっちゃ意味がないでしょ!?」

「えっ、あ……!!そっか………。」

「もう何やってるのよ!!こらシリウス!!!逃げないで!!!」

シリウスは反対側の扉からこっそり逃げようとしてたがバレてシーラにコテンパンに叱られている。

「もうアグニ!あなたもシリウスについてっちゃだめじゃない!」

「ご、ごめん……」

俺もその後シーラに怒られた。そして昨日と同じことをまた繰り返された。パックとトリートメントと、さっきの練習でできた擦り傷の治癒。マッサージは時間的に無しだ。
そして制服に身を包み、胸にはセシルとお揃いの飾り。手首には村を出る時におばあさんからもらった黄色の芸石のブレスレット、耳にはシリウスからもらった黒と金のピアス。この2つはいつも付けているものだ。


   よし!!準備万端!!


「シーラは?」

俺は近くにいたシリウスに話しかけた。

『もう出てったよ。今日の準備はパートナーの屋敷でするの。』

「へぇ~珍しいね。」

通常、シーラは公爵邸で準備をして、時間になったらパートナーが迎えにくる。わざわざ準備で相手の屋敷に行くことはなかった。

『シーラも気合入ってるんだよ。』

「へぇ……」




・・・





「さぁ、着いたな!!」

「だね……」

空が藍色に染まるころ、俺とセシルは会場へ着いた。学生主役のパーティーなのでいつもより始まる時間が早いのだ。
今日の会場はコロッセウムのすぐ近く、帝都の西側にある。ここは帝都の中で1、2を争う大きさの会場らしい。豪華で美しい螺旋階段を上りながら俺はセシルと話していた。

「今日ってさ、どんなものが並んでるかな?」

「たぶん……色合いが綺麗なもの。あと…そこまで高くなくて食べやすいもの…かな。」

セシルは制服に胸飾り、そしてふわふわの髪を活かしたまま丁寧に編み込みやリボンなどで装飾を施していた。

「そっか!今日は貴族だけじゃないもんな。楽しみだなぁ!一緒に食べようぜ!」

「…うん。いっぱい食べよ。」




・・・




パーティーには入場順がある。身分の高い人ほど後だ。けれども今日は学生がメインのパーティーなので入場が遅い。学生関係者や参加者が入場し終わった後で、第4学院の生徒から順に入り、第1学院が最後に入場する。

他の生徒らとホールへ入場し、俺は中の大きさに驚いた。結構な大きさだ。新学期パーティーで使った第1学院のホールよりは室内の装飾が少なく、華美ではない。けれども大きさはこちらの方が全然大きい。

「すげぇな。めちゃくちゃ大きいじゃん。」

「……今日のパーティーの参加者は…結構多いから。この会場でもたぶん…ギリギリ。」

「へぇ~まじか。」

制服の色で学院が一目でわかる。俺の通う第1学院は紫を基調とした制服だ。第2学院は緑、第3学院は赤、第4学院は青。

第1学院の生徒たち以外はあまりパーティーには慣れていない。だからどうすればいいかわからず固まって立っている人がほとんどだった。
その点、第1学院の生徒はもう動き始めている。さすがだ。

そして俺も、動き始める!!

「セシル。飯、見に行こうぜっ!」

「うん…!」

俺たちの向かう先は一択だ。

パッパラッパッパッパ~~!!!!

食事が置いてある場所を探していた時、宮廷楽団のラッパの音が会場内に響き渡った。

「え?なんだ突然?」

「……天使の血筋の入場。」

「え??」

学生の後に、今日参加する王族が入場していた。そしてその後、一番最後に天使の血筋が入場する。そして天使の血筋の入場時には、俺たちはみんな頭を下げていなければならない。

つまり食事は食べられない。

「………今かぁ。」

「アグニ……頭下げて。」

「はいよ。」

俺とセシルは、他の人たちと同じように頭を下げたまま待機した。宮廷楽団の演奏が始まる。天使の血筋の入場だ。

まずシルヴィアが誰かと入場した。相手の人は制服を着てないのでたぶんすでに学院を卒業したご子息だろう(ちなみにパートナーは天使の血筋じゃなくても一緒に入場できる)。そしてシャルル。その後にシド。2人とも最高学年なので交流会には参加しないがパーティーには出席する。そして宮廷からの出席者が入場した。

急に会場の芸素がざわざわし始めた。なんだか色めき立つような、そんな揺れ。


   これは……シーラが入ってきたな。


「えっ……あれは…何…??」

隣で頭を下げつつ前の様子を見ていたセシルが急に声を出した。俺もシーラの方へ急いで目を凝らすと・・・

「あれは…!あ~なるほどなぁ!!」







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