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第十五夜 見えないもの
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第十五夜 見えないもの
一時間くらいお義母様と話すと、お義母様の中で粗方方向性がまとまったらしい。
会合の詳細は魔国のお偉方と調整してからだが、二週間くらい後このホテルでやる予定とお義母様に言われ、連絡用にスマートウォッチみたいなメッセージ受信専用腕輪を貰った。ここに滞在しててもいいし、他の地に出かけても大丈夫なように決まったらコレにメッセージをくれるとの事。ありがたい。
魔国最新のアイテムだからオークション転売ダメだよ、とセクシーウィンクされた。おわあ、魔国にも転売ヤーいるんだ…。
話し合いからお暇して、やっと離れに戻ってきた。
「めっちゃ疲れた…。ネタがない突発企画会議とか苦行以外なんでもねえ…。そんなん俺らの仕事じゃねえよ…。」
高級フカフカソファーにぐてっと体を投げ出した。
エルが気遣いのメンを出し、備え付けのミニキッチンからガラスのピッチャーに入ったレモン風味の水な飲み物をサーブしてくれた。
俺的たまにレストランとかで出てくると嬉しい水。実際は高級おもてなし云々とかじゃなくて、レモンぶっこむとカルキ抜きとか脱臭できて不味い水が美味しくなる不思議☆彡ってネットで知ってしょんぼりしたものだが…。
さっぱりして美味しいからレモンの水無罪!!
ゴクゴクと一気に半分くらい飲んだら、プハーもう一杯!とやる前にエルはまた気を利かせて注ぎ足してくれた。気遣いのメン、流石である。
「確かにね~。まさかこんなストーリーに深入りするとは思わなかった。フォロ進に入ってから初めてかも。」
エルもよっこいしょと俺の隣りに腰をおろした。
「だよなあ…。ちょっと深入りしすぎてる感があるよなぁ…。勇者君にも身バレしかけたし。一旦、課長に経過報告も兼ねて連絡してみるか。要、『ほうれんそう』案件かも。」
「おお、これが有名な『ほうれんそう』ね!」
「…いや、それ当たり前に普段からやってるでしょ?」
「………あ、ウン! してるよね! うん!」
なんとなくだが、コイツほうれんそうの意味を知らない気がする…。適当にウンって言った気がする…。
エルって仕事(主に戦闘)出来るイケメンの割に、こういう所は抜けてるんだよな。そんな脳筋…、
最近ちょっと可愛いと思ってしまう俺がいるぜチクショー! もー、俺がバカーッ!
心の叫びをエルの金髪頭と狼耳をワシャワシャする運動に変換しといた…。
もみくちゃにされたエルの狼耳がだらしくなくへにゃあとなったので満足だ、うん。
もみくちゃにしたエルの頭から手を離し、仕切り直しにエルとお話し合いする向きに座り直した。
真面目な話をする時はちゃんと顔見ないとね! …密着しちゃうと、うん、ちょっと恋人モードに入っちゃう罠ですから…てへっ!
「えーと、少し真面目にいこっか。エル、とりあえず先の事は課長に報告してからになるんだけど、一応俺達の方針もたてときたい。」
「オッケー。」
エルはわかったと頷き、俺と同じように座り直した。
「まず魔王の事な。お義母様の頑張りで流れは和平に傾いてるから、ここは平和の旗印に王をたてるって感じで魔王は生かすストーリーに持っていこうと考えてんだけど。ま、勇者君がやらかさないが前提だけどね…。エルはなんか考えある?」
今回の出張、実は魔王の討伐は必須じゃないのだ。
前回は封印失敗からの再復活ループのシステムがネックだったので討伐対象だったが、今回は魔王封印縛りがないし、まだ世界に魔王ループのシステムが組み込まれてない。勇者帰還と次代勇者召喚禁止が出来れば、他の要素はストーリー次第と仕様書にあった。
コッチに来た当初はまだ国の和平までは考えてなかったので、基本は魔王討伐ありきで進めてたが…、
「え? あのクソエロ魔王は滅殺一択ですけど?」
おっと強火。目が笑ってない。
やっぱ、エルって魔王地雷なのかな…?
「…私怨しか感じられないが? 一応、理由を聞いても?」
「だって、サイにちょっかいかける奴はクソ間男じゃん? 間男。それに勇者側にも間男だし害虫は死んでオーケー? 」
ちょ、おま、間男とか久しぶりに聞いたんだけど?
「いやいやいやいや、今恋愛の話してないからね? ストーリー的に魔王を王様として生かすのはアリとか…、」
「サイこそあのクソエロ魔王に絆されてんじゃない? めっちゃ口説かれてるし、髪の毛触らせてるし、姫とか呼ばせてるしさ。しかもお義母様にも魔王推ししてたじゃん。いつもは塩対応なくせに、魔王の事になると甘くなるよね? 」
間髪入れずエルが早口で捲し立ててきた。
「…は??」
「なんか姫プ(※姫プレイ)って感じ。あ、サイはナイミリでも姫ポジションだったから普通か。」
「は? 何言ってんだ?」
「パーティー組めば有名連に囲まれてチヤホヤされてるの普通だし、ソロでも牙狼さんやりんごMk-2さん(※ナイミリ上位有名ランカー)とか後ろにゾロゾロ引き連れてたじゃん。もう完全に姫でしょ、アレ。」
エルは軽口をたたくようにおどけながら、やれやれと両手をあげる。
なんだ、その顔…。
「は? マジ何言ってんだ? 牙狼やりんごっちは初期フレで、チヤホヤしてくる有名連? 全然意味わかんねえけど、俺はアイツらに姫プなんかした事ねえわ。つーかさ、さっきから姫とか…、バカにしてんのか?」
「…ま、自覚ないよね! あー、そうだ。次、魔王から何か貢いで貰お…、」
グイッ
「…何やってんの?」
「テメエこそ何言ってんだ。」
気づけば俺の手はエルの胸ぐらを掴んでいた。
「その貧弱なSTR(筋力)で俺に勝てると思ってんの?」
胸ぐらを掴まれても微動だにしないエルは口元だけ歪め不快な笑みを浮かべた。
「うるせえ。さっきから何なんだよ、エル。今、仕事の話してんだぞ? それなのに全然見当違いな話しやがって。何、オマエ? 魔王が地雷? キッズか?」
「………別に、ちょっと思った事言っただけだし? とりあえずいま雰囲気悪いからさ、さっきの件は先に課長に報告してからにしない? 」
胸ぐらを掴んでいた俺の手は軽く振り解かれ、エルはソファーを立った。
「…どこ行く気だよ、エル。」
「トイレ。あと風呂入ってくる。」
感情が篭らない平坦な声でそう告げ、こちらも見ずにバスルームに行ってしまった。
「…クソっ。何なんだよ、一体…。」
ポツンと取り残された俺。
この行き場のない怒りと言うか、理解不能の混乱状態はどうしたら…。
地雷ってのはオタクにはならば戦争的なモンだけどさ。オタクの前に俺らは仕事しに来てる訳だろ? エルだって大人(18禁ゲーの世界に派遣済なので多分大人…)なんだから、そこは弁えるとこじゃん。しかも、突然姫プとか言い出して…、あ、なんかめっちゃ腹たってきた…。
誰が姫プなんかやるかよ! むしろアイツらには集られてたわ。売れば超高額の俺特製バフ付加料理とかな。
アイツら、あの高額料理を安ポーション飲むが如くスルスルと消費してて…、あ、くそ、思い出したら更にイラッときたわ…。
テーブルに置いてあった飲みかけのレモン水をクビっと一気にあおった。…好きなレモン水な筈なのに怒りのせいかあんまり美味く感じなかった。
「あー、マジ意味わからん。」
八つ当たり的に手元の空グラスをぶん投げたくなったが、流石に俺は大人なので静かにテーブルへ置いた。
あんまりエルと顔を合わせたくなくて、個チャではなくエルの個人スマホに「外で見回りしてくる」とメッセをいれて温泉街へ出た。
ブラブラと土産屋などを冷やかし、たまたま目に止まったアメリカの田舎にありそうなダイナー風のカフェへ入った。…この世界、ほんと設定ガバガバだよな。
こじんまりした店内はカウンター席数席とテーブル二卓だけだったが、カウンターにしか客がいなかったので、空いてる窓際のテーブル席に座る。メニューを開けば相変わらず謎の魔族メニューだったが、バーガーとパンケーキ、あとコーヒーとビールはダイナーらしく普通にあった。
コーヒーだけ注文し、カモフラ用のスクロール(呪文の巻物的なやつね)に隠しながらスマホで課長へ報告をまとめた。
「こんなトコか。さ、送信すっかな。」
ポチっとな、とする寸前…、
『サイ、どこ?』
個チャがきた。勿論、エルから。
流石に店内で応えるわけにはいかなく、トトトントンとピアスを指で小さく叩き、AFK(離席中)モードにした。
しかし今度はスマホにメッセ通知が入る。
課長に報告を送信前だったのでメッセを開けず、通知バナーでメッセを流し見だが…。
え? なんかすごい速さでメッセがくるんだけどぉ?!
どこ? の短文二回から始まり、なんでAFK? 既読つかないけど? どうしたの? 何かあった?などなどが続き、メッセみたら返事お願い、心配してる、どこにいるの、ごめんなさい、お願いだから返事ください…、ほんとにごめんいまから探しに(長文で後ろの文不明)、と少しずつヤンデル構文に…。
エ、エルさん??
なんかヤバい気配を察知したので、開きっぱなしの報告を慌てて送信した。
すぐにエルのメッセ画面をタップして既読にしたが、ひと画面まるまるエルのメッセで埋まってた…。ヒェっ…。
「今、温泉街のカフェだから心配すんな、っと後は…、そろそろ戻るから待ってて、だな。」
帰るメッセにナイミリのキュン(※ペット化できる可愛い狐モンスター)がごめん寝してるスタンプをつけて送った。
秒で既読がついた…。ヒェっ…。
「はあ、マジ何なんだよ…。意味わから…、」
「サイっ…!!」
「え?」
バーンとカフェの扉が開いてエルさん登場の巻…って、は? エル?
<次回予告>
カタチが見えないと人は不安でしかない。
カタチが見えれば良いのにと人は願わずにいられないのだ。
次回、思うところは?『第十六夜 流れ』
お楽しみに。
「みんなで賃金値上げゲットだよ!」
※次回予告はあんまり本編に関係ありません。
一時間くらいお義母様と話すと、お義母様の中で粗方方向性がまとまったらしい。
会合の詳細は魔国のお偉方と調整してからだが、二週間くらい後このホテルでやる予定とお義母様に言われ、連絡用にスマートウォッチみたいなメッセージ受信専用腕輪を貰った。ここに滞在しててもいいし、他の地に出かけても大丈夫なように決まったらコレにメッセージをくれるとの事。ありがたい。
魔国最新のアイテムだからオークション転売ダメだよ、とセクシーウィンクされた。おわあ、魔国にも転売ヤーいるんだ…。
話し合いからお暇して、やっと離れに戻ってきた。
「めっちゃ疲れた…。ネタがない突発企画会議とか苦行以外なんでもねえ…。そんなん俺らの仕事じゃねえよ…。」
高級フカフカソファーにぐてっと体を投げ出した。
エルが気遣いのメンを出し、備え付けのミニキッチンからガラスのピッチャーに入ったレモン風味の水な飲み物をサーブしてくれた。
俺的たまにレストランとかで出てくると嬉しい水。実際は高級おもてなし云々とかじゃなくて、レモンぶっこむとカルキ抜きとか脱臭できて不味い水が美味しくなる不思議☆彡ってネットで知ってしょんぼりしたものだが…。
さっぱりして美味しいからレモンの水無罪!!
ゴクゴクと一気に半分くらい飲んだら、プハーもう一杯!とやる前にエルはまた気を利かせて注ぎ足してくれた。気遣いのメン、流石である。
「確かにね~。まさかこんなストーリーに深入りするとは思わなかった。フォロ進に入ってから初めてかも。」
エルもよっこいしょと俺の隣りに腰をおろした。
「だよなあ…。ちょっと深入りしすぎてる感があるよなぁ…。勇者君にも身バレしかけたし。一旦、課長に経過報告も兼ねて連絡してみるか。要、『ほうれんそう』案件かも。」
「おお、これが有名な『ほうれんそう』ね!」
「…いや、それ当たり前に普段からやってるでしょ?」
「………あ、ウン! してるよね! うん!」
なんとなくだが、コイツほうれんそうの意味を知らない気がする…。適当にウンって言った気がする…。
エルって仕事(主に戦闘)出来るイケメンの割に、こういう所は抜けてるんだよな。そんな脳筋…、
最近ちょっと可愛いと思ってしまう俺がいるぜチクショー! もー、俺がバカーッ!
心の叫びをエルの金髪頭と狼耳をワシャワシャする運動に変換しといた…。
もみくちゃにされたエルの狼耳がだらしくなくへにゃあとなったので満足だ、うん。
もみくちゃにしたエルの頭から手を離し、仕切り直しにエルとお話し合いする向きに座り直した。
真面目な話をする時はちゃんと顔見ないとね! …密着しちゃうと、うん、ちょっと恋人モードに入っちゃう罠ですから…てへっ!
「えーと、少し真面目にいこっか。エル、とりあえず先の事は課長に報告してからになるんだけど、一応俺達の方針もたてときたい。」
「オッケー。」
エルはわかったと頷き、俺と同じように座り直した。
「まず魔王の事な。お義母様の頑張りで流れは和平に傾いてるから、ここは平和の旗印に王をたてるって感じで魔王は生かすストーリーに持っていこうと考えてんだけど。ま、勇者君がやらかさないが前提だけどね…。エルはなんか考えある?」
今回の出張、実は魔王の討伐は必須じゃないのだ。
前回は封印失敗からの再復活ループのシステムがネックだったので討伐対象だったが、今回は魔王封印縛りがないし、まだ世界に魔王ループのシステムが組み込まれてない。勇者帰還と次代勇者召喚禁止が出来れば、他の要素はストーリー次第と仕様書にあった。
コッチに来た当初はまだ国の和平までは考えてなかったので、基本は魔王討伐ありきで進めてたが…、
「え? あのクソエロ魔王は滅殺一択ですけど?」
おっと強火。目が笑ってない。
やっぱ、エルって魔王地雷なのかな…?
「…私怨しか感じられないが? 一応、理由を聞いても?」
「だって、サイにちょっかいかける奴はクソ間男じゃん? 間男。それに勇者側にも間男だし害虫は死んでオーケー? 」
ちょ、おま、間男とか久しぶりに聞いたんだけど?
「いやいやいやいや、今恋愛の話してないからね? ストーリー的に魔王を王様として生かすのはアリとか…、」
「サイこそあのクソエロ魔王に絆されてんじゃない? めっちゃ口説かれてるし、髪の毛触らせてるし、姫とか呼ばせてるしさ。しかもお義母様にも魔王推ししてたじゃん。いつもは塩対応なくせに、魔王の事になると甘くなるよね? 」
間髪入れずエルが早口で捲し立ててきた。
「…は??」
「なんか姫プ(※姫プレイ)って感じ。あ、サイはナイミリでも姫ポジションだったから普通か。」
「は? 何言ってんだ?」
「パーティー組めば有名連に囲まれてチヤホヤされてるの普通だし、ソロでも牙狼さんやりんごMk-2さん(※ナイミリ上位有名ランカー)とか後ろにゾロゾロ引き連れてたじゃん。もう完全に姫でしょ、アレ。」
エルは軽口をたたくようにおどけながら、やれやれと両手をあげる。
なんだ、その顔…。
「は? マジ何言ってんだ? 牙狼やりんごっちは初期フレで、チヤホヤしてくる有名連? 全然意味わかんねえけど、俺はアイツらに姫プなんかした事ねえわ。つーかさ、さっきから姫とか…、バカにしてんのか?」
「…ま、自覚ないよね! あー、そうだ。次、魔王から何か貢いで貰お…、」
グイッ
「…何やってんの?」
「テメエこそ何言ってんだ。」
気づけば俺の手はエルの胸ぐらを掴んでいた。
「その貧弱なSTR(筋力)で俺に勝てると思ってんの?」
胸ぐらを掴まれても微動だにしないエルは口元だけ歪め不快な笑みを浮かべた。
「うるせえ。さっきから何なんだよ、エル。今、仕事の話してんだぞ? それなのに全然見当違いな話しやがって。何、オマエ? 魔王が地雷? キッズか?」
「………別に、ちょっと思った事言っただけだし? とりあえずいま雰囲気悪いからさ、さっきの件は先に課長に報告してからにしない? 」
胸ぐらを掴んでいた俺の手は軽く振り解かれ、エルはソファーを立った。
「…どこ行く気だよ、エル。」
「トイレ。あと風呂入ってくる。」
感情が篭らない平坦な声でそう告げ、こちらも見ずにバスルームに行ってしまった。
「…クソっ。何なんだよ、一体…。」
ポツンと取り残された俺。
この行き場のない怒りと言うか、理解不能の混乱状態はどうしたら…。
地雷ってのはオタクにはならば戦争的なモンだけどさ。オタクの前に俺らは仕事しに来てる訳だろ? エルだって大人(18禁ゲーの世界に派遣済なので多分大人…)なんだから、そこは弁えるとこじゃん。しかも、突然姫プとか言い出して…、あ、なんかめっちゃ腹たってきた…。
誰が姫プなんかやるかよ! むしろアイツらには集られてたわ。売れば超高額の俺特製バフ付加料理とかな。
アイツら、あの高額料理を安ポーション飲むが如くスルスルと消費してて…、あ、くそ、思い出したら更にイラッときたわ…。
テーブルに置いてあった飲みかけのレモン水をクビっと一気にあおった。…好きなレモン水な筈なのに怒りのせいかあんまり美味く感じなかった。
「あー、マジ意味わからん。」
八つ当たり的に手元の空グラスをぶん投げたくなったが、流石に俺は大人なので静かにテーブルへ置いた。
あんまりエルと顔を合わせたくなくて、個チャではなくエルの個人スマホに「外で見回りしてくる」とメッセをいれて温泉街へ出た。
ブラブラと土産屋などを冷やかし、たまたま目に止まったアメリカの田舎にありそうなダイナー風のカフェへ入った。…この世界、ほんと設定ガバガバだよな。
こじんまりした店内はカウンター席数席とテーブル二卓だけだったが、カウンターにしか客がいなかったので、空いてる窓際のテーブル席に座る。メニューを開けば相変わらず謎の魔族メニューだったが、バーガーとパンケーキ、あとコーヒーとビールはダイナーらしく普通にあった。
コーヒーだけ注文し、カモフラ用のスクロール(呪文の巻物的なやつね)に隠しながらスマホで課長へ報告をまとめた。
「こんなトコか。さ、送信すっかな。」
ポチっとな、とする寸前…、
『サイ、どこ?』
個チャがきた。勿論、エルから。
流石に店内で応えるわけにはいかなく、トトトントンとピアスを指で小さく叩き、AFK(離席中)モードにした。
しかし今度はスマホにメッセ通知が入る。
課長に報告を送信前だったのでメッセを開けず、通知バナーでメッセを流し見だが…。
え? なんかすごい速さでメッセがくるんだけどぉ?!
どこ? の短文二回から始まり、なんでAFK? 既読つかないけど? どうしたの? 何かあった?などなどが続き、メッセみたら返事お願い、心配してる、どこにいるの、ごめんなさい、お願いだから返事ください…、ほんとにごめんいまから探しに(長文で後ろの文不明)、と少しずつヤンデル構文に…。
エ、エルさん??
なんかヤバい気配を察知したので、開きっぱなしの報告を慌てて送信した。
すぐにエルのメッセ画面をタップして既読にしたが、ひと画面まるまるエルのメッセで埋まってた…。ヒェっ…。
「今、温泉街のカフェだから心配すんな、っと後は…、そろそろ戻るから待ってて、だな。」
帰るメッセにナイミリのキュン(※ペット化できる可愛い狐モンスター)がごめん寝してるスタンプをつけて送った。
秒で既読がついた…。ヒェっ…。
「はあ、マジ何なんだよ…。意味わから…、」
「サイっ…!!」
「え?」
バーンとカフェの扉が開いてエルさん登場の巻…って、は? エル?
<次回予告>
カタチが見えないと人は不安でしかない。
カタチが見えれば良いのにと人は願わずにいられないのだ。
次回、思うところは?『第十六夜 流れ』
お楽しみに。
「みんなで賃金値上げゲットだよ!」
※次回予告はあんまり本編に関係ありません。
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