3 / 21
第3話 聖女さまに乾杯
聖女さまの存在は、私も存じておりました。亡くなった際は、盛大な儀式をもって埋葬されたことも。聖女さまは偉大なる力を有しており、亡くなった後もその加護によって国を守ってくれるのだそうです。存命の間に後継者が見つかれば良いのですが、聖女を選定するのはあくまでも神であり、その神眼に認められるほどの逸材は、そうそう現れず。万が一の場合は、神が地上の私たちを守ってくれるそうですが、神はそこまで地上に干渉することが出来ない。だからこそ、聖女の存在は国の存亡に関わるくらい、重要なものなのです。
「改めまして、聖女ユリナさま。このたびは、ご就任おめでとうございます」
いつの間にか、神殿の大広間にて、盛大にお祝いをされていました。
「あ、あの……」
私が戸惑った声を出すと、
「どうされましたか? ハッ……もしや、聖女になるのがお嫌とか……」
「いえ、そんなことは……ただ、あまりにも急なことだったので、困惑してしまって」
「左様でございますか。それは無理もないことでございます」
「それにこんなことを言うのもなんですが、ちょうど婚約破棄をされて家を追われた身。この先、下手をすれば路頭に迷うと思っていた矢先に、自分の居場所を与えてもらえて……とても嬉しく思っています。恐れ多いくらいに」
「恐れ多いのは私どもの方でございます。何せ、ユリナさまは偉大なる聖女なのですから」
神官長のオクトレイル様がおっしゃいます。
「我々、神職はいつも厳かに、礼儀正しく過ごさねばなりません。しかし、今日この時くらいは、盛大に盛り上がりましょう」
そう言って、ワインが注がれたグラスを渡してくれます。
私はそれを受け取って、ニコリと微笑みます。
「正直、まだ自分にそんな力があるのか、半信半疑ですが……1度はあきらめて捨てようとしたこの人生、みなさまのお役に立てることに大いなる喜びを感じております。これからどうぞ、よろしくお願いします」
私がそう言って頭を下げると、みなさんが拍手をしてくれます。
「では、新たなる聖女、ユリナ様の誕生を祝して、乾杯!」
「「「「「「「「「「乾杯!」」」」」」」」」」
こうして、私は聖女となりました。
「改めまして、聖女ユリナさま。このたびは、ご就任おめでとうございます」
いつの間にか、神殿の大広間にて、盛大にお祝いをされていました。
「あ、あの……」
私が戸惑った声を出すと、
「どうされましたか? ハッ……もしや、聖女になるのがお嫌とか……」
「いえ、そんなことは……ただ、あまりにも急なことだったので、困惑してしまって」
「左様でございますか。それは無理もないことでございます」
「それにこんなことを言うのもなんですが、ちょうど婚約破棄をされて家を追われた身。この先、下手をすれば路頭に迷うと思っていた矢先に、自分の居場所を与えてもらえて……とても嬉しく思っています。恐れ多いくらいに」
「恐れ多いのは私どもの方でございます。何せ、ユリナさまは偉大なる聖女なのですから」
神官長のオクトレイル様がおっしゃいます。
「我々、神職はいつも厳かに、礼儀正しく過ごさねばなりません。しかし、今日この時くらいは、盛大に盛り上がりましょう」
そう言って、ワインが注がれたグラスを渡してくれます。
私はそれを受け取って、ニコリと微笑みます。
「正直、まだ自分にそんな力があるのか、半信半疑ですが……1度はあきらめて捨てようとしたこの人生、みなさまのお役に立てることに大いなる喜びを感じております。これからどうぞ、よろしくお願いします」
私がそう言って頭を下げると、みなさんが拍手をしてくれます。
「では、新たなる聖女、ユリナ様の誕生を祝して、乾杯!」
「「「「「「「「「「乾杯!」」」」」」」」」」
こうして、私は聖女となりました。
あなたにおすすめの小説
追放された役立たず聖女、実は国家の回復システムでした。私が消えた途端に国は崩壊、今さら泣いても戻りません。元勇者の魔王様に独占されています
唯崎りいち
恋愛
「役立たずの聖女はいらない」と国王に追放された私。
だがその瞬間、国中の“宿屋で一晩寝れば全回復する仕組み”は崩壊した。
――それは、私の力で成り立っていたから。
混乱する人間たちをよそに、私は元勇者だった魔王様に連れ去られる。
魔王様はかつて勇者として魔物を虐げていた過去を持ち、
今は魔物を守るために魔王となった存在だった。
そして私は気づく。
自分の力は、一人を癒すだけでなく――世界そのものを支えていたのだと。
やがて回復手段を失った勇者たちは崩壊し、
国王は失脚、国は混乱に陥る。
それでも私は戻らない。
「君は俺のものだ。一生手放さない」
元勇者の魔王様に囲われ、甘やかされ、溺愛されながら、
私は魔王城で幸せに暮らしています。
今さら「帰ってきて」と言われても、もう遅いのです。
傷物の大聖女は盲目の皇子に見染められ祖国を捨てる~失ったことで滅びに瀕する祖国。今更求められても遅すぎです~
たらふくごん
恋愛
聖女の力に目覚めたフィアリーナ。
彼女には人に言えない過去があった。
淑女としてのデビューを祝うデビュタントの日、そこはまさに断罪の場へと様相を変えてしまう。
実父がいきなり暴露するフィアリーナの過去。
彼女いきなり不幸のどん底へと落とされる。
やがて絶望し命を自ら断つ彼女。
しかし運命の出会いにより彼女は命を取り留めた。
そして出会う盲目の皇子アレリッド。
心を通わせ二人は恋に落ちていく。
[完]出来損ない王妃が死体置き場に捨てられるなんて、あまりにも雑で乱暴です
小葉石
恋愛
国の周囲を他国に囲まれたガーナードには、かつて聖女が降臨したという伝承が残る。それを裏付ける様に聖女の血を引くと言われている貴族には時折不思議な癒しの力を持った子供達が生まれている。
ガーナードは他国へこの子供達を嫁がせることによって聖女の国としての威厳を保ち周辺国からの侵略を許してこなかった。
各国が虎視眈々とガーナードの侵略を図ろうとする中、かつて無いほどの聖女の力を秘めた娘が侯爵家に生まれる。ガーナード王家はこの娘、フィスティアを皇太子ルワンの皇太子妃として城に迎え王妃とする。ガーナード国王家の安泰を恐れる周辺国から執拗に揺さぶりをかけられ戦果が激化。国王となったルワンの側近であり親友であるラートが戦場から重傷を負って王城へ帰還。フィスティアの聖女としての力をルワンは期待するが、フィスティアはラートを癒すことができず、ラートは死亡…親友を亡くした事と聖女の力を謀った事に激怒し、フィスティアを王妃の座から下ろして、多くの戦士たちが運ばれて来る死体置き場へと放り込む。
死体の中で絶望に喘ぐフィスティアだが、そこでこその聖女たる力をフィスティアは発揮し始める。
王の逆鱗に触れない様に、身を隠しつつ死体置き場で働くフィスティアの前に、ある日何とかつての夫であり、ガーナード国国王ルワン・ガーナードの死体が投げ込まれる事になった……………!
*グロテスクな描写はありませんので安心してください。しかし、死体と言う表現が多々あるかと思いますので苦手な方はご遠慮くださいます様によろしくお願いします。
辺境伯聖女は城から追い出される~もう王子もこの国もどうでもいいわ~
サイコちゃん
恋愛
聖女エイリスは結界しか張れないため、辺境伯として国境沿いの城に住んでいた。しかし突如王子がやってきて、ある少女と勝負をしろという。その少女はエイリスとは違い、聖女の資質全てを備えていた。もし負けたら聖女の立場と爵位を剥奪すると言うが……あることが切欠で全力を発揮できるようになっていたエイリスはわざと負けることする。そして国は真の聖女を失う――
婚約破棄して泥を投げつけた元婚約者が「無能」と笑う中、光り輝く幼なじみの王子に掠め取られました。
ムラサメ
恋愛
「お前のような無能、我が家には不要だ。今すぐ消えろ!」
婚約者・エドワードのために身を粉にして尽くしてきたフィオナは、卒業パーティーの夜、雨の中に放り出される。
泥にまみれ、絶望に沈む彼女の前に現れたのは、かつての幼なじみであり、今や国中から愛される「黄金の王子」シリルだった。
「やっと見つけた。……ねえ、フィオナ。あんなゴミに君を傷つけさせるなんて、僕の落ち度だね」
汚れを厭わずフィオナを抱き上げたシリルは、彼女を自分の屋敷へと連れ帰る。
「自分には価値がない」と思い込むフィオナを、シリルは異常なまでの執着と甘い言葉で、とろけるように溺愛し始めて――。
一方で、フィオナを捨てたエドワードは気づいていなかった。
自分の手柄だと思っていた仕事も、領地の繁栄も、すべてはフィオナの才能によるものだったということに。
ボロボロになっていく元婚約者。美しく着飾られ、シリルの腕の中で幸せに微笑むフィオナ。
「僕の星を捨てた報い、たっぷりと受けてもらうよ?」
圧倒的な光を放つ幼なじみによる、最高に華やかな逆転劇がいま始まる!
婚約している王子には少しも愛されていない聖女でしたが、幸せを掴むことができました!
四季
恋愛
多くの民が敬愛する女神パパルテルパナリオンの加護を受ける聖女リマリーローズ・ティアラはそれを理由に王子ガオンと婚約したが、愛されることはなかった。
なぜならガオンは幼馴染みルルネを愛していたからだ。
ただ、無関心だけならまだ良かったのだが、ことあるごとに嫌がらせをされることにはかなり困っていて……。
彼女を選んだのはあなたです
風見ゆうみ
恋愛
聖女の証が現れた伯爵令嬢のリリアナは聖女の行動を管理する教会本部に足を運び、そこでリリアナ以外の聖女2人と聖騎士達と出会う。
公爵令息であり聖騎士でもあるフェナンと強制的に婚約させられたり、新しい学園生活に戸惑いながらも、新しい生活に慣れてきた頃、フェナンが既婚者である他の聖女と関係を持っている場面を見てしまう。
「火遊びだ」と謝ってきたフェナンだったが、最終的に開き直った彼に婚約破棄を言い渡されたその日から、リリアナの聖女の力が一気に高まっていく。
伝承のせいで不吉の聖女だと呼ばれる様になったリリアナは、今まで優しかった周りの人間から嫌がらせを受ける様になるのだが、それと共に他の聖女や聖騎士の力が弱まっていき…。
※史実とは関係なく、設定もゆるい、ご都合主義です。
※中世ヨーロッパ風で貴族制度はありますが、法律、武器、食べ物などは現代風です。話を進めるにあたり、都合の良い世界観となっていますのでご了承下さい。
※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。
聖女は友人に任せて、出戻りの私は新しい生活を始めます
あみにあ
恋愛
私の婚約者は第二王子のクリストファー。
腐れ縁で恋愛感情なんてないのに、両親に勝手に決められたの。
お互い納得できなくて、婚約破棄できる方法を探してた。
うんうんと頭を悩ませた結果、
この世界に稀にやってくる異世界の聖女を呼び出す事だった。
聖女がやってくるのは不定期で、こちらから召喚させた例はない。
だけど私は婚約が決まったあの日から探し続けてようやく見つけた。
早速呼び出してみようと聖堂へいったら、なんと私が異世界へ生まれ変わってしまったのだった。
表紙イラスト:San+様(Twitterアカウント@San_plus_)
―――――――――――――――――――――――――
※以前投稿しておりました[聖女の私と異世界の聖女様]の連載版となります。
※連載版を投稿するにあたり、アルファポリス様の規約に従い、短編は削除しておりますのでご了承下さい。
※基本21時更新(50話完結)