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小次狼さんの過去
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「あー美味しかった……」
満足し、お茶を飲み干す私。
「ふふ、満足したようじゃな?」
「ええ……」
「はっはっは、満足するのはまだ早いぞ!」
小次狼さんは不敵な笑みを浮かべ、床に置いていたリュックをテーブルの上に静かに置き、その中身をゴソゴソと取り出していく。
恐らく私が委託していた、魔石のカットが済んだのだろう。
「……っ!」
次々と置かれていくそれらを見て、私は思わず椅子から立ち上がる。
丸みを帯びた濃ゆい紅色にとても秘めやかで可憐な6条のシルキーライン……。
「まるで、スタールビーみたい……⁈」
鳩の血のように鮮やかな濃い赤色……。
それは紫系やピンク系の赤色を呈し、柔らかな光沢を見せている。
さらには石の内部からの輝きが強く、鮮やかなテリを見せている至高の一品……。
「凄い! まるでピジョンブラッドのよう……」
私はあまりの感動に目を輝かせ、呆然と立ち尽くし、暫く言葉を失う……。
「はっはっは、どうやらご満足していただいたようじゃの? しかもその魔石は非加熱の天然物じゃよ? どうじゃ?」
(ど、どうじゃと言われても……)
ほう……と、感嘆のため息が出ているのが自分でも分る……。
なにせ二つともカットの仕上げが済んでいる状態にもかかわらず、20カラット以上ある超一級の極上品なのだ。
(ううん! いけない、これを私が装飾するのよね)
……私は落ち着きを取り戻す為に大きく深呼吸し、いつものように自分の胸のペンダントに目をやる。
「……失われた国宝と言われる、『ガリウスクィーンブラッド』か」
小次狼さんは私のそれを見て、ぼそりと呟く。
ガリウスクィーンブラッドとは、宝石の名の通り、ガリウス大陸産のガリウス大陸クィーンブラッドの事である。
細かく説明すると、ガリウス大陸がまだ3つの国に分かれておらず、世界を統一していた最盛期の頃に、国の王女が即位した印として身に着けていたことからその名前が付いたと言われている。
(同じピジョンブラッドの中でもさらに、その頂点に君臨する代物なんだよね)
「確か、対となる国宝『ガリウスキングブラッド』もあるはずじゃが……」
「……それは恐らく彼がまだ持っているわ……」
(そう、彼と決別したあの時も胸に付けていたもの……)
私は何百年前のあの記憶を思い出し、胸のペンダントを少し強く握りしめる……。
「……そうか。もう一つの頂点に君臨する国宝『ガルアの瞳』は時の大魔導士が所持しておるしな……」
「確か元々ダジリン島の王女が持っていた、『神の力を有するといわれていた杖』のことね」
流石、元忍びの統領……。
(世界規模の貴重な情報を把握しているのは流石としか言いようがないよね)
「そうじゃな……。奴の手にある限り誰も狙おうとせんじゃろうな……」
「小次狼さんでも……?」
「ああ、奴は魔法だけでなく、武も極めておるからな……。それに、冒険者ギルド長でもあるし……」
「……成程、流石にそれは無理ね」
(世界規模の傭兵団みたいな長に喧嘩は売りたくはないしね)
そんな愚行を犯した日には、命はいくらあっても足りない。
でも、「もしかしたら小次狼さんなら?」と私は思ったのだ。
何故なら「それくらいの武を小次狼さんは持っている」と元怪盗組織にいた私は感じているのだから。
「……はっはっは、実は昔に禅島にいた時、一度だけ手合わせしたことがあっての!」
小次狼さんはにやにやと笑い、瞳をまるで青少年のように輝かせ楽しそうに話す。
「えー! 聞きたいー!」
(ほら! やっぱり! 流石小次狼さん、やる事が豪快だわ!)
満足し、お茶を飲み干す私。
「ふふ、満足したようじゃな?」
「ええ……」
「はっはっは、満足するのはまだ早いぞ!」
小次狼さんは不敵な笑みを浮かべ、床に置いていたリュックをテーブルの上に静かに置き、その中身をゴソゴソと取り出していく。
恐らく私が委託していた、魔石のカットが済んだのだろう。
「……っ!」
次々と置かれていくそれらを見て、私は思わず椅子から立ち上がる。
丸みを帯びた濃ゆい紅色にとても秘めやかで可憐な6条のシルキーライン……。
「まるで、スタールビーみたい……⁈」
鳩の血のように鮮やかな濃い赤色……。
それは紫系やピンク系の赤色を呈し、柔らかな光沢を見せている。
さらには石の内部からの輝きが強く、鮮やかなテリを見せている至高の一品……。
「凄い! まるでピジョンブラッドのよう……」
私はあまりの感動に目を輝かせ、呆然と立ち尽くし、暫く言葉を失う……。
「はっはっは、どうやらご満足していただいたようじゃの? しかもその魔石は非加熱の天然物じゃよ? どうじゃ?」
(ど、どうじゃと言われても……)
ほう……と、感嘆のため息が出ているのが自分でも分る……。
なにせ二つともカットの仕上げが済んでいる状態にもかかわらず、20カラット以上ある超一級の極上品なのだ。
(ううん! いけない、これを私が装飾するのよね)
……私は落ち着きを取り戻す為に大きく深呼吸し、いつものように自分の胸のペンダントに目をやる。
「……失われた国宝と言われる、『ガリウスクィーンブラッド』か」
小次狼さんは私のそれを見て、ぼそりと呟く。
ガリウスクィーンブラッドとは、宝石の名の通り、ガリウス大陸産のガリウス大陸クィーンブラッドの事である。
細かく説明すると、ガリウス大陸がまだ3つの国に分かれておらず、世界を統一していた最盛期の頃に、国の王女が即位した印として身に着けていたことからその名前が付いたと言われている。
(同じピジョンブラッドの中でもさらに、その頂点に君臨する代物なんだよね)
「確か、対となる国宝『ガリウスキングブラッド』もあるはずじゃが……」
「……それは恐らく彼がまだ持っているわ……」
(そう、彼と決別したあの時も胸に付けていたもの……)
私は何百年前のあの記憶を思い出し、胸のペンダントを少し強く握りしめる……。
「……そうか。もう一つの頂点に君臨する国宝『ガルアの瞳』は時の大魔導士が所持しておるしな……」
「確か元々ダジリン島の王女が持っていた、『神の力を有するといわれていた杖』のことね」
流石、元忍びの統領……。
(世界規模の貴重な情報を把握しているのは流石としか言いようがないよね)
「そうじゃな……。奴の手にある限り誰も狙おうとせんじゃろうな……」
「小次狼さんでも……?」
「ああ、奴は魔法だけでなく、武も極めておるからな……。それに、冒険者ギルド長でもあるし……」
「……成程、流石にそれは無理ね」
(世界規模の傭兵団みたいな長に喧嘩は売りたくはないしね)
そんな愚行を犯した日には、命はいくらあっても足りない。
でも、「もしかしたら小次狼さんなら?」と私は思ったのだ。
何故なら「それくらいの武を小次狼さんは持っている」と元怪盗組織にいた私は感じているのだから。
「……はっはっは、実は昔に禅島にいた時、一度だけ手合わせしたことがあっての!」
小次狼さんはにやにやと笑い、瞳をまるで青少年のように輝かせ楽しそうに話す。
「えー! 聞きたいー!」
(ほら! やっぱり! 流石小次狼さん、やる事が豪快だわ!)
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