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第三十三夜 宴もたけなわ
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第三十三夜 宴はたけなわ
報告もアレだが、疑いもアレすぎる…。
「ジェラルド大将、報告通りで間違いない。サイは俺の嫁だ。魔王は間男だ。」
今までスンとすましてたエルさん、急にしゃしゃり出て来やがった!!
「おっと、そりゃ悪い事を聞いたな。ああ、大将とか言うのはやめてくれ。酒が不味くなるからな。」
部下の皆様がささっとオジサン晩酌セット的な物を準備してくれた。乾き物と酒、酒は日本酒ではなくウィスキーみたいな蒸留酒の水割りだ。
やっぱ騎士団、そう言うとこは男所帯(いや男しかいないけど)なんだなって納得ですわ…。
「城みたいな上等な肴はねえが、酒は俺のおすすめだ。遠慮なく舐めてくれや。」
ジェラルドさんが軽く乾杯みたいに杯を掲げたので、俺達もそれに倣った。
…おっふー、つよ! 水割りなのにストレート並みじゃん、この酒! が、うまし!これは絶対高級酒の味っすわ!
チラッとエルを横目で見ると、ひと口飲んではグラスに水を追加してた。あー、エルは甘い酒のが好きだもんな。
そっとバックから俺メイドのリンゴジュースを出してやった。それをチェイサーにお飲みよ、うん。
「はあ、その何だ。その存在感がヤベェ指輪は魔王と狼の兄さんの取り合いの戦利品ってヤツかよ。エルフの兄さんは傾国ってワケか。こりゃ、俺の予想の遥か上だったわ。」
そう呆れ顔で言い、煙草を咥えて顔を横に向けると部下の騎士さんがジェラルドさんの煙草に火をつけた。
「ああ、あの間男の無駄な足掻きだ。こんなチャチな指輪で俺の嫁が靡く訳ないが、忌々しい事に簡単に外れないんだ。クソっ、さっさとあの間男の首を取ってやりたい…。」
ギリぃとなりながらエルは俺の指輪を睨む。
…いい旦那の演技なんだろうけど、やたら本気すぎて怖いんだが?
「おいおい、ちょっと。狼の兄さん、アンタ和平に来たんだよな? 」
さすがにジェラルドさんも、えっ?って顔でコチラを見た。
「…ただの私情だ。気にするな。」
「…そ、そうか。…ええと、何だか俺の心配事が色々解消されちまったんだが…。エルフの兄さん、一応確認だ。アンタと魔王の関係は良好か?」
「良好ですね。更に保険と言っては何ですが、配下の外交長官、和平推進派の彼とも関係は良好です。」
「ふうん、アッチでもある程度は根回しはしてる、と。…今回の件は若造共のバカな思いつきだけじゃねえって事な。ーーーなあ、その和平はあの甘ったれ王子が言い出したのか?」
ジェラルドさんがグラスの酒をちびりとなめる。先程までと違う、コチラを見定める目と視線があう。ふむ、賽を投げる頃合いか。
「…違います。最初に言い出したのは俺達です。でも彼ら勇者パーティーは、俺達の話を聞いてからしっかり自分達で考え自ら和平への道に踏み出したのは間違いないです。」
と、言う事にした。だいたいあってるよな!
さてコイツは半と出るか丁と出るか。
「はー、まさに傾国。オトコを転がしまくりだな。狼の兄さんが必死に囲いたくなるのもわかる気がするぜ。」
ジェラルドさんはプハーと盛大に煙草の煙を吐き出した。
ムムッ! さっきから傾国傾国って、俺はそんな美人じゃねーわ…って、今課金済みエルフアバだったわ…。この世界でもまあまあ美形だったわ…。
「だろ? ウチの嫁は美人だから、いつも群がるオトコの始末が大変なんだ。」
「わかるわ~! 俺の嫁もエラい美人で、若い時は言い寄ってくるバカを何人も血祭りにあげたからな~! 今も隙あらばクソ虫共が寄ってくるから、せめてもの備えで似合わねえメガネかけさせてるんだわ。」
何故かシリアスぶった斬って突然ウチの嫁が美人すぎ自慢が始まった! うわっ、これ既婚者酒の席あるあるじゃねぇか?!
ふと壁の方に目を向けると騎士の皆様が、あー、ついに始まったわーみたいな顔して、静かに休憩交代を回し始めた…。警戒体制はいいんかーい…。いいんだろうな、わかるわ…。
盛り上がる旦那会の間に入るのが面倒になり、仕方がなく曖昧に微笑みながら乾き物の炒り豆をポリポリした。
ーーーエルは人タラシだ。
「いやあ、若いのにアンタすげえな。異世界人はみんなそんななのか?」
「いやいや、俺が特別かな。一応勇者だったし。」
いつの間にかジェラルドさんは俺達の近くに座り、機嫌良くガハハと笑っている。壁に沿って立ってた騎士さん達もフルプレートアーマー装備を解除して何故か俺達の近くで床に胡座をかき酒盛りをしていた。勿論、話題の中心は我らが勇者、エルさんです。
俺の嫁サイコー談義をしていた二人は、酒の勢いで突然アームレスリング大会を開催し、ぶっち切りで優勝したエルと儚く散っていた騎士達はジェラルドさんを筆頭に脳筋の絆で固く結ばれたのだった…。全ては筋肉…。筋肉は世界を救う。友情+努力+筋肉=平和。
いや、そんな事ねえだろ?!(若干不安)
まあ言いたい事はいっぱいあるが、一時期無駄にフレンド枠MAXまで埋めたエルの人タラシのなせる技ってヤツなのだ。
これが物語だったら勇者ってポジションもあながち間違いじゃないかもな。転生チートスキル、友達100人とかだったら笑うけど。
夜も更けすっかり打ち解けた頃、会議室のドアがノックされた。
ドアの近くにいた騎士さんが立ち上がりちょっと開け、廊下の伝令らしき騎士さんとやり取りをする。…こんな遅い時間に何かあったのかな?
「大将閣下! 奥様が下にいらっしゃっています! 急いでお帰りください!!」
「な、なんだと?! ヤベェ、おい誰か! 薬! いつもの薬を持ってこい!!」
ガバッとジェラルドさんが席を立ち上がり、騎士さん達に薬を寄越せとがなり立てる。
「えっ? 宰相様、何かご病気なんです?」
慌てふためくジェラルドさんに声をかける。なんなら俺の手持ち薬出しますけど、と付け足す。
…宰相さんの設定に病弱ってあったかな?
「いや、違う! 俺の薬だ!! 今、俺は嫁から琥珀酒禁酒令だされてんだ!! はやく異常回復と臭い消ししねえと…、」
「ジェラルド、いつまで私を待たせるのか? …おや何でしょうかね、この会議室には似つかわしくない燻ったようなあの琥珀色の液体とそっくりな香りは?」
一瞬にして部屋の温度が10度くらい下がった気がした…。
「さっき手土産に渡そうと思った瓶を落として割っちまったんだ、ハニー。俺にも少しかかったかな。ははは…。」
ジェラルドさんは宰相さんに駆け寄り頑張って言い訳した。
…いやジェラルドさん、ムリありすぎだろ。円卓と床に飲んだ酒瓶転がってるし、部屋自体かなり酒臭いからな…。
勿論そんな言い訳通じるワケもなく…。
宰相様の絶対零度の光るメガネに、ジェラルドさんは斜め下を見ながら震えた。
武士の情けじゃ…、俺の異常回復魔法受け取れい…。そっと回復魔法を飛ばしてあげました。酔いは覚めるよ、多分。
別な意味で長丁場が始まりそうだったので、俺達はそっとお暇する事にした。部下の騎士さん達と一緒に静か~に退室しようとした。
「お待ちを、お二方。」
き、気づかれたー!!
「あ、あの、何か…?」
宰相さんはクイッとメガネを押し上げコチラを見ていた。…宰相さんって、前世の苦手だった会計事務の課長の雰囲気に似てるんだよな。あの課長もメガネをクイッとしながら数字のミスを責めにくるんだ…。
提出書類なんかないけどなんかミスしたかな…?
「…ジェラルドが迷惑をかけてすまない。あやつはすぐ勢いが良い若い者に絡むクセがあってね。」
あ、旦那さんの尻拭いか。
「いえ、大丈夫です。ジェラルド様は俺達みたいな素性がわからない者を吟味して排除するのが本来のお仕事でしょう? むしろすんなり受け入れて頂いて光栄です。」
「アレも一応大将を名乗る手前、睨みを利かせるのも仕事でね。」
薄々は勘づいていたけど、ジェラルドさんが鬼札の指名ってのは手の内の札が上がり役に上がる為で、要らない札を切り捨てる為なんだろう。
実際、歓迎の酒盛りの呼び出しに殺る気フルプレートアーマー装備の騎士達を使わないだろ、普通。俺達が問題の答えを間違えたら、この会議室でサラッと消すつもりだったんだろうな。まあ、今殺る気フルプレートアーマー着てる騎士さん一人もいないけど…。
「国防の要たる大将なら当然でしょう。」
「ありがとう。…ああ、そうそう、大まかな事の顛末は聞き及んでいる。こちらも協力は可能だ。国内は問題ないだろう。国外についても…、我が国はきれる手札が多いのでな。完璧な大船とは言わないが、決して泥舟を漕がす事はないから安心して欲しい。」
…さすが宰相さん。言葉から読み取れる正確な情報がほぼないのに、水面下では動いてますよ感がすごい。まさにオブラートに包んだ話。
「お手数をかけますが、どうぞよろしくお願いします。」
「これから同じテーブルにのる仲、そんなかしこまらなくて結構だよ。では、また明日。…ジェラルド、屋敷に帰りますよ。さっさとその辺を片付けなさい。」
宰相さんはニコリと笑い片手を上げ、隣りで空気に徹していたジェラルドさんの肩に裏拳をいれた…。
物理ダメージは入ってないようだが、力関係のダメージは入っているようだ…。逃げ損ねた騎士団の皆様と共に一斉に片付けへ散った。鬼嫁の気配を察知した…。
俺達は被害を被る前に軽く頭を下げて撤退したのであった。
<次回予告>
美味い酒は物事を円滑にまわす良い潤滑剤なのだ。ただ、過ぎた酒は…言わずもな、だが。
そして幕間は開ける。
次回、変わる景色。『第三十四夜 誰が為に道を行く』
お楽しみに!
エル「あけおめ、ことよろ! ナイミリのおみくじスタンプ送ったよ~! ちなサイからきたの大吉だった(ドヤァ)」
※次回予告はあんまり本編に関係ありません。
そして引き続き更新日が1月1日により新年コールでした! エルで締めっす!
報告もアレだが、疑いもアレすぎる…。
「ジェラルド大将、報告通りで間違いない。サイは俺の嫁だ。魔王は間男だ。」
今までスンとすましてたエルさん、急にしゃしゃり出て来やがった!!
「おっと、そりゃ悪い事を聞いたな。ああ、大将とか言うのはやめてくれ。酒が不味くなるからな。」
部下の皆様がささっとオジサン晩酌セット的な物を準備してくれた。乾き物と酒、酒は日本酒ではなくウィスキーみたいな蒸留酒の水割りだ。
やっぱ騎士団、そう言うとこは男所帯(いや男しかいないけど)なんだなって納得ですわ…。
「城みたいな上等な肴はねえが、酒は俺のおすすめだ。遠慮なく舐めてくれや。」
ジェラルドさんが軽く乾杯みたいに杯を掲げたので、俺達もそれに倣った。
…おっふー、つよ! 水割りなのにストレート並みじゃん、この酒! が、うまし!これは絶対高級酒の味っすわ!
チラッとエルを横目で見ると、ひと口飲んではグラスに水を追加してた。あー、エルは甘い酒のが好きだもんな。
そっとバックから俺メイドのリンゴジュースを出してやった。それをチェイサーにお飲みよ、うん。
「はあ、その何だ。その存在感がヤベェ指輪は魔王と狼の兄さんの取り合いの戦利品ってヤツかよ。エルフの兄さんは傾国ってワケか。こりゃ、俺の予想の遥か上だったわ。」
そう呆れ顔で言い、煙草を咥えて顔を横に向けると部下の騎士さんがジェラルドさんの煙草に火をつけた。
「ああ、あの間男の無駄な足掻きだ。こんなチャチな指輪で俺の嫁が靡く訳ないが、忌々しい事に簡単に外れないんだ。クソっ、さっさとあの間男の首を取ってやりたい…。」
ギリぃとなりながらエルは俺の指輪を睨む。
…いい旦那の演技なんだろうけど、やたら本気すぎて怖いんだが?
「おいおい、ちょっと。狼の兄さん、アンタ和平に来たんだよな? 」
さすがにジェラルドさんも、えっ?って顔でコチラを見た。
「…ただの私情だ。気にするな。」
「…そ、そうか。…ええと、何だか俺の心配事が色々解消されちまったんだが…。エルフの兄さん、一応確認だ。アンタと魔王の関係は良好か?」
「良好ですね。更に保険と言っては何ですが、配下の外交長官、和平推進派の彼とも関係は良好です。」
「ふうん、アッチでもある程度は根回しはしてる、と。…今回の件は若造共のバカな思いつきだけじゃねえって事な。ーーーなあ、その和平はあの甘ったれ王子が言い出したのか?」
ジェラルドさんがグラスの酒をちびりとなめる。先程までと違う、コチラを見定める目と視線があう。ふむ、賽を投げる頃合いか。
「…違います。最初に言い出したのは俺達です。でも彼ら勇者パーティーは、俺達の話を聞いてからしっかり自分達で考え自ら和平への道に踏み出したのは間違いないです。」
と、言う事にした。だいたいあってるよな!
さてコイツは半と出るか丁と出るか。
「はー、まさに傾国。オトコを転がしまくりだな。狼の兄さんが必死に囲いたくなるのもわかる気がするぜ。」
ジェラルドさんはプハーと盛大に煙草の煙を吐き出した。
ムムッ! さっきから傾国傾国って、俺はそんな美人じゃねーわ…って、今課金済みエルフアバだったわ…。この世界でもまあまあ美形だったわ…。
「だろ? ウチの嫁は美人だから、いつも群がるオトコの始末が大変なんだ。」
「わかるわ~! 俺の嫁もエラい美人で、若い時は言い寄ってくるバカを何人も血祭りにあげたからな~! 今も隙あらばクソ虫共が寄ってくるから、せめてもの備えで似合わねえメガネかけさせてるんだわ。」
何故かシリアスぶった斬って突然ウチの嫁が美人すぎ自慢が始まった! うわっ、これ既婚者酒の席あるあるじゃねぇか?!
ふと壁の方に目を向けると騎士の皆様が、あー、ついに始まったわーみたいな顔して、静かに休憩交代を回し始めた…。警戒体制はいいんかーい…。いいんだろうな、わかるわ…。
盛り上がる旦那会の間に入るのが面倒になり、仕方がなく曖昧に微笑みながら乾き物の炒り豆をポリポリした。
ーーーエルは人タラシだ。
「いやあ、若いのにアンタすげえな。異世界人はみんなそんななのか?」
「いやいや、俺が特別かな。一応勇者だったし。」
いつの間にかジェラルドさんは俺達の近くに座り、機嫌良くガハハと笑っている。壁に沿って立ってた騎士さん達もフルプレートアーマー装備を解除して何故か俺達の近くで床に胡座をかき酒盛りをしていた。勿論、話題の中心は我らが勇者、エルさんです。
俺の嫁サイコー談義をしていた二人は、酒の勢いで突然アームレスリング大会を開催し、ぶっち切りで優勝したエルと儚く散っていた騎士達はジェラルドさんを筆頭に脳筋の絆で固く結ばれたのだった…。全ては筋肉…。筋肉は世界を救う。友情+努力+筋肉=平和。
いや、そんな事ねえだろ?!(若干不安)
まあ言いたい事はいっぱいあるが、一時期無駄にフレンド枠MAXまで埋めたエルの人タラシのなせる技ってヤツなのだ。
これが物語だったら勇者ってポジションもあながち間違いじゃないかもな。転生チートスキル、友達100人とかだったら笑うけど。
夜も更けすっかり打ち解けた頃、会議室のドアがノックされた。
ドアの近くにいた騎士さんが立ち上がりちょっと開け、廊下の伝令らしき騎士さんとやり取りをする。…こんな遅い時間に何かあったのかな?
「大将閣下! 奥様が下にいらっしゃっています! 急いでお帰りください!!」
「な、なんだと?! ヤベェ、おい誰か! 薬! いつもの薬を持ってこい!!」
ガバッとジェラルドさんが席を立ち上がり、騎士さん達に薬を寄越せとがなり立てる。
「えっ? 宰相様、何かご病気なんです?」
慌てふためくジェラルドさんに声をかける。なんなら俺の手持ち薬出しますけど、と付け足す。
…宰相さんの設定に病弱ってあったかな?
「いや、違う! 俺の薬だ!! 今、俺は嫁から琥珀酒禁酒令だされてんだ!! はやく異常回復と臭い消ししねえと…、」
「ジェラルド、いつまで私を待たせるのか? …おや何でしょうかね、この会議室には似つかわしくない燻ったようなあの琥珀色の液体とそっくりな香りは?」
一瞬にして部屋の温度が10度くらい下がった気がした…。
「さっき手土産に渡そうと思った瓶を落として割っちまったんだ、ハニー。俺にも少しかかったかな。ははは…。」
ジェラルドさんは宰相さんに駆け寄り頑張って言い訳した。
…いやジェラルドさん、ムリありすぎだろ。円卓と床に飲んだ酒瓶転がってるし、部屋自体かなり酒臭いからな…。
勿論そんな言い訳通じるワケもなく…。
宰相様の絶対零度の光るメガネに、ジェラルドさんは斜め下を見ながら震えた。
武士の情けじゃ…、俺の異常回復魔法受け取れい…。そっと回復魔法を飛ばしてあげました。酔いは覚めるよ、多分。
別な意味で長丁場が始まりそうだったので、俺達はそっとお暇する事にした。部下の騎士さん達と一緒に静か~に退室しようとした。
「お待ちを、お二方。」
き、気づかれたー!!
「あ、あの、何か…?」
宰相さんはクイッとメガネを押し上げコチラを見ていた。…宰相さんって、前世の苦手だった会計事務の課長の雰囲気に似てるんだよな。あの課長もメガネをクイッとしながら数字のミスを責めにくるんだ…。
提出書類なんかないけどなんかミスしたかな…?
「…ジェラルドが迷惑をかけてすまない。あやつはすぐ勢いが良い若い者に絡むクセがあってね。」
あ、旦那さんの尻拭いか。
「いえ、大丈夫です。ジェラルド様は俺達みたいな素性がわからない者を吟味して排除するのが本来のお仕事でしょう? むしろすんなり受け入れて頂いて光栄です。」
「アレも一応大将を名乗る手前、睨みを利かせるのも仕事でね。」
薄々は勘づいていたけど、ジェラルドさんが鬼札の指名ってのは手の内の札が上がり役に上がる為で、要らない札を切り捨てる為なんだろう。
実際、歓迎の酒盛りの呼び出しに殺る気フルプレートアーマー装備の騎士達を使わないだろ、普通。俺達が問題の答えを間違えたら、この会議室でサラッと消すつもりだったんだろうな。まあ、今殺る気フルプレートアーマー着てる騎士さん一人もいないけど…。
「国防の要たる大将なら当然でしょう。」
「ありがとう。…ああ、そうそう、大まかな事の顛末は聞き及んでいる。こちらも協力は可能だ。国内は問題ないだろう。国外についても…、我が国はきれる手札が多いのでな。完璧な大船とは言わないが、決して泥舟を漕がす事はないから安心して欲しい。」
…さすが宰相さん。言葉から読み取れる正確な情報がほぼないのに、水面下では動いてますよ感がすごい。まさにオブラートに包んだ話。
「お手数をかけますが、どうぞよろしくお願いします。」
「これから同じテーブルにのる仲、そんなかしこまらなくて結構だよ。では、また明日。…ジェラルド、屋敷に帰りますよ。さっさとその辺を片付けなさい。」
宰相さんはニコリと笑い片手を上げ、隣りで空気に徹していたジェラルドさんの肩に裏拳をいれた…。
物理ダメージは入ってないようだが、力関係のダメージは入っているようだ…。逃げ損ねた騎士団の皆様と共に一斉に片付けへ散った。鬼嫁の気配を察知した…。
俺達は被害を被る前に軽く頭を下げて撤退したのであった。
<次回予告>
美味い酒は物事を円滑にまわす良い潤滑剤なのだ。ただ、過ぎた酒は…言わずもな、だが。
そして幕間は開ける。
次回、変わる景色。『第三十四夜 誰が為に道を行く』
お楽しみに!
エル「あけおめ、ことよろ! ナイミリのおみくじスタンプ送ったよ~! ちなサイからきたの大吉だった(ドヤァ)」
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