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第二十夜 選択は
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第二十夜 選択は
「その緑ヤロウは精神耐性が比較的低いっ! 弱めなのを小まめにっ! ミノタウロスみたいに内側からデバフで崩すんだっ!」
はっとした魔法使い君が、神官君と勇者君を肉壁にデバフの詠唱を始める。
「"暗闇に惑え"っ!」
ブラインド(※視界を奪う魔法)か…。
「はははっ、せっかくのアドバイスなのに無駄ぁ!」
確かにエルにブラインドは掛かったが…。
そーなんだよなー。エルにブラインドはあんまり意味ないんだよなー。
エルってモンク系最上級職の闘士だから気配感知特化してるんだ。目隠ししても気配で当てちゃう系だ。
「き、効かない?!」
黒モヤだらけのエルは王子の放つ連撃をするりと難なく躱す。更にバカにするようにすり抜け際に王子のケツへ軽くお尻ペンペンを入れた。
多分絶対ヘルムの中でドヤってる。
「…大丈夫っ見えてない!アレは気配だけで戦ってる! 後衛っ、弱らせる選択は間違ってない! だが目じゃないのを狙って!前衛っ、ビビるなっ! 手数を増やせ!」
士気を落としかけてるパーティーに檄を入れる。
おらおら! ぼうっとしてるとオオカミに食わちまうぞ!
「は、はいっ!」
ビビりの空気が少し落ち着き、パーティーはアドバイスを元に崩れたラインを立て直す。
うーん、もうひとパーティー程人数いればいい勝負出来そうなんだよなぁ。
エル相手じゃ攻撃二人だと手数が足りない。せめて撹乱要員に魔法以外の遠隔攻撃できるジョブが欲しいとこだ。個人的にはガンナーあたりをチョイスしたいけど、コッチには流石に銃なんて近代兵器はないからな。遠隔は居て弓士かな。残念。
ほんのり入れ知恵に少し動きが変わった勇者パーティー、なんとかデバフ担当の魔法使い君に余裕が出来たようだ。詠唱短めの状態異常を小まめに蒔き始める。
ふむ、麻痺の重ねからの毒か。
…あ~、毒か~。
すっかりお馴染みすぎて忘れて言わなかったけど、毒はナイミリ界隈だとエグいダメくるからプレイヤーはレベルが上がればすぐ毒無効対策してるんだよ~。言い忘れてすまんな…。
でも麻痺はいいね! 例え、確率で体が痺れるタイプでも重ねたら大分初動にボロが出てくる筈。先読みで動くエルなら絶対イラッとくるタイプの状態異常だ。
ガキン
「チッ!」
ふふふ、とうとう王子の連撃を堪らず剣で受け止めたな?
「そのまま攻めて! "風の司"、スピードアップをサポッ!」
「「「「「えっ?!」」」」」
「あっ…、えーと前衛支援っ!」
やべ…、ついうっかりやっちまった…。
「はわあああ、エルフ様からのご支援~! ありがとうございますッ!!」
「う、裏切ったな!」
こちらを振り返った黒モヤから非難めいた視線が刺さる。黒モヤがドバドバ溢れてる…。
うは、エルごめんて…。
そこから攻撃も少し入りはじめ、魔法使い君のデバフや神官君のバフが機能しはじめた。
俺と言う味方に背後を撃たれた可哀想なエルが躱しきれない攻撃を剣で捌くが、やはり自己申告通り慣れない剣技に苦戦している。
「…ん、」
するりと俺を拘束してたロープが体から落ちる。やっとモンスター捕獲玉の効果が切れたようだ。
こっそりピアスに手を当て、エルに個チャを投げる。
「…(あは、さっきはごめんな。えっと、返事しなくていいからそのまま聞いて。)…」
エルは一瞬だけこちらをチラッと見てまた戦闘を続ける。
「…(勇者パーティーは善戦してるけど、エルに対して決め手がない。聖剣ブッパが当たれば少しはいいけど、エルが当たりに行かない限り当たんないでしょ。そこで…、聖剣ブッパに当たりいってこい♡)」
エルが驚きすぎて、斬りかかってきた王子をうっかり蹴りでぶっ飛ばした。
ドゴンッ!!
「…あ。」
「…あ。」
王子は壁まで吹っ飛び、漫画みたいに壁にめり込んだ!
ちょ、すんごい壁にヒビいってるし、なんか王子の口から結構血ででるんですけど?! あれ王子死んじゃってね?!
「"女神の抱擁"!!(※神官君の上級回復魔法)」
ぱああああっと柔らかな光と風に王子を包む。
「っ…! っは、」
王子はぺっと口から血を吐き出して壁から出てきた。
良かった~、死んでなかった~。
「…えっと、あー…、命拾いしたな! 我が必殺の蹴りで死ななかったとは頑丈な者だ。はっはっはっはー。」
エルは取り繕うよう安物の剣をブンと振り下ろした。動揺からか若干黒モヤがブレブレな感じである。
いや、多分アレ半分死にかけてたけどな…。神官君が出来る回復役で良かった…。
「…(…あー、マジごめん。言葉足りなかったわ。…えーと、聖剣に当たるってのはフェイクで…、エルは直前に避けて。そこから俺の青月で勇者パーティーには擬似戦闘してもらう。エルは幻覚の対象から外れるから安心しろ。最後のオチまで後方待機。)…」
頭の中で組み立てたシナリオを簡単に伝えた。
「さて、勇者よ。そろそろ本気を出したらどうだ? さっさとその聖剣とか言うナマクラで俺を倒してみろ。」
うん、ナイス煽り。無事意図が伝わったようだ。
ではコチラも本気出していきますよ!
一応、青月はキャストタイム(※詠唱、発動までの時間)がぼちぼちあるので脳内でターゲッテングをし小声で呪文を唱え始める。
さっきエルに唱えた中二魂溢れる文言なので、正直スキルで無詠唱発動にして欲しいが、残念ながら青月の賢者の唯一にして最大レア魔法なので無詠唱は許されないらしい。ゲームらしいっちゃ、ゲームらしい仕様だな。
ラストの発動文言寸止めで勇者君の聖剣ブッパを待つ。
「くらえっ!! ホーリーエクスプロージョンッッ!!」
「"青き月、地に満ちよ" ーーー青月っ!」
勇者君の聖剣ブッパの光と共に幻想的な美しい青い月が部屋に映し出され、勇者パーティーへ水滴が滴るようトプンと落ちた。
「「「「うわああ?!」」」」
勇者パーティーが月に包まれた瞬間、月だったモノはパァッと一斉に青く輝く蝶に変わり、ミルククラウンのような美しい王冠状に広がって飛び立っていった。
すぅっと最後の青い燐光が消える…。
後に残されたのは床に崩れ落ちた勇者パーティー。
みんな安らかにお眠りされ…いや、ちゃんと睡眠のほうで無事お眠りされております。おやすみなさい~。
「ふうっ…、これでヨシ。」
「す、すっげえ! ナマ青月ヤバい! カッケェェェ! キレイすぎか!!」
ワーワーいいながら小学生男子並みの語彙力になったエルさん。
うむ、勝った。俺が優勝。これが青月の賢者だ(ドヤァァァ)
ニヤリと笑って拳を天に突き上げようとしたらグラリと体が傾いた。
「えっ?! サイ?!」
半分くらい床に崩れ落ちた俺に、慌ててエルが駆け寄ってきた。
「…あー、魔力切れ。」
貧血のように頭から血が引くような立っていられない感覚は魔力切れのサイン。リアルになってから感じるようになったデメリット。
ゲームならゲージが赤くなって虚弱つくだけなんだけどね。
…はあ、青月は発動後にガンガン魔力が減るからマジきっつい。全然動けない。
エルに支えてもらい横になる。
「エル~、回復薬くれ~。俺のバッグに特大サイズあるからそれ出して~。」
「オッケー! …あ、これかな? …って、酒瓶並みじゃん。デカ過ぎて引くんだけど…。」
俺のバッグからズルンと取り出したるは、魔法職御用達の特大魔力回復薬。ゲーム画面だと日本酒の酒瓶っぽいヤツ。ちな、普通の薬は試験管みたいなのとかドリンク剤っぽい小さな瓶に入っている。
「俺達魔法職はガバ飲みしないと回復量足りないから仕方ないの。とりあえず、それくれ。そろそろしぬ。」
エルがコルク栓をキュポンと抜き、特大サイズを俺に持たせた。…うー、瓶重い。が、飲まねば(魔力)ライフがゼロよ…。
せいっ、と気合いを入れてラッパ飲み。
ごくっごくっごくっ
「ぷはーっ!」
三分の一程だが一気に飲んだ。
うっぷ、どこぞの青い汁のように不味くはないが、薬用に味調整された甘味がキツ~。完全に地球の栄養ドリンク剤味。これを酒瓶一本はキツ~。
「うっ、美麗エルフが飲んだくれのオッさんスタイルに…。脳がビジュアル拒否反応でバグるんですが…。」
「うるせー、飲まないとやってらんねえんだよ。うう、まだ全然回復しない…。つらっ。」
グビグビと回復薬を飲む。胃がチャプチャプしてきたよぉ…。口が変に甘いよぉ…。
「…サイ、無理しないで。ほら、ゆっくり飲も? 」
エルが気遣いのメンになりすぎて、まるで宴会で飲み過ぎのオッさんを介護する空気にされ少しイラッとした。マジで飲まないとやってられないオッさんの気持ちになりますが? 絡んじゃうぞ?
「ほっとけ! とりあえず青月はまだしばらく効果が続くから、これからの事説明すんぞ。」
「あ、ハイ。」
酔っ払いが説教するぞ!って感じにしました。
エルよ、よおくお聞きなさいよ!
回復薬を再びラッパしながら説明を始める。
「まず青月の中身について。これは言わずもなで、勇者レベルに落としたエルと全力バトルな。カッコよく二段階進化するボスに仕立てて置いた。最終形態はナイミリの剣鬼(※腕六本に剣装備した阿修羅スタイルのボス)だ。」
「おお、俺カッコイイ!」
「だろ? んで、まあ三十分くらい揉まれたらいい感じに勇者有利な展開になる。アイツらが前向きになる視点に調整したからな。聖剣とかでトドメになるんじゃないかな。」
「えー、俺トドメ刺されるんだー。ヤダー。」
エルがぶーたれる。いやいや、何ぶーたれてんだ、お前は!
「…お前、敵だからな? って言ってもトドメは刺すが、ーーー実はな、」
「…実は?」
<次回予告>
彼らの前に隔たる壁はあまりにも高く。しかし月は運命に微笑み新たなる光を呼び込んだ。
次回、異世界から来たりて?『第二十一夜 勇者に勇者』
お楽しみに!
「次回も、残業てんこ盛りです。」
※次回予告はあんまり本編に関係ありません。
「その緑ヤロウは精神耐性が比較的低いっ! 弱めなのを小まめにっ! ミノタウロスみたいに内側からデバフで崩すんだっ!」
はっとした魔法使い君が、神官君と勇者君を肉壁にデバフの詠唱を始める。
「"暗闇に惑え"っ!」
ブラインド(※視界を奪う魔法)か…。
「はははっ、せっかくのアドバイスなのに無駄ぁ!」
確かにエルにブラインドは掛かったが…。
そーなんだよなー。エルにブラインドはあんまり意味ないんだよなー。
エルってモンク系最上級職の闘士だから気配感知特化してるんだ。目隠ししても気配で当てちゃう系だ。
「き、効かない?!」
黒モヤだらけのエルは王子の放つ連撃をするりと難なく躱す。更にバカにするようにすり抜け際に王子のケツへ軽くお尻ペンペンを入れた。
多分絶対ヘルムの中でドヤってる。
「…大丈夫っ見えてない!アレは気配だけで戦ってる! 後衛っ、弱らせる選択は間違ってない! だが目じゃないのを狙って!前衛っ、ビビるなっ! 手数を増やせ!」
士気を落としかけてるパーティーに檄を入れる。
おらおら! ぼうっとしてるとオオカミに食わちまうぞ!
「は、はいっ!」
ビビりの空気が少し落ち着き、パーティーはアドバイスを元に崩れたラインを立て直す。
うーん、もうひとパーティー程人数いればいい勝負出来そうなんだよなぁ。
エル相手じゃ攻撃二人だと手数が足りない。せめて撹乱要員に魔法以外の遠隔攻撃できるジョブが欲しいとこだ。個人的にはガンナーあたりをチョイスしたいけど、コッチには流石に銃なんて近代兵器はないからな。遠隔は居て弓士かな。残念。
ほんのり入れ知恵に少し動きが変わった勇者パーティー、なんとかデバフ担当の魔法使い君に余裕が出来たようだ。詠唱短めの状態異常を小まめに蒔き始める。
ふむ、麻痺の重ねからの毒か。
…あ~、毒か~。
すっかりお馴染みすぎて忘れて言わなかったけど、毒はナイミリ界隈だとエグいダメくるからプレイヤーはレベルが上がればすぐ毒無効対策してるんだよ~。言い忘れてすまんな…。
でも麻痺はいいね! 例え、確率で体が痺れるタイプでも重ねたら大分初動にボロが出てくる筈。先読みで動くエルなら絶対イラッとくるタイプの状態異常だ。
ガキン
「チッ!」
ふふふ、とうとう王子の連撃を堪らず剣で受け止めたな?
「そのまま攻めて! "風の司"、スピードアップをサポッ!」
「「「「「えっ?!」」」」」
「あっ…、えーと前衛支援っ!」
やべ…、ついうっかりやっちまった…。
「はわあああ、エルフ様からのご支援~! ありがとうございますッ!!」
「う、裏切ったな!」
こちらを振り返った黒モヤから非難めいた視線が刺さる。黒モヤがドバドバ溢れてる…。
うは、エルごめんて…。
そこから攻撃も少し入りはじめ、魔法使い君のデバフや神官君のバフが機能しはじめた。
俺と言う味方に背後を撃たれた可哀想なエルが躱しきれない攻撃を剣で捌くが、やはり自己申告通り慣れない剣技に苦戦している。
「…ん、」
するりと俺を拘束してたロープが体から落ちる。やっとモンスター捕獲玉の効果が切れたようだ。
こっそりピアスに手を当て、エルに個チャを投げる。
「…(あは、さっきはごめんな。えっと、返事しなくていいからそのまま聞いて。)…」
エルは一瞬だけこちらをチラッと見てまた戦闘を続ける。
「…(勇者パーティーは善戦してるけど、エルに対して決め手がない。聖剣ブッパが当たれば少しはいいけど、エルが当たりに行かない限り当たんないでしょ。そこで…、聖剣ブッパに当たりいってこい♡)」
エルが驚きすぎて、斬りかかってきた王子をうっかり蹴りでぶっ飛ばした。
ドゴンッ!!
「…あ。」
「…あ。」
王子は壁まで吹っ飛び、漫画みたいに壁にめり込んだ!
ちょ、すんごい壁にヒビいってるし、なんか王子の口から結構血ででるんですけど?! あれ王子死んじゃってね?!
「"女神の抱擁"!!(※神官君の上級回復魔法)」
ぱああああっと柔らかな光と風に王子を包む。
「っ…! っは、」
王子はぺっと口から血を吐き出して壁から出てきた。
良かった~、死んでなかった~。
「…えっと、あー…、命拾いしたな! 我が必殺の蹴りで死ななかったとは頑丈な者だ。はっはっはっはー。」
エルは取り繕うよう安物の剣をブンと振り下ろした。動揺からか若干黒モヤがブレブレな感じである。
いや、多分アレ半分死にかけてたけどな…。神官君が出来る回復役で良かった…。
「…(…あー、マジごめん。言葉足りなかったわ。…えーと、聖剣に当たるってのはフェイクで…、エルは直前に避けて。そこから俺の青月で勇者パーティーには擬似戦闘してもらう。エルは幻覚の対象から外れるから安心しろ。最後のオチまで後方待機。)…」
頭の中で組み立てたシナリオを簡単に伝えた。
「さて、勇者よ。そろそろ本気を出したらどうだ? さっさとその聖剣とか言うナマクラで俺を倒してみろ。」
うん、ナイス煽り。無事意図が伝わったようだ。
ではコチラも本気出していきますよ!
一応、青月はキャストタイム(※詠唱、発動までの時間)がぼちぼちあるので脳内でターゲッテングをし小声で呪文を唱え始める。
さっきエルに唱えた中二魂溢れる文言なので、正直スキルで無詠唱発動にして欲しいが、残念ながら青月の賢者の唯一にして最大レア魔法なので無詠唱は許されないらしい。ゲームらしいっちゃ、ゲームらしい仕様だな。
ラストの発動文言寸止めで勇者君の聖剣ブッパを待つ。
「くらえっ!! ホーリーエクスプロージョンッッ!!」
「"青き月、地に満ちよ" ーーー青月っ!」
勇者君の聖剣ブッパの光と共に幻想的な美しい青い月が部屋に映し出され、勇者パーティーへ水滴が滴るようトプンと落ちた。
「「「「うわああ?!」」」」
勇者パーティーが月に包まれた瞬間、月だったモノはパァッと一斉に青く輝く蝶に変わり、ミルククラウンのような美しい王冠状に広がって飛び立っていった。
すぅっと最後の青い燐光が消える…。
後に残されたのは床に崩れ落ちた勇者パーティー。
みんな安らかにお眠りされ…いや、ちゃんと睡眠のほうで無事お眠りされております。おやすみなさい~。
「ふうっ…、これでヨシ。」
「す、すっげえ! ナマ青月ヤバい! カッケェェェ! キレイすぎか!!」
ワーワーいいながら小学生男子並みの語彙力になったエルさん。
うむ、勝った。俺が優勝。これが青月の賢者だ(ドヤァァァ)
ニヤリと笑って拳を天に突き上げようとしたらグラリと体が傾いた。
「えっ?! サイ?!」
半分くらい床に崩れ落ちた俺に、慌ててエルが駆け寄ってきた。
「…あー、魔力切れ。」
貧血のように頭から血が引くような立っていられない感覚は魔力切れのサイン。リアルになってから感じるようになったデメリット。
ゲームならゲージが赤くなって虚弱つくだけなんだけどね。
…はあ、青月は発動後にガンガン魔力が減るからマジきっつい。全然動けない。
エルに支えてもらい横になる。
「エル~、回復薬くれ~。俺のバッグに特大サイズあるからそれ出して~。」
「オッケー! …あ、これかな? …って、酒瓶並みじゃん。デカ過ぎて引くんだけど…。」
俺のバッグからズルンと取り出したるは、魔法職御用達の特大魔力回復薬。ゲーム画面だと日本酒の酒瓶っぽいヤツ。ちな、普通の薬は試験管みたいなのとかドリンク剤っぽい小さな瓶に入っている。
「俺達魔法職はガバ飲みしないと回復量足りないから仕方ないの。とりあえず、それくれ。そろそろしぬ。」
エルがコルク栓をキュポンと抜き、特大サイズを俺に持たせた。…うー、瓶重い。が、飲まねば(魔力)ライフがゼロよ…。
せいっ、と気合いを入れてラッパ飲み。
ごくっごくっごくっ
「ぷはーっ!」
三分の一程だが一気に飲んだ。
うっぷ、どこぞの青い汁のように不味くはないが、薬用に味調整された甘味がキツ~。完全に地球の栄養ドリンク剤味。これを酒瓶一本はキツ~。
「うっ、美麗エルフが飲んだくれのオッさんスタイルに…。脳がビジュアル拒否反応でバグるんですが…。」
「うるせー、飲まないとやってらんねえんだよ。うう、まだ全然回復しない…。つらっ。」
グビグビと回復薬を飲む。胃がチャプチャプしてきたよぉ…。口が変に甘いよぉ…。
「…サイ、無理しないで。ほら、ゆっくり飲も? 」
エルが気遣いのメンになりすぎて、まるで宴会で飲み過ぎのオッさんを介護する空気にされ少しイラッとした。マジで飲まないとやってられないオッさんの気持ちになりますが? 絡んじゃうぞ?
「ほっとけ! とりあえず青月はまだしばらく効果が続くから、これからの事説明すんぞ。」
「あ、ハイ。」
酔っ払いが説教するぞ!って感じにしました。
エルよ、よおくお聞きなさいよ!
回復薬を再びラッパしながら説明を始める。
「まず青月の中身について。これは言わずもなで、勇者レベルに落としたエルと全力バトルな。カッコよく二段階進化するボスに仕立てて置いた。最終形態はナイミリの剣鬼(※腕六本に剣装備した阿修羅スタイルのボス)だ。」
「おお、俺カッコイイ!」
「だろ? んで、まあ三十分くらい揉まれたらいい感じに勇者有利な展開になる。アイツらが前向きになる視点に調整したからな。聖剣とかでトドメになるんじゃないかな。」
「えー、俺トドメ刺されるんだー。ヤダー。」
エルがぶーたれる。いやいや、何ぶーたれてんだ、お前は!
「…お前、敵だからな? って言ってもトドメは刺すが、ーーー実はな、」
「…実は?」
<次回予告>
彼らの前に隔たる壁はあまりにも高く。しかし月は運命に微笑み新たなる光を呼び込んだ。
次回、異世界から来たりて?『第二十一夜 勇者に勇者』
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「次回も、残業てんこ盛りです。」
※次回予告はあんまり本編に関係ありません。
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