777番目に転生した俺の職業はチャラ男でした！ -隠しスキル777で俺は理想の彼女をゲットし大商人になり上がる-

ようこそ港町セカンドへ

　それから数日後……。

　シトシトと小雨が降る昼下がり、俺達はユニコーンの背に跨り海岸際をひたすら前進していく……。

　雨が降っている関係で若干海の波が荒く、際に大きな波が激しく叩きつけられのが見れる。

　ちなみに雨はレノアが召喚した水の精霊が対策してくれている。

　分かりやすく説明すると、水の精霊が雨水を操り『雨よけ効果』で俺達のいる場所だけ振っていない状態になっているのだ。

　流石はダイヤモンドクラスの上級冒険者レノア、子供の様な見た目に反して頼りになる。

　……と、前方をよく見ると筒状のでかい建造物が見えてくるが……？

「……あ、ほら！　灯台が見えてきたからもうすぐだよ！」
「ああ……確かに……。よく見ると遠目にうっすらと街並みが見えるな……」　

　なんか灰色の煙が町中から見えるしね……。

　多分昼飯用に何か焼いてるんだろうと思われるが……。

(や、やっとだ……)

　俺はやっと港町の上手い飯と宿にありつけると、胸を撫でおろす……。

　あれから俺達はファースト平原を抜け、東寄りに進み海岸を見つけ、そのまま海岸線沿いを南下していった。

　そんなこんなで数日間かけ……何とか港町セカンドに到着したのだ。

　幸い故勇者ファーストの結界のお蔭で、アクティブモンスターは当然いなかったので道中は楽だった。

　軍資金は潤沢にあったので、野宿道具は田舎町で買いそろえていたしね。

　俺は雨が降る中、大木の間や大岩の隙間で野宿した日々を思いだし、馬上から波うつ海岸を思わず見てしまう……。

　底冷えしたんで、レノアなんか俺の腹をマクラして毎日寝ていたしな……。

(レノアよ、ワン公かお前は……？)

　不覚にもこれらの行動が「ちょっと可愛いかな？」って思ってしまう俺がいるけど。
　
　それはさておき、しばらく野宿はもういいかな……うん。

　俺やっぱ、あったか宿屋生活がいいわ。

　こうして俺達は通行証代わりになる冒険者ギルド章を門番に見せ、港町に入るのであった……。

「こっちこっち！　杉尾っ！　こっちだよ！」
「あー……ハイハイ……分ったって……」

　俺はレノアに手をグイグイ引っ張られ、町の真ん中にある宿屋に向かう。

　港町セカンド……名前の由来はお察しなので省く。

　港町なので、歩いている道中に様々な魚の売り買いが盛んに行われている。

　その為、海岸線沿いには大小様々な船が停留ていりゅうして小波にゆらゆら揺れている姿が見られる。

(うん……丁度昼時だし、宿屋に行ったら真っ先に魚貝系のスパゲッティとスープを食したいな……)　

　新鮮でおいしそうな魚貝類を見てすっかり感化された俺は、そんな事を考えながら歩いて行く……。

　また、レノアが言うには、ここに住まう有力者がギルド関係者らしい。

　その関係か冒険者ギルドは町の真ん中に建てられている。

　そんな事をレノアと話している最中に、木づくり2階建ての宿屋が真正面に見えて来る。

　ちなみに冒険者ギルドは宿屋の間隣にあり、田舎町の小さな建物とは違い屋敷のように大きい。

「あ、昼飯は宿屋で食べないからね？」
「は？　何でだよ？　俺腹ペコペコなんだけど？」

「美味しい港町の料理を前金替わりでたらふく食べさせてもらえると言ったら……？」
「……む？」

　港町の美味しい料理をたらふくか……魅力的な言葉だが、しかしだな……俺には遂行な目的があるのだ……。

　俺の思惑を知っているのか、勘がいいだけなのか、続けてレノアはとんでもない事を言い放つ。

「ここのギルド長は色んな場所に顔が利いてね……。杉尾が理想とするお店も紹介してくれると思うよ？」
「……ッ！　……さ、レノアさんお腹も空いたし、サクッとギルド長を御拝謁ごはいえつに向かいましょうか？」

『①職業チャラ男スキルの内訳　【チャラ男の勘レベル6】にアップ！　？？？』
『①職業チャラ男スキルの内訳　【チャラ男スタイルレベル6】チャラ男道に少し近づく』

(ダブルスキルアップ？　……えっと？　これ今までにない反応なんですけど？)　　

　チャラ男の勘は正直何に反応しているか分らんが、俺の長年のゲーム経験により重要な分岐点っぽいな……。

　えっとまとめてみると、チャラ男の勘が今まで反応したのが、①レノア②ダークマギデ族……。

　そして③俺の理想のお店……。

　②ダークマギデ族③俺の理想のお店はほぼ同義語なんで察しだけど……。

　①レノアがよくわからん……こいつ別種族だし小さいしな……。

(あ、もしかしてダークマギデ族に関する何かという意味では共通しているかもな。俺の理想のお店を探すツテに繋がったし！　それだよ、うんうん……)

　それは置いておいて、チャラ男道から光が消えたんですが……。

(……ま、まあ、ねえ？　ほら俺普通の人間だから……仕方ないよね？)

　何はともあれ、宿屋の支払い等をレノアに任せ俺は宿屋の外で待つ。

「じゃ、行こうか！」
「……御意！」

　俺は胸に手をやり、外に出て来たレノアに敬礼をする。

　こうして、俺達は冒険者ギルドに向かうのだった……。